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大根仁と関和亮に教えてもらう、映像業界のあんな事やこんな事

大根仁と関和亮に教えてもらう、映像業界のあんな事やこんな事

インタビュー・テキスト
阿部美香
撮影:豊島望

結局、教わることでも教えることでもないんですよね、いい企画の作り方も、いい画の撮り方も。(関)

―今のお話に加えて、プロとして長く映像を撮る仕事をしたいなら、お二人のように他にはない武器を持つことも大事ですよね?

:「他の人がしないことは何だろう?」を考えることですね。さっきのイベントのテーマだった「企画書」じゃないですけど、人と同じ企画を考えていてもいいモノにはならないんです。というと、どうしたら人と違うアイデアが思いつくのか? と聞かれますが……それが分かっていたら、もっと偉くなってるだろうな(笑)。

大根:そうだよね、監督なんかやってないで、コンサルタントで大儲けしますよ(笑)。

:結局、教わることでも教えることでもないんですよね、いい企画の作り方も、いい画の撮り方も。やれることがあるとすれば、大根さんのような先輩の経験をもとに、「じゃあ自分ならどうするか?」を探すこと。いろんなものを見て、吸収して、自分の作品に採り入れながら。でも、採り入れるものが同じジャンルじゃ意味がないんですよ。MVを撮るのに、他のMVを参考にしちゃダメ。

大根:それはただのコピーですからね。僕もいろいろなサンプリングを繰り返して撮ってきたんですけど、一時期、明らかに師匠である堤幸彦の劣化コピーみたいなこともやっていたんです。でも、それじゃまずいと思って、まず堤さんがやっていないことをピックアップして、やっていこうと思った。堤さんは脚本を書かないから、書いてみよう。堤さんはカット割り重視だから、僕はライブな撮り方をしよう。編集はある程度お任せでやっているから、僕はイチから編集しよう。自分でカメラを回すのも、モニターを置かないのもたぶん同じ考え。尊敬する人と逆のやり方をしてみるのも、自分の武器を見付けるには、アリだと思いますね。

:面白いですよね。イベントの席で大根さんは「今までさんざんオマージュやサンプリングで作品を作ってきた」とおっしゃってましたが、その大根さんこそが、今は他が真似できないオリジナルをやられている。僕だってゼロからオリジナルなものを作ってきたわけじゃない。いろんなものが混ざり合ってる今の作風が注目されているわけですから……言ってることとやってることが矛盾しちゃってて(笑)。

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』の模様

大根:はは、たしかにね(笑)。

:逆に、MVなんかは映画と違って数を撮るから、どうしても「これは前もやったな」というものが出てきてしまう。そうなると今度は自分自身が超えるべき敵になってしまうので、そこはいつも悩みどころです。

大根:そこから出てくるものが、「なんだこれ?」と思ってもらえたら万々歳でね。僕にとっては「なんだこれ?」が一番の褒め言葉だから。

:それが今の時代にもフィットしていますよね。「なんだこれ? なんか面白いぞ」というのが拡散して広まり、評価に繋がっていく。“アルクアラウンド”を撮り終わったときも、僕の感想は「なんかヘンで面白いのができた」だったんです。名作ができたなんて感覚は全くなかった。それを僕と同じように「ヘンなMVがあるぞ」と面白がってくれた人たちが、ネット上で拡散してくれたから話題になった。これがテレビだけだったら、面白いと思われたかどうかわかりません。ネット上で繰り返し見られたからこそ、伝わった面白さだと思います。今の時代ならではでしょうね。

大根:僕もネットの力は感じてますね。ネットで情報や感想が広がることで、思いも寄らない人に作品を見てもらえている実感はあるし、情報が広がるスピードも昔とは全然違いますよね。

:悪いほうの情報も広がるのが速いですしね(笑)。これだけコンピュータ文化が広がれば、これから映像作品を作る人たちは、CGや他のインターネットコンテンツの知識もどんどん必要になっていくでしょう。映像表現自体の幅が広がっているんですから、目線が狭くなってしまってはもったいないですからね。

大根:そして、現場を楽しむことかな。映像の監督の仕事というのは、現場で起きるトラブルを結果オーライにすることなんですよ。さっきのイベントでも関さんが、“アルクアラウンド”の撮影現場では、計画してたのに実際やってみたらできなかったアイデアがたくさんあったと言ってたじゃない? でも結果的に、あんなに面白いMVが撮れた。

『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』の模様

:それは、周りの人の意見を現場でどんどん採り入れて、こっちがダメならあっち、と切り替えることができたからでしょうね。

大根:それも映像制作では大切なことですよ。じゃないと、現場が楽しくならない。僕も映画を撮るときは、僕だけの意見に寄らず、なるべくスタッフの意見が入り込む隙間を作るようにしてます。「これ、どう思う?」と聞いてみたり。映像は監督1人で作れるものじゃないですからね。

:コミュニケーションは取って損はないですよね?

大根:まぁ、映像作家に必要なことなんて、僕らが教えられるようなもんじゃないってさっきから言ってるのに……なんだかアドバイスチックになってるのはイヤなんだけどねぇ(笑)。

:という大先輩の背中を見ながら、これから映像作家を目指したい方が精進してくれればいいんじゃないですか?(笑)

大根:そう、映像作家になりたければ、とにかくお撮りなさいと。まぁ話はそこからですよ(笑)。

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作品情報

『恋の渦』

2013年10月14日(月・祝)までオーディトリウム渋谷でレイトショー、ほか順次公開
監督:大根仁
原作・脚本:三浦大輔
出演:
新倉健太
若井尚子
柴田千紘
後藤ユウミ
松澤匠
上田祐揮
澤村大輔
圓谷健太
國武綾
松下貞治
配給:シネマ☆インパクト

プロフィール

大根仁(おおね ひとし)

1968年東京都生まれ。演出家・映像ディレクター。 「まほろ駅前番外地」「モテキ」「湯けむりスナイパー」などのテレビドラマ、フジファブリック「夜明けのBEAT」、マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」などのMV、ロックミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などの舞台演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活動する。監督・脚本を手掛けた映画「モテキ」が2011年に公開し大ヒット。映画監督第二作目となるインディーズ映画「恋の渦」は、連日上映劇場のキャパシティーをオーバーする人気を博し、全国拡大公開中。

関和亮(せき かずあき)

1976年長野県生まれ。1998年トリプル・オーに参加。2000年より映像ディレクターとして活動を始め、2004年よりアート・ディレクター、フォトグラファーとしても活動。現在に至る。PerfumeのPVやアートワークも手掛ける。手がけたおもなミュージックビデオに、柴咲コウ『無形スピリット』、ねごと『カロン』、NICO Touches the Walls『手をたたけ』など。サカナクション「アルクアラウンド」MVにて『第14回文化庁メディア芸術祭』エンターテインメント部門優秀賞を受賞。

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