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クセ者映像作家・大月壮が創造した「格ゲーMCバトル」について

クセ者映像作家・大月壮が創造した「格ゲーMCバトル」について

インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:柏井万作
2013/11/07

格闘ゲームの世界の中で、生身のラッパーたちがそのスキルを駆使して対決!? そんな世界初のMCバトルシステムが「STREET CYPHER 2」だ。去る10月6日には同システムによる初のイベントがインターネットTV局「2.5D」とニコニコ生放送でライブ中継され、個性派MC陣が参戦した。仕掛人は映像作家の大月壮。数々のPV映像や、オリジナル映像『アホな走り集』、またスペースシャワーTVで話題のステーションIDなどを手がける彼が、なぜ格ゲーとヒップホップの融合という無茶な(?)接続を目論んだのか。その真意を探りつつ、彼の創作姿勢に迫るインタビューを行った。

PROFILE

大月 壮(おおつき そう)
1977年神奈川生まれ。東洋美術学校卒業。フリーランスの映像クリエイター、ディレクター。ぶっ飛んだものからマジメなクライアントワークまで柔軟に。WEBやテクノロジーを映像に取り入れるのも好きです。過去には現代美術作家「chim↑pom」やHIPHOPアーティスト「KLOOZ」と共同プロジェクトを主催。オリジナル作ではニコニコ動画から始まり文化庁メディア芸術祭入選まではたした『アホな走り集』が有名。国内や海外の映画祭・映像祭での上映多少あります。東洋美術学校非常勤講師。
SOU OOTSUKI WEB

きっかけは、ただラッパーが集まってひたすら「スト2大会」を繰り広げてたこと(笑)。

―まずはMCバトルシステム「STREET CYPHER 2」について教えてください。そもそもこの企画はどういう経緯で生まれたのですか?

大月:もともと日本のヒップホップが好きだったんです。音楽自体だけじゃなくて、普通は表の社会にはいないような人たちが表現をしてたりするのが面白くて。それでどんどんハマっていって、全国規模のMCバトルとかを見に行くうちに、MCバトル界でも異色の企画を開催しているMC正社員さんと知り合ったんです。たとえばラッパー2人の間に女子を挟んで、互いに口説き合うMCバトルとか、そういうことをやっていて(笑)。

大月壮
大月壮

―普通MCバトルはスタイルのぶつかり合いで、ときには罵倒し合うようなものを連想しますけど、そこからすると新基軸ですね(笑)。

大月:いわゆる本格派のMCバトルに対して、企画系というか、新ジャンルを開拓していて。で、彼があるとき、『ストリートファイターMCバトル』って催しをやるというので、面白そうだと思って見に行ったんです。

―そこから今回の挑戦が始まったと。

大月:いや、それが実際行ってみたらMCバトルは全然関係なく、ただラッパーたちが集まってひたすらスト2大会を繰り広げてたんですよ(笑)。

―ただゲームをしてるだけだったんですね(笑)。

大月:はい。僕が勝手に期待してたのは、格闘ゲームとMCバトルの融合みたいな世界だったんですけど、現場でただ呆然とゲーム対決を見ることになって(笑)。けどそのとき「でも、それって実現できるんじゃない?」と思って。

―その時点でもう、「STREET CYPHER 2」のシステム設計まで思い浮かんだんですか?

大月:細かい部分はわかってなかったですけど、当時もうKinect(Xbox 360向けに生まれたゲームデバイス。人の動きや音声を認識することができる)が発売されていたし、その他の技術もいろいろ組み合わせて工夫すれば、実現できそうだなって。でも、システム開発まで自分でできるわけじゃないし、予算もそれなりに必要。だからこの企画は、頭の片隅で温めてる感じだったんです。

―それが今回、スペースシャワーTVと組んで、実現に至ったわけですね。

大月:そうなんですよ。スペースシャワーTVがやってるブラックミュージック専門の『BLACK FILE』っていう番組と縁ができて、プロデューサーから何か企画をやってみない? という話をもらったとき、「実はこういうこと考えてて……」って提案したら、やってみようということになって。

―今回お披露目されたシステムは、MCバトルの場にKinectを持ち込んでラッパー2人の動きを検知しながら、格闘ゲーム的映像とリアルタイムに合成する仕組み。実際に格闘技的な攻防も取り入れていますね。

大月:上段・中段・下段の身体の動きに合わせ、Kinectで感知して攻撃技が発動されるようにしています。両腕を身体の前で構えてガードすることで防御も可能です。合成画面上では、身体に黄色い輪郭線が出た状態は防御モードですね。全体的に、まだ精度がそんなに高くないんですけど。

―ディテールにもこだわってますね。ただ、単にそれだけでは「ラップしながらのドツき合い」をバーチャルに実現してるだけになっちゃいますよね?

大月:はい(笑)。だから勝敗は従来のMCバトル同様、オーディエンスの反応が鍵を握る形にしました。普通MCバトルって、いいパフォーマンスにはお客が声を上げて盛り上げるし、勝敗もオーディエンスの評価に委ねるんですよ。

―良かったと思う方に歓声を上げて、その大きさで決めたりとか。

大月:それにあたるものを「STREET CYPHER 2」に持ち込みたくて、「Hoo!システム」というのを考えました。オーディエンスがいいと思った瞬間にスマホを振ると、そのラッパー側の「Hoo!ゲージ」にパワーが溜まります。格闘で奪い合う体力ケージに加えて、これが最終的に両者の勝敗を分ける大きなファクターになる仕組みです。

―みんなが拳を上げて振り回す、あの感じですね。

大月:仕組みとしてはボタンを押すとかのほうが簡単だし、プログラマーにもそう言われました。でも、こういう場での熱狂を反映する仕組みとしては、もっと身体的な動作にしたかった。本当は歓声の大きさなども反映できたらより良いですね。ちなみに、現場で直接見ている観衆だけでなく、ネット中継の視聴者も配信ページ上のHoo!ボタンをクリックすることで参加可能にしています。

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番組情報

スペースシャワーTV『BLACK FILE』

2013年11月12日(火)23:00〜

スペースシャワーTVの番組『BLACK FILE』にて、10月に行われた「STREET CYPHER 2 MCバトル」の模様がオンエアーされます。

プロフィール

大月 壮(おおつき そう)

1977年神奈川生まれ。東洋美術学校卒業。フリーランスの映像クリエイター、ディレクター。ぶっ飛んだものからマジメなクライアントワークまで柔軟に。WEBやテクノロジーを映像に取り入れるのも好きです。過去には現代美術作家「chim↑pom」やHIPHOPアーティスト「KLOOZ」と共同プロジェクトを主催。オリジナル作ではニコニコ動画から始まり文化庁メディア芸術祭入選まではたした『アホな走り集』が有名。国内や海外の映画祭・映像祭での上映多少あります。東洋美術学校非常勤講師。

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