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快速東京×井口皓太(TYMOTE)×窪田慎座談会

快速東京×井口皓太(TYMOTE)×窪田慎座談会

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:三野新

昨年は『RISING SUN ROCK FESTIVAL』にも出演し、Google Chrome「World Wide Maze」のキャンペーンソングにも起用されるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍したバンド・快速東京。かねてよりアートワークや映像作品も国内外で注目を集めていた彼らだが、昨年末には楽曲のみならず、企画からディレクション、デザイン、主演までメンバーで行った「キリン 本搾り™チューハイ 冬柑 冬柑」のウェブCMが公開され、年明け早々の1月15日には3枚目のアルバムとなる『ウィーアーザワールド』がリリースされるなど、今年はさらなる飛躍が期待されるターニングポイントとなりそうだ。今回は前述のウェブCMでクリエイティブディレクターとして快速東京を抜擢した井口皓太(TYMOTE)、さらに同CMの映像編集を手がけた窪田慎にも加わってもらい、CMの興味深いバックストーリーや、クリエイティブに対する考え方についてなど、賑やかにみっちりと語ってもらった。

快速東京のやり方はキャッチーで、美大生たちがワーッと盛り上がったんですよ。それは羨ましいなと思って見てました。(井口)

―まず、みなさんの馴れ初めから教えてください。

一ノ瀬:映像評論家の林永子さんが主催している『スナック永子』という映像クリエイターが出演するイベントがあって、2012年の8月に僕たちが呼ばれたんですけど、そのときに井口くんもTYMOTEチームで出ていて。そこで初めて会いました。

―会う前から、お互いのことは認識していたんですか?

一ノ瀬:TYMOTEは年齢的には少し上なんですけど、僕たちの先輩にあたる多摩美術大学の卒業生もメンバーにいたので、身近な先輩が活躍しているなと思っていましたね。

―会うまではどんな印象でしたか?

井口:たぶん嫌われてたと思うな(笑)。TYMOTEはけっこう大人に交じって広告の仕事などをマジメにやってたし、快速東京から見ると「はいはい」って感じだったんじゃない?

手前:福田哲丸(快速東京)、奥:一ノ瀬雄太(快速東京)
手前:福田哲丸(快速東京)
奥:一ノ瀬雄太(快速東京)

一ノ瀬:マジメっていうか、僕は井口くんたちより1つ下の学年なんですけど、全部TYMOTEにやられちゃった感じがあって。(福田)哲丸はさらに1つ下なので、そんなに意識してなかったみたいですけどね。

哲丸:(一ノ瀬)雄太はTYMOTEに対して、ずっとそう言ってたよね。

一ノ瀬:大御所に頼むんじゃなくて、その半額以下の予算で若手がいいもの作りをするみたいなやり方は、僕らが一番できるところだと思っていたのに、TYMOTEが先にやっちゃって。「僕らどうするんだよ!?」みたいな。

井口:そういうコストパフォーマンスのよさみたいなものを意識して独立したわけじゃないけどね(笑)。僕らは従来の就職活動のやり方に違和感を抱え始めた世代だったんです。それで大学在学中に独立したんですけど、快速東京の世代は、違和感を抱えながら音楽に向かっていった感じなんですよね。彼らに限らず、東京の美大生まわりにはそういう流れがあったと思います。

一ノ瀬:結局、僕らの同級生はマジメに就職した人が多かったんですけど、それは「TYMOTEにやられちゃったし、僕らは企業に行くか」みたいな、そういう感覚がなきにしもあらずだったと思うんですよ。

―一ノ瀬さんたちからすると、TYMOTEは学生が独立して起業する先駆けみたいなイメージだったんですか?

一ノ瀬:先駆けっていう憧れの感覚じゃなくて、正直に言うと最初は斜めに見てましたね。

井口:うん、絶対そうだったはずだよ。

一ノ瀬:そういう人は多かったと思う。だけど、時間が経つにつれて、TYMOTEの作品の説得力に飲み込まれた人が多いんじゃないかな。

井口:僕らは「美大生」の一般的なイメージを逆転させたかったんですよ。大企業でコツコツ下積みするんじゃなくて、いきなりいい仕事をとってきて、なおかつマジメにできちゃうんだよっていうところを見せたかった。ただ、僕らに続いて、みんなが就職せずに独立するような大海賊時代になると思ってたんですよ。

井口皓太(TYMOTE)
井口皓太(TYMOTE)

―どうなりました?

井口:実際は僕らだけ放り出されちゃった。「そういう仕事はTYMOTEがやってるから、違うところから攻めよう」みたいな感じになって、快速東京みたいに楽しみながらPVを作ってるヤツらが出てきて。そしたら快速東京のほうがよっぽどキャッチーで、美大生たちがワーッと盛り上がったんですよ。だから、TYMOTEは業界的には知られていたかもしれないけど、美大生の求心力にはならなかった。それは羨ましいなと思って見てたんですよね。

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リリース情報

快速東京<br>
『ウィーアーザワールド』(CD)
快速東京
『ウィーアーザワールド』(CD)

2014年1月15日発売
価格:2,415円(税込)
felicity cap-188 / PECF-1085

1. ライトニングスーパーフラッシュ
2. どーなっつ
3. ダラダラ
4. ハグレティックトーキョー feat. KOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'S
5. カバ
6. アトム
7. ごはん
8. ヤダ
9. へや
10. ハラヘリ
11. あくまくん
12. メタルマン2
13. ムダ
14. さいご

CINRA.STOREで取扱中の商品

TYMOTE、minna<br>
『PHOENIX(9)』
TYMOTE、minna
『PHOENIX(9)』

価格:1,890円(税込)
羽根にグラフィカルなプリントを施した斬新な羽根ペン

TYMOTE、minna<br>
『PHOENIX(16)』
TYMOTE、minna
『PHOENIX(16)』

価格:1,890円(税込)
羽根にグラフィカルなプリントを施した斬新な羽根ペン

プロフィール

快速東京(かいそくとうきょう)

福田哲丸(Vo)、一ノ瀬雄太(G)、藤原一真(Ba)、柳田将司(Dr)らによって2008年に結成。吉祥寺を中心に活動し、2010年には『FUJI ROCK FESTIVAL』の「ROOKIE A GO-GO」ステージに出演し話題を集める。2011年にアルバム『ミュージックステーション』を発売し、2012年にはアルバム『ロックインジャパン』を発売。メンバーとその界隈で制作したミュージックビデオが世界各地で話題となったり、「プロモーションビデオをマンガで作りたい」というアイデアを自ら企画・制作・編集・デザインした『快速マガジン』なるコミックスを発売したりするロックバンド。

井口皓太(いぐち こうた)

1984年神奈川県生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科在学中に株式会社TYMOTEを創立。近作として体験型スポーツ映像「Kanji City Kyoto」、HaKU「everything but the love」SOUR「Life is Music」など。受賞歴にD&AD:yellow pencil、東京 TDC2014:TDC賞など。

窪田慎(くぼた まこと)

1984年山梨県生まれ。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後デザイン事務所を経て現在映像を中心にフリーランスとして活動中。これまでの主な仕事は、『TOKYO CITY SYMPHONY』にアニメーターとして参加、ラヂオえほん『いえなかったありがとう』、『ハートランドビール』コンセプトムービー、MTV番組オープニングなど。

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突然少年“火ヲ灯ス”

教室でも放課後でも負け続けたこと、弱さ故に大事な友達も傷つけてきたことーー振り返るほど情けなさでズタズタになってきた自分達の青春を全部吐き出しながら、だからこそ今まで裏切らず側にいてくれた人を離さず抱き締めて生きていきたいのだと表明する1stアルバムが『サンキュー・マイ・フレンド・アンド・マイ・ファミリー』だ。ブッチャーズ、eastern youth、NUMBER GIRLを抱き締めて離さない号泣ファズは変わらぬまま、アルバムタイトルの通り「誰に何を歌いたいのか」に重心を置いた結果としてバンドサウンドが撚られ、歌がグッと前に出た。汗と唾を撒き散らす激情の成分はやや減ったが、あなたと友達になりたい、友達との絆を目一杯歌いたい、だからまずは自分達が素っ裸になってあなたと向き合いたいという意志がスウィートなメロディに乗って突き抜けている。「たったそれだけ」をたったひとりに伝えるためにもんどり打つ、バンドの核心がそのまま映し出されたMV。端からライブの中核を担ってきた名曲がさらに躍動している。(矢島大地)

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