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ヨーロッパ流浪から帰ってきた画家・中島由夫の過激な半生

ヨーロッパ流浪から帰ってきた画家・中島由夫の過激な半生

インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:高見知香
2014/02/17

「中島由夫」という名前は、日本よりもスウェーデンで広く知られているらしい。若き日にはヨーロッパ各国を放浪し、西ヨーロッパで起こった前衛芸術運動「コブラ」のメンバーとも関わった中島。その後、スウェーデンを安住の地と定め、約50年にわたり彼の地で活動を行った。彼の独創的な作品は北欧の人々の心を惹きつけ、スウェーデンでは「中島由夫美術館」が2003年に設立されている。

そして5年前より、再び日本で活動を行っている中島は今年で73歳。しかしアトリエにお邪魔したわれわれを迎えてくれた彼は、その年齢を感じさせないほどのエネルギーを爆発させ、立て板に水の如く上機嫌で喋りまくる。さらに、今日のために引き剥がしたというカーテンをキャンバスに見立て、ライブペインティングまで披露してくれるというサービス精神(!)。これまで、少なくないアーティストたちに取材をしてきたが、こんなにもエネルギーに満ち溢れている人ははじめてだ。いったい、中島由夫とは何者なのだろうか? パワフルで、濃厚で、過激な彼の半生を語ってもらった。

画家になろうと思って東京にやってきたんです。

―先程は、突然のライブペインティングをありがとうございました。中島さんの経歴は波瀾万丈すぎてどこから伺えばいいのやら……といった感じですが(笑)、まず中学卒業後、故郷の埼玉県から上京を果たしていますね。

中島:画家になろうと思って東京にやってきたんです。小学生のときに教科書でゴッホの作品を見て衝撃を受け、絵描きになろうと決意しました。集団就職で上京し、仕事をしながら夜間学校に通い、絵を描き続けたんです。それでようやく武蔵野美術大学に入学したのですが、当時は安保闘争が激しい時代。美術大学では、みんな絵を描かずに政治運動ばかりしていました。それが嫌で大学を辞めてしまったんです。

中島由夫
中島由夫

―そこから画家への夢はどうやって実現したのですか?

中島:芸術活動を続ける中で、さまざまなアーティストと出会うことができました。ダダカン(糸井貫二 / 前衛パフォーマンスアーティスト)や、松澤宥(日本のコンセプチュアルアートの先駆者)といった、今では伝説的な人たちですね。当時から路上パフォーマンスを行っていたのですが、そのときに出会ったのが、当時の日本のアートシーンを研究していたオランダ人のダニエル・ヴァン・ゴールデンという人物。彼からヨーロッパのアートシーンの状況を教えられ、いてもたってもいられず日本を飛び出したんです。

―中島さんは1964年、24歳のときに日本を脱出し、オランダに向けて旅を開始されています。ただ、気軽に海外旅行に行ける現代とは異なり、当時は海外に出ることさえ難しかった時代ですよね。

中島:パスポートを作るだけでも一苦労だし、国外に持ち出せるお金も決められていました。数年間、どうやったらヨーロッパで暮らせるのかを必死で考えていましたね。ダニエルに頼んで紹介状を書いてもらい、留学生としてなんとか香港までのチケットを買うことができました。ただ、いざ香港に着いても、その先へどうやって行けばいいのか分からない。それで「絵を描きたい」「ヨーロッパに行きたい」と言っていたら、密輸船の手配師がいて、船に乗せてもらうことができました。その船はベトナムに行くんですが、港に着くと警察に包囲されていた……。慌てて水の中に飛び込んだんですが、ボコボコに殴られましたよ(笑)。

中島由夫

―なかなかスムーズにヨーロッパまで行き着きませんが……。

中島:それからは、ヒッチハイクをしながら中央アジア、中近東を経て、およそ半年かけてヨーロッパに入ります。イタリアでは、詐欺にあって一文無しになったり、泳いでいたら洋服を全部盗まれたり散々な目にもあいました。仕方なく酒場でうずくまっていたら、酔っぱらいにおしっこを引っ掛けられたこともあります。いろいろな経験を積みましたね。

―約50年前に、ヒッチハイクでユーラシア大陸を横断してしまったんですね。ところで、この旅の最中に、絵は描いていたんでしょうか?

中島:絵を描いて売ってもいましたし、日本の歌を歌ったりしていました。人前でパフォーマンスをすることが好きだったからね。それで日銭を稼いでいたんです。

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イベント情報

『Civic Pride わたしたちのマチ・わたしたちのアート』

2014年2月22日(土)、2月23日(日)12:00~18:00
会場:東京都 JR三鷹駅北口周辺施設、空店舗など8か所
参加アーティスト:
中島由夫
山本高之
飯川雄大
山本篤
永畑智大
福永信
料金:無料
主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、一般社団法人Ongoing

プロフィール

中島由夫(なかじま よしお)

1940年、埼玉生まれ。1960年代にハプニング集団「アンビート」で数々のパフォーマンスを実施。1964年に渡欧後は、オランダ、ベルギー、フランスなどを放浪し、アスガー・ヨルンを中心に活動したコブラ芸術運動とも関わった他、スウェーデンを拠点に約50年、第一線で作家活動を行なう。2008年から日本での活動を開始。パブリックコレクションは北欧を中心にアントワープ美術館、ストックホルム近代美術館など多数。主な受賞歴は、『スウェーデン政府文化アカデミー賞』(1978年)など。

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