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クラブシーンから見た日本文化論 DEXPISTOLS × SHIGEO対談

クラブシーンから見た日本文化論 DEXPISTOLS × SHIGEO対談

インタビュー・テキスト
渡辺裕也
撮影:豊島望

「完全身内ノリのテキトーな音楽です」。本人たちに言わせると、どうやらDEXPISTOLSの最新ミックスCD『LESSON.08 / TOKYO CULT』はこんな感じらしい。この飄々としたユニットらしい回答だとは思いつつ、じゃあ、実際にその内容はどうなのかというと、海外のダンストラックはもちろんのこと、DEXPISTOLSおよび彼らの周辺にいる若い才能から提供されたトラックが同列に並び、そこにまた歌やラップが乗せられたりするなど、これがまた独自性とフックに満ちたミックスアルバムに仕上がっているのだ。つまり、ここで彼らがいう「完全身内ノリ」とは、一部の閉じられた界隈でしか共有されない音楽、という意味ではもちろんない。むしろ、DEXPISTOLSとその周辺にある国産ダンスミュージックは、今かなり刺激的で面白い時期を迎えている。そう捉えていいだろう。

2000年代の後半に全世界で巻き起こったエレクトロムーブメント。その日本における顔役として一躍名を馳せたこの二人は今、シーンの動向を見続けながら、次の大きなステップを踏もうとしているようだ。そこで今回はDEXPISTOLSのDJ MAARとDJ DARUMA、そして彼らとは同世代の盟友であり、『LESSON.08 / TOKYO CULT』にもゲストで参加しているSHIGEO(the SAMOS、ex.スケボーキング)をお招きし、彼らが今のクラブシーンをどう見ていて、そこでどんなアクションを起こそうとしているのかをたっぷりと語ってもらった。それぞれの軽妙な語り口から、彼らの野心と鋭い観察眼を読み取っていただける濃厚な内容になったと思う。

勘違いした時期はあったけど、ぜんぶ妄想だった(笑)。別に俺らはスーパーマンでもなんでもなくて、ただ面白いことをやってたいだけなんだよね。(MAAR)

―この『LESSON』シリーズって、他のアーティストが作るミックスCDとはちょっと趣向が違うなと思うんです。なので、今日はお二人がこれを出すことの狙いをまずは知りたくて。

MAAR:狙いかぁ。いきなり話は逸れるかもしれないけど、そもそもうちらのコンセプトは「身内の悪ふざけ」なんで(笑)。スタートはそこなんですよ。ただ、その後にエレクトロの動きが大きくなっていくなかで、いろんな変化はあって。というか、まわりが「お前ら、変われよ」みたいになった時期も一瞬あったから。

―それは、具体的にどう変われという意味だったんですか?

MAAR:変わった方がお金になるってことですね。もちろん自分もそれで勘違いした時期はあったけど、ぜんぶ妄想だった(笑)。別に俺らはスーパーマンでもなんでもなくて、ただ面白いことをやってたいだけなんだよね。

MAAR(DEXPISTOLS)
MAAR(DEXPISTOLS)

―いわゆるエレクトロのムーブメントが隆盛を迎えた頃って、時代から後押しされてる感覚もあったわけですよね?

MAAR:いや、むしろスキルがないわりに自分たちの影響力だけが強くなっちゃって、表現したいことはあるんだけど、表現力が追いつかないっていうストレスをすごく感じてた。でも、そこからふた回りくらいした結果、やっぱり俺たちが面白いと思うものって、結局はたかだか半径何メートルくらいにいる人たちが楽しんでくれるものなんだなと思って。

―今MAARさんがおっしゃってたような感覚って、DARUMAさんも共有しているものなんですか?

DARUMA:いや、そういうストレスは無かったかな。基本的に僕は好きなことしかやってないし、まわりに何か言われても自分には関係ないと思ってるので。とにかく楽しいのが一番。笑顔で物事ができなくなるのは絶対にイヤだから、そこでストレスを感じないように、いろんな表現をするだけ。そこはMAARも同じ考え方じゃないかな。

DARUMA(DEXPISTOLS)
DARUMA(DEXPISTOLS)

MAAR:それに、「売れたらあいつは変わった」ってよく言うけど、実は変わるのって本人じゃなくてまわりなんだよね。言い方は悪いけど、まわりが欲を出してくるから。

DARUMA:もちろん僕らも売れたいし、それでお金がたくさん稼げたらいいんですけど、そのために自分がかっこいいと思えないことも無理にやるという考え方は、音楽以前に基本的な人生のコンセプトとして僕にはないので……。ただ自分が許せないそのスレスレのラインの所まで近づいたりするときもありますが(笑)。

SHIGEO:というか、客観的に今回のミックスCDを聴いて、これでお金を稼ごうと思ってたら大間違いだと思います(笑)。この二人がそういうものを度外視してる人たちだってことは、これを聴けばすぐにわかると思う。

MAAR:でも、そうは言ってもどこかでバランスはとってるからさ。この次にやりたいこともあるし、ちょっとは売れたいっていう欲だって、もちろんあるから(笑)。

―そのバランスがどういうものかを、もう少し詳しく教えてほしいです。つまりそれは、自分たちの好みと世間のトレンドをうまく噛み合わせるってことですか?

MAAR:それを具体的に言うのはすごく難しいんだけど、ひとつだけ言えるのは、俺はDEXPISTOLSそのものに対して常にバランスをとってるってことかな。つまり、俺が個人的にヤバいと思ってるトラックをDEXPISTOLSでチョイスしてるわけじゃなくて、DEXとしての活動と個人としての活動の、どちらでもアリになるゾーンに入ってくるものをここでは選んでる。まあ、これって細かく説明すると、つまりは乳首を出すか出さないかっていう話になるんだ。ギリギリ見えているかどうかわからない感じっていうか。

DARUMA:でも、今回に関しては乳首どころか、横乳すらほとんど見えてないと思うよ。けっこう隠し気味のものができた気がする。

SHIGEO:うん、見せてないね。モデルさんが長髪で隠している感じだよね(笑)。

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リリース情報

DEXPISTOLS<br>
『LESSON.8 TOKYO CULT』(CD)
DEXPISTOLS
『LESSON.8 TOKYO CULT』(CD)

2014年3月26日(水)発売
価格:2,940円(税込)
tearbridge records / avex group / NFCD-27355

1. Fake Eyes Production / Takeitall
2. Girl Unit / Club Rez
3. Taar / Wander Day(Dexpistols Lazy Rework feat. Ohli-Day, Jon-E & Kicc)
4. Franko / Purple Slacks(Original Mix)
5. Dexpistols / Do It Like This feat.Kohh(Demo Ver.)
6. Worthy / Lost Dog (Lucid Remix)
7. DJ Snake & Yellow Claw & Spanker / Slow Down
8. Dirtcaps / Hands Up(Yellow Claw Remix)
9. Anti Noise / Space F
10. Watapachi / CCC300
11. Maelstrom / House Music(DJ Dodger Stadium Remix)
12. Habanero Posse / Snake Cube
13. Sam Tiba / Dem Thirsty(Original Mix)
14. Ashra / The Man Need These Sometimes(Dexpistols Lazy Rework feat.K.A.N.T.A)
15. DJ Venum / N.O.W. Party Break
16. DJRS / 727
17. Dexpistols / H to T feat.DABO(Demo Ver.)
18. Victor Niglio / Jiggy feat. Mr. Man
19. Surkin / Stronger ft. Canblaster
20. Club Cheval / Decisions(Original Mix)
21. Mele / Stage 2(Original Mix)
22. Taar / Let Me Feel(Dexpistols Lazy Rework feat. ShigeoJD)
23. Todd Terry / Deejay(Original Mix)

プロフィール

DEXPISTOLS(でっくすぴすとるず)

DJ MAARとDJ DARUMAからなるDJユニット。2000年代後半に世界中で巻き起こったエレクトロムーブメントの波に乗りシーンの一線に躍り出る。結成当初よりLESSONシリーズとして様々な音楽作品を発表。2014年3月26日、最新作となる『LESSON.08 TOKYO CULT』をリリース。

SHIGEO(しげお)

The SAMOS, mold, ATOM ON SPHERE。プロデューサー ・サウンドクリエイター。作詞、作曲だけではなく、アートワークやPVのディレクションなどクリエィティブ全般をプロデュースする。バンド活動以外でも、リミックスワークや様々なアーティストへの楽曲提供、ファッションショー、アートインスタレーション、企業CMの楽曲制作など幅広い音楽活動を展開している。

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