
現実をアップデートするスピンオフ メグとパトロンインタビュー
- インタビュー・テキスト
- さやわか
さよならポニーテールは、顔を出さない音楽ユニットだ。ライブ活動は一切行わず、MVに登場する女の子たちも実際のメンバーではない。しかし、さよポニはいわゆる「覆面バンド」みたいなものとは少し様子が違っていて、アーティスト写真の代わりに「みぃな」「あゆみん」「なっちゃん」などと名付けられた少女たちのイラストが用意されており、彼女たちこそがさよならポニーテールのメンバーである、とされているのだ。
ユニークなのは、かような人物設定や物語世界を立ちのぼらせることで、現実世界からちょっと離れた異色の世界観を構築しながらも、他のアニメ番組の主題歌を手がけたり、メンバーが出演しないのにリリースイベントが行われたりと、まるで普通のミュージシャンのように積極的に世の中に登場してくるのだ。独自の世界観を徹底的に守って、現実とは無縁の存在であるかのように振る舞ってもいいはずなのに、そうしない。そういう意味で、今回マイナーキャラである「メグ」が、ソロとして『メゾン・ド・メグ』いうアルバムをリリースし、さよポニとは別系統のMVを作ったというのも、そのアンバランスさの表れだと思う。つまりさよポニというのは、自身の世界観を地盤にしながら、面白いことを際限なく広げてみようという、ユルさと実験性を兼ね備えた活動スタイルの提案なのではないだろうか。このような予測を内に秘め、メグに話を聞いた。
一番のマイナーキャラ、創作意欲が認められてソロデビュー
そもそもの話ではあるが、さよポニには何人のメンバーがいるかご存知だろうか? 主要メンバーとされる少女たちだけでなく、妖精みたいなものとか何だかよくわからないデカい生き物(失礼)とか、およそ人間とは思えないイラストで表現される者たちも含めるとなんと総勢12人ものメンバーが存在する。その中でオーガナイザー的な役割を果たすのが「クロネコ」であり、まさしく黒い猫のイラストで描かれている。
ここで、今回ソロデビューという形で、さよポニという枠の外に飛び出した「メグ」のプロフィールを見てみよう。「詳細や年齢は不明のちびっこ女の子キャラ」とある……曖昧である。すなわち彼女はさよポニの中では最もマイナーなキャラの類いであるわけだが、そんな彼女がソロを始めたのは一体なぜだろう?
メグ:クロネコに「暇そうだし、ソロやってみるー?」って言われたからだよ。たぶん、メンバーみんなが1曲ずつ曲を書いた『なんだかキミが恋しくて』っていうアルバムにメグが“12月のUFO”っていう曲を書いたのがきっかけかも。そのときに、メグだけデモを複数曲出したの。クロネコからは「各メンバーそれぞれにどんな曲を書いてほしいか」っていうリクエストがちゃんとあったから、他のメンバーはみんな当て書きで1曲しか作らなかったのに、私はわざとタイプの違う曲をいくつか出してみたの。それでやる気が伝わったのかな? って(笑)。そもそも、さよポニでは一番のサブキャラだから暇だったしね!
「暇そうだし」というのは何ともユルそうな理由だが、しかし創作意欲が認められればすぐに実現するというのが、さよポニのフットワークの軽さなのだろう。こうして「メグとパトロン」というユニット名で2013年の夏にYouTubeにアップされたのが“Oh~!真夏のラッキーガール☆”という曲だった。4つ打ちのバスドラムと印象的なギターリフに深いリバーブ感のあるメグのボーカルが絡んで、フワフワしたファンタジックなイメージをかきたてる。以後、メグは定期的に楽曲をアップしていったが、最初からCD発売を視野に入れていたわけではないらしい。
メグ:そのへんはクロネコに聞いてみないとわからないねー。でも、ソロを始めるときに、「やりたいプランはたくさんあるんだよねー」ってメールが来たから、クロネコはいろいろ考えてるんじゃないかな? そういう先々の予定みたいなことに関してはメグは基本的に言われるがままだよ! まだ子どもだからね~(笑)。
さよポニのスピンオフ作品を作るつもりで
もちろん「まだ子どもだから」というのは、さよポニのキャラクターとしてのメグを意識した発言であり、メグはさよポニのメンバーという立場を離れてソロをやっているというわけではないようだ。むしろ、さよポニのメンバーであるメグが、彼女自身が主人公となった「外伝」、あるいは「スピンオフ作品」を手がけていると言ったほうが正しいのかもしれない。
メグ:クロネコからは「さよポニ本体と差別化するために、メグの視点(レイヤーっていうのかな?)から見た世界っていうのを明確にしたい」って言われてるから、曲もそこは少し意識してるかな。「ちびっこでやんちゃなエレクトリックガール・メグがいろんなことを知りながら生身の自分を探していく。そしてそのたどり着く先には一体……?」みたいなストーリーの大枠はあるっぽいよ。あと、こうやってクロネコ以外のメンバーが、ちゃんと作品の内容について真面目に答えることは、さよポニでは基本NGっていうルールだから、そこもさよポニと違うかな。でもね、キャラクターとして活動しているという面ではさよポニもメグパトも基本同じだよ! ソロはまだ手探りだけど、これからどんどんメグらしい曲ができていくだろうし、どこかでクロスするってこともあると思う。違う視点からみた2つの世界が交差する、みたいな。
リリース情報

- メグとパトロン
『メゾン・ド・メグ』(CD) -
2014年5月28日(水)発売
価格:1,599円(税込)
DDCB-120651. パリパリパーリー
2. Oh~! 真夏のラッキーガール☆
3. 流星ガール
4. ワーカホリックベイビー
5. パリパリパーリー(禁断の多数決 Remix)
6. 流星ガール(80kidz Remix)
7. ワーカホリックベイビー(324P Remix)
CINRA.STOREで取扱中の商品

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プロフィール
- メグとパトロン
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話題の覆面ユニット【さよならポニーテール】のメンバーでもあるメグによるソロユニット「メグとパトロン」(略してメグパト)。メグのかわいらしいヴォーカル(ラップまで披露)にエレクトロ~ダンス・ミュージックが合体した中毒性の高いドリーミィポップが満載( ̄ー ̄)!発売に先立ち、映像作家「大橋史(オオハシ・タカシ)」とのタッグにて制作したMVをvimeo(動画サイト)に発表したところ、さよポニ・ファンの中だけの話題に止まらず、どこかジャパンエキスポ(?)的な世界を感じさせたか、海外からの評価を獲得。数多くのWEBメディアに取り上げられ、現在は、さよポニファン以外にもじわじわと人気を拡大させている。