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ドワンゴ会長・川上量生×『映画「立候補」』藤岡利充監督対談

ドワンゴ会長・川上量生×『映画「立候補」』藤岡利充監督対談

撮影:佐々木鋼平

選挙戦の泡沫候補として有名なマック赤坂や羽柴秀吉などを追った『映画「立候補」』(藤岡利充監督)。敗北必至の戦いに挑む彼らの真意に迫った同作品は公開以来、大きな反響を呼んだ。そんな『映画「立候補」』を、『モテキ』を手掛けた大根仁監督の『恋の渦』と並んで「2013年に面白かった映画ベスト2」と評するのが、ドワンゴ会長の川上量生だ。川上と言えば、「ニコニコ動画」で知られる同社を率い、5月14日に出版大手・KADOKAWAとの経営統合を発表して世間を賑わせたばかり。藤岡監督が出版する予定の『映画「立候補」』関連書籍のために行われたインタビューに同席し、川上が同作品に対してどのような感想を持ったのか、そして映画や政治の未来をどう見ているのか、話を伺った。

トータルで見たら人生に意味なんてない。そういうことが『映画「立候補」』の中で奇しくも描かれている。(川上)

藤岡:先程、秘書の方から聞いたお話によると、KADOKAWAとの経営統合を発表した後、初めての取材だとお聞きしました。まったく関係ない内容ですみません……。

川上:いえいえ、むしろ大歓迎ですよ(笑)。

株式会社ドワンゴ代表取締役会長 川上量生
株式会社ドワンゴ代表取締役会長 川上量生

藤岡:川上さんと言えば、スタジオジブリに鈴木敏夫プロデューサーの「見習い」として籍を置かれていますよね。じつは『映画「立候補」』の公開初日にジブリにうかがって、鈴木さんに映画のDVDを手渡そうとしたことがあったんです。結局、そのときはいらっしゃらなくて、警備員の方に渡して帰ったんですけど。

川上:僕はそのDVDを庵野秀明さんからもらったんです。ちょうど僕がプロデューサーを務めたジブリのドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』を作っていた最中だったので、「面白いドキュメンタリーがあるから参考になるかもしれない」と言われて渡されました。鈴木さんから庵野さんの元に渡って、僕に流れてきたのかもしれないですね。

藤岡:とても光栄です。それでじつは……、忘れないうちに伝えておきたいと思うことがあるんですけど、僕は実写版の『風の谷のナウシカ』を撮りたいと思っているんですよ。

『映画「立候補」』監督 藤岡利充
『映画「立候補」』監督 藤岡利充

川上:まあ、無理でしょうね(笑)。

藤岡:川上さんに、一緒にやって頂けませんかということを伝えたくて。

川上:僕に言われても無理ですよ(笑)。

藤岡:わかりました(笑)。そうだとは思ったのですが、せっかくの機会なので気持ちをお伝えするだけでもと思いまして……失礼しました。それでは、『映画「立候補」』の話に入らせていただこうと思うのですが、率直にご覧になった感想はどうでしたか?

川上:面白かったです。正直、最初は「どうなるんだろう?」という思いで観ていたんですけど、途中から一気に面白くなって。マック赤坂さんに視点が移って物語っぽくなっていき、クライマックスで安倍晋三首相が登場する流れは、本当にすごいなと。

藤岡:ラスボス感がありますよね。

川上:見事な天と地、明と暗というか。あの対比は印象的でした。


藤岡:もともと、この映画は「夢追い人」というネット動画の企画で考えていたんです。泡沫候補だけでなく、UFOが存在するとか、徳川の埋蔵金を探すとか言っている人たちが本気でやっているのか? ということを探るという。でも、たまたまマックさんと出会い、撮影を続けているうちにあのような形の映画になっていった。

川上:『映画「立候補」』がすごいと思うのは、内容が明らかに迷走している感じがするところなんですよね(笑)。どんどんズレていって、テーマが定まっていないというか。ふわふわしているうちに、なんとなく形ができて終わっていく。でも、僕はそれこそが本当の世の中だし、素晴らしいなと感じていて。あれが、「泡沫候補もいろんな想いがあってやっている」みたいな話でまとめられていたら、「そんな人もいるんだ」で終わってしまって、つまらなかったと思います。

藤岡:なるほど。

川上:ちなみに僕は妻と一緒に観ていたんですけど、彼女は官僚なので、マックさんに本気で怒っていたんですよね。「許せない。公職選挙法の悪用だ」って(笑)。「こういった悪用ができないように法律を変えなければいけない」というのが彼女の感想でした。僕は、そこはどうでもよかったんですけど、そういう見方をする人はいるし、たしかに冷静になって観れば、あのマックさんの行動は酷いですよね。弁解できないくらい。

『映画「立候補」』2013年
『映画「立候補」』2013年

藤岡:うちの弟も公務員なんで、やっぱり怒っていました(笑)。

川上:そうそう。お上の視点では怒る映画なんですよ。でも、最終的には親子愛に包まれて、どう解釈していいのかわからないまま終わっていくという不思議な部分もあって(笑)。

藤岡:迷走というのは本当に正しいご指摘だと思います。なにもわからずにとりあえず撮ろうということになったのですが、初日にマックさんからあの奇妙な踊りだけを見せられて……。プロデューサーと二人で「これは駄目だ……」と頭を抱えていました(笑)。

川上:でも、最終的には「人間ってこういうものだよな」と納得する部分があるんです。世の中って綺麗に切り分けられないじゃないですか。いろんな角度から様々な物語が成立しているんだけど、それらを混ぜてしまうと統一性がなくて矛盾だらけという。よくよく考えてみると、世の中の「いい話」って、たまたまそういう断面を切り出しているから成立しているだけで、トータルで見たら人生に決まった意味や価値なんてないと思うんです。そういうことが、『映画「立候補」』の中で奇しくも描かれていたと思う。

藤岡:それは褒められているんでしょうか?(笑)

川上:いや、本当に感動したんです。いろいろ考えさせられましたね。

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イベント情報

『映画「立候補」』凱旋上映会

2014年5月31日(土)~6月6日(金)19:30~
会場:東京都 ポレポレ東中野
上映作品:『映画「立候補」』(監督:藤岡利充)
料金:各回900円(未公開映像集上映もしくはトークショー含む)

未公開映像集『気になるあの人たち』上映
2014年5月31日(土)、6月2日(月)本編上映後

トークショー
2014年6月3日(火)~6月6日(金)本編上映後
6月3日出演:マック赤坂、藤岡利充、木野内哲也
6月4日出演:初海淳、藤岡利充、木野内哲也
6月5日出演:コラアゲンはいごうまん、角田龍平、藤岡利充
6月6日出演:北野誠、角田龍平、藤岡利充

リリース情報

『映画「立候補」』(DVD)
『映画「立候補」』(DVD)

2014年6月3日(火)発売
価格:4,212円(税込)
発売元:日活

『夢と狂気の王国』(DVD)
『夢と狂気の王国』(DVD)

2014年5月21日(水)発売
価格:5,076円(税込)
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

『夢と狂気の王国』(Blu-ray)
『夢と狂気の王国』(Blu-ray)

2014年5月21日(水)発売
価格:6,264円(税込)
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

書籍情報

『ルールを変える思考法』

2013年10月10日(木)発売
著者:川上量生
価格:1,512円(税込)
発行:KADOKAWA

プロフィール

川上量生(かわかみ のぶお)

1968年生まれ。株式会社ドワンゴ代表取締役会長。京都大学工学部を卒業後、1997年、通信用対戦ゲームを開発する会社としてドワンゴを設立。携帯ゲームや着メロなどのサービスを次々とヒットさせるほか、2006年には、子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」を開始。その後も『ニコニコ超会議』や「ブロマガ」など、数々のイベントやサービスを生み出している。

藤岡利充(ふじおか としみち)

1976年、山口県生まれ。2005年『フジヤマにミサイル』で映画監督デビュー。2013年、泡沫候補の戦いを描いた『映画「立候補」』で『毎日コンクールドキュメンタリー賞』受賞。

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