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峯田和伸(銀杏BOYZ)と三浦大輔(ポツドール)の人生の正念場

峯田和伸(銀杏BOYZ)と三浦大輔(ポツドール)の人生の正念場

インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:西田香織

7月10日から渋谷PARCO劇場で始まる『母に欲(ほっ)す』には、今もっとも旬な才能が集まっている。とある乱交パーティーの一夜を描いた『愛の渦』で『第50回岸田國士戯曲賞』を受賞し、今年公開された同タイトルの映画化でも類い稀なる手腕を発揮した劇作家・演出家・映画監督の三浦大輔。前衛音楽の第一人者としてだけでなく、近年は『あまちゃん』サウンドトラック、プロジェクトFUKUSHIMA!で活躍の幅を広げた音楽家・大友良英。銀杏BOYZでロマンを過剰に歌い上げながら骨身を削ったパフォーマンスを見せ、近年は役者としての存在感も強める峯田和伸。多様で複雑なグラデーションを帯びたイノセンスを体現する俳優として注目を集める池松壮亮。この他にも片岡礼子、田口トモロヲら実力派俳優が名前を連ねている。

本作がテーマとするのは「母と子」。正反対の生き方を選んだ兄弟が、父が連れてきた新しい母の登場によって翻弄され衝突していくという内容は、人間存在の深さと浅さを活写することによってある種の哲学的空間を舞台上に現出させてきた三浦大輔の真骨頂と言えるだろう。今回、三浦と主演する峯田和伸にインタビューする機会を得た。今回の作品を期に、しばらくは演劇作品は作らないと公言している三浦。今年1月に銀杏BOYZからのメンバー脱退という転機を迎えた峯田。ともに大きなターニングポイントを迎えつつある二人に、本作にかける想い、そして「母」について聞いた。

昔から母親のことを「いつかは書きたい」という気持ちはあったけど、躊躇する部分があって、ストレートに描けなかった。だから僕の中では、最後に残ったテーマのような感じでいます。(三浦)

―三浦さんは、これまでにも映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』やPARCO劇場『裏切りの街』で峯田さんとご一緒されています。前者は映画監督と俳優として、後者は演出家と音楽家としてですが、今回ついにホームグラウンドである演劇に、俳優として峯田さんを起用されたわけです。その理由からお伺いしてもよろしいでしょうか?

三浦:「峯田くんと一緒にやる」というのが、今回僕が唯一決めていたことで、企画が立ち上がった2年前、どんな内容にするかはまったく決まっていなかったんです。相談しながら、峯田くんがやりたいと思える作品を作る。そこからのスタートでした。

―じゃあ、峯田さんも企画段階から参加して内容を決めていったのですか?

三浦:峯田くんの反応を見ながら、僕が企画書を書きました。結局、二転三転して今の話に落ち着きましたね。

峯田:『太陽を盗んだ男』って映画ありますよね。それに近い内容をやろうとしてたときもありましたよね。

左から:三浦大輔、峯田和伸
左から:三浦大輔、峯田和伸

―沢田研二演じる教師がプルトニウムを盗んで原爆を作ってしまうという話ですよね。そこから母をテーマにした『母に欲す』になっていくのはけっこうな跳躍が必要だと思うのですが。

三浦:まず、峯田くんが演じるところを想像したときに、『太陽~』のジュリーのイメージがぱっと思い浮かんだんですよね。でも、だんだんと僕のやりたいことも変化していって。いろいろと考えた末に、自分が今のタイミングで書くものでモチベーションを持てるものが、「母親」だったんです。昔から「いつかは書きたい」という気持ちはあったんですよ。でも躊躇する部分があって、ストレートに描けなかった。だから僕の中では、最後に残ったテーマのような感じでいます。

峯田:大きいテーマだなあって思いますよ。これまで、ずっとポツドールの芝居や映画『愛の渦』を見てきた身からすると、今回、お母さんが登場することに驚きました。でも、実際に台本を読んでみると三浦さんらしさがちゃんとあって。

峯田和伸

―以前の三浦さんのインタビューを読むと「まっとうなホームドラマです」と言っていますよね。これまでの三浦さんのセンセーショナルな表現を知っている側からすると「いやいや、そんなはずは(笑)」って思ってしまうんですが。

三浦:まっとう……ですよ(笑)。うん。母親に対する自分の想いをさらけだしているだけなので。まあ、いつもそういう書き方なんですけどね。自分が思っていないことは書けないですから。

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イベント情報

パルコ・プロデュース
『母に欲す』

2014年7月10日(木)~7月29日(火)全23公演
会場:東京都 渋谷 パルコ劇場
作・演出:三浦大輔
音楽:大友良英
出演:
峯田和伸
池松壮亮
土村芳
米村亮太朗
古澤裕介
片岡礼子
田口トモロヲ
料金:一般7,500円 U-25チケット4,500円

大阪公演
2014年8月2日(土)~8月3日(日)
会場:大阪府 森ノ宮ピロティホール

リリース情報

銀杏BOYZ<br>
『光のなかに立っていてね』(CD)
銀杏BOYZ
『光のなかに立っていてね』(CD)

2014年1月15日(水)発売
価格:3,240円(税込)
初恋妄℃学園 / SKOOL-021

1. 17才
2. 金輪際
3. 愛してるってゆってよね
4. I DON'T WANNA DIE FOREVER
5. 愛の裂けめ
6. 新訳 銀河鉄道の夜
7. 光
8. ボーイズ・オン・ザ・ラン
9. ぽあだむ
10. 僕たちは世界を変えることができない

プロフィール

三浦大輔(みうら だいすけ)

脚本家・演出家・映画監督。1975年生まれ、北海道出身。早稲田大学演劇倶楽部を母体として、96年12月、演劇ユニット「ポツドール」を結成。以降、全本公演の脚本・演出をつとめる。裏風俗店に集う若い男女のリアルな会話を描いた『愛の渦』(05)で第50回岸田國士戯曲賞受賞。主な作品に、ポツドール『顔よ』(08)、『夢の城』(06、12)、PARCOプロデュース『裏切りの街』(10年、作・演出)、ホリプロ・プロデュース公演『THE SHAPE OF THINGS』(11年、演出、向井理主演)、つかこうへい『ストリッパー物語』(13年、構成・演出、リリー・フランキー主演)、アル☆カンパニー『失望のむこうがわ』作・演出(14)、映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(10年、脚本・監督、峯田和伸主演)などがある。自身が監督を務めた、映画「愛の渦」(池松壮亮主演)が2014年3月1日公開された。

峯田和伸(みねた かずのぶ)

1977年生まれ。1996年にGOING STEADYを結成。現在は銀杏BOYZのメンバーとして活動。俳優としては、映画『アイデン&ティティ』(03)に主演、『グミ・チョコレート・パイン』(07)、『少年メリケンサック』(09)、『色即ぜねれいしょん』(09)、『USB』(09)に出演した。三浦大輔脚本・監督『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(10)にも主演。パルコ・プロデュース「裏切りの街」(10 三浦大輔作・演出)では銀杏BOYZが音楽を担当した。

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