インタビュー

スガシカオが語る、事務所からの独立とメジャー復帰の真意

スガシカオが語る、事務所からの独立とメジャー復帰の真意

インタビュー・テキスト
金子厚武
2014/10/22

2011年に所属事務所からの独立を発表し、インディペンデントでの活動を展開したスガシカオ。誰もがその名を知る日本を代表するシンガーソングライターの英断は大きな話題を呼び、音楽業界のドラスティックな変化を再認識せずにはいられなかった。その後、スガはビクターのSPEEDSTAR RECORDSから熱心なラブコールを受け、メジャー復帰を決意。今年5月にシングル『アストライド/LIFE』で、2度目のメジャーデビューを飾っている。もちろん、そこに浮かれた様子などあるわけもなく、いまも彼は自身の活動を自らコントロールし、レーベルとの最良の関係を構築中である。

そんなスガシカオが、11月から始まるツアー『Next Round Tour 2014』に先駆けて、新曲“モノラルセカイ”を配信リリースする。この曲はツアーのパンフレットにCDで付属されるとのことで、こういったメディアの使い分けも、やはりインディペンデントでの活動から学んだものだと言えるかもしれない。さて、CINRAのインタビューには初登場となるスガだが、話を聞けば聞くほど、そのパーソナリティーの面白さに引き込まれる、やはり非常にユニークかつ魅力的な人物だった(特に、大ファンを公言するPrinceの話題になったときはすごかった……)。50歳という区切りの年に向けて、着実に歩みを続けるスガの現在地を、ぜひ確認していただきたい。

PROFILE

スガ シカオ(すがしかお)
1997年デビュー。98年、SMAPの“夜空ノムコウ”の作詞を手がけ大きな注目を浴びる。自身も男性ソロアーティストとして1stアルバムからの連続アルバムTOP10入りの歴代1位の記録をもつ。11年、所属事務所からの独立を発表し、同時に活動の場をインディーズに移す。13年4月に約2年ぶりのCDシングル“アイタイ”をメジャーリリース、各チャートで軒並み上位を記録し、シーンにおけるその存在感をあらためて示す。その後も最新アルバム『ACOUSTIC SOUL』を自身のレーベルからリリースし、iTunesで1位を記録するなど、メジャー、インディーズの枠組みにとらわれず活動をおこなってきたが、2014年春ビクタースピードスターレコーズと契約し、5月21日にニューシングル『アストライド/LIFE』をリリース、メジャーフィールドに完全復帰した。10月22日には配信新曲『モノラルセカイ』を発表。
Suga Shikao Official Site

メジャーのパッケージ感がすごく嫌だったんですよ。自分が心血注いで作った曲って、生々しい形で人に伝わってほしいんですけど、生々しさがなくなっちゃう感じがしたんですよね。

―まずは改めて、メジャー復帰までの経緯と、その決め手になったポイントを話していただけますか?

スガ:2011年に独立して、「もうメジャーに戻ることはないかなあ」って思ってたんですよ。でも、SPEEDSTARの方が足しげくライブに来てくださって。僕はメジャーの方法論についていけなくなった部分があって、それでメジャーをやめたんですけど、その考えを理解しつつ、「インディーズでやってることの延長線上で、最大限協力するので、もう1回メジャーでやりませんか?」っていう話をしてくれて、1年ぐらい話し合った結果、「新しいやり方を見つけられるのかもしれない」と思って、契約をしました。

―「メジャーの方法論についていけなくなった」っていうのは、どういったことだったのでしょうか?

スガ:メジャーのパッケージ感がすごく嫌だったんですよ。自分が心血注いで作った曲って、生々しい形で人に伝わってほしいんですけど、僕の手を離れて、いろんなところをめぐって、その間にジャケットとかPVができて、商品になって僕のところに戻ってくる頃には、生々しさがなくなっちゃう感じがしたんですよね。その感じって、リスナーにも届いちゃうと思うんです。歌詞のメッセージ性にしても、「もっと生々しく響かないと意味ないじゃん」って思ったんですよね。

スガシカオ
スガシカオ

―実際インディーで活動を始めたことによって、生々しさを感じることができました?

スガ:めちゃめちゃ生々しかったですね。「なぜ俺はいまこの歌詞を書かなきゃならなかったのか?」っていうところまで、リスナーにちゃんと聴いてもらえたし、曲ができあがって1週間後に、「先週Twitterで『できた!』って言った曲です」って言って配信とかもしてたんですよ。「ホントにスガシカオが作ったんだ」とか、「夜中の1時に完成したんだ」ってわかると、より曲に説得力が出るというか。シンガーソングライターって、そういうものだと思うんですよ。「この人がなぜこの曲を書く必要があったのか?」というところまで伝わらないと、曲が伝わりきらない。ジャケットも自分でデザインして、録音も自分でやって、ホントに何から何まで自分でやってるところを、リスナーに見てもらったんです。

―とはいえ、その一方ではインディーでやることの限界もありますよね?

スガ:やっぱり、プロモーションが難しい。僕のTwitterとFacebookとメルマガしかツールがなくて、その3つをやってない人には、曲を出したことすら伝わらない。それだとさすがに広がらないので、生々しさをキープしたまま、メジャーに行ければなって。

―「生々しさ」はすごく重要ですよね。TwitterとかFacebookがある分、逆にリスナーもすごくそこに敏感になってて、嘘っぽいものって、すぐばれちゃいますからね。

スガ:そうですね。歌詞の中で、「間違いだと思ったら、ぶっ壊して前に進めばいいんだよ」って言ったとしても、前にメジャーでやってた頃の僕にはまったく説得力がなかったと思うんですよ。聴いてる方からすれば、「そりゃそうだけど、色々あってそうはいかないじゃん」ってなっちゃう。でも、実際僕は全部捨てて、ぶち壊して、また一からやり始めたから、「ホントにやっちゃったんだ?」みたいなね(笑)。でも、それで説得力がちゃんと生まれたかなって。

―1度インディーを経験した上でメジャーに戻ってきて、風景は変わりましたか?

スガ:前みたいにいっぱいテレビに出ることをしなくなって、どっちかっていうと、いまはウェブだけで活動を見せる人間になってるので、前にいたメジャーの世界とは全然違いますね。前はとにかくテレビばっかりで、リリースしたら「何本テレビに出れるかが勝負」みたいな感じだったから、もうそういうのはいらないなって。

―つまり、露出などはある程度限定して、地に足をつけて制作やライブに打ち込みたいということでしょうか?

スガ:テレビで歌って伝わる歌じゃないんですよね、自分の歌って。テレビ番組が悪いって言ってるわけじゃなくて、やっぱりテレビに向いてる向いてないってあって、僕が伝えたいメッセージは、テレビを通すものではないのかなって思うんです。フジテレビにいつも面倒見てくれてたプロデューサーがいたんですけど、彼に対しても、「自分がフジテレビに出ることで、ちゃんと番組に貢献できてるのかな?」って、すごく不安があったんです。何でもそうなんですけど、Win-Winにならない関係で仕事をしたくなかったんですよ。テレビに出れば、僕はWinですけど、「テレビ局はWinなのか?」とか考えるのも嫌になって。「お願いします」って頼んでやる仕事より、お互い「やってよかったね」って思えることをやっていきたいんですよね。

Page 1
次へ

イベント情報

『Suga Shikao ~Next Round Tour 2014~』

2014年11月4日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:愛知県 名古屋 ZEPP NAGOYA

2014年11月7日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:北海道 札幌 ZEPP SAPPORO

2014年11月14日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:福岡県 ZEPP FUKUOKA

2014年11月17日(月)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:石川県 金沢 EIGHT HALL

2014年11月18日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪府 堂島リバーフォーラム

2014年11月20日(木)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:宮城県 仙台 Rensa

2014年11月22日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 水道橋 TOKYO DOME CITY HALL

料金:各公演 1Fスタンディング5,900円 サイドバルコニー席5,900円2Fプレミアムアダルト席9,100円(全てドリンク別)
※サイドバルコニー席はTOKYO DOME CITY HALL公演のみ、2Fプレミアムアダルト席はメルマガ会員限定

リリース情報

スガシカオ<br>
『モノラルセカイ』
スガシカオ
『モノラルセカイ』

2014年10月22日(水)からiTunes Store、レコチョクほかで配信リリース
SPEEDSTAR RECORDS

プロフィール

スガ シカオ(すがしかお)

1997年デビュー。98年、SMAPの“夜空ノムコウ”の作詞を手がけ大きな注目を浴びる。自身も男性ソロアーティストとして1stアルバムからの連続アルバムTOP10入りの歴代1位の記録をもつ。11年、所属事務所からの独立を発表し、同時に活動の場をインディーズに移す。13年4月に約2年ぶりのCDシングル“アイタイ”をメジャーリリース、各チャートで軒並み上位を記録し、シーンにおけるその存在感をあらためて示す。その後も最新アルバム『ACOUSTIC SOUL』を自身のレーベルからリリースし、iTunesで1位を記録するなど、メジャー、インディーズの枠組みにとらわれず活動をおこなってきたが、2014年春ビクタースピードスターレコーズと契約し、5月21日にニューシングル『アストライド/LIFE』をリリース、メジャーフィールドに完全復帰した。10月22日には配信新曲『モノラルセカイ』を発表。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. 寺山修司に憧れる父さん / 美術のトラちゃん 1

    寺山修司に憧れる父さん / 美術のトラちゃん

  2. オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来 2

    オダギリジョー×永瀬正敏 日本のテレビドラマが抱える課題と未来

  3. 声優ユニット・イヤホンズが6年目の挑戦と原点回帰を語る 3

    声優ユニット・イヤホンズが6年目の挑戦と原点回帰を語る

  4. テクノポップが解放したもの 幻想の音に生きるコシミハルの半生 4

    テクノポップが解放したもの 幻想の音に生きるコシミハルの半生

  5. 記録映画『素晴らしき、きのこの世界』に窪塚洋介、豊田エリーらがコメント 5

    記録映画『素晴らしき、きのこの世界』に窪塚洋介、豊田エリーらがコメント

  6. 丹地陽子、約20年の画業の軌跡を辿る初画集『丹地陽子作品集』10月刊行 6

    丹地陽子、約20年の画業の軌跡を辿る初画集『丹地陽子作品集』10月刊行

  7. 小松菜奈が表紙の『装苑』11月号 森川葵、塩塚モエカ、伊藤万理華らも登場 7

    小松菜奈が表紙の『装苑』11月号 森川葵、塩塚モエカ、伊藤万理華らも登場

  8. 韻シストが認めてもらうまでの戦いとは?20年の軌跡を全員で語る 8

    韻シストが認めてもらうまでの戦いとは?20年の軌跡を全員で語る

  9. 『セックス・エデュケーション』S2、優しさに貫かれた学園コメディー 9

    『セックス・エデュケーション』S2、優しさに貫かれた学園コメディー

  10. 杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』 10

    杉咲花と平野紗季子が遠野を訪問、成田凌が語りのEテレ『きみと食べたい』