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オンラインアンダーグラウンドが生んだ「mus.hiba」とは何者?

オンラインアンダーグラウンドが生んだ「mus.hiba」とは何者?

インタビュー・テキスト
柴那典
2014/12/10

「オンラインアンダーグラウンド」という言葉がある。新世代のアーティストやレーベルがエレクトロニックミュージックの発表やリリースの形を再構築している状況、そのシーンやコミュニティーを指し示す言葉だ。従来の音楽産業やメディアには頼らない。拠点としているのはBandcampやSoundCloud。音楽性の中心にあるのは、チルウェイヴやヴェイパーウェイヴなど。単なる配信ではなく、インターネット的な価値観をもった、インディペンデントな活動。イギリスの音楽ジャーナリスト、アダム・ハーパーが自身のコラムの中でそういう動きを紹介し、そこからこの言葉が徐々に広まりつつある。

mus.hibaという東京在住のエレクトロニカアーティストは、まさにその「オンラインアンダーグラウンド」ムーブメントを象徴するような存在と言えるだろう。2011年にDTMによる作曲を始めた彼は、SoundCloudに曲を発表したことをきっかけに海外のブログメディアやレーベルと交流が生まれ、アメリカのMeishi Smileが主宰するネットレーベル「ZOOMLENS」から作品を発表。アイルランドのHarmful Logicとコラボを繰り広げるなど、国境を超えた活動を繰り広げてきた。

チルウェイヴに影響を受けた幻想的な音世界と、フリーの音声合成ソフト「UTAU」のキャラクター「雪歌ユフ」による儚い歌声で注目を集めてきた彼。10月にはBunkai-Kei recordsからEP『Lycoris』を発表し、そして初のフルアルバムとなる『White Girl』を完成させた。冬をイメージさせるドリーミーな音楽を作り上げる彼は、果たしてどんな考えの持ち主なのか。初のインタビューに応えてもらった。

2008年くらいって、エレクトロニカとボーカロイドはまさに対極で、別々のものでした。でも、当時からそれを一緒に混ぜたい、相性がいいと思っていたんです。

―mus.hibaさんって、Twitterのプロフィール欄に「ベッドルームドリーマー」と書いてありますよね。その言葉がすごく象徴的な音楽だなと思ったんです。

mus.hiba:僕自身、それは自分自身にフィットする言葉だと思います。そもそもネットの世界に「自宅警備員」って言葉があるじゃないですか。それって、英訳すると「ベッドルームセキュリティー」という言葉になるんですよね。で、自宅で作曲する人達を表す「ベッドルームプロデューサー」という言葉もあったんで、そこに引っ掛けてつけたんです。

―そういう人間であるという自覚があった。

mus.hiba:ありますね。普通に働いて生活をしているんですけれど、プライベートな時は家にいることが多いんで。

―そもそも音楽遍歴はどういう感じだったんでしょう?

mus.hiba:高校のときはバンドでドラムをやっていました。Rage Against the MachineとかRed Hot Chili Peppersのコピーをやったり、ミクスチャーロックや日本のハードコアパンクのコピーもしていた。でも、大学に入ってからはテクノやクラブミュージックを聴くようになって。特にデトロイトテクノが好きだった。その影響が強いですね。

―バンドは続けてました?

mus.hiba:いや、高校を卒業してからはバンドはやってないです。音楽自体も、ほとんどやってなかったですね。

―バイオグラフィーによると、2011年にDTMによる作曲を始めたということですけれども。

mus.hiba:そうですね。その頃にDTMを始めました。一人でできるので自分に向いていると思いましたね。

―それまではどういう生活を送ってたんですか?

mus.hiba:仕事に行って、家に帰ったらアニメを見たりニコ動を見たりしてました。

―作り手の側に回ろうと思ったきっかけは?

mus.hiba:曲を作りたいっていうのはずっと思っていたんですけれど、きっかけとして大きかったのはボーカロイドですね。ニコニコ動画を見ていて、ボーカロイドというものがあるということを知って。みんな楽しそうだし、祭りっぽく盛り上がっているし、自分にも出来そうだなと思ってやり始めたんです。

mus.hiba
mus.hiba

―それはいつ頃のことでした?

mus.hiba:それが2008年、2009年くらいですね。あと、ボーカロイドと同じ頃に知ったのがFlying Lotusで、社会人になって音楽に対する興味も薄れていたんですけれど、Flying Lotusを聴いて、久しぶりに「すごい」と思いました。

―Flying Lotusはどういうところがすごいと思ったんでしょう?

mus.hiba:めちゃめちゃなのに格好いいみたいな感じがありますよね。そこには影響を受けたと思います。Flying Lotusを聴き始めて、その後にニコ動を知った感じですね。

―2008年くらいって、洋楽のエレクトロニカのシーンとニコニコ動画のようなネットカルチャーって、ある種対極のカルチャーだったと思うんですけれど。

mus.hiba:まさに対極でしたね。別々のものでした。でも、当時からそれを一緒に混ぜたいというのはなんとなく思ってました。エレクトロニカとボーカロイドは相性がいいと思っていたんで。

―ただ、初期のボーカロイドのシーンの盛り上がりって、あんまりそういうものではなかった印象があるんです。もっとキャラソンっぽい感じだった。

mus.hiba:そうですね。みんなでフザケて盛り上がるような感じでしたよね。ただ、メインストリームのボーカロイドはそんなに聴いてなかったんです。「ミクトロニカ」という、エレクトロニカに特化したボーカロイドの楽曲を多く聴いてました。その後にチルウェイヴも知って影響も受けましたね。

―打ち込みの電子音楽にもいろんなものがありますよね。シンセポップもあるし、ダブステップもEDMもある。そんな中で、チルウェイヴやエレクトロニカが自分の曲作りの方向性としてしっくりくると思えるようになったのは?

mus.hiba:それはずっと部屋にいたからでしょうね。部屋で聴けるものを作りたいというのはありましたね。激しいものではなくて。Slow Magicとか、Taquwamiとか、そういう人の音楽をBandcampで知って、聴いていました。やっぱり部屋で聴ける感じが大きかったと思います。

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リリース情報

mus.hiba 『White Girl』(CD)
mus.hiba
『White Girl』(CD)

2014年12月10日(水)発売
価格:2,160円(税込)
noble / NBL-213

1. Slow Snow
2. Darkness
3. Ring
4. Magical Fizzy Drink
5. White Flash
6. まぼろし
7. Doll
8. Moonlight
9. ☃
10. Sofa
11. ひとり

mus.hiba
『Lycoris』

2014年10月9日(木)から無料配信中
Bunkai-Kei records

1. hitomi (with Abigail Press)
2. phonograph (with owtn.)
3. this is the way to the stars (with Nori)
4. hakobune (with smany)

プロフィール

mus.hiba(むしば)

Bedroom Dreamer。"標準的なポップミュージック不安と暖かい両方描かれているシーンの障壁を超越ボーカロイドの利用"。

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