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青葉市子×マヒト・NUUAMM、迷子になる贅沢さを思い出す

青葉市子×マヒト・NUUAMM、迷子になる贅沢さを思い出す

インタビュー・テキスト
九龍ジョー
撮影:矢島由佳子

「純粋さ」だけで世に出る作品って、なかなかない気がするんです。もちろんこのアルバムも、外に出す時点でいろんな要素が入ってはくるんですけど、作っていたときの純粋な気持ちは最後まで大事にしました。(マヒト)

―青葉さんとマヒトさんと、あとPAのお二人だけで制作するとなると、外からのプレッシャーもないでしょうし、かなり自由な環境ですよね。そういう場合、ややもすると「ゆるさ」が出てしまうこともあると思うんですけど、『NUUAMM』に関してはそういう甘さが一切ないのがいいな、と。

青葉:作っているときには、「他の人からこの作品をどう見られるのだろう?」っていうのはまったく眼中になかったですけどね。

マヒト:外から見たカタチを意識したのは、エンジニアのキムケン(木村健太郎)さんにマスタリングをお願いするあたりからだったね。

青葉:そうだね。木村さんのスタジオはホントにいい場所でした。ドカーって大きな駐車場があって、穴蔵みたいな場所で。

マヒト:秘密基地っぽいんですよ(笑)。

青葉:廃墟っぽくもある(笑)。重そうな扉をキーッて開けて、そろそろっと歩いていくと、奥のほうに木村さんがドシッと座っているんです。ああ、この人に預けたら安心して世に出せそうだなって気持ちになりました(笑)。実際、マスタリングをしてもらったものを受けとったときに、初めてこの作品はこれからどんなふうに外の世界と関係していくんだろうっていう興味が湧いてきて。

―ジャケットのイラストを近藤聡乃さんにお願いしたのは?

NUUAMM『NUUAMM』ジャケット
NUUAMM『NUUAMM』ジャケット

マヒト:もともとオレがファンで、聡乃さんの絵は、市子のイメージともすごくあうだろうなと思って話をしたら、市子の家にも近藤さんの本があったんです。

青葉:マヒトから近藤さんの話を聞かせてもらったときに、「えっ、これ!?」って本棚から出したら、「そう、それ!」って(笑)。

マヒト:聡乃さんの絵って、子どもとも大人とも見分けがつかないような、男か女か、怒ってるのか1人ぼっちなのか、全てがぼやけてわからないような感じがいいなって。

―それって、まさにNUUAMMの音楽にも通じるイメージですね。

青葉:そうなんです。だから、ジャケットは聡乃さん以外に思いつかなかったんですよ。聡乃さんはニューヨークにいらっしゃるから、まずはCDと手紙をお送りしたんです。そしたらすぐにお返事をくれて、ぜひ描きたいと言ってくれて。

マヒト:すべてが自然な流れでしたね。無目的……っていうと違うのかもしれないけど、こういう「純粋さ」だけで世に出る作品って、なかなかない気がするんです。もちろんこのアルバムも、外に出す時点でいろんな要素が入ってはくるんですけど、作っていたときの純粋な気持ちは最後まで大事にしました。聴く人にも、そこがフラットに届けばいいなと思っています。

NUUAMM(撮影:木村和平)
撮影:木村和平

やっぱりみんな死に向かって老いていくわけで、それは決まっている。そのゴールに対して、どれだけ寄り道できるかっていうことを小さい頃からずっと考えていて。(マヒト)

―ちなみに「NUUAMM」というユニット名はどの段階で?

青葉:夏の終わりかな。だいたい曲が出揃ってきた頃ですね。メールをやりとりしているときに、マヒトが「夜をぬう 朝をあむ」っていうフレーズをポンと出してきて、「あ、これだ」と。それで私が、英語で「NUUAMM」と返したら、「それだね」って言ってくれて決まりました。

マヒト:なんかキャラクターの名前っぽくて気に入ってます(笑)。

―朝と夜のスキマだったり、“時間の墓場”っていう曲だったり、アルバム全体を通してそういう無時間性が印象に残ったんですよね。もっと言うと、この『NUUAMM』というアルバム自体、いつの時代に聴いてもきっと居場所があるようなタイムレスな魅力がある。

マヒト:さっき砂場遊びの例えを出しましたけど、子どもの頃に砂場でお城とかを作っているときの時間って、単なる時計の時間とは違う特別な流れがあったじゃないですか。他にも、公園から家に帰るとき、ちょっと1本違う道に入って、5分で帰れるところを30分かけて帰っちゃう贅沢さとか、そのときに鼻歌を歌いたくなる感じとか。ああいう時間の感覚を大事にしたくて。

―いまって目的地への最短距離が簡単にわかってしまってそれ以外の選択肢が選びにくいから、5分で帰れるところを30分かけて帰るっていうのはすごく贅沢なことですよね。そこをいくと、お二人は迷子の才能があるというか、いつもふらふらしてる(笑)。

青葉:フフフフ(笑)。

マヒト:すぐにボツって言われたけど、最初は『輝かしい迷走』っていうアルバムタイトルも考えていたんです。

青葉:えっ、そんなのあったっけ?

マヒト:「固いからダメ」って。

青葉:ホント? ごめん、記憶にない(笑)。

マヒト:たぶん市子の琴線に触れなかったんだ(笑)。

左から:青葉市子、マヒトゥ・ザ・ピーポー

―でも、意味としてはよくわかりますよ(笑)。

マヒト:やっぱりみんな死に向かって老いていくわけで、それは決まっている。そのゴールに対して、どれだけ寄り道できるかっていうことを小さい頃からずっと考えていて。オレがやってるレーベルの名前が「十三月の甲虫」っていうんですけど、それも12月31日と1月1日の狭間にある時間のことを指してるんですよね。そういう寄り道ができる時間や場所でいろいろ遊べたらなって思っていて、NUUAMMもそのひとつなんです。

青葉:目には見えないけど、本当に戻るべき場所を知っているからこそ、あえて迷子になれるというか。私もそういう表現を、NUUAMMに関わらず、ずっと続けていけたらいいなと思っていて、その感覚はマヒトと共有できていると思います。

マヒト:うん。ホントはそれって普通のことだと思うしね。

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リリース情報

NUUAMM『NUUAMM』(CD)
NUUAMM
『NUUAMM』(CD)

2014年12月10日(水)発売
価格:2,500円(税込)
十三月の甲虫 / jsgm-011

1. さっぴー
2. もうみどり
3. 時間の墓場
4. なつばくだんふゆだるま
5. 冷光のまゆ
6. れい
7. 鬼ヶ島
8. 深海の人
9. 真夜中のテレビ

イベント情報

NUUAMMライブ

2014年12月13日(土)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:東京都 原宿 VACANT

2014年12月18日(木)OPEN 19:00 / START 19:30
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2014年12月19日(金)OPEN 19:00 / START 20:00
会場:京都府 UrBANGUILD

CINRA.STOREで取扱中の商品

NUUAMM
Tシャツ「NUUAMM」(レディース・ネイビー)

価格:3,240円(税込)
青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポーの新ユニットによるオリジナルTシャツ

NUUAMM
Tシャツ「NUUAMM」(チャコール)

価格:3,240円(税込)
青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポーの新ユニットによるオリジナルTシャツ

プロフィール

NUUAMM(ぬうあむ)

青葉市子とマヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)によるユニット。2014年12月、1stアルバム『NUUAMM』でデビュー。マヒトゥ・ザ・ピーポーは、2012年よりうたいはじめ、2013年に自主レーベル「十三月の甲虫」より宅録1stアルバム『沈黙の次に美しい日々』をリリース。うたと向きあい様々なミュージシャンとコラボしながら都内を中心に活動中。青葉市子は、17歳からクラシックギターを弾き始め、2010年1月1stアルバム『剃刀乙女』でデビュー。これまで、細野晴臣、坂本龍一、小山田圭吾、七尾旅人、U-zhaanなど錚々たるアーティストたちと、作品やライブで共演を果たしてきた。

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