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“ルパン三世のテーマ”を生んだ大野雄二、現代の曲作りに物申す

“ルパン三世のテーマ”を生んだ大野雄二、現代の曲作りに物申す

インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:豊島望
2014/12/09

アニメ『ルパン三世』をはじめ、映画『人間の証明』や『犬神家の一族』、NHK『小さな旅』のテーマソングなど、数えきれないほどの名曲を生み出してきた大野雄二が、2006年から始動させたバンド「Yuji Ohno & Lupintic Five」。最新作『UP↑with Yuji Ohno & Lupintic Five』は、そのタイトルが示す通り、御年73歳にして過去最高にアッパーな作品に仕上がった。擬似ライブ盤的に制作したという本作は、「合わせる」ではなく「合っちゃう」というシビれる演奏はもちろん、EGO-WRAPPIN’の中納良恵と、MISIAなどのツアーコーラスとして知られるTIGERをフィーチャーしたボーカル曲も鳥肌もので、大定番“ルパン三世のテーマ”での爆発は興奮必至! 本作についての話に加え、これまで100バージョン以上が生み出されている“ルパン三世のテーマ”についてや、20年間ピアノから離れたことでわかったというジャズの聴き方、「サビから作るなんてバカ野郎ですよ」という作曲論まで、大野雄二が100分にわたって応えてくれた最新インタビューをお届けしよう!

作曲家になる前はジャズピアニストだったので、もう作曲家を引退して、小さいところでピアノを弾こうと思っていたんです。

―まず大野さんの活動を整理するところから始めさせていただきたいんですけど、大きく分けて作曲家とプレイヤーの顔があって、プレイヤーとしては3人編成の「大野雄二トリオ」と6人編成の「Yuji Ohno & Lupintic Five」があるわけですよね?

大野:まぁ、わかりやすく言えば、主に小さい会場で演奏するときはトリオ、会館とか大きいところで演奏するのがLupintic Fiveですね。

大野雄二
大野雄二

―会場の規模に合わせて活動を?

大野:そうではないけど、トリオはちょっとマニアックになっちゃうんですよ。日本のジャズバンドのなかでは、かなりサービス精神旺盛だと思うんですけど、ピアノ、ウッドベース、ドラムだけの編成では、大きなところでやってもマニアックなリスナー以外には寂しく見えちゃうから。たくさんお客さんが入るところでは、トランペットやエレキギターがいるLupintic Fiveのほうがエンターテイメントとしてわかりやすいんです。もちろん、トリオでも大きいところでやることはありますけど。

―会場と、そこに集まる客層に合わせて、シンプルな形と華やかな形の使い分けをされているんですね。

大野:もっと言うとね、演奏する曲も全然違いますよ。Lupintic Fiveは『ルパン三世』の曲をたくさんやりますけど、トリオのライブではやらないときもあるから。それに、Lupintic Fiveだとピアノの比率が低いですけど、ピアノトリオの場合は全編にピアノが出てくる。トリオはアドリブだらけなので、ジャズのマニアックな人はそっちのほうが好きって言いますね。

―今回リリースのあるLupintic Fiveは2006年からの活動ですよね。もともと大野さんが作曲家を引退しようと思って、好きなジャズをやり始めたら盛り上がってきちゃったことが、結成のきっかけだという話を聞いたのですが。

大野:僕は作曲家になる前はジャズピアニストだったので、もう作曲家を引退して、小さいところでピアノを弾こうと思っていたんです。それで00年くらいからトリオバンドを始めたんですけど、なんとなく盛り上がってきちゃって、やめるにやめられなくなったんですよ。

―まわりに引っ張られて、Lupintic Fiveまで発展を?

大野:そうですね。トリオではさっき言ったように限界があるので、多くの人に届けられる編成を考えたらLupintic Fiveになったということです。最初は知り合いのミュージシャンも同世代のやつらしかいなかったから、じじいバンドだったんですけどね(笑)。やっていくうちに若いミュージシャンと出会うようになって、いまのメンバーになりました。

Yuji Ohno & Lupintic Five
Yuji Ohno & Lupintic Five

「合わせる」というのと、「合っちゃう」というのは違うんです。合わせるというのは約束事なわけだから、合うのは当たり前。

―今回リリースされる『UP↑with Yuji Ohno & Lupintic Five』は、随所に拍手や歓声が入っていたり、司会的なトラックが入っていたり、1本のライブというか、テレビショーのような構成のアルバムですけど、なぜこういう作品を作ろうと?

大野:最近は、会館でよくライブをやっているんですけど、これが盛り上がるんですよ。ジャズバンドとしては珍しく、最後はお客さんがスタンディングになる。だから、そういう擬似ライブ盤を作ろうと思ったんです。それと、アメリカにも『SOUL TRAIN』(1970年~2006年まで放送されていたダンス音楽のテレビ番組)とか、スタジオで撮ってるけど拍手が入っている番組があったじゃない。あれを面白いなと思っていたわけ。だから今作は、演奏もスタジオで神経質に録るようなかたちではなく、ライブっぽくやってるんですよ。

―みんなで一発録りをしているんですか?

大野:そうですよ。どこかでテーマを間違っちゃったとか、そういう大きな失敗があると録り直すけど、ライブでしょっちゅうアドリブを演奏している人たちですから、大間違いなんてことはまずなくて、ほとんど直さない。

―レコーディングは大野さんが作った譜面をもとに演奏するんですか?

大野:一応譜面でやるんだけど、あんまり制約を感じさせない形にしています。複雑なアレンジにしても、ろくなことがないんですよ。メンバー全員の音が合わさればかっこいいと思ったら大間違いで、「合わせる」というのと、「合っちゃう」というのは違うんです。合わせるというのは約束事なわけだから、合うのは当たり前。合っちゃうっていうのは、お互い聴き合って、神経に気を遣って、テレパシーをみんなが感じ取って演奏するわけ。うちのバンドは、合っちゃうところがかっこいいんです。

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リリース情報

Yuji Ohno & Lupintic Five 『UP↑with Yuji Ohno & Lupintic Five』(CD)
Yuji Ohno & Lupintic Five
『UP↑with Yuji Ohno & Lupintic Five』(CD)

2014年12月10日(水)発売
価格:3,240円(税込)
VPCG-84986

1. ATMIDO feat. 土井敏之
2. UP with ATM #1
3. COMIN' HOME BABY
4. MANHATTAN JOKE feat. TIGER
5. UP with ATM #2
6. BEI MIR BIST DU SCHON
7. FAIRY NIGHT
8. UP with ATM #3
9. ZENIGATA MARCH
10. LOVE SQUALL
11. UP with ATM #4
12. SEXY ADVENTURE feat. 中納良恵(from EGO-WRAPPIN')
13. UP with ATM #5
14. DESTINY LOVE feat.TIGER
15. UP with ATM #6
16. THEME FROM LUPIN THE THIRD '89(Lupintic Five Version)
17. SAMBA TEMPERADO

イベント情報

『Lupintic Jazz Live TOUR 2014~UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five~』

2014年12月25日(木)
会場:神奈川県 横浜 Motion Blue YOKOHAMA

2014年12月29日(月)
会場:大阪府 Billboard Live OSAKA

2014年12月30日(火)
会場:愛知県 名古屋 Blue Note NAGOYA

プロフィール

Yuji Ohno & Lupintic Five(おおのゆうじ あんど るぱんてぃっくふぁいゔ)

バンドマスターである大野雄二は、作曲家として膨大な数のCM音楽制作の他、『犬神家の一族』『人間の証明』などの映画やテレビの音楽を手掛ける。代表作『ルパン三世』の音楽は、1970年代から、近年毎年放映されている『ルパン三世テレビスペシャル』に至るまで担当。Yuji Ohno & Lupintic Fiveは、ジャズの楽しさと奥深さを、わかりやすく世の中に広める大役を果たす人気シリーズ『LUPIN THE THIRD「JAZZ」』の10作目『LUPIN THE THIRD 「JAZZ」 the 10th~New Flight~』(2006年)にて結成されたセクステット編成。その後、バンドとしての活動が本格化し、2008年には『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO』に出演。JAZZバンドとは思えぬ大迫力のパフォーマンスでオーディエンスを圧倒。インストジャズバンドとは思えぬ活動スケールで日本全国のクラブハウスから会館、さらにはライブハウスまで怒涛のツアースケジュールで精力的に活動中!

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