
ヒップホップの挑戦者、KREVAが語る「悔しさばかり覚えてる」
- インタビュー・テキスト
- 柴那典
実際に最初の音源を出したら、そんなに売れなかった。簡単じゃなかったですね。
―「売れる」と思っていたということは、ヒップホップは「わかってる人」のためだけの小さなコミュニティーじゃないという確信が、当時からあったということでしょうか?
KREVA:いや、ヒップホップどうこうは何も考えてなかったと思う。とにかく「これだ」って確信があった。サッカーがちょっと上手くなった小学生って「俺、メッシになれるわ」とか言うじゃないですか。それと似た気持ちだったんですよ。でも、実際に最初の音源を出したら、そんなに売れなかった。簡単じゃなかったですね。
―キックとしてメジャーで活動していた4年間は、どういう記憶がありますか?
KREVA:あんまり覚えてないんですよ。ライブの場面は特に覚えてない。悔しい場面ばっかり覚えてる。
―悔しい場面というと?
KREVA:とあるイベントで、俺らがトリのCHAGE and ASKAさんの前だったんですよ。で、お客さんがあんまり盛り上がらない時に、俺らはいつも「止めろ止めろ!」「そんなんだったらやんねえぞ」って1回音を止めるのがスタイルで。その日も1回音を止めて、「このままだったらチャゲアス出てこねえぞ!」って言ったんですよね。そしたら、チャゲアスのファンからのバッシングが半端無くて炎上した。あれは忘れないな。あと、ホールツアーに行ったら、アンコールで前の方の真ん中にいたお客さん2人が座ったまま立ち上がらなかったりとか。悔しいことばっかり記憶にあります。
―そうなんですね。傍から見てたら勢いのある印象でしたけど。
KREVA:あと、「少し前の時代だったら100万枚売れてた」って、いろんな人に言われました。あの時にすでにCDの全体のセールスが落ちてきてたから。
常にフラストレーションがあります。そのフラストレーションの形が時々によって変わるから、表現や歌う内容が違ってくるだけで。
―今、KREVAさんの中でキックとの距離感は変わってきていますよね。ちょっと前までは「もう終わった過去のこと」だったわけですけれど、今は活動を再開してフェスにも出ている。
KREVA:そうですね。活動休止から10年経ったのがいいきっかけだったと思います。シンプルに言うと、やってみたら楽しかったんですよね。それに、身体がライブの記憶を覚えてた。それが大きかったです。
―KREVAとしてソロデビューした頃は、どういうモチベーションでした?
KREVA:とにかく必死でした。まず「KREVA」としてどうやって認知してもらうか、それしか考えてなかった。キックの話はなるべくしないようにしてたな。できる限り全都道府県のラジオ局を訪ね歩いて、新人アーティストとして自分で自分をプロモーションしてました。
―そんなことやってたんですか!
KREVA:やってましたよ。とにかく「本気なんだ」って伝えることから始めてました。その時によく言ってたのは「奥田民生さんの話をする時に、『ユニコーンの奥田民生さん』とは言わないじゃないですか。自分もそうなりたいんです」っていうようなことを話して回ってました。
―そのために、まっさらな新人として振る舞ったんですね。
KREVA:悔しい思いもしましたよ。「何しに来たの?」って言われて、邪険に扱われたりもしたし。でも、その分いい出会いもありました。とにかく、「KREVAはここにいます」っていうのを言いたかったんだと思いますね。
―KREVAとしてデビューしたのが2004年でしたよね。06年にはアルバム『愛・自分博』でソロのヒップホップアーティストとしては初のオリコン1位を獲得する。そこには自分のやってきたことが認められた、実ったって気持ちはありました?
KREVA:いや、そうでもなかったかな。
―これまでの話を聞いていても、KREVAさんは、どれだけ成功しても常に「まだ足りない」「納得いかない」という不満を抱えている人だと思うんですね。
KREVA:まさに。常にフラストレーションがある。そのフラストレーションの形が時々によって変わるから、表現や歌う内容が違ってくるだけで。
―ここ3~4年は、どういうところにフラストレーションを感じますか?
KREVA:そうだなあ……2010年に『OASYS』を作った頃から、世の中全体に閉塞感を感じるようになって、それが全てにおいてついてまわるようになってきた気がする。そのフラストレーションと、自分なら打ち破れるはずだという気持ちが大きくなって。自分としては、昔と比べたら雲泥の差と言えるくらい、曲の細部に気を使えるようになったんですよ。具体的に言えば、自分で録音も編集もアレンジもできるようになってきた。ラップも上手くなってるし、技術はどんどん上がっているのに、聴かれる数は減っていく。
リリース情報

- KREVA
『Under The Moon』(CD) -
2015年2月25日(水)発売
価格:1,296円(税込)
PCCA-041511. Under The Moon
2. これでよければいくらでも
3. 47都道府県ラップ
4. Under The Moon(Inst.)
5. これでよければいくらでも(Inst.)
6. 47都道府県ラップ(Inst.)
※初回生産9080枚限定で蓄光ジャケット仕様

- KREVA
『「908 FESTIVAL」2014.9.07 & 9.08 at 日本武道館』(2Blu-ray) -
2015年3月18日(水)発売
価格:12,960円(税込)
PCXP-52908[DISC1]
1. 基準
2. ストロングスタイル
3. 成功
4. 俺は Do It Like This
5. OH YEAH
6. I REP
7. 調理場
8. 世界の中心
9. かも
10. スタート
11. 成功 (outro)
12. 47都道府県ラップ
13. トランキライザー
14. 全速力×Space Dancer
15. 瞬間Speechless
16. EGAO
17. イッサイガッサイ
18. Have a nice day!
19. C'mon, Let's go
20. Na Na Na
21. 音色
[DISC2]
1. 908FES 新超INTRO
2. トランキライザー
3. 全速力 feat. 三浦大知
4. Right Now
5. Blow You Away!
6. Anchor
7. CHASER~RED PILL~NEW DAYS MOVE
8. Catch Me If You Can feat. KREVA
9. くればいいのに feat. 鈴木雅之
10. 夢で逢えたら
11. 僕らの奇跡 ~Open Sesame~ feat. KREVA
12. La La Like a Love Song
13. イツナロウバ
14. 神輿ロッカーズ
15. マルシェ with RHYMESTER
16. ONCE AGAIN
17. M☆A☆G☆I☆C 久保田利伸 meets KREVA
18. LA・LA・LA LOVE SONG with 三浦大知
19. イッサイガッサイ
20. 蜃気楼 feat. 三浦大知
21. 中盤戦 feat. Mummy-D
22. Na Na Na
23. 希望の炎
24. 音色
25. パーティはIZUKO?

- KREVA
『「908 FESTIVAL」2014.9.07 & 9.08 at 日本武道館』(2DVD) -
2015年3月18日(水)発売
価格:10,800円(税込)
PCBP-58908[DISC1]
1. 基準
2. ストロングスタイル
3. 成功
4. 俺は Do It Like This
5. OH YEAH
6. I REP
7. 調理場
8. 世界の中心
9. かも
10. スタート
11. 成功 (outro)
12. 47都道府県ラップ
13. トランキライザー
14. 全速力×Space Dancer
15. 瞬間Speechless
16. EGAO
17. イッサイガッサイ
18. Have a nice day!
19. C'mon, Let's go
20. Na Na Na
21. 音色
[DISC2]
1. 908FES 新超INTRO
2. トランキライザー
3. 全速力 feat. 三浦大知
4. Right Now
5. Blow You Away!
6. Anchor
7. CHASER~RED PILL~NEW DAYS MOVE
8. Catch Me If You Can feat. KREVA
9. くればいいのに feat. 鈴木雅之
10. 夢で逢えたら
11. 僕らの奇跡 ~Open Sesame~ feat. KREVA
12. La La Like a Love Song
13. イツナロウバ
14. 神輿ロッカーズ
15. マルシェ with RHYMESTER
16. ONCE AGAIN
17. M☆A☆G☆I☆C 久保田利伸 meets KREVA
18. LA・LA・LA LOVE SONG with 三浦大知
19. イッサイガッサイ
20. 蜃気楼 feat. 三浦大知
21. 中盤戦 feat. Mummy-D
22. Na Na Na
23. 希望の炎
24. 音色
25. パーティはIZUKO?
イベント情報
- 『10th Anniversary Year KREVA 47都道府県 TOUR 2015「UNDER THE MOON」前半戦 with DJ+DRUM STYLE』
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2015年2月27日(金)
会場:東京都 Zepp DiverCity Tokyo2015年3月1日(日)
会場:山梨県 甲府 CONVICTION2015年3月4日(水)
会場:千葉県 柏 PALOOZA2015年3月6日(金)
会場:奈良県 奈良 NEVER LAND2015年3月7日(土)
会場:奈良県 奈良 NEVER LAND2015年3月10日(火)
会場:和歌山県 和歌山 SHELTER2015年3月12日(木)
会場:滋賀県 滋賀 U-STONE2015年3月14日(土)
会場:京都府 京都 FANJ2015年3月15日(日)
会場:京都府 京都 FANJ2015年3月19日(木)
会場:長崎県 長崎 DRUM Be-72015年3月21日(土・祝)
会場:鹿児島県 鹿児島 CAPARVOホール2015年3月22日(日)
会場:熊本県 熊本 B.9 V12015年3月24日(火)
会場:山口県 周南 TIKI-TA2015年3月26日(木)
会場:香川県 高松 オリーブホール2015年3月28日(土)
会場:兵庫県 神戸 kobe SLOPE2015年3月29日(日)
会場:兵庫県 神戸 kobe SLOPE2015年4月2日(木)
会場:佐賀県 佐賀 GEILS2015年4月4日(土)
会場:宮崎県 WEATHER KING2015年4月5日(日)
会場:大分県 DRUM Be-02015年4月9日(木)
会場:岐阜県 岐阜 club-G2015年4月11日(土)
会場:島根県 松江 AZTiC canova2015年4月12日(日)
会場:鳥取県 米子 AZTiC laughs2015年4月14日(火)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO2015年4月16日(木)
会場:愛媛県 松山 サロンキティ2015年4月18日(土)
会場:高知県 高知 CARAVAN SARY2015年4月19日(日)
会場:徳島県 徳島 club GRINDHOUSE2015年4月24日(金)
会場:沖縄県 沖縄ナムラホール2015年4月30日(木)
会場:長野県 長野 CLUB JUNK BOX2015年5月1日(金)
会場:群馬県 高崎 club FLEEZ2015年5月7日(木)
会場:岩手県 盛岡 CLUB CHANGE WAVE2015年5月9日(土)
会場:秋田県 秋田 club SWINDLE2015年5月10日(日)
会場:山形県 山形 ミュージック昭和Session2015年5月12日(火)
会場:富山県 富山 MAIRO2015年5月13日(水)
会場:石川県 金沢 EIGHT HALL2015年5月15日(金)
会場:福井県 響のホール
- 『10th Anniversary Year KREVA 47都道府県 TOUR 2015「UNDER THE MOON」後半戦 with BAND STYLE』
-
2015年6月3日(水)
会場:千葉県 浦安市文化会館2015年6月6日(土)
会場:岡山県 岡山市民会館2015年6月11日(木)
会場:茨城県 ひたちなか市文化会館2015年6月13日(土)
会場:愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール2015年6月14日(日)
会場:福岡県 福岡サンパレス2015年6月20日(土)
会場:大阪府 大阪フェスティバルホール2015年6月25日(木)
会場:埼玉県 さいたま市文化センター2015年6月26日(金)
会場:神奈川県 よこすか芸術劇場2015年6月30日(火)
会場:新潟県 りゅーとぴあ・劇場2015年7月4日(土)
会場:宮城県 仙台イズミティ212015年7月9日(木)
会場:北海道 旭川 CASINO DRIVE2015年7月10日(金)
会場:北海道 札幌市教育文化会館2015年7月12日(日)
会場:栃木県 栃木県総合文化会館2015年7月15日(水)
会場:三重県 三重県文化会館 中ホール2015年7月17日(金)
会場:静岡県 静岡市民文化会館 中ホール2015年7月18日(土)
会場:福島県 南相馬市民文化会館2015年7月20日(月・祝)
会場:青森県 弘前市民会館2015年7月26日(日)
会場:東京都 中野サンプラザホール
プロフィール
- KREVA(くれば)
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活動の軌跡には常に「HIP HOPソロアーティスト『初』」という肩書きがつくアーティスト。BY PHAR THE DOPESTを経て、1997年、LITTLE、MCUと共にKICK THE CAN CREWを結成。2004年6月に活動休止後、ソロ活動に専念。同年6月18日『希望の炎』をインディーズリリース、9月08日 (クレバの日)にメジャーデビューシングル『音色』をリリース後、作品を発表し続けている。2006年2月リリースのセカンドアルバム『愛・自分博』はHIP HOPソロアーティストとしては史上初となるウィークリーチャート初登場1位を獲得。ライブも精力的に行い、夏&冬のFES出演はもちろん、HIP HOPソロ初の全国ホールコンサート、日本武道館2 Days、さいたまスーパーアリーナ2 Days、大阪城ホール、横浜アリーナ2 Daysと伝説を生み続け、動員記録を塗り替えている。2014年6月18日にソロデビュー10周年イヤーを迎えた。常に新しいことへ挑み続けるKREVAは、HIP HOPシーンのみならず日本の音楽界最重要人物のひとりである。