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UQiYOと加藤貞顕に学ぶ、ネット時代の作り手とファンの繋がり方

UQiYOと加藤貞顕に学ぶ、ネット時代の作り手とファンの繋がり方

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

「音楽を、音以上の体験として提供したい」というコンセプトを基に「パーソナルミュージック」を掲げ、ファンやクリエイターとの密接なコミュニケーションを重視した活動を続けてきたUQiYO。シングルCDを1枚だけリリースして、それを人づてに全国のリスナーへ渡していくプロジェクトを実施するなど、パーソナルミュージックの「届け方」においても強いこだわりを持って活動してきた彼らが、昨年末よりウェブサービス「note」を使ったファンコミュニティー「ウキヨノモト」をスタートさせた。月額500円のライトユーザー向けのものから、パトロンのイメージに近い月額10,000円のものまで、ファンの温度差に合わせて値段設定の異なる4つのプランが用意され、運用スタートから約3か月が経ち、一定の成果を収めているという。昨年はくるりがnoteを使ったファンクラブ運営をスタートさせたことが話題となったが、UQiYOのようなインディーズミュージシャンが、デジタルを使いつつも温もりのあるファンとの関係性を構築し、さらにはビジネスとしても成立させていることは、非常に未来を感じさせる。

そして、UQiYOのセカンドアルバム『TWiLiGHT』がまた素晴らしい。デビュー作『UQiYO』発表以降の2年間の様々なコミュニケーションが凝縮された、解放的な雰囲気に包まれた作品であり、本作が「ウキヨノモト」を通じて、さらに新たな関係性を作り出していくであろうことが本当に楽しみだ。毎日新聞と連動した平野啓一郎の小説連載スタートも話題のnoteの仕掛け人・加藤貞顕を迎え、UQiYOのYuqiと今の時代のクリエイターとファンのあり方について語り合ってもらった。

今後はどんなコンテンツも、めちゃくちゃマスなものか、もしくはパーソナルなものか、その両極に分かれていくと思うんです。(加藤)

―Yuqiさんはnoteのことをどうやって知ったんですか?

Yuqi:去年の秋ぐらいから、ファンとの関わり方を改めて考えるようになったんです。今まではCDを買ってもらうとか、ライブ会場で会って話すとか、それぐらいしかなかった。でも、ファンの人の中にも温度差があると思うようになってから、それ以外の接点をどう作れるかを模索し始めて。それでウェブ上のサービスをいろいろ調べていく中で、くるりさんがnoteを使ったファンクラブを始めたことが話題になってて、すごく気になってたんです。

Yuqi(UQiYO)
Yuqi(UQiYO)

―それで、実際にコンタクトを取ってみたと。

Yuqi:これはたまたまなんですけど、加藤さんの会社の僕らを担当してくれている方が、前にクラウドファンディングの会社にいらっしゃったときに、一度お会いする機会があって。その方が今noteにいらっしゃると知って、これは直接会って話を聞かない手はないなと。

―くるり以降、ミュージシャンの方から「noteを使いたい」というアプローチは増えているのでしょうか?

加藤:音楽事務所の方からお話をいただくようにはなりましたが、ミュージシャンご本人が直接会いに来てくださったのは、くるり以外だとUQiYOくらいじゃないですかね。しかもYuqiさんは、最初にお会いしたときから、やりたいことをきれいにまとめた資料を作って持ってきてくださった。

加藤貞顕
加藤貞顕

―UQiYOのことはそれ以前からご存知でしたか?

加藤:“At the Starcamp”のミュージックビデオをきっかけに知っていて、曲をガラスのボトルに入れて販売していたりとか、すごく面白い活動をしている方たちだなと思っていました。CINRAの以前のインタビューも読ませていただいたんですけど、「作品を届けるときのコンセプトはパーソナルでいい」という話をされていて、まったくその通りだと思ったんですよね。noteを運営している僕たちとしては、どうやってコンテンツをデジタルで売っていくかを考えているわけですけど、音楽に限らず、今後はどんなコンテンツも、めちゃくちゃマスなものか、もしくはパーソナルなものか、その両極に分かれていくと思うんです。

―noteっていうのは、まさにその「パーソナル」の側、ファンとの密接なコミュニケーションが取れる場所ですよね。

加藤:そういう仕組みを、ウェブ上で作りたいと思ったのがnoteを作ったきっかけですからね。音楽だけではなく、テキストも絵も写真も何でも載せられて、そこをクリエイターの本拠地にしつつ、ファンをライブに集めたり、CDを売ったり、いろんなことができる。そういう場所として作ったので、UQiYOがやりたいって言ってくださったこととぴったり合うなって。

Yuqi:以前クラウドファンディングの話をしたことがあったのも、伏線として大きかったんですよね。クラウドファンディングの何が一番画期的かって、値段設定ができることだと思うんです。昔は「1人の投資家が1000万円出す」みたいなことしか支援方法がなかったのが、100円から投資ができるってすごいことだなって。音楽なんて、どれくらい好きかとか、どれくらい突き刺さっているかとか、人それぞれ全然違うじゃないですか? すごく好きでいてくれてる人には濃くコミットしてもらって、でもその一方で裾野の人たちにも支援してもらえる仕組みって、大事だと思うんですよね。

―昨年の12月にnoteとUQiYOの共催イベント『音水ノヲト』が開催されて、そこで「ウキヨノモト」の開始が発表されたんですよね。

Yuqi:そうです。あのとき、お客さんの声をサンプリングして、それを使って即興演奏をやったんですけど、サンプリングに協力してくれたお客さんが、先日「ウキヨノモト」のオフ会に来てくれたんですよ。あの日がきっかけでファンになったと話してくれて。

―リアルで知って、ネットでつながって、またリアルで会う。そうやってどんどんコミュニケーションが濃くなっていくと。

加藤:そうなってくれるといいなと思いますね。

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プロフィール

UQiYO(うきよ)

「日常を、心地よい非日常-浮世-にいざなう音楽ユニット」。Vo / ComposerのYuqiを軸に2010年よりPhantaoと活動を開始。2013年5月にアルバム『UQiYO』をリリース。評判が口コミで広がり、全国のCDショップやレコードセレクトショップで相次いで「Album of the Month」等大きく取り上げられ、発売から1年後に異例の全国流通。CDショップからも大好評を得る。常に新しい試みを行う姿勢と作風は、国内外で活躍するクリエイターから注目され、PVやコラボレーション音源や様々なプロジェクトを積極的に発表し、その活動は多くの人々からも注目されている。LIVEはライブハウス以外にも映画館、コワーキングスペース、図書館、お寺など様々な場所で積極的に行っており、オーディエンスと共に音楽をつくる独自なスタイルが特徴である。3月18日には2nd Album『TWiLiGHT』を発売。4月から全国12か所のツアーも決定している。

加藤貞顕(かとう さだあき)

株式会社ピースオブケイク代表取締役CEO。1973年、新潟県生まれ。アスキー、ダイヤモンド社に編集者として勤務。『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海)、『ゼロ』(堀江貴文)など話題作を多数手がける。2012年、コンテンツ配信サイト・cakes(ケイクス)をリリース。2014年、クリエイターとユーザーをつなぐウェブサービス・note(ノート)をリリース。

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