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子どもは誰でも作曲能力がある?馬喰町バンドが目指す無垢な音楽

子どもは誰でも作曲能力がある?馬喰町バンドが目指す無垢な音楽

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望

パーカッションって世界中にいろんな種類があって、全部一通りやったんですけど、結局現地の人にはいつまで経っても追いつけない気がしたんですよね。それで自分で楽器を作るようになったんです。(ハブ)

―三人とも学生時代は美大に通われていたそうですね。

:僕は絵画をやってたんですけど、音楽と絵画ってすごい遠い距離にあったんですよね。音楽を好きな人はあんまり絵を描かないし、絵が好きな人は音楽をやらない。何かを表現しようと思ったときに、最初から専業化されちゃってるものを僕たちは学んでるわけです。でも遡ってみると、音楽とか絵画とか踊りとか、「芸事」っていうのが全部煮えたぎったマグマの中にあった時代があって、僕はそこに興味があるんです。

―織田さんは大学で何をされていたんですか?

織田(Ba,Vo):僕は、走るピアノを作ったりしてました。

―走るピアノ?

織田:鍵盤がアクセルになってて、弾くと走るんです。僕も音楽と他のアートをわかりやすく融合させたくて、ベタすぎるくらいわかりやすい形にしたのが走るピアノでした。今の僕は当時よりもう少し「音楽は音楽」という考えになってるんですけど、融合させたい気持ちもまだありますね。

走るピアノ
走るピアノ

―ハブさんは何をしていらっしゃったんですか?

ハブ:僕は大学時代に映画を撮ってました。それと並行して音楽もやってたんですけど、インドネシアに行ったことで僕の人生が変わりましたね。卒業制作として、インドネシアの影絵芝居のドキュメンタリーを撮ったんですけど、野外の会場で実際の観客を前に芝居するのを見て、映画よりもこっちの方が豊かなんじゃないかと思ったんです。そこで僕は1回カメラを置いて、パフォーマンスをやり出して。

―インドネシアでの経験が、音楽面でも影響を与えていますか?

ハブ:インドネシアではガムラン音楽を勉強してたんですけど、それ以上に大きかったのが、アフリカの人間国宝のドゥドゥ・ニジャエ・ローズ(セネガルのパーカッション奏者)のファミリーのところに1か月間忍び込んで、サバール(セネガルの伝統的な楽器)を毎日練習していたことで。最初に武くんが言ったのと同じで、結局現地の人にはいつまで経っても追いつけない気がしたんです。パーカッションって世界中にいろんな種類があって、ブラジルのもキューバのも、全部一通りやったんですけど、「俺はいつまで追いかけ続けるんだ?」って悩んじゃって。それで自分のルーツを見つめ直そうと思って、自分で楽器を作るようになりました。でも、もともとは自作楽器って嫌いだったんですよ。あんまり汎用性ないし、ちょっと奇抜なことをやってる人に見えちゃうから。

ハブヒロシ

織田:大道芸っぽい感じが出ちゃうもんね。

ハブ:そう。なので、昔から好きなロックとかを否定せず、かつアフリカやインドネシアで勉強してきたことも反映させて、何か形にできないかと模索してようやくできた楽器が、今使っている「遊鼓(ゆうこ)」なんです。そこで演奏とパフォーマンスを融合させたいと思ったから、踊りながら叩けるようにしたくて、今の形になりました。

ハブの自作楽器「遊鼓」
ハブの自作楽器「遊鼓」

武の自作楽器「六線」
武の自作楽器「六線」

子どもって、生まれながらに何でもできるんです。でも、それが成長と共に余計な先入観によってできなくなっていってしまう。(武)

―実際に楽曲を作る際は、どのようにゼロから自分たちの民族音楽を作っていくのでしょうか?

:実は曲って、経験も何も必要なく作れるんです。マニアックな民族音楽についてフィールドワークをすればするほど、「こんなのあるんだ!」じゃなくて、「やっぱり、こうなんだ。知ってる知ってる」っていうことの方が多くて。例えば、ピグミー(アフリカの民族による声楽)って、ポリフォニー(多声音楽)で、何がどうなってるかわからないようなバラバラのリズムが大きなひとつの音楽になってる。それって一見日本のどこを見てもないような気がするけど、「ちょっと待てよ、知ってるぞ」と思ったんです。少年野球でベンチにいる人がチームメイトを応援するじゃないですか? あの子どもたちがバラバラに声出してるのって、ピグミーそっくりなんですよ。

―なるほどなあ。

:子どもって、生まれながらに何でもできるんです。子どもが公園で遊びながらしゃべってるのを聞くと、ほとんどが歌なんですよね。「行くよ」じゃなくて、「行っくよー」みたいな。しかも、歌うこと、絵を描くこと、踊ることも全部一緒にやってる。でもそれが成長と共に余計な先入観によってできなくなっていってしまうんです。

―確かに、子どもは誰に教わるでもなくそういうことをやってますね。

:僕たちの作曲の手法も、子どもたちの遊びに似てるんですよね。例えば、鬼ごっことか影踏みとか、既存の遊びをやるのは、作曲でいうスタンダードナンバーのカバーなんですよ。でも子どもたちって、既存の遊びに飽きて、独自の遊びを新しく作り出したりするじゃないですか? 作曲も同じで、新しいルールを自分たちで作っていくんです。それにみんながガチッとハマったときに、すごい脳内麻薬が出る。そういうのが一番理想的な作曲だと思うんですよね。理論とか理屈とかを抜きにして、その日生まれたルールの中でみんなのモチベーションがピークに達したとき、素晴らしいものが生まれるんだと思います。

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リリース情報

馬喰町バンド 『遊びましょう』(CD)
馬喰町バンド
『遊びましょう』(CD)

2015年9月2日(水)発売
価格:2,376円(税込)
HOWANIMALMOVE / HAMB-001

1. 源助さん
2. 許してワニ
3. 微生物
4. わたしたち
5. 青
6. 鬼の子の夢
7. いだごろ
8. ムツゴロウさん
9. 月夜のおまえさん

イベント情報

『「遊びましょう」レコ発ライブ』

2015年9月4日(金)
会場:山形県 鶴岡 Bar Trash

2015年9月6(日)
会場:福島県 いわき THE QUEEN Live&Restaurant

2015年9月13日(日)
昼の部:OPEN 15:00 / START 15:30
夜の部:OPEN 19:00 / START 19:30
会場:東京都 馬喰町ART+EAT
ゲスト:
飯野和好
三井闌山

インストアライブ
2015年10月3(土)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店

2015年10月10日(土)
会場:愛知県 名古屋 ブラジルコーヒー

インストアライブ
2015年10月11日(日)
会場:京都府 タワーレコード京都店

インストアライブ
2015年10月11日(日)
会場:大阪府 タワーレコード難波店

2015年10月12日(月・祝)
会場:大阪府 豊中 DECOBOCO farm KITCHEN

2015年10月16日(金)
会場:東京都 西麻布 音楽実験室新世界
出演:
青葉市子
川村亘平斎(滞空時間)

2015年10月24日(土)
会場:長野県 松本 神宮寺

2015年11月1日(日)
会場:埼玉県 熊谷 モルタルレコード

プロフィール

馬喰町バンド(ばくろちょうばんど)

武徹太郎(ギター・六線・唄)、織田洋介(ベース・唄)、ハブヒロシ(遊鼓・唄)による三人組。昭和生まれ、新興住宅地育ち。懐かしいようでいて何処にも無かった音楽を、バンド形式で唄って演奏する。日本各地の古い唄のフィールドワークや独自の「うたあそび」を元に奇跡的なバランス感覚で生みだされる彼らの音楽は、わらべうた・民謡・踊り念仏・アフロビート・世界各地のフォークロアが、まるで大昔からそうであったかのように自然に共存する。2015年9月2日、待望の4thフルアルバム『遊びましょう』をHOWANIMALMOVEよりリリース。

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