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VIDEOTAPEMUSICが語る「過去を知ると、未来も想像できる」

VIDEOTAPEMUSICが語る「過去を知ると、未来も想像できる」

インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人
2015/09/29

全ての夜は繋がっている。いつの時代、どこの国にも、そこには確かに民衆たちの夜がある。どんな悲しみの中にあっても、人々には笑い、愛し合い、踊り明かすことで越えてきた数多の夜がある。誰にも奪うことのできない愛と孤独が、そこにはある。もちろん、僕らにも。

音楽活動だけでなく、ceroや小島麻由美をはじめとした多岐にわたるアーティストのミュージックビデオ制作でも知られるVIDEOTAPEMUSIC(以下VIDEO)。VHSのサンプリング映像を使った奇抜なライブを行う彼だが、彼がサンプリングするのは映像だけではない。そこには人々の「営み」がある。盟友ceroの荒内佑、beipana、MC.sirafu、思い出野郎Aチームのメンバーなど、多数のゲストと共に作り上げたアルバム『世界各国の夜』では、様々な時代、様々な国に存在したダンスミュージックを採集することで、時空と国境を越えて存在する市井の人々の夜を、この2015年に繋いでみせた。

過去を知ることは、今もいずれ過去になると知ることでもある。でも、全ての夜は繋がっている。今、僕らが踊らなければ、僕らの子どもたちも踊れないのだ。さぁ、夜を生きよう。

映像の中でしか見ることのできない時代の風景ってあるんですよ。昔の映画で流れている音楽や、登場人物の服装とかから、現代では気づけない文化や人の気持ちが見えてくる。

―VIDEOさんの活動は、音楽も映像も、その全てが非常にコンセプチュアルなものだと感じます。今の形で活動を始められたきっかけは何だったんですか?

VIDEO:そもそもの話をすると、大学生の頃に宅録を始めようと思ったんですけど、お金がなくて機材が買えなかったんですよ。でも、音楽を作りたい欲求はある。そこで試行錯誤した結果、大学で映像をやっていて、ビデオカメラと映像編集ソフトは持っていたので、ビデオカメラで音を録音すればいいんじゃないかって思いついて。

―かなり力技ですね(笑)。

VIDEO:ミニDVテープ(ビデオカメラで録画するときに使用するテープ)に録音して、それをパソコンの映像編集ソフトに取り込んで音を切り貼りして、さらにそれをVHSに取り込んでマスターを作る、という制作方法を始めて。最初は、ビデオテープしか持っている記録メディアがなかったから、VIDEOTAPEMUSICって名乗り始めたんです。

VIDEOTAPEMUSIC
VIDEOTAPEMUSIC

―サンプリングされた映像とピアニカを使ったライブの手法も、その頃から始められていたんですか?

VIDEO:これに関しても偶然で。ライブをやりたいけど、当時はサンプラーもノートパソコンも持っていなかったんです。で、家にビデオデッキはあったから、ビデオテープで音と映像を再生しようと思いついて。それと、小学校の頃に使っていたピアニカが家にあったから、「ビデオデッキとピアニカならお金を使わずにできる」と思って、今の形でライブをやり始めました。

―VHSってもう生活の中で触れることはほぼないですけど、当時はまだ流通してました?

VIDEO:僕が活動を始めたのが2004~5年なんですけど、ちょうどレンタルビデオ屋がVHSからDVDに軒並み移行し始めた頃だったんですよ。DVD化されたVHSがものすごく安くなっていたり、ガレージセールでタダ同然で売られたりしていて、好きだった映画のVHSが大量に安く手に入ったんです。なので、これもたまたま、VHSが安く手に入った状況とビデオテープでライブをやり始めた自分の状況が重なった感じですね。

―本当に、最初は「それしかない」という状況から始まっているんですね。

VIDEO:そうですね。置かれた状況の中でやるにはどうしたらいいのかを考えて、工夫していったらこのスタイルになったんです。最初は1回のライブをやるために編み出した技だったんですけど、まさか10年も続くとは……っていう感じです(笑)。

―実際、途中で活動スタイルを変えることも可能だったと思うんですけど、どうしてビデオテープを使ったライブ活動を10年も続けてきたんだと思いますか?

VIDEO:「昔の映像をコラージュするということはどういうことなのか?」を自分なりに追求していくうちに、この方法に可能性を感じてきたからだと思います。やっぱり、映像の中でしか見ることのできない時代の風景ってあるんですよ。昔の映画の中で流れている音楽然り、登場人物の服装然り、そういうものを見ることで、現代に生きていたら気づけない文化や人の気持ちが見えてくる。それが、この手法の面白さだと思いますね。

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リリース情報

VIDEOTAPEMUSIC 『世界各国の夜』(CD)
VIDEOTAPEMUSIC
『世界各国の夜』(CD)

2015年9月30日(水)発売
価格:2,500円(税込)
DDCK-1044

1. 世界各国の夜
2. Speak Low
3. Hong Kong Night View feat.山田参助(泊)
4. ミスハトヤ
5. Lost Honeymoon
6. August Mood
7. 東京狼少女 -Tokyo Luv Story- feat.LUVRAW
8. Waikiki Sweet Heart
9. 棕櫚の庭
10. Enter The Kung-Fu Mambo
11. Kung-Fu Mambo
12. Royal Host(Boxseat)
13. チャイナブルー新館

イベント情報

『“世界各国の夜” 発売記念パーティー ~2015年、渋谷~』

2015年10月24日(土)OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
VIDEOTAPEMUSIC
思い出野郎Aチーム
エマーソン北村&TUCKER
DJ:コンピューマ

プロフィール

VIDEOTAPEMUSIC(びでおてーぷみゅーじっく)

地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。VHSの映像とピアニカを使ってライブをするほか、MV制作、VJ、DJ、イベントのオーガナイズなど活動は様々。MVでは盟友ceroを始め小島麻由美、NRQ、Hi,how are you?などジャンルレスに手がける。ほかにもモデル、女優の菊池亜希子のムック本「マッシュ」のCM映像、楽曲も製作。ライブにおいては、クラブシーンからインディペンデントシーンまで幅広く活動。ダンスミュージックとしての下地にポップでメロウなメロディが絶妙であり、映像のセンスふくめ卓越しており、シーンの中でもずば抜けており、今作のリリースが待ち望まれていた素敵な男が「VIDEOTAPEMUSIC」である。

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