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文化を作り上げた名店ライブハウスO-nestの20年を店長らに訊く

文化を作り上げた名店ライブハウスO-nestの20年を店長らに訊く

『nest20周年記念公演』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:小見山峻

数多くのライブハウスやクラブがひしめき合う渋谷区円山町。その一角にあるコンビニのわきから建物に入り、エレベーターで6Fへ。降りるとすぐに目の前に広がるバーフロア。そう、そこが今年3月にオープン20周年を迎えるライブハウスTSUTAYA O-nestだ。2000年代前半~中盤には海外から多くのアーティストが来日し、ポストロック / 音響系の盛り上がりに大きく貢献すると、2000年代後半には「ネスト系」という言葉も生まれ、『nest festival』を開催。2010年代に突入し、そこにアイドルが流入してきた今も、時代に寄り添ったライブハウスのあり方を体現し続けている。そんなO-nestが多くのミュージシャンやお客さんから愛されているのは、芯のある良質なブッキングはもちろん、やはりバーフロアに象徴される「場」としての存在感が、何よりの理由だと言えるのではないか。

そこで今回は、3月1日から始まる『nest20周年記念公演』を前に、長らくネストの店長を務めてきた岸本純一と、イベント会社「ホットスタッフプロモーション」時代に『nest festival』をはじめとした数多くの公演を手掛け、現在はクリエイティブレーベル「DUM-DUM LLP」の一員として活動する野村幸弘を迎え、20年の歩みを振り返る対談を実施。取材はもちろん、6Fバーフロアで行われた。

(店長)やるんだったら好きなことをやろうと思って始めたのが、来日系のイベントだったんです。(岸本)

―岸本さんはいつ、どういう経緯でネストの店長になられたのですか?

岸本:ネストには2000年に来たんですけど、2001年に前のブッキングマネージャーが辞めるから「代わりにやってください」と言われて、最初は断ったんです。まだ大阪から東京に出てきて1年しか経ってなかったし、そもそも僕は洋楽が好きで、日本のバンドにあんまり興味もなかったので、「僕じゃ無理です」って。でも「他に人がいないから」ということで引き受けて、やるんだったら好きなことをやろうと思って始めたのが、来日系のイベントだったんです。

岸本純一
岸本純一

―1年でブッキングマネージャーになって、しかもそれまでやってなかった海外アーティストの来日を手掛けるって、すごい話ですよね。でもそこから数年で、ネストは来日系に強いライブハウスというイメージになりました。

岸本:来日モノをやってる個人イベンターの人たちがよくネストを使ってくれていたんですけど、そこまで多かったわけじゃないので、自分でも半年に1回は海外からアーティストを呼んで、一緒にツアーを回ったりしてました。初めて呼んだのがイギリスのHOODっていうバンドで、あとはARAB STRAP(MogwaiやBelle and Sebastian、The Pastelsなどと共にスコットランドのグラスゴーを象徴するバンドのひとつ)の最後の来日ツアーもやりましたね。

野村:ネストで来日公演が行われるようになる前って、海外のアーティストは「すでに大きくなった人たちを大きいところで観るもの」っていうイメージだったと思うんです。だから「ライブハウスでも海外のバンド観れるんだ!」っていうのは驚きだったし、それによって、洋楽が好きな日本のアーティストも集まってきて、ネストにひとつの潮流ができてきたんだと思います。みんなネストに出たがってましたから。

左から岸本純一、野村幸弘
左から岸本純一、野村幸弘

―好きな洋楽アーティストが出たステージに自分も立ちたいと思ったわけですね。来日公演のサポートアクトで出たいっていう日本のバンドも多かったですよね。

岸本:来日公演を始めた当時はかなりムチャクチャで、「これ絶対お客さん入んないでしょ」っていうのもたくさんあったんです。例えば2004年にBATTLESの来日公演をやってるんですけど、まだ音源もリリースされてなくて、誰もBATTLESを知らない中、なぜか「ヘッドライナー公演をやりたい」って話をもらって(笑)。そうなると当然、日本のバンドにも出てもらってある程度集客してもらう必要も出てきますしね。

―そういう関係性の中で、ネストが日本のバンドを洋楽好きのリスナーに紹介する役割も担っていたように思います。特に印象深い来日公演はありますか?

岸本:一番覚えてるのはTHE RED KRAYOLA(1966年にテキサスで結成されたアヴァンギャルド・ロックバンド)が来たときで、そのときドラムがジョン・マッケンタイア(Tortoiseの中心人物で、エンジニア / プロデューサーとしてポストロックやインディーロックを牽引した人物)だったんですけど、ライブが終わって、みんなでこの6Fのスペースで飲んでたときに、ジョンとジム・オルークが二人で話し込んでたんですよ。

ネスト6Fのラウンジフロア
ネスト6Fのラウンジフロア

―当時のインディーロックの世界的重要人物がネストで話し込んでる(笑)。

岸本:そう、「ジョン・マッケンタイアとジム・オルークが自分の店で話してるのか!」って(笑)。もう夜中の1時とか2時だったと思うんですけど、「これは止めたくない」と思ったし、もしかしたらこの光景が、僕がやってきたことの結果なんじゃないかと思うくらいの達成感がありました。

―岸本さんの「好きなことをやろう」の結晶ですね。

野村:やっぱり、ライブハウスはライブを観て帰るだけの場所じゃなくて、交流する場所だってことだと思います。ジョンとジムの話もそうだけど、ネストは5Fでライブが終わったあと、この6Fでみんなで話をするっていう流れがあって、そこでいろんなハプニングが起こったりする。しかも出演者もお客さんも入り交じってる空間ですごく自由な雰囲気があるし、何時になっても「もう帰ってください」って言われた記憶がない(笑)。お客さんも含めてたくさんの人がこのラウンジフロアで何かを経験して、思い出深い場所になってるんだと思います。

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イベント情報

『nest20周年記念公演』ロゴ
『nest20周年記念公演』

2016年3月1日(火)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
Computer Magic
ラブリーサマーちゃん

2016年3月2日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
GELLERS
never young beach

2016年3月3日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
ミツメ

2016年3月9日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:ひめキュンフルーツ缶

2016年3月10日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
MOROHA
eastern youth

2016年3月11日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:Seuss
Homecomings
KONCOS
DJ:タイラダイスケ(FREE THROW)

2016年3月12日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
豊田道倫 & mtvBAND(久下惠生、宇波拓、冷牟田敬)
直枝政広(カーネーション)
スカート

2016年3月13日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
SAKANAMON
Suck a Stew Dry

2016年3月17日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
MY DISCO
Qomolangma Tomato
VMO
and more

2016年3月18日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
U.S.Girls
DUSTIN WONG

2016年3月20日(日)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
Joan Of Arc
Climb The Mind

2016年3月21日(月)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:Joan Of Arc

2016年3月24日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
在日ファンク
思い出野郎Aチーム

2016年3月25日(金)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:あふりらんぽ
DJ:37A

2016年3月26日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
The Dylan Group
and more

2016年3月30日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
group_inou
People In The Box

プロフィール

岸本純一(きしもと じゅんいち)

地元大阪のライブハウスで照明スタッフとして働き始め、2000年に上京してnestで現場スタッフとして働く。翌年からブッキングマネージャーになり海外アーティストの招聘も始める。その後店長になり現在に至る。

野村幸弘(のむら ゆきひろ)

ウルトラヴァイヴ~ホットスタッフプロモーションでのイベントや音源制作の職務を経て、2009年、音楽制作室「DUM-DUM LLP」をKioon Sonyの富樫陸と共にスタート。 相対性理論、七尾旅人などの国内アーティストのツアー、MAC DEMARCOやDEERHOOF、MOUSE ON MARSなどの海外アクトの招聘、FREE DOMMUNEなどのイベント制作等に携わり、現在に至る。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)