cero、OGRE、D.A.N.の担当者たちが語る、日本インディー15年史

スペースシャワーTV発の新たな大型カルチャーイベント『TOKYO MUSIC ODYSSEY』。「TOKYOから未来へ、次世代を創造する新たな音楽とカルチャーの祭典」をテーマに掲げ、2月28日に開催される『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』を軸に、新人アーティストを紹介する『NEW FORCE』、映画上映やアートワークの展示など、多彩な催しが2月から3月にかけて断続的に開催されている。

そして、『NEW FORCE』と並ぶもう1つのライブイベントが、2月23日に渋谷WWWで開催される『ALTERNATIVE ACADEMY』。「独創的な音楽性と個性を十分に発揮し、独自のスタンスで2015年のシーンで話題になったアーティストが出演するライブ」を掲げたこのイベントには、cero、OGRE YOU ASSHOLE、D.A.N.という、2015年はもちろん、これからの10年間をもリードしていくであろう素晴らしい3組が集結した。

そこで今回は各バンドの所属レーベルから、カクバリズムの角張渉、P-VINEの柴崎祐二、BAYON PRODUCTIONの北澤学を迎え、座談会を開催。現在のインディーシーンのキーパーソンとも呼ぶべき三人が音楽を届ける上での自身のスタンスを語る、非常に貴重な機会となった。

※ceroの『ALTERNATIVE ACADEMY』出演はキャンセルになりました。

「リスナーをメインストリームからこっちに持ってこないと」という気持ちはずっとあります。(角張)

―本日は『ALTERNATIVE ACADEMY』に出演するcero、OGRE YOU ASSHOLE、D.A.N.のことから、日本のインディーシーンの過去・現在・未来についてまで、幅広くお話しいただければと思います。まず、ceroは個人的にも昨年のMVPと言っていい活躍だったと思うのですが、北澤さん、柴崎さんはそれぞれceroに対してどんな印象をお持ちですか?

北澤(D.A.N.所属レーベル代表):ceroはホントすごいですよね。うちの若いバンド(Yogee New Waves、never young beachらが所属)はみんなリスペクトしてるし、憧れであり目標であるという意識を持ってると思います。昨年出たアルバム『Obscure Ride』もめちゃめちゃよかったし。

角張(cero所属レーベル代表):柴ちゃん(柴崎)はceroのメンバーとも仲いいですからね。

柴崎(OGRE YOU ASSHOLE担当ディレクター):僕は彼らがまだカクバリズムからデビューする前に、高城くん(ceroのボーカル)のやってるお店「Roji」にお客さんとして行っていて、それ以来の付き合いです。当時から素晴らしい音楽をやってるなって思ってたんですけど、みるみるうちにステージが上がって行って。同世代のオルタナティブなことをやってるミュージシャンの代表的存在として、常に応援しています。ceroを中心としたコミュニティーにはいろんなバンドやクリエイターが出入りしていて、この5年くらいで全体的に面白くなったような印象がありますね。

左から:柴崎祐二、角張渉、北澤学
左から:柴崎祐二、角張渉、北澤学

角張:ceroは他のバンドに優しいんですよ。王舟とかAlfred Beach Sandalには特にすげえ優しい(笑)。ただceroも含めカクバリズムのバンドって、ユアソン(YOUR SONG IS GOOD)もSAKEROCKもそうだけど、真ん中というか、何かを代表する立場には行きたがらないんですよね。あえてかもしれないですけどね(笑)。たまに旗を振る人もいますけど、ceroはしっかり自分らのやりたい音楽を深く探究して、オルタナティブの方向には行きつつも、周りに優しいなあって。まあ、普通優しいですよね(笑)。

角張渉

―確かに、旗を振るというイメージではないですね。

角張:「シーンを作ろう」という意識を持ったことはないと思います。ただ「僕らに続くバンドがやりやすくなったらいいよね」ということを、高城くんはよく話してますね。

―カクバリズムはこの十数年で日本のインディーシーンの中でも有数のレーベルになったと思うのですが、どんなことを大事にしながら運営をしてきたのでしょうか?

角張:「リスナーをメインストリームからこっちに持ってこないと」という気持ちはずっとありますね。そういうことも含め、実際星野源くんでいろいろな経験をさせてもらったし、何とか混ぜ込ませたいという意識は常にあります。もともとは「売れる売れないではなく、いい作品を出していく」というところからスタートしてるんですけど、どうやったらちゃんとスポットライトを当てられるかは常に考えていますね。

―なるほど。

角張:たとえば、メインストリームが山手線だとすると、そこからどうやって人を、井の頭線なり他の路線にうまく乗せ換えるかを考えながら十何年やってきて、比較的乗り換えてくれるようになったような気もするし、もしくは僕が駒場東大前くらいまで寄ってるのかもしれないなとも思いますね。実際、今カクバリズムの事務所が下北沢から神泉まで来ちゃってますけど(笑)。わかりにくいですね(笑)。

インディペンデントでやり続けることをかっこいいと思う人が減ってるんじゃないかな? とか思うんです。(角張)

―D.A.N.をはじめとしたBAYON PRODUCTIONのアーティストも、今まさにメインストリームと関わり始めてる段階ですよね。

北澤:そうですね。少しずつメジャーの方たちも気にかけてくれるようになってきたんですけど、ここからどう接していくかは、今わりと葛藤があるところですかね。ヨギー(Yogee New Waves)もネバヤン(never young beach)も、最初は「メジャーに行きたい」という意識は薄かったと思うんですけど、いろんな人に見られて評価されるようになって、だんだん自信にも繋がっていって。

角張:いい話だなあ(笑)。

北澤:当然もっといい作品を作りたい、売れたいという気持ちも出てくるし、そこはメンバーも葛藤してると思うので、今年は彼らをどうやって上のフィールドに持っていけるかを考える年になると思います。

―若いバンドのメジャーに対する意識もここ10年で変わったように思うのですが、その変化をどのように見ていらっしゃいますか?

角張:僕の肌感ですけど、カクバリズムを始めた2002年くらいの頃は、「アンチメジャー」という人がいっぱいいたような気がするんですよね。で、だんだん景気が悪くなった2008年くらいになると、「もうメジャー行かなくていいっしょ」という意識に寄っていって、みんながDIYでツアーを組み立てて、売上を立てる事例がたくさんあって。でもその後は結構へばってきているような気もして。震災以降のここ4年くらいは、なんだかんだメジャーに行く人が増えてる気がします。

―確かに、そうかもしれないですね。

角張:インディペンデントでやり続けることをかっこいいと思う人が減ってるんじゃないかな? とか思ったりもするんですよね。インディペンデントで成功する事例より、『Mステ』に出たりする方がいいってなってしまっている。それはそれで全然いいと思うし、簡単に出演できるものじゃないから。ただ、こだわってるもののよさが少し隠れてしまって、評価する人たちが減っちゃったんじゃないかなとも思うんですよね。

角張渉

北澤:ここ最近は、ちょっと前までインディーズで出してたバンドが、急に『Mステ』に出たり、武道館でライブをやれちゃったりして、その辺のハードル下がってる感じがしますね。

柴崎:実は僕はもともとメジャーレーベルにいて、ずっとJ-POP系の宣伝をやってたんです。もちろんやりがいのある仕事ではあったけれど、正直に言えばそういう音楽は好きというわけではなくて、本来自分が好きな音楽とかインディー的なものに憧れながら20代前半を過ごしていて。P-VINEに入ってからは、最初は洋楽の宣伝とかを幅広くやっていたんですけど、そのうち邦楽のインディーで「DIYでやっていくんだ」という意識のある人たちとたくさん出会って、自分も段々とそういう価値観に共鳴していくようになっていきました。実際にP-VINEからメジャーに行くアーティストもいますが、そういう人はインディーのよさも十分わかった上で、それでもやったことのない可能性にチャレンジしたい、という気持ちがあるんだと思うんですよね。

柴崎祐二

―なるほど。

柴崎:なので、もちろんレーベルから離れるのは残念ではあるんですけど、一方で、前向きに頑張るために違った環境を模索したいという気持ちもわかるというか。そういった環境も含めて自分たちで考えていきたいというアーティストが、最近は増えていると思いますね。だからこそ、今後はリリースだけではなくて、インディーやメジャーといった枠組みとは別に、たとえばライブやその他の活動を含めたマネージメントをやるとか、多角的にアーティストをサポートしていけるような体制を目指すのが大切だと思っています。

角張:うん、めちゃわかります。インディーのよさ、風通しのよさのまま、メジャーでやれたらというのはありますよね。

柴崎:昔のメジャーレーベルだと、音楽的なことを含めてアーティストの描くビジョンのもとにスタッフが動いていくというよりも、レコード会社の組織の力である程度ひかれたレールの上で押し上げるようなやり方が多かったと思うんです。でも最近は、アーティストや、その近くにいるクリエイターやスタッフとかが一緒にDIYなやり方で作品作りをしていくことに対して、ちゃんと周りがリスペクトしてくれる環境ができてきたような気がします。それはある程度裏方の共通認識になってきているような気がしていて、いい変化だと思いますね。

メジャーからインディーズにいくというと、昔は「メジャー落ち」みたいな言葉があったじゃないですか? でも、(OGREは)そういう認識は全然ないですね。(柴崎)

―さきほど柴崎さんから「邦楽のインディーで『DIYでやっていくんだ』という意識のある人たちと出会って、自分もそういう価値観になっていった」というお話がありましたが、特に誰との出会いが大きかったのでしょうか?

柴崎:それはトクマル(シューゴ)さんが一番大きいかもしれないです。クリエイティブな作業はもちろん、いろんな面でDIYなスタンスで面白いことをしよう、という意識がありますよね。

―OGRE YOU ASSHOLE(以下、OGRE)とトクマルさんは、それぞれの道を歩みつつも、時代感としては並走してきたような印象があります。

柴崎:OGREは逆にメジャーからインディーに来たわけですが、まず第一に彼らの創作性をいい形で高めるための環境作りについて相談を重ねる中で、P-VINEと一緒にやってくれることになったんです。メジャーからインディーズにいくというと、昔は「メジャー落ち」みたいな言葉があったじゃないですか? でも、そういう認識は全然ないですね。

―おそらく外側の多くの人も同じ感覚だと思います。それは「OGREだからこそ」という部分もあると思いますし。

角張:僕はOGREのことはUKプロジェクト(2007年頃に所属していたレーベル)のときから知ってるんです。キセル(カクバリズム所属)のことをすごく好きだと言ってくれて、よく一緒にライブをやってくれていて。で、P-VINEに移籍する前に、「P-VINEってどうですか?」って相談してくれて、「柴ちゃんのところだったら絶対いいよ」と話した記憶があります。OGREはすでに圧倒的な存在だし、このまま続いていったら半端ないバンドになるだろうなって思いますね。

北澤:OGREって、メンバーの地元が長野県じゃないですか? D.A.N.のサポートをやってる小林うてなちゃんも、出戸さん(OGRE YOU ASSHOLEのボーカル)と同じ長野県の原村出身なんですよ。

柴崎:出戸くんが「うてなちゃんは赤ちゃんの頃から知ってる」って言ってました(笑)。

―OGREは、今も地元の長野県を生活の拠点にしていることも、オルタナティブなスタンスに影響を与えてそうですよね。

柴崎:それこそ携帯の電波が入らないところもあるような村で、いい意味でシーンと隔絶してるというか、閉じこもってるわけじゃないんだけど、あまり雑音が入ってこない環境なので、それは音楽や活動スタンスにも影響してるんじゃないかと思いますね。

まず現場での発信力があって、それがSNSと合致すると、よりパワーを増す。(角張)

―2010年前後のOGREはサカナクションやthe telephonesと一緒に大きなイベントに出る一方で、「ネスト系」(渋谷O-nestを中心とした動き)と呼ばれたライブハウスシーンにもいて、トクマルさんやgroup_inouなどと近いところにもいました。そして、今は落ち着くべき場所としてP-VINEに来たような印象があります。こうした変遷というのは、ネットによって音楽のあり方が変わる流れとどこかシンクロしていたような気もするのですが、みなさんはどのような印象をお持ちですか?

柴崎:シーンというものは後付けだと思うんですけど、それが仮にあるとするなら、ライブハウスの発信力というのは大きいと思います。

角張:まずネストとかWWW、レコードショップのJET SET、ココナッツディスクなどでの現場での発信力があって、それがSNSと合致すると、よりパワーを増すというか。『Shimokitazawa Indie Fanclub』(下北沢の複数会場で開催されるライブサーキットイベント)とかだと、ネット上でちょっと話題に上がったバンドって、すぐ入場規制になるんですよね。ライブ2、3回目にも関わらず、「とりあえず観ておこう」みたいなお客さんが集まるから。ただ、「シーンなのか?」というと、これはまだわからないというか……バンドの知名度が広がるスピードは速くなっていると感じますけどね。

北澤:SoundCloudとかYouTubeで、音源を直接ユーザーに届ける機会がここ数年で格段に増えていて、うちのバンドは特にそのタイミングで出てきているので、ネットからの発信力は感じていますね。デモの音源をSoundCloudにあげたりすると、すぐ反応があったりする。僕らの時代からすると、遠回りしなくてもユーザーに直で届けられるというのは、プロモーションとしてすごく有効に活かせる便利な時代だなって思いますね。

北澤学

―D.A.N.はまさに今おっしゃったSoundCloudやYouTube、そしてその前に角張さんがおっしゃったライブハウスの発信力とSNSの合致によって、2015年を代表する新人になったと思います。まだフルアルバムも出していないのに、一気に名前が広まりましたよね。

北澤:まだEPと配信しか出してなくて、4月にようやく1stフルアルバムを出すところですね。結成から数えてもまだ1年半で、リミックスを除けば、世に発表してるのは4曲だけ。一番新しい“POOL”に関しては、EPを出してからアルバムができるまでに時間が空いてしまうけど、そのあいだに何かアクションを起こしたくて、ライブで評判がよかった“POOL”をあえて配信のみで出したんです。音源でガラッとアレンジが変わりましたけど。

角張:D.A.N.は2014年の10月に法政大学の学園祭でユアソンの前くらいに出てたんですよ。メンバーが「かっこいいバンドがいる」って言ってて、「へー」と思ってたら、北澤さんから「今度出すんですよ」と聞いて、「早いな!」って(笑)。

―最近30代半ばくらいのミュージシャンにインタビューをすると、「D.A.N.いいよね」という話になることが多いです。

北澤:実際、30代から40代の業界関係者とミュージシャンからの評判はいいですね。

柴崎:僕もD.A.N.はめちゃめちゃかっこいいと思っていて。音楽オタクっぽいところが好きなのかも。自分もそういう気質があるので(笑)。「この人たちとにかく音楽が好きなんだろうな」っていうのがわかるし、それが小手先じゃなくて、ちゃんと肉体的なバンドサウンドになってる。僕も「D.A.N.かっこいいよね」っていろんな人と話をしました。

ヨギーに出会うまでは独立なんて全然考えてなかったんですけど、彼らには可能性があると思って、思い切って独立しちゃいました。(北澤)

―北澤さんがBAYON PRODUCTIONを立ち上げたのはどういう経緯だったんですか?

北澤:BAYON PRODUCTION自体は、前にYOUTHという音楽・映像制作会社にいたときに社内で立ち上げて、そこからL.E.D.とかをリリースしていたんです。ヨギーに出会うまでは独立なんて全然考えてなかったんですけど、彼らには可能性があると思って、2014年に思い切って独立しちゃいました。

―レーベルのカラーはどのようにお考えですか?

北澤:いいと思ったら何でもやっちゃうタイプなので、あんまりコンセプトみたいなのは特に意識せず、自信を持ってかっこいいと言えるものだけやっていけたらと思っています。

―さきほど北澤さんご自身がおっしゃっていたように、アーティストが音源を直接ユーザーに届けられるようになって、レーベルの存在意義も問われる時代になっていると思うんですね。その辺りはどのようにお考えでしょうか?

角張:今、ちゃんとしたレーベルが新しく立ち上がることって、確かに少ないですね。名ばかりのレーベルは多いですけど……今の若い子たちってレーベルのことどう思ってるんだろう?

北澤:すごい警戒はされますよ。ヨギーも最初は説得するのに大変でした。「この人、俺たちをどうするつもりなんだろう?」って、ずっと探られてるような感じで。そもそも、「業界の大人」というだけで胡散臭く思われるだろうし。

柴崎:自分が逆の立場だったらって考えると、絶対そう思いますよね(笑)。うちの話をさせてもらうと、お二人のレーベルとは発祥の仕方が違うんです。P-VINEは今年40周年なんですけど、もともとはブルースの専門誌から始まっています。それからブルースなどブラックミュージックを中心に洋楽のリリースをするようになって、だいぶ時代をくだって大体2000年前後から、邦楽の原盤制作に積極的に関わりだしました。でも、たまに若い子と話をすると、もともとブルースや洋楽がメインの会社だったことは全く知らなくて、「オルタナティブな日本のバンドがいっぱいいるところ」みたいな認識だったりするんですよね。

―確かに、今はそう思ってる人が多いかもしれないですね。

柴崎:そういうP-VINEがレーベルとしてどんな存在意義があるかというと、歴史的な蓄積もあるし、会社としては基本的にオールジャンルやっているし、組織としてもそれなりの人数がいる。組織が大きすぎると、どこかで伝言ゲームになってしまって、末端で動いてる人はアーティストのことがよくわかっていないみたいなこともあるけど、うちの場合はそれはなく、その上できちんと戦略も考えてアーティストが作る音楽の魅力をスタッフと共有しながら動いていくことができます、ということを、アーティストと話をするときはよく伝えますね。昔ながらのレーベルでありつつ、各部門が持ってるセンスとか考え方は、今の若い子のセンスとも合致できる。手前味噌ではありますが、そういう会社はなかなかないのかなって思います。

いい作品を作るためのこだわりを持ってることはかっこいい、他と違うのはかっこいいんだってことをわかってもらえるようにしたいです。(角張)

―では最後に、2016年の展望をお一人ずつ話していただければと思います。まずは、柴崎さんいかがですか?

柴崎:僕が大学生だった2000年代前半の頃って、勉強不足もあったと思いますが、「リアルタイムの音楽であまりワクワクするものがないな……」とか思ってたんです。でも今は、次から次へと出てくる音楽がかつてなく面白いと思います。そういう良質なものがたくさんある中で、「これはオルタナティブなものだよね」という括りも重要なんだけど、一方で、そうやって括りすぎることで、かえって「この音楽は自分とは関係のないものだ」というふうにリスナーから見られないように、どう世の中に伝えていくかは慎重に考えないといけないのかなと思いますね。

―何かポイントは見えていますか?

柴崎:これだけ多数の選択肢にアクセスできる状況だと、かえって簡単に消費されてしまう。そうならないように、いかに「これがかっこいいものなんだ」というような文脈を丁寧に伝えるかだと思います。その人にとって特別なものになるためには、よほどの物語がそこに付随してないといけないと思うんです。でも、そこを無理に作っちゃうと、かえって空虚になっちゃう。作品へ興味を持ってもらうための物語作りは、丁寧にやっていかないといけないなと思いますね。音楽的な魅力を語る場合もそうだし、この作品はどういう意義を持つのかといったようなことも、噛み砕いて、十把一絡げにならないようにしないとなって。

―北澤さんはいかがですか?

北澤:今年はD.A.N.もヨギーもネバヤンも、アルバムを出す予定です。まあ「シティポップ」という括りがふさわしいのかどうかはわからないですけど、ここ2年くらいの盛り上がりの中で、ヨギーはずっとその中心にいたと思うので、今年はもうワンランク上にいけるような見せ方を考えていきたいと思ってます。D.A.N.とネバヤンに関しては、一緒に括るつもりはなくて、バンドの個性がそれぞれ強いので、その辺をもっと明確に発信していきたいなと。そのためにも、しっかりバンドの考えを理解して、ちゃんと世に届けることに力を入れたいなと思いますね。

―最初は警戒されたというお話もありましたけど、やはり普段のコミュニケーションが重要だと。

北澤:結構話しますね。常に何を考えてるのか知っておきたいし、まだ年齢的にも周りに流されたりする世代だから、うまくコントロールしてあげたいと思っています。客観的な意見も伝えつつ、信頼持って理解し合えるようにコミュニケーションができればいいなって。レーベルとしての歴は浅いですけど、なんだかんだインディーズの仕事は15年くらいやってるんで、その経験や感覚を活かして、うまく意見していきたいなと思ってます。

左から:柴崎祐二、角張渉、北澤学

―最後に、角張さんいかがでしょうか?

角張:2つあって、まずは途中でも言ったように、僕は会社の規模がそこまで大きくないから、「こだわりがいかにこだわりとして売りになるか」が大事だと思っていて、今年はそこを組み立てていくために時間を使いたいと思ってます。いい作品を作り出すこだわりを持ってることはかっこいい、他と違うのはかっこいいんだってことをわかってもらえるようにしたいですね。頑固にならず、柔らかにですけどね(笑)。

―もう1つは?

角張:僕、今37歳なんですけど、キセル、ニカさん(二階堂和美)、ユアソンとか、そろそろ40代のバンドが、もう一度いい形でいろいろな人たちに聴いてもらえる、観てもらえるためのフォーマットみたいなものを作りたいと思っていて。やっぱり、バンドってずっとうまく生き続ける場合もあるけど、一息入ったりもするから、長く続けるためのフォローアップの仕組みを作って、それをいろんな人と共有できたらなって思うんですよね。怒髪天やフラカン(フラワーカンパニーズ)みたいに、25年とか30年とかバンドを続けて武道館に辿りつくような事例もあるので、あそこまでタフにやるにはどうしたらいいのかを試してみたいと思ってます。

柴崎:それは僕も大賛成です。一緒にそういうことがやれればいいですね。

―じゃあ、来年の『TOKYO MUSIC ODYSSEY』では、そういうライブイベントの枠も作ってもらいましょう(笑)。

角張:それいい! 『NEW FORCE』じゃなくて『NEW VETERAN』みたいな(笑)。

イベント情報
『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER NEW FORCE』

2016年2月16日(火)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
Suchmos
DAOKO
never young beach
Mrs. GREEN APPLE
LILI LIMIT
あいみょん

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日)
会場:東京都 国際フォーラム ホールA

イベント情報
『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

2016年3月4日(金)~3月6日(日)
会場:東京都 渋谷 space EDGE
時間:11:00~19:00(3月5日は20:00まで)
『ART EXHIBITION』参加作家:
植本一子
オオクボリュウ
太田好治
上岡拓也
児玉裕一
谷端実
cherry chill will
本秀康
山根慶丈
鷲尾友公
ほか
料金:無料

『CREATOR'S SESSION』
2016年3月5日(土)17:00~18:00
トーク:
福田哲丸(快速東京)
富永勇亮(dot by dot inc.)

2016年3月6日(日)15:00~16:00
トーク:
evala
YKBX

2016年3月6日(日)17:00~18:00
トーク:
コムアイ(水曜日のカンパネラ)
児玉裕一
山田智和

※トークは予約制

プロフィール
cero
cero (せろ)

Contemporary Exotica Rock Orchestra 略してcero。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる。2015年5月27日に、3rd Album『Obscure Ride』をリリース。オリコンアルバムチャート8位を記録し、現在もロングセールスを記録中。2016年5月21日には日比谷野外音楽堂にて、7月10日には大阪城野外音楽堂にて、ワンマンライブ『Outdoors』を開催。角張渉は、ceroが所属するレーベル・マネージメント会社「カクバリズム」の代表。

OGRE YOU ASSHOLE (おうが ゆー あすほーる)

メンバーは出戸学(Vo,Gt)、馬渕啓(Gt)、勝浦隆嗣(Drs)、清水隆史(Ba)の4人。2005年にセルフタイトルの1stアルバムをリリース。2009年3月にバップへ移籍し、シングル『ピンホール』でメジャーデビュー。2014年10月には、P-VINE RECORDS より6thアルバム『ペーパークラフト』をリリース。柴崎祐二は、P-VINE RECORDSにてOGRE YOU ASSHOLEのA&Rディレクターを務める。

D.A.N. (だん)

2014年8月に、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。『FUJI ROCK FESTIVAL '15《Rookie A Go Go》』に出演。北澤学は、D.A.N.が所属するレーベル「BAYON PRODUCTION」の代表。

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