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cero、OGRE、D.A.N.の担当者たちが語る、日本インディー15年史

cero、OGRE、D.A.N.の担当者たちが語る、日本インディー15年史

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也

ヨギーに出会うまでは独立なんて全然考えてなかったんですけど、彼らには可能性があると思って、思い切って独立しちゃいました。(北澤)

―北澤さんがBAYON PRODUCTIONを立ち上げたのはどういう経緯だったんですか?

北澤:BAYON PRODUCTION自体は、前にYOUTHという音楽・映像制作会社にいたときに社内で立ち上げて、そこからL.E.D.とかをリリースしていたんです。ヨギーに出会うまでは独立なんて全然考えてなかったんですけど、彼らには可能性があると思って、2014年に思い切って独立しちゃいました。

―レーベルのカラーはどのようにお考えですか?

北澤:いいと思ったら何でもやっちゃうタイプなので、あんまりコンセプトみたいなのは特に意識せず、自信を持ってかっこいいと言えるものだけやっていけたらと思っています。

―さきほど北澤さんご自身がおっしゃっていたように、アーティストが音源を直接ユーザーに届けられるようになって、レーベルの存在意義も問われる時代になっていると思うんですね。その辺りはどのようにお考えでしょうか?

角張:今、ちゃんとしたレーベルが新しく立ち上がることって、確かに少ないですね。名ばかりのレーベルは多いですけど……今の若い子たちってレーベルのことどう思ってるんだろう?

北澤:すごい警戒はされますよ。ヨギーも最初は説得するのに大変でした。「この人、俺たちをどうするつもりなんだろう?」って、ずっと探られてるような感じで。そもそも、「業界の大人」というだけで胡散臭く思われるだろうし。

柴崎:自分が逆の立場だったらって考えると、絶対そう思いますよね(笑)。うちの話をさせてもらうと、お二人のレーベルとは発祥の仕方が違うんです。P-VINEは今年40周年なんですけど、もともとはブルースの専門誌から始まっています。それからブルースなどブラックミュージックを中心に洋楽のリリースをするようになって、だいぶ時代をくだって大体2000年前後から、邦楽の原盤制作に積極的に関わりだしました。でも、たまに若い子と話をすると、もともとブルースや洋楽がメインの会社だったことは全く知らなくて、「オルタナティブな日本のバンドがいっぱいいるところ」みたいな認識だったりするんですよね。

―確かに、今はそう思ってる人が多いかもしれないですね。

柴崎:そういうP-VINEがレーベルとしてどんな存在意義があるかというと、歴史的な蓄積もあるし、会社としては基本的にオールジャンルやっているし、組織としてもそれなりの人数がいる。組織が大きすぎると、どこかで伝言ゲームになってしまって、末端で動いてる人はアーティストのことがよくわかっていないみたいなこともあるけど、うちの場合はそれはなく、その上できちんと戦略も考えてアーティストが作る音楽の魅力をスタッフと共有しながら動いていくことができます、ということを、アーティストと話をするときはよく伝えますね。昔ながらのレーベルでありつつ、各部門が持ってるセンスとか考え方は、今の若い子のセンスとも合致できる。手前味噌ではありますが、そういう会社はなかなかないのかなって思います。

いい作品を作るためのこだわりを持ってることはかっこいい、他と違うのはかっこいいんだってことをわかってもらえるようにしたいです。(角張)

―では最後に、2016年の展望をお一人ずつ話していただければと思います。まずは、柴崎さんいかがですか?

柴崎:僕が大学生だった2000年代前半の頃って、勉強不足もあったと思いますが、「リアルタイムの音楽であまりワクワクするものがないな……」とか思ってたんです。でも今は、次から次へと出てくる音楽がかつてなく面白いと思います。そういう良質なものがたくさんある中で、「これはオルタナティブなものだよね」という括りも重要なんだけど、一方で、そうやって括りすぎることで、かえって「この音楽は自分とは関係のないものだ」というふうにリスナーから見られないように、どう世の中に伝えていくかは慎重に考えないといけないのかなと思いますね。

―何かポイントは見えていますか?

柴崎:これだけ多数の選択肢にアクセスできる状況だと、かえって簡単に消費されてしまう。そうならないように、いかに「これがかっこいいものなんだ」というような文脈を丁寧に伝えるかだと思います。その人にとって特別なものになるためには、よほどの物語がそこに付随してないといけないと思うんです。でも、そこを無理に作っちゃうと、かえって空虚になっちゃう。作品へ興味を持ってもらうための物語作りは、丁寧にやっていかないといけないなと思いますね。音楽的な魅力を語る場合もそうだし、この作品はどういう意義を持つのかといったようなことも、噛み砕いて、十把一絡げにならないようにしないとなって。

―北澤さんはいかがですか?

北澤:今年はD.A.N.もヨギーもネバヤンも、アルバムを出す予定です。まあ「シティポップ」という括りがふさわしいのかどうかはわからないですけど、ここ2年くらいの盛り上がりの中で、ヨギーはずっとその中心にいたと思うので、今年はもうワンランク上にいけるような見せ方を考えていきたいと思ってます。D.A.N.とネバヤンに関しては、一緒に括るつもりはなくて、バンドの個性がそれぞれ強いので、その辺をもっと明確に発信していきたいなと。そのためにも、しっかりバンドの考えを理解して、ちゃんと世に届けることに力を入れたいなと思いますね。

―最初は警戒されたというお話もありましたけど、やはり普段のコミュニケーションが重要だと。

北澤:結構話しますね。常に何を考えてるのか知っておきたいし、まだ年齢的にも周りに流されたりする世代だから、うまくコントロールしてあげたいと思っています。客観的な意見も伝えつつ、信頼持って理解し合えるようにコミュニケーションができればいいなって。レーベルとしての歴は浅いですけど、なんだかんだインディーズの仕事は15年くらいやってるんで、その経験や感覚を活かして、うまく意見していきたいなと思ってます。

左から:柴崎祐二、角張渉、北澤学

―最後に、角張さんいかがでしょうか?

角張:2つあって、まずは途中でも言ったように、僕は会社の規模がそこまで大きくないから、「こだわりがいかにこだわりとして売りになるか」が大事だと思っていて、今年はそこを組み立てていくために時間を使いたいと思ってます。いい作品を作り出すこだわりを持ってることはかっこいい、他と違うのはかっこいいんだってことをわかってもらえるようにしたいですね。頑固にならず、柔らかにですけどね(笑)。

―もう1つは?

角張:僕、今37歳なんですけど、キセル、ニカさん(二階堂和美)、ユアソンとか、そろそろ40代のバンドが、もう一度いい形でいろいろな人たちに聴いてもらえる、観てもらえるためのフォーマットみたいなものを作りたいと思っていて。やっぱり、バンドってずっとうまく生き続ける場合もあるけど、一息入ったりもするから、長く続けるためのフォローアップの仕組みを作って、それをいろんな人と共有できたらなって思うんですよね。怒髪天やフラカン(フラワーカンパニーズ)みたいに、25年とか30年とかバンドを続けて武道館に辿りつくような事例もあるので、あそこまでタフにやるにはどうしたらいいのかを試してみたいと思ってます。

柴崎:それは僕も大賛成です。一緒にそういうことがやれればいいですね。

―じゃあ、来年の『TOKYO MUSIC ODYSSEY』では、そういうライブイベントの枠も作ってもらいましょう(笑)。

角張:それいい! 『NEW FORCE』じゃなくて『NEW VETERAN』みたいな(笑)。

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イベント情報

『TOKYO MUSIC ODYSSEY』

「TOKYO MUSIC ODYSSEY」とは、スペースシャワーTVがプロデュースする、音楽を中心に音楽と親和性の高いカルチャーも巻き込んで開催する複合イベントです。素晴らしい音楽の発信、新しい才能の発掘を通して、音楽の感動を多くの人に伝え、体験できるリアルスペースを提供します。私たちの心を揺らし、人生を豊かにしてくれるアーティスト、クリエイターが最高に輝く場所を創ることを目指します。そして、未来へ続く音楽文化の発展へ貢献していきます。「TOKYO MUSIC ODYSSEY」は5つのコンテンツで構成、イベントを開催いたします。(オフィシャルサイトより)

『SPACE SHOWER NEW FORCE』

2016年2月16日(火)OPEN 16:30 / START 17:30
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
Suchmos
DAOKO
never young beach
Mrs. GREEN APPLE
LILI LIMIT
あいみょん

『SPACE SHOWER ALTERNATIVE ACADEMY』

2016年2月23日(火)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京都 渋谷WWW
出演:
OGRE YOU ASSHOLE
D.A.N.
Albino Sound
Qrion
※ceroは出演キャンセルになりました

『SPACE SHOWER MUSIC AWARDS』

2016年2月28日(日)
会場:東京都 国際フォーラム ホールA

イベント情報

『SPACE SHOWER MUSIC ART EXHIBITION』

2016年3月4日(金)~3月6日(日)
会場:東京都 渋谷 space EDGE
時間:11:00~19:00(3月5日は20:00まで)
『ART EXHIBITION』参加作家:
植本一子
オオクボリュウ
太田好治
上岡拓也
児玉裕一
谷端実
cherry chill will
本秀康
山根慶丈
鷲尾友公
ほか
料金:無料

『CREATOR'S SESSION』
2016年3月5日(土)17:00~18:00
トーク:
福田哲丸(快速東京)
富永勇亮(dot by dot inc.)

2016年3月6日(日)15:00~16:00
トーク:
evala
YKBX

2016年3月6日(日)17:00~18:00
トーク:
コムアイ(水曜日のカンパネラ)
児玉裕一
山田智和

※トークは予約制

プロフィール

cero
cero(せろ)

Contemporary Exotica Rock Orchestra 略してcero。様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる。2015年5月27日に、3rd Album『Obscure Ride』をリリース。オリコンアルバムチャート8位を記録し、現在もロングセールスを記録中。2016年5月21日には日比谷野外音楽堂にて、7月10日には大阪城野外音楽堂にて、ワンマンライブ『Outdoors』を開催。角張渉は、ceroが所属するレーベル・マネージメント会社「カクバリズム」の代表。

OGRE YOU ASSHOLE
OGRE YOU ASSHOLE(おうが ゆー あすほーる)

メンバーは出戸学(Vo,Gt)、馬渕啓(Gt)、勝浦隆嗣(Drs)、清水隆史(Ba)の4人。2005年にセルフタイトルの1stアルバムをリリース。2009年3月にバップへ移籍し、シングル『ピンホール』でメジャーデビュー。2014年10月には、P-VINE RECORDS より6thアルバム『ペーパークラフト』をリリース。柴崎祐二は、P-VINE RECORDSにてOGRE YOU ASSHOLEのA&Rディレクターを務める。

D.A.N.
D.A.N.(だん)

2014年8月に、櫻木大悟(Gt,Vo,Syn)、市川仁也(Ba)、川上輝(Dr)の3人で活動開始。様々なアーティストの音楽に対する姿勢や洗練されたサウンドを吸収しようと邁進し、いつの時代でも聴ける、ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求したニュージェネレーション。『FUJI ROCK FESTIVAL '15《Rookie A Go Go》』に出演。北澤学は、D.A.N.が所属するレーベル「BAYON PRODUCTION」の代表。

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