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大森靖子×最果タヒ 「世界よ、人間のダメダメな部分を肯定しろ」

大森靖子×最果タヒ 「世界よ、人間のダメダメな部分を肯定しろ」

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』
インタビュー
小田部仁
構成:CINRA.NET編集部 撮影:菱沼勇夫

人間のダメダメな部分も「かわいい」って書くことによって、「世界よ、それを肯定しろ」っていうふうに思います。(大森)

―さきほど大森さんは、「歌を作るときは一番本質のことをそのまま言ってしまうけど、それだけ言っていてもわかってもらえない」とおっしゃっていました。言葉にはポジティブな力がある一方で、ネガティブな影響力もありますよね。大森さんのエッセイで「誹謗中傷にちゃんと傷つくよ」「自分に向けられる悪口がどんどん雑になってきている」という指摘が印象的でしたが、ネガティブな言葉についてどのように考えますか?

大森:最近までずっと嫌だったのは、「メンヘラ」って言葉でしたね。自分のことというよりも、「メンヘラが大森靖子の歌を聴いている」と言われるのが嫌で。今はもう「お前がメンヘラと言っている才能は、これぐらいのお金になる」って気がついたし(笑)、“マジックミラー”を作ってその境地から脱しましたが、私の音楽を聴いている人は最高にめちゃくちゃ面白い人しかいないし、そこを否定されたくないんですよ。この間、Twitterで「メンヘラだから大森靖子の音楽を聴いた」って自分でつぶやいているツイートを見つけたんですけど、そのツイートにはふわっとした絵文字がたくさんついていて(笑)。「メンヘラ」なんてそれぐらいの言葉なんですよね。ガチで薬を飲んでいるような人は、そもそも私の音楽なんて聴いてない。

最果:私も「メンヘラ」ってよく言われるんですけど、それって「イマドキですね」って言われているとしか思わない。「サブカル」とか「メンヘラ」って言葉は昔と違って当たり前になりすぎていて、今という時代性に引っかかるキーワードぐらいの意味しか持っていないと感じます。あとは、何を言われているかより、どういう気持ちで作品を批評する言葉が書かれているのかってことだと思うんですよね。善意があるか、悪意があるのか。作家としては「好き」って思って読んでくれる人の言葉を見ていればいいんじゃないかなって思っているんです。

大森:まあ、「メンヘラ」って枠のなかでしか自分の作品が評価されてないなら、そうじゃないものを作ろうとは思いますけどね。でもやっぱり、そういう細分化されたカテゴライズって本当に意味がないなと思います。ネットの世界のせいで、自分のオリジナリティーを見失いやすいんですよね。似た人とすぐに友達になれるから。

―『かけがえのないマグマ』のあとがきのなかで、大森さんは「オリジナルな愛し方をしよう」と書いていましたよね。その言葉につながるところがあるような気がしました。

大森:最近、「婚活」をはじめとする「~活」ってあるじゃないですか? でも、愛する行為ってもっとちょっとしたことの積み重ねだし、生産的な行為だと思うんですよね。面白いことをやって、相手を驚かせるとか。そうやっていろんな愛が生まれて、世の中が良い方向に向かっていく。それぞれの愛し方をしないとダメだと思うんです。「活動」にして一括りにしてしまうと、やっぱり社会全体が沈んでしまう気がする。いくら「婚活」で結婚する人が増えてもダメになる一方だと思うんですよ。

―それで思い出したのは、お二人の表現にはよく「かわいい」という言葉が出てくるってことで。この言葉は、全てを肯定する言葉というか、ある意味で「愛」そのものだな、って思うんです。お二人は自分たちの作品によって、世の中がどういう状態であってほしいと願っていますか?

大森:人間のダメダメな部分も「かわいい」って書くことによって、「世界よ、それを肯定しろ」っていうふうに思います。世界には「おもしろさ」ってたくさん溢れていると思うんですよ。でも尖ったものを上の人が丸めるように、世の中は作られているので、そうならないまま出てきたものが見てみたい。私は「気持ちいい」という感覚を大事にしてるんですけど、そういう世界が私は気持ちいいと思うし、好きだな、って思うんです。そうすると私みたいなやつがたくさん出てくるから危険といえば危険かもしれないんだけど(笑)。

左から:大森靖子、最果タヒ

最果:ものを作ることって、理想を押し付けることじゃないと思うんです。理想があるから自己嫌悪につながる。リア充じゃなきゃいけないから、毎日パーティーしなきゃいけないし、友達もたくさんいて、恋人もいなくちゃいけない。それができないと「コミュ障」ってなる。でも、そういうのっていらない。自己嫌悪しなくていいところで、みんな自己嫌悪してるなって。持たなくてもいいどうでもいい理想を言葉を用いた作品で打ち消せたらいいなって思っています。

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リリース情報

{作品名など}
大森靖子
『TOKYO BLACK HOLE』穴盤(CD+DVD)

2016年3月23日(水)発売
価格:5,184円(税込)
AVCD-93389/B

[CD]
1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画
[DVD]
1. “生kill the time 4 you、、♡”PV
2. “生kill the time 4 you、、♡”メイキング
3. “TOKYO BLACK HOLE”PV
4. “TOKYO BLACK HOLE”メイキング
5. 洗脳ツアーおふとん靖子ちゃん
6. 息子カメラ
7. マジックミラー(新宿降臨ver.)
8. 愛してる.com(●ver.)
※200ページ書き下ろしエッセイ、朝井リョウによる解説付き

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』黒盤
大森靖子 『TOKYO BLACK HOLE』黒盤(CD+DVD)

2016年3月23日(水)発売
価格:4,104円(税込)
AVCD-93390/B

[CD]
1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画
[DVD]
1. “生kill the time 4 you、、♡”PV
2. “生kill the time 4 you、、♡”メイキング
3. “TOKYO BLACK HOLE”PV
4. “TOKYO BLACK HOLE”メイキング
5. 洗脳ツアーおふとん靖子ちゃん
6. 息子カメラ
7. マジックミラー(新宿降臨ver.)
8. 愛してる.com(●ver.)

大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』東京盤
大森靖子
『TOKYO BLACK HOLE』東京盤(CD)

2016年3月23日(水)発売
価格:3,024円(税込)
AVCD-93391

1. TOKYO BLACK HOLE
2. マジックミラー
3. 生kill the time 4 you、、♡
4. 超新世代カステラスタンダードMAGICマジKISS
5. 愛してる.com
6. SHINPIN
7. さっちゃんのセクシーカレー
8. 劇的JOY!ビフォーアフター
9. ■ックミー、■ックミー
10. ドラマチック私生活
11. 無修正ロマンティック ~延長戦~
12. 給食当番制反対
13. 少女漫画少年漫画

リリース情報

{作品名など}
『かけがえのないマグマ 大森靖子激白』

2016年1月30日(土)発売
価格:1,512円(税込)
発行:毎日新聞出版

プロフィール

大森靖子
大森靖子(おおもり せいこ)

1987年9月18日生まれ、愛媛県松山市出身のシンガーソングライター。武蔵野美術大学卒。大学進学をきっかけに上京し、高円寺を拠点として活動。弾き語りを基本スタイルに活動する、新少女世代言葉の魔術師。2014年9月のシングル『きゅるきゅる』でメジャーデビュー。2016年3月にアルバム『TOKYO BLACK HOLE』をリリース。

最果タヒ
最果タヒ(さいはて たひ)

詩人・小説家。1986年生まれ。『第44回現代詩手帖賞』『第13回中原中也賞』受賞。詩集に『グッドモーニング』(思潮社)、『空が分裂する』(新潮社)。『死んでしまう系のぼくらに』(リトルモア)で『第33回現代詩花椿賞』受賞。小説に『渦森今日子は宇宙に期待しない。』(新潮社)などがある。今春に新詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(リトルモア)が発売予定。

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