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谷澤智文インタビュー 31歳でメジャーを辞めて世界放浪に出た男

谷澤智文インタビュー 31歳でメジャーを辞めて世界放浪に出た男

谷澤智文『ぼくらはみんなスペーシー』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望
2016/03/09
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ひとりの男が見た現実の風景が、音楽という想像力と創造力の産物を駆使することで、誰も見たことのない摩訶不思議でファンタジックな景色へと姿を変えていく。夢物語ではないが、現実でもない。現実を超える現実の物語。それを紡ぐのは、極彩色のメロディーと野性的なビートを纏った、まるでベッドルームと宇宙の果てを繋ぐような新種のフォークミュージック。谷澤智文の1stアルバム『ぼくらはみんなスペーシー』は聴き手に語りかける、「なんだってできるし、どこへだって行けるさ」と。

1stアルバムと言っても、彼のキャリアは長い。かつては「タニザワトモフミ」の名義で2004年にデビュー。その後、メジャーレーベルでも活動していた彼は、2012年、新たなる変化を求め、全てを投げ打って世界放浪の旅に出た。変わることを恐れず、世界を知り、新たな自分を知った彼が辿り着いた新しい地平――それが『ぼくらはみんなスペーシー』なのだ。しかも、本作はまだ序章。「ぼくらはみんな」シリーズは、全三部作に及ぶという。

世界を放浪するわりに、「『マンガ大賞』選考委員」というインドアな顔も持っている、常に違う姿で目の前に現れる男。刺激と喜びを求め、自己探求ともの作りを突き詰め続け、挙句、自家製の野菜をライブの物販で売る男、谷澤智文。このひょうひょうとした稀代の風来坊に、「あなた、一体何者?」と、改めて問うてきた。

この先も音楽を作れるかどうかの瀬戸際だったんです。

―谷澤さんは、2012年9月から2013年9月まで、1年かけて世界放浪の旅をされていたんですよね?

谷澤:そうなんですよ。それ以前は「タニザワトモフミ」名義で活動していたんですけど、2012年4月に『何重人格』というアルバムを出したあと、抜け殻になってしまったんです。自分の内側にあるものを全部ひねり出した感覚があって、それが強烈に怖くて。「じゃあ、この先どうしようか?」と考えたとき、自分の価値観も哲学も何もかもを壊すようなインプットを思いっきり入れて、そこからもう1回アウトプットできれば、何かが変わるんじゃないかと思ったのがきっかけです。

―それで、世界放浪……すごい急展開ですよね。

谷澤:子供の頃から漠然とした憧れはあったんですよ。世界一周した人ってたくさんいるけど、「人生が変わった」と言う人もいれば、そうじゃない人もいるじゃないですか。じゃあ、自分は世界を旅することで変われるのかどうか、実際にやって試してみたいと思って。それで、当時所属していたメジャーのレコード会社を辞めて、事務所も辞めて、妻も置き去りにして(笑)、ひとりで旅に出ました。

谷澤智文
谷澤智文

―今、すごく軽い感じでお話しされていますけど、「タニザワトモフミ」時代には人気アニメの主題歌を歌ったりもされていたじゃないですか。言ってしまえば、メジャーの大きなステージに居続けることもできた方だと思うんですよ。それを辞めて旅に出るのって、相当な覚悟ですよね?

谷澤:実際は、あまり覚悟は必要なかったですね。当時は、この先も音楽を作れるかどうかの瀬戸際だったので、メジャーも何も関係なかったんですよ。むしろ「旅をしなきゃダメだ」って、そっちに切羽詰ってたくらいで(笑)。結果として、いろんな人に迷惑をかけてしまったし、実際、「タニザワはこれからだ」って思ってくれている人たちもいたんですけど、「『これから』だからこそ『今』なんですよ!」なんてことを言っていたら、最終的には「タニザワらしいね」って受け入れてもらえましたね。

―周りの人たちも、谷澤さんの性格を理解してくれていたんですね。

谷澤:そうですね。メジャーでやっていた頃も、“くたばれJ-POP”という曲を出したとき、ご想像通り色々あったんですけど(笑)。……そうやって、自分が変化するせいで他人に迷惑をかけてきたことは事実なんです。でも、申し訳ないけど「こればっかりはしょうがないよなぁ」って思います。僕は「誰かのため」にものを作りたくない。「誰かのために作ったもの」って、「誰かのせいにできるもの」になってしまうじゃないですか。作ったものが面白くなくても、「その人のために作ったからね」って言い訳ができてしまう。でも、自分のために作っていれば言い訳が効かないですから。「なんでこんなものを作ったんだろう?」なんて、一生思いたくない。

―谷澤さんがそこまで自分自身を突き詰め、そして変化を求め続けるのはどうしてなのでしょうか?

谷澤:それが楽しいからですね。変化や刺激があった方が絶対に楽しい。そもそも、1枚のアルバム毎にガラッと世界を変えていくのが僕の信条なんです。たとえば、今年亡くなったデヴィッド・ボウイもひたすら変化し続け、攻め続けた人だったじゃないですか。僕もそういうもの作りがしたいんです。だから旅に出たのも、「瀬戸際だったから」というより、「また裏切るもの作りをするため」と言った方がいいかもしれないですね。変わり続けていれば「あの頃の方がよかった」なんて言う人ももちろん出てくるけど、その人の期待に添うものを作ることよりも、それをやって自分が本気で楽しめるかどうかの方が重要なんです。そのエネルギーがまた次の作品に向かわせてくれるわけで。だからこそ、変化していきたいって思えるし、それが自分以外の誰かのためになるかもしれない。

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リリース情報

谷澤智文『ぼくらはみんなスペーシー』
谷澤智文
『ぼくらはみんなスペーシー』(CD)

2016年3月9日(水)発売
価格:2,700円(税込)
TNZWR-001

1. 神様ぼくは
2. 明日天気になあれ
3. 銀河鉄道の夜
4. つづき夢のつづき
5. 真夏のオリオン
6. 珍しいキノコ発見!
7. もしも屋
8. エフェクター☆エレクター
9. 太陽系復活祭
10. グッバイ星人

イベント情報

『ぼくらはみんなスペーシー Relea-Space Tour! SPRING』

2016年3月9日(水)
会場:埼玉県 熊谷 Mortar Record
ゲスト:
Ryu Matsuyama
u-ree(jinke/yamazaki/masack/kou/jackson)
and more

2016年3月13日(日)
会場:新潟県 長岡 BONBON

2016年3月18日(金)
会場:岐阜県 中津川 ANNIE HALL

2016年3月21日(月・祝)
会場:愛知県 名古屋 Blue Frog
ゲスト:岩崎慧(セカイイチ)

2016年3月22日(火)
会場:大阪府 新町 cafe Room
ゲスト:岩崎慧(セカイイチ)

2016年3月25日(金)
会場:愛媛県 松山 ワニとサイ

2016年3月27日(日)
会場:京都府 もしも屋

リリース情報

iPhone6/6Sケース「ぼくらはみんなスペーシー (OMOTE)」
iPhone6/6Sケース「ぼくらはみんなスペーシー (OMOTE)」

緻密で壮大なストーリーを感じさせるデザイン

価格:3,780円(税込)

iPhone6/6Sケース「ぼくらはみんなスペーシー (URA)」(クリア)
iPhone6/6Sケース「ぼくらはみんなスペーシー (URA)」(クリア)

アルバムのアートワークを手がけたマンガ家によるデザイン

価格:3,024円(税込)

プロフィール

谷澤智文
谷澤智文(たにざわ ともふみ)

2012年、世界放浪の旅へ。365日で35か国94の街を巡り、帰国。2014年、旅の間書き溜めた曲を元に、奇妙奇天烈摩訶不思議奇想天外バンド・プロジェクト「SPACE LIKE CARNIVAL」結成。バンド名義では谷澤地球と名乗り、作詞・作曲・歌・ギター・ノイズ・MPCを担当。2015年10月2日、満を持してSPACE LIKE CARNIVAL解散。2016年3月9日、1stフルアルバム『ぼくらはみんなスペーシー』リリース。多趣味であり、ロードバイク、オートバイ、アクアリウム、オーディオ、機材いじり、炒飯作り、味噌作り、石窯作り、読書、など、広く浅く、時にやたら深く行くタイプ。谷澤農園と銘打ち、ライブの物販で自身が育てた採れたて野菜を販売したりしている。「マンガ大賞」選考員という顔を持ち、自宅には5千冊を超える漫画が壁となっている。過去、タニザワトモフミというカタカナの名義で音楽活動をしていた。

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