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メジャーは危ない? 意気揚々とデビューしたSANABAGUN.の葛藤

メジャーは危ない? 意気揚々とデビューしたSANABAGUN.の葛藤

SANABAGUN.『デンジャー』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子
2016/07/05

「もはやメジャーとインディーに差はない」。このフレーズは2010年代において、いやもっと前からとっくに常套句となっているわけだが、それは100%正解であると同時に、100%間違っている。このフレーズの本質は「もはやひとつの物差しで優劣を測れる時代ではない」ということであり、現在において最も重要なのは「アーティスト自身の意志」である。つまり、そのアーティストがマスでの成功を夢見るのであれば、マンパワーがあり、宣伝力のあるメジャーが有利なのは今も変わらないし、関わる人数が多い分、混乱が生じやすいということも、やはり変わらないのだ。

ジャズやヒップホップをベースとした音楽性で成り上がりを目論むストリート発の8人組SANABAGUN.が、ビクター内レーベル・CONNECTONEからメジャーデビューを果たしたのは昨年の10月。スーツを着込んでの華々しいアー写が印象的だったが、新作『デンジャー』では一転、MCの岩間俊樹が“メジャーは危ない”で不安定なバンドの現状を赤裸々に綴っている。そこで今回は、フロントマンである岩間とボーカルの高岩遼の二人を迎え、現在のバンドを取り巻く状況について語ってもらった。<10年後 笑って話そう この曲が出来たことを>。このリリックが現実になるかどうか、命運は彼ら自身が握っている。

食えなきゃ意味ないですからね。「自分の芯は曲げずに、音楽で食べる」ってことが大前提。(岩間)

―岩間くんは地元の青森に米軍基地があり、お兄さんもDJをやっていたりという環境で、自然とヒップホップが好きになったそうですが、「ヒップホップで生活をしよう」と思うまでにのめり込んだのは、何か理由があったのでしょうか?

岩間(MC):もともと目立ちたがり屋で、最初は何となく始めたんですけど、ホントは根暗な部分もある人間だから、自分が心の中で思っていることは直接言えずにリリックで書くようになったんです。それからラップが自分のホントの気持ちをわかってもらえるツールになっていきました。あとは、人に褒めてもらえるひとつのアイテムというか、20歳ぐらいになって、「何だったら他の人に勝てるだろう?」って考えたときに、それがラップだった。

岩間俊樹
岩間俊樹

―目立ちたがりではあったけど、コミュニケーションが得意というわけではなく、リリックに書くことで気持ちを表していたと。

岩間:自分を知ってもらえるツールであり、ご飯を食べるための武器でもあるって感じですね。今は少しずつ結果が出てきて、そこそこお金になってる状態なので、「やっとここまで来たな」みたいな。

―前回高岩くんに取材した際も「成り上がり」というのがひとつのキーワードになりましたが、それは岩間くんも共有してる感覚だということですね。

岩間:食えなきゃ意味ないですからね。「自分の芯は曲げずに、音楽で食べる」ってことが大前提ですから。

―高岩くんから見て、岩間くんはどんなキャラクターですか?

高岩(Vo):(岩間)俊樹は結構卑屈なんですよ。詩人というか、文学者的なところもある。でも、その一方でお人好しみたいなところもあるので、「SANABAGUN.(以下、サナバ)で一番卑屈かつ無垢な男」って感じですね。あとは彼も片親なんで、「何かやってやりてえんだよ、クソ野郎」というマインドは常々持ってると思います。

―そこに関しては、自分とも似てる?

高岩:そうですね。多くは語らずに「黙ってやるべ」みたいな感じは、東北人らしいし(共に東北出身)、すごく男らしいなと思います。

高岩遼
高岩遼

今ってフリースタイルが手軽なアイテムとしてムーブメントになってると思うんですけど、僕らは一生を使ってヒップホップを体現しようとしてるんです。(岩間)

―新作の『デンジャー』は歌の要素が増えた一方で、アレンジ的にはヒップホップ要素の強い作品になったと思うんですけど、二人はヒップホップやフリースタイルが流行ってる今の状況をどんな風に見ていますか?

岩間:サナバのヒップホップ要素を構成してるのって、俺と(高岩)遼だと思うんですよね。楽器陣はヒップホップを音楽的にかっこいいと思って聴いてたタイプで、芯がB-BOYなのはこの二人だけなんです。だから、今ブームになりつつあるヒップホップと、サナバがやってるヒップホップは、ちょっと違うと思う。

―確かに、そうですね。

岩間:今ってフリースタイルが手軽なアイテムとしてムーブメントになってると思うんですけど、僕らが見てるのはヒップホップドリームみたいなことで、一生を使ってヒップホップを体現しようとしてるんです。なので、ムーブメントとは若干違うところにいるんだろうけど、寄り添えるところは寄り添って、「こういうヒップホップもあるぜ」って知ってもらえるといいなと思います。

高岩:ヒップホップって、カルチャーだと思うんですよ。ビートボックスにしろ、グラフィティーにしろ、ブレイクダンスにしろ、文化の集大成がヒップホップじゃないですか? 今は「フリースタイル=ヒップホップ」みたいな流れがあって、タワレコでもそういうコーナーが作られてるし、「オシャレとしてiPhoneに入れて着飾る」みたいな感じになってると思うんですよね。そういうのを聴いたちゃんねえ、ちゃんにいにとって、「これがヒップホップ」となってしまうのは、まったくだせえなって。なので、カルチャーの部分も含めて、「ヒップホップをちゃんと聴こうよ」って、耳打ちしたい気分ではあります(笑)。

―ファッション的な部分があってもいいけど、「それだけじゃないんだよ」っていうね。

高岩:サナバは、ヒップホップっていう文化の新たなスタイルとして、ヒップホップっていうお弁当の中のウィンナーくらいになれたらなって(笑)。「サナバっぽいね、そのヒップホップのスタイル」と言われるようになったら、もう僕らは死ねる。そこにサナバをやってる意味があると思いますね。

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リリース情報

SANABAGUN.『デンジャー』
SANABAGUN.
『デンジャー』(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:2,300円(税込)
VICL-64581

1. SANABAGUN. Theme
2. BED
3. 板ガムーブメント
4. P.O.P.E
5. Mammy Mammy
6. ア・フォギー・デイ
7. メジャーは危ない

イベント情報

『2nd album「デンジャー」リリース記念SPECIAL EVENT』

2016年7月23日(土)START 19:00
会場:東京都 タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO

『SANABAGUN.“危ないTOUR”』

2016年9月22日(木・祝)
会場:大阪府 大阪 LIVE SPACE CONPASS

2016年9月23日(金)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'

2016年10月1日(土)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

プロフィール

SANABAGUN.
SANABAGUN.(さなばがん)

岩間俊樹(MC)、高岩遼(Vo.)、隅垣元佐(Gt.)、澤村一平(Dr.)、櫻打泰平(Key.)、谷本大河(Sax./Fl.)、髙橋紘一(Tp./Flh.)、小杉隼太(Ba.)による、ストリートにジャズのエッセンスを散りばめ個性とセンスを重んじて突き進む平成生HIPHOPチーム。楽器隊とボーカル、MCからなる8人組で、メンバー全員が平成生まれの20代でありながら、JAZZの影響を色濃く感じさせる驚異的に高い演奏力を誇り、それでいて老若男女問わず熱狂させる高いエンターテインメント性も併せ持っているのが魅力。2015年10月、1stアルバム『メジャー』をもって、メジャーシーンに進出。2016年7月、2ndアルバム『デンジャー』をリリース。

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