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時代とブームをめぐるシティポップ談義 SATORI×かせきさいだぁ

時代とブームをめぐるシティポップ談義 SATORI×かせきさいだぁ

SATORI『よろこびのおんがく』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:飯嶋藍子

音楽ジャンルを巡る議論というのは、いつの時代にも存在する。ミュージシャンにとって、自らの音楽をジャンルで語られることはあまり気持ちのいいものではないだろうが、その一方で、ジャンル名が付与されたことによって、誰かがその音楽を知るきっかけになるかもしれない。そして、ここ数年で最も議論を呼んでいるジャンル名といえば、もう何度目かわからないほどのリバイバルが叫ばれている「渋谷系」と、1980年代のリアルタイム世代と若い世代でその印象がまったく異なる「シティポップ」だろう。

初のフルアルバム『よろこびのおんがく』を発表する京都発の5人組SATORI。直接的にモータウンを連想させるファンキーな音楽性は、今だと「シティポップ」の枠に当てはまりそうだが、中心人物のハノトモはもともと渋谷系の大ファン。そこで今回対談相手として迎えたのが、渋谷系世代であり、ヒップホップをルーツに持ちながらもポップスへと接近して、2012年には『ミスターシティポップ』を発表しているかせきさいだぁ。ジャンルを巡る対話から、その奥にある両者の本質的な部分をぜひとも感じ取ってほしい。

※かせきさいだぁ側の意向で記事を一部修正しました。

渋谷系はレコード会社が後追いでなんちゃって渋谷系を大量に投入して、それで終わったんです(笑)。(かせきさいだぁ)

―ハノトモさんは、かせきさんはもちろん、渋谷系全般がお好きだそうですね。

ハノトモ:渋谷系と言われる人たちの軽いノリが好きなんです。音楽自体を軽いノリでやっているということではなく、ファンクとかソウルとか、軽快なリズムの音楽がいいんですよね。

左から:ハノトモ、かせきさいだぁ
左から:ハノトモ、かせきさいだぁ

―具体的にはどういった音楽を聴いていたんですか?

ハノトモ:渋谷系から、モータウン(スティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、マイケル・ジャクソンなどを輩出したソウルを中心としたレコードレーベル)を聴いたり、日本だと20年くらい遡って、シュガーベイブや細野晴臣さんのソロを聴いて、「こういう系譜なんや」って知っていく感じでした。音楽のシーンって20年周期みたいなのがあるから、今はまた1996年くらいの感じが来ているのかなって思いますね。

かせきさいだぁ:たとえば、ここ (SATORIの宣伝資料) に「ファンキーシティポップ」というコピーがありますけど、当時はキャッチコピーとかで「渋谷系」って書かれて嫌がる人は結構いたんですよ。そもそも90年代初頭、渋谷HMVの店長の猛プッシュにより排出された全国のチャートと全く異なる渋谷で局地的ヒットを遂げたアーティストのことだったわけですからね。

渋谷系の前にはバンドブームがあったんですけど、その時はみんな衣装を着てステージに立っていて。その中でも、後に渋谷系と呼ばれるような人たちは、普段着でライブをやっていて、そういうバンドがどんどん出てきたんですよね。普段から好きな音楽とか映画なんかのファッションを真似して、ステージにもそのまま上がるっていう。

ハノトモ:その感じは渋谷系以降もありましたよね。ギターロックバンドでも、皮ジャンを着ないスタイルとか。普段着系は結構続いたけど、でもどこかで一回終わった気がします。

かせきさいだぁ:渋谷系はレコード会社が後追いのなんちゃって渋谷系を大量に投入して、それで終わったんじゃないかな(笑)。資料に「渋谷系の新旗手」みたいな宣伝文句をバーッと書いて。渋谷系って音楽のジャンルではなくて現象のことだったのに。一般のリスナーはそんな事情を知らないから、聴いてみてなんとなく「何か違うな」っていう。

かせきさいだぁ

ハノトモ:渋谷系は音楽のジャンルじゃなくて、コミュニティーというか、「繋がってないと意味がない」みたいな雰囲気があって、音だけ真似ているのはすぐわかったような気もします。

かせきさいだぁ:生活と音楽が一緒になっている人ばかりだったんだよね。でも、そういう人たちのフリをした人たちが大量に投入されて、スカッと終わっちゃった(笑)。でも本物の渋谷系だった人たちは、今も同じように活動してますからね。

―きっと何でもそうですよね。自然発生的に始まったものが、作られたものに変わって、終わっていくっていう。

かせきさいだぁ:昔のシティポップも、たぶんシティポップという宣伝文句で送り出された人たちがたくさん現れて終わったんだと思うんですね。その次に来たのがバンドブームだったんだけど、そのうちまた後追いでバンドが現れて、終わっていった。その繰り返しなんだと思います。

ハノトモ:何かのブームを終わらせるには、偽物をバーッと入れたらいいってことですね(笑)。

かせきさいだぁ:そう、ブームを作る方法はわからないけど、終わらせるのは簡単(笑)。

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リリース情報

SATORI『よろこびのおんがく』
SATORI
『よろこびのおんがく』(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:2,160円(税込)
Here, Play Pop! / EVOL RECORDS / HPP-1003

1. 愛しのゾンビ~ナ。
2. モノノケでダンス
3. よろこびのおんがく
4. ときめき地蔵盆
5. 数学
6. NO NO NO
7. とびだせ!やきそば大脱走
8. トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー!
9. 今夜はワン・モア・チャンス

イベント情報

『SATORIのよろこびのおんがくツアー 2016』

2016年9月11日(日)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 下北沢 SHELTER

2016年10月16日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:愛知県 名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL

2016年11月6日(日)OPEN 18:00 / START 18:30
会場:大阪府 心斎橋 Pangea

プロフィール

SATORI
SATORI(さとり)

ファンク、ソウル、R&Bからの影響を受けた京都式シティポップ。キュートなアイドル風の歌声を聴かせるYKOと、セクシーだがちょっと変態チックなハノトモによるツインボーカル!ファンキーで、よりグル―ヴィーなポップダンスナンバーを奏でる5人組。7月6日に1stフルアルバム『よろこびのおんがく』をリリース。

かせきさいだぁ
かせきさいだぁ

1996年、『かせきさいだぁ≡』でメジャーデビューし、1998年に2ndアルバム「SKYNUTS」を発表。他にも「Baby&CIDER」、「トーテムロック」、「The Dub Flower」など、さまざまなユニットでライブ活動中。'09年からは「かせきさいだぁ&ハグトーンズ」を結成し、かせきさいだぁの音楽活動を再開している。2011年6月29日には、13年ぶりとなる待望の3rdアルバム『SOUND BURGER PLANET』を発表。また4コマ漫画「ハグトン」を2001年から描き続けており、近年では、個展も年に数回開催されている。CIDER inc.所属。2012年夏には4thアルバム『ミスターシティポップ』、2013年にはカバーアルバム『かせきさいだぁのアニソング!! バケイション!』をリリースした。

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