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30代は人生の分岐点? 20代後半の迷いを経て結成された1983の話

30代は人生の分岐点? 20代後半の迷いを経て結成された1983の話

1983『golden hour』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:山元翔一 取材協力:cafe GOTO
2016/08/29

昨年デビューアルバム『SUITE』を発表した1983は、文字通り1983年生まれの新間功人が、早稲田大学のサークル「トラベリングライト」のひとつ下の後輩である関信洋を誘い、29歳のときに結成したバンドである。新間はこれまで、ceroや王舟、Alfred Beach Sandalらと交流を持ち、いわゆる「東京インディー」の中ではよく知られた人物だが、自身が曲を作り、ボーカルを担当するバンドは1983が初めて。一方の関にしても、これまで音楽はあくまで趣味であり、表立った活動は一切してこなかった人物で、そんな二人が30歳を前に活動を開始したというのは、とても興味深い。

さらに言えば、1983のメンバー5人は全員が30代で、職業として音楽を続けている者もいれば、仕事と並行しているものもいたりと、異なるスタンスの人間が集まり、そのうえで活動をしている。つまり、ここには「仕事と音楽の両立」という長年の命題に対する、ひとつの解答が示されているとも言えよう。平賀さち枝や小林うてなといったゲストを招き、「日本的なサウダージ」を描いた傑作『golden hour』を完成させ、今後より多くの人に名前が知られるであろう1983のこれまでの歩みについて、新間と関に話を訊いた。

30歳手前くらいって、一般的に迷う時期だと思うんです。そういう中で、「自分一人でどういう音楽ができるんだろう?」って思ったんですよね。(新間)

―1983はバンド名通り1983年生まれの新間さんが29歳のときに始めたそうですが、どんな経緯で結成されたのでしょうか?

新間(Ba,Vo):自分はいろんなバンドをやりながら、イベントの企画を任されることも多かったんですけど、あるときよく出入りしてる阿佐ヶ谷のRoji(ceroの髙城晶平らが経営するカフェバー)でイベントをやることになったんです。1983のスタートはそのための企画バンドですね。関を誘ったのは、そのちょっと前に彼がやっていたバンドのライブを観ていて、いい曲やってるなって思ったのがきっかけです。

1stアルバム『SUITE』より

―大学の音楽サークルで知り合った新間さんと関さんは卒業後も、ときどき会って「バンドやろう」っていう話をよくしていたそうですね。

関(Gt,Vo):でも、大体いつも飲み話で終わってたんですよね。

―関さんは表立った音楽活動は全然していなかったそうですが。

:何もやってなかったです。一人で宅録したりとか、遊びでスタジオに入ることはあっても、基本的には、普通に社会人として暮らしてました。自発的に動くタイプではないので、音楽は完全に趣味の範囲でやってる感じでしたね。

左から:関信洋、新間功人
左から:関信洋、新間功人

―最初は企画バンドだったとはいえ、仕事しながら、30歳手前で新しいバンドを始めるって簡単なことではないと思います。新間さんにとっては初作曲・初ボーカルだったそうで、かなりのチャレンジですよね。

新間:まあ、30歳手前くらいって、一般的に迷う時期だと思うんです。周りは結婚していって、仕事にしても、キャリアを取るか、ワークライフバランスを取るか、いろいろ考えることがある。音楽に関しても、楽器を演奏するのは楽しいし、人前に立って歓声を浴びるのって麻薬的な気持ちよさがあるけど、その反面、長い目で見たときに、これをずっと続けてどうなるんだろうとも思いますよね。そういう葛藤の中で印象的だったのが、ヤン富田さん(ヒップホッププロデューサー、音楽家)のインタビューだったんです。

―どんな内容だったんですか?

新間:ヤン富田さんって、それこそ30歳くらいまで全然音楽の仕事がなかったらしいんですけど、ひたすら自分の音楽を作り続けていて。一方で、スタジオミュージシャン的にやっていた人たちは、当時結構稼いでいたけど、今でも音楽を続けてるのは結局自分だけだって。とても示唆的な話だなぁと思いました。

僕はベースっていう楽器の性質上、「誰かをサポートする」ということが前提になっていたけど、「自分一人でどういう音楽ができるんだろう?」って思ったんですよね。そのためにも、気軽に一緒にできるメンバーを集めようと、まず後輩の関に声をかけたんです。

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リリース情報

1983『golden hour』
1983
『golden hour』(CD)

2016年8月17日(水)発売
価格:2,484円(税込)
ARTKT-013 / kiti-024

1. 文化の日
2. サマーミラージュ
3. feelin
4. レームダック
5. ロデオの新恋人
6. Into The Gold(part.2)
7. Windy(Album ver.)
8. エメラルド・シティ
9. Courtyard
10. 12AM
11. アフリカン・グラフィティ
12. 誕生会

イベント情報

1983
『GOLDEN HOUR RELEASE TOUR』

2016年9月24日(土)
会場:愛知県 名古屋 金山ブラジルコーヒー
出演:
1983
inahata emi
トゥラリカ
料金:前売2,300円 当日2,800円(共にドリンク別)

2016年9月25日(日)
会場:京都府 UrBANGUILD
出演:
1983
Turntable Films
原田晃行
料金:前売2,300円 当日2,800円(共にドリンク別)

2016年10月8日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
1983
王舟(バンドセット)
may.e
エマーソン北村

料金:前売2,800円 当日3,300円(共にドリンク別)

『Slow LIVE'16 in 池上本門寺』

2016年9月3日(土)
会場:東京都 池上本門寺・野外特設ステージ
出演:
Char
中納良恵(EGO-WRAPPIN')
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
ましまろ
GLIM SPANKY(アコースティック2人編成)
土岐麻子
1983(オープニングアクト)

プロフィール

1983
1983(いちきゅうはちさん)

1983年生まれのベーシスト新間功人を中心に結成された、80年代生まれの5人組。各個人の音楽史観をルーツミュージックと解釈し、日本ポップスの可能性を追求。ベーシックな4リズムに、トランペットとフルートが華を添える。メンバーはそれぞれ、バンドメンバー/サポートとしてoono yuuki、森は生きている、Peno、トクマルシューゴ、王舟、シャムキャッツ、寺尾紗穂などの録音に参加している。『golden hour』の録音後、Drum.Clarinetのミズタニタカツクグが脱退し5人体制となる。

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一聴・一見すると繊細に織られたアンサンブルに柔和な印象を抱く。が、極太のベースがリズムとメロディの両方を引っ張っていく様は超アグレッシヴでもある。観客も含めて会場に漂う空気は一貫して緩やかなものでありながら、なによりも3音の鋭い合気道を存分に楽しめるライブ映像だ。ビルドアップした低音に歌心を置くスタイルはまさに今だし、音の余白も心地いい。ポップとエッジィの両極をあくまで愛嬌たっぷりに鳴らす台湾出身の3ピースバンド、その魅力を1カット1カットが十二分に伝えている。(矢島大地)

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