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デビューから10年。手嶌葵が乗り越え、歩んできた道のりを語る

デビューから10年。手嶌葵が乗り越え、歩んできた道のりを語る

手嶌葵『青い図書室』
インタビュー・テキスト
天野史彬
編集:山元翔一
2016/09/21

歌うことが好きなのは、子どもの頃に持っていた「歌うことが楽しい」っていう感覚を思い出せるからだと思う。

―歌に対する責任感が強かったんですね。

手嶌:やっぱり、歌が大好きだからこそ「責任を負わなきゃ」っていう意識があったんだと思います。でも、いまだに社会人としては幼稚なので(笑)、もっと大人にならなければいけないなって思うんですけど……ただ、「歌う」ということに関しては、大人になりすぎないほうがいい部分もある思うんですよね。

―歌に対しては、もっと無邪気でいたい?

手嶌:私が歌うことを好きなのは、そもそも子どもの頃に持っていた「歌うことが楽しい」っていう感覚を思い出せるからだと思うんです。小さい頃に映画を見ながら家族で一緒に歌ったり、CMで流れている歌を家で歌っていたり……そういう楽しい記憶を思い出せる瞬間が多いからこそ、私はカバーが好きだし、幸せな記憶があるからこそ、歌が好きなんだと思うんです。

―歌うことの楽しさは手嶌さんの原点であり、原動力でもあると。手嶌さんにとって、何かを思い出す感覚は歌に向き合ううえで重要ですか?

手嶌:そうですね、大事だと思います。やっぱり、「楽しかったなぁ」って思い出し笑いをするように歌を歌えている感覚があって。

―新作『青い図書室』は、前作『Ren'dez-vous』に比べてノスタルジックな作品に仕上がっている印象を受けたんですけど、それも手嶌さんのそうした歌との付き合い方が反映されているのでしょうか?

手嶌:この10年目のタイミングで、私らしい作品が作れたらなって思ったんです。前作は「映画」をテーマに、「本編のないサウンドトラック」というイメージで作らせていただいたんですけど、今回のテーマは「本」で、「手嶌葵の図書室」というイメージで最初から曲を作っていったんです。今の私を形作っている、小さな頃から好きだったものを考えると、映画の他に本もすごく大事なものだなと思ったので。

―小さな頃から読書家だったんですか?

手嶌:昔は母が読み聞かせをしていましたし、本はすごく好きでしたね。今でもたまに読み返すのは、フランシス・ホジソン・バーネットというイギリスの作家さんが書かれた『秘密の花園』(1911年)という作品ですね。今回のジャケットも、私の中では『秘密の花園』のイメージなんです。

手嶌葵『青い図書室』ジャケット
手嶌葵『青い図書室』ジャケット(Amazonで見る

―『秘密の花園』は、どんなところが魅力の作品なんですか?

手嶌:そうですね……あまり大人が出てこない作品ですね(笑)。子どもたちしか入れない花園のお話で、子どもたちの間の交流が主に描かれている作品なんです。とてもプライベートな空間の中で好きなことをやっている感じが好きで。それに、お花の描写がとても綺麗だったりもしますし、ちょっとほの暗い感じもあって……大きくて広い世界を描いた作品ではないんですけど、その代わり、自分だけの秘密の空間が描かれているところが好きですね。

(30代を目前にして)安心できる場所が欲しいなっていう気持ちは、この作品に表れていると思います。

―それこそ、手嶌さんと縁が深いジブリ作品も、多くは子どもが主人公ですよね。大人の出てこない作品に惹かれるんですかね?

手嶌:大人が嫌いなわけでもないんですけどね(笑)。でも、大人に言われてすることよりも、自分で考えて何かをしたいっていう気持ちは、小さい頃からありました。何かを教えてもらうよりも、自分で映画を見たり本を読んだりすることで、自分で考えて「こういう人になりたい」とか「こういうものを見てみたい」っていう気持ちを募らせていたんです。自分で吸収したいものを探したいっていう欲求があったんだと思いますね。……なので、学校という場所がちょっと苦手だった部分もあるんですよ。

―手嶌さんは、中学生の頃に学校に行けなかった時期があるということも、たまにお話しされていますよね。

手嶌:みんなでいるより、ひとりになりたいなっていう感覚を持ち続けていたのかもしれないです。小学校の時は図書委員になって、図書室にずっといたりしましたね。

―タイトルにある「図書室」は、手嶌さんにとって大事な場所だったんですね。歌も、手嶌さんをひとりにしてくれるものでしたか?

手嶌:そうですね。家の中で、自分が楽しいから歌っているところが始まりなので。

―「家」も、親密な空間を表すキーワードして今作からは強く感じられますよね。たとえば、手嶌さんご自身が作詞された“海を見つめる日”には、<お家に帰りましょう 指を絡ませ 頬を寄せたまま>というラインもありますし。前作が「旅」を感じさせる作品だったことと対照的ですよね。

手嶌:「家」って、今の私を表しているワードでもあると思います。10年間、私はある意味で旅をしてきたと思うんです。いろんな場所にコンサートで行かせてもらったり、いろんな作品の主題歌や挿入歌を歌わせていただいたり……でも今は、家でリラックスしていたいっていう気分なのかもしれないです(笑)。ある意味で、オンとオフの関係なんだと思います。『Ren'dez-vous』がオンの状態だとしたら、『青い図書室』はオフの状態の私を表しているのかも。

―今、オフの状態の自分を表現したくなった理由はどこにあるのでしょう?

手嶌:やっぱり、たくさんの方の前で歌うお仕事を続けるのは、とても素敵なことではありますけど、「視線」の存在って大きいんですよね。人に見られることって、身体にとっては重労働なんです。精神的にも身体的にも疲れてしまう部分はあって。そういう意味で、ひとりになって一息つける場所や、好きなものに囲まれている場所……それが私にとっては「家」や「図書室」なんですけど、そういう場所が必要だなって思うんです。でも、きっと、それは誰にとってもそうですよね?

―うん、そう思います。僕は今、手嶌さんと同じ29歳なんですけど、手嶌さんがこの作品を作った意味がすごくわかるんですよ。20代って、無我夢中で、家を捨ててでも旅に出ようとしますよね。でも、いざ30代を目前に控えたとき、だんだんと人は帰る家があるからこそ旅に出ることができるんだなって気づきはじめるんですよね。

手嶌:そうですよね。そうやって、安心できる場所が欲しいなっていう気持ちは、この作品に表れていると思います。

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リリース情報

手嶌葵『青い図書室』初回限定盤
手嶌葵
『青い図書室』初回限定盤(2CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:3,780円(税込)
VIZL-1016

[CD1]
1. 想秋ノート
2. 白薔薇のララバイ
3. ナルキスと人魚
4. 海を見つめる日
5. 蒼と白~水辺、君への愛の詩~
6. ワインとアンティパスト
7. ミス・ライムの推理
8. Handsome Blue
9. 白い街と青いコート
[CD2]
『Aoi Teshima 10th Anniversary Concert Live at KATSUSHIKA SYMPHONY HILLS on May 28, 2016』
1. 岸を離れる日
2. 虹
3. 朝ごはんの歌
4. 1000の国を旅した少年
5. ちょっとしたもの
6. 瑠璃色の地球
7. 風の谷のナウシカ

手嶌葵
『青い図書室』通常盤(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:3,240円(税込)
VICL-64584

1. 想秋ノート
2. 白薔薇のララバイ
3. ナルキスと人魚
4. 海を見つめる日
5. 蒼と白~水辺、君への愛の詩~
6. ワインとアンティパスト
7. ミス・ライムの推理
8. Handsome Blue
9. 白い街と青いコート

V.A.『永い言い訳 オリジナル・サウンドトラック』
V.A.
『永い言い訳 オリジナル・サウンドトラック』(CD)

2016年9月21日(水)発売
価格:2,700円(税込)
VICL-64654

1. 永い言い訳 OPENING THEME
2. 調子の良い鍛冶屋 ピアノ初級
3. 孤独(モノローグ)
4. パッサカリア
5. 孤独(エゴサーチ)
6. 孤独(静かな夜)
7. 東京タワー
8. ちゃぷちゃぷローリーのテーマ
9. 調子の良い鍛冶屋 ギター
10. 急こう配の坂
11. 夏の海
12. 愛しい望みよ
13. もろびとこぞりて
14. もみの木
15. 行かなくちゃ
16. オンブラ・マイ・フ(歌・手嶌葵)
17. ujasiri
18. 調子の良い鍛冶屋 ENDING

イベント情報

『ミニライブ・トーク&サイン会』

2016年9月24日(土)
会場:東京都 TSUTAYA TOKYO ROPPONGI

2016年9月25日(日)
会場:大阪府 枚方 T-SITE 4F ラウンジスペース

『手嶌葵 10th Anniversary Concert』

2016年10月2日(日)
会場:大阪府 NHK大阪ホール

2016年11月20日(日)
会場:愛媛県 四国中央市土居文化会館(ユーホール)

2016年11月23日(水・祝)
会場:兵庫県 丹波市立ライフピアいちじま大ホール

2016年12月10日(土)
会場:埼玉県 大宮ソニックシティ小ホール

2016年12月18日(日)
会場:東京都 中野サンプラザホール

2016年12月24日(土)
会場:神奈川県 相模女子大学グリーンホール

プロフィール

手嶌葵
手嶌葵(てしま あおい)

1987年、福岡県出身。「The Rose」を歌ったデモCDをきっかけに、2006年公開のジブリ映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」と主題歌の歌唱、ヒロイン"テルー"の声も担当しデビュー。その後、2011年公開のジブリ映画『コクリコ坂から』の主題歌も担当。デビュー10周年となる2016年には「明日への手紙」がフジテレビ系月9ドラマ『この恋を思い出してきっと泣いてしまう』の主題歌に抜擢され大ヒット。4月にリリースされたタイアップコレクションアルバム「Aoi Works~best collection 2011-2016~」もロングセールスを記録する中、9月にはセルフプロデュースによる2年ぶりの待望のオリジナルアルバム「青い図書室」をリリース。聴き手を魅了するその類稀なる歌声は、数々の主題歌やCMソングに求められ続けており、近年はライブ活動も積極的に行っている。

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