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LILI LIMIT×山口保幸 音楽業界のルールが変わるとMVも変わる

LILI LIMIT×山口保幸 音楽業界のルールが変わるとMVも変わる

LILI LIMIT『a.k.a』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:森山将人 編集:矢島由佳子

LILI LIMITの1stフルアルバム『a.k.a』は、まるでレイモンド・カーヴァーの短編小説のように、人々の日常にそっと潜む愛情や狂気を綴った言葉が、ロックもサイケもファンクもエレクトロも飲み込んだ高次元のポップソングに乗せて綴られていく……そんな、脳と肉体を一気に刺激されるような体験を保証する1枚だ。今、ここまで「言葉」と「音」の双方の細部に心血を注ぎ込み、それを「アルバム」というフォーマットによるひとつの世界観として見せることができるアーティストは、そういないだろう。

そして、そんな傑作アルバムのリードトラックである“A Short Film”のミュージックビデオ(以下、MV)がまた素晴らしい。斬新なアイデア、淡々と進んでいく物語、そして、そこに見る者を引き込む曲の世界観と映像のマッチングのよさ……LILI LIMITの音楽と映像表現との親和性の高さを痛感させられる1本だ。

そこで今回は、“A Short Film”のMVで監督を務め、かつてはフリッパーズ・ギターやゆらゆら帝国の作品も手掛けた日本MV界の重鎮・山口保幸と、バンドのフロントマン・牧野純平の対談を敢行。LILI LIMITと映像の関係性、そして今の時代におけるMVの在り方について存分に語ってもらった。

山口さんが撮った映像は、僕のなかでは、サカナクションの“ユリイカ”がすごく大きかったんですよね。(牧野)

―LILI LIMITと山口さんのコラボレーションは、メジャーデビューのタイミングでの“Living Room”に引き続き、今回の“A Short Film”が2度目になりますね。

山口:……あの、メジャーデビュータイミングから僕なの?(笑)

左から:牧野純平、山口保幸
左から:牧野純平、山口保幸

牧野:そうです(笑)。山口さんが撮った映像は、以前からゆらゆら帝国の“タコ物語”とかを見たりしていたんですけど、僕のなかでは、サカナクションの“ユリイカ”がすごく大きかったんですよね。

―どういったところに惹かれたのでしょう?

牧野:山口さんのワンアイデアを広げていく映像の作り方って、音を聴かなくても「映像作品」として成立しているし、もはやMVと言い切らなくてもいいぐらいの完成度の高さがあるんです。なので“Living Room”のMV監督を探していたとき、「山口さんとお仕事させてもらいたいんですけど」と、僕からスタッフの方に頼みました。

山口:でも、LILI LIMITは以前からメジャー感のあるMVを作っていたよね。“Festa”のMVを見て、「おしゃれだなぁ」と思って。だから、依頼をもらったときは「僕でいいのかな?」とも思ったんだけど(笑)。あと、牧野くんが監督した“N_tower”のMVも面白いなと思いました。映像への想いが強いんだろうなって。あれは、スタッフを使って作ったんだよね?

牧野:“N_tower”は僕とアートディレクターの兄と、ふたりで作ったんです。

山口:そうなんだ! 画の切り取り方が面白いなぁって思った。

牧野:“N_tower”は、「映像作品を作る」というよりは、「グラフィックを映像として残していく」という作り方をしていて。写真っぽい映像を残していく構図で、カメラワークもこだわりました。本当は「映像作品」と呼べるようなものを作りたかったんですけど、僕にはそれを作るための技術がなかったから、「今できる自分の表現はなんだろう?」って考えて、あの作品を作ったんです。

―ご自身で監督をされるだけあって、牧野さんのMVに対するこだわりは強そうですね。

牧野:今はいろんなアイデアが入っているものというよりは、見ていてわかりやすくて面白いものを作りたいなと思っているんです。その点は、今回の“A Short Film”のMVも、山口さんのおかげで、よりわかりやすく面白いものができたと思いました。本当に感謝しています。

山口:“A Short Film”に関しては、原案は牧野くんなんです。「フォーリーアーティスト」という、映画を作るときとかに、後から音を付ける人をモチーフにしてMVを作ろうって。そこから、牧野くんのイメージと世に出たときのバランスを調整するために僕が脚色したり、楽曲のテーマとのバランスを取ったりしました。

―ミュージシャン本人からMVの原案が出てくることは多いんですか?

山口:結構ありますよ。アイデアの種は出してくれて、そこからどうしていいかわからないからって投げてもらうことはよくあります。たとえば坂本慎太郎くんも、打ち合わせ時間は短いし、一言二言しゃべるだけなんだけど、種になるものは出してくれるんです。やっぱり、ミュージシャンのなかにあるものが音楽の源だから、なるべくそこに軸を持っていこうとは思いますね。そこにアーティストが見せたいニュアンスや核はあるだろうから。

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リリース情報

LILI LIMIT『a.k.a』初回生産限定盤
LILI LIMIT
『a.k.a』初回生産限定盤(CD+DVD)

2016年10月26日(水)発売
価格:3,600円(税込)
KSCL-2800/1

[CD]
1. A Short Film
2. Wink, Blink
3. Kitchen
4. Observe
5. On The Knees
6. Suite Room
7. Neighborhood
8. Space L
9. Living Room
10. A Few Incisive Mornings
11. Space R
12. Naked
13. Self Portrait
[DVD]
『Music Video』
1. Girls Like Chagall(141121ver.)
2. at good mountain
3. Festa
4. N_tower
5. Living Room
『Studio Session at DEE'S HALL』
6. Living Room
7. Bed Room

LILI LIMIT『a.k.a』通常盤
LILI LIMIT
『a.k.a』通常盤(CD)

2016年10月26日(水)発売
価格:3,000円(税込)
KSCL-2802

1. A Short Film
2. Wink, Blink
3. Kitchen
4. Observe
5. On The Knees
6. Suite Room
7. Neighborhood
8. Space L
9. Living Room
10. A Few Incisive Mornings
11. Space R
12. Naked
13. Self Portrait

イベント情報

『LILI LIMIT ONE MAN TOUR Good Bye Velvet』

2016年11月11日(金)
会場:愛知県 名古屋 APOLLO BASE

2016年11月12日(土)
会場:大阪府 梅田 Shangri-La

2016年11月20日(日)
会場:福岡県 天神 graf

2016年11月27日(日)
会場:宮城県 仙台 enn 2nd

2016年12月9日(金)
会場:東京都 代官山 UNIT

プロフィール

LILI LIMIT
LILI LIMIT(りり りみっと)

牧野純平(Vo)、土器大洋(Gt)、黒瀬莉世(Ba)、志水美日(Key)、丸谷誠治(Dr)からなる5人組。「優しさ」と「狂気」が唄い合う無重力ポップバンド、LILI LIMIT。2012年、ボーカル牧野を中心に山口県宇部にて結成。その後福岡へ拠点を移動し現在のメンバーになる。2014年より東京にて活動を開始。2016年1月、自身2枚目となる全国流通盤ミニアルバム『#apieceofcake』をリリースし、次世代シーンの到来を感じさせる一歩抜けたハイセンスなサウンドが、耳の早いリスナーやメディアの賞賛を受け、2016年最もブレイクが期待されるニューカマーとして注目を浴びている。同年7月『LIVING ROOM EP』でメジャーデビュー。

山口保幸(やまぐち やすゆき)

映像作家。これまでサニーデイ・サービス、ゆらゆら帝国、フリッパーズ・ギター、ケツメイシ、サカナクションなど、多数のミュージックビデオを手がける。

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