『ADVERTISING WEEK ASIA』レポ ライブも充実した広告の祭典

ビジネスとカルチャーの両輪を備えた広告の祭典『ADVERTISING WEEK』

マーケティングや広告、テクノロジー、エンターテイメントなど幅広い業界がひとつとなった世界最大級の「広告とコミュニケーションの祭典」、『ADVERTISING WEEK』。業界の第一線で活躍する、世界各国の様々なビジネスリーダーが一堂に介し、いま注目されているトピックをテーマにプレゼンテーションを行うだけでなく、ミュージシャンによるライブイベントまで開催する、横断的な場となっている。

『ADVERTISING WEEK ASIA』として、アジアへの初上陸を果たしたのは2016年。3回目の今年も全回に引き続き、5月14日から17日の4日間、六本木・東京ミッドタウンにて開催され、国内外から1万人以上が参加した。他に、ニューヨークやロンドン、メキシコ、そしてオセアニア初登場となるシドニーの『ADVERTISING WEEK APAC』がある。

『ADVERTISING WEEK ASIA』ロゴ
『ADVERTISING WEEK ASIA』ロゴ(サイトを見る

落合陽一による基調講演や、LINEによるワークショップなどもある本イベントで、今回筆者が参加したのは、14日のトークセッションと、翌々日にEX THEATER ROPPONGIにて開催された音楽イベント 『J-WAVE NIGHT IN ADVERTISING WEEK ASIA』。14日の17時半から開催されたトークセッションに登壇したのは、CINRA, Inc.代表取締役の杉浦太一と、MATCHA代表取締役社長の青木優で、両社が取り組んでいる「インバウンドビジネス」をテーマに、およそ1時間にわたってクロストークが繰り広げられた。

「クラスター」を切り口にしたインバウンドビジネスの可能性

まずは杉浦が、自社の「HereNow」を紹介。「HereNow」は、アジアのクリエイティブシティーガイド。例えば東京なら夏目知幸(シャムキャッツ)、バンコクならウィスット・ポンニミット(通称タムくん、イラストレーター)といった、その街で活躍するクリエーターやエディターがキュレーターとなり、旬なスポットやイベントを紹介する記事が並ぶサイトだ。

杉浦:例えば旅行の3日目、4日目など、ちょっと中弛みしたときに「いまこの街で面白いことって何があるかな?」とか、「いま、どういうショップが若者に人気なんだろう?」とか、旅行ガイドには載っていないような情報が欲しくなると思うんです。そういうときに役に立つサイトが欲しかったんですよね。

これだけネットが普及しているのに、旅行前の情報取集が相変わらずガイドブックに頼らざるを得ない状況なのは、ネットの検索機能と旅情報の親和性が高くないからだと杉浦は分析する。

CINRA, Inc.代表取締役の杉浦太一
CINRA, Inc.代表取締役の杉浦太一(HereNowを見る

杉浦:そこで注目したのが「クラスター」という概念です。例えばフジロックの季節になると、世界中から音楽クラスターが集まり、そのままアジアのフェスを巡ったり、旅行を楽しんだりする現象が起きています。同じように、アート好き、音楽好きのための旅メディアというふうに、ライフスタイルでカテゴライズすれば、インバウンドビジネスの新しいマーケットが生まれるのではないかという仮説のもと、HereNowを作りました。

斬新なサービスを提供するMATCHA

続いて青木氏が、自社のメディア「MATCHA」を紹介。「MATCHA」は、訪日旅行者に向けて日本の情報を発信するWEBマガジン。「日本の価値ある文化を、時代とともに創っていく」をミッションに掲げ、東京や京都など有名観光地はもちろん、日本全国にある「まだ知られていない魅力」を見出し、それを世界に向けて発信している。

例えば「MATCHA やさしい日本語」というコンテンツは、日本語学習者向けに初級の日本語で書かれており、その全ての漢字に平仮名が振ってある。「日本語に触れながら、日本を知ってもらいたい」という思いで立ち上げたメディアだが、現在のところ、このようなサービスを行なっているのは「MATCHA」とNHKだけだという。

MATCHA代表取締役社長の青木優
MATCHA代表取締役社長の青木優(サイトを見る

MATCHAのコンテンツで筆者がユニークだと思ったのは、成田空港と組んでスタートしたトランジットツアーだ。旅行中、何かと手持ち無沙汰になるトランジット中の待ち時間。2、3時間なら空港内で食事をしたり、仮眠をしたりして過ごすこともできるが、それが5、6時間となると、空港周辺の観光で有効に使えたらと思ったことは何度もある。MATCHAの紹介する「トランジットツアー」は、そうしたニーズに応えたもの。成田空港がスケジュールを立てツアーも用意しているため、時間の心配をすることなく観光が楽しめるというのも嬉しい。

トークセッションの後半は、質疑応答の時間となった。参加者からは、「多言語化の翻訳は誰がやっているのか、人材をどうやってリクルートしているのか」「旅をクラスターでブランディングしていく場合、どのような課題があるか」「失敗談が何かあれば教えて欲しい」など、かなり具体的かつ突っ込んだ質問が飛んだ。

左から:青木優、杉浦太一

2020年に向けて、ますますインバウンドビジネスの需要は高まる中、メディアとして今後どのような関わり方が出来るのか、考えさせられるトークセッションだった。

デジタルを取り入れたサウンドが切り取った「アジアのいま」

日付変わって16日の夜は、EX THEATER ROPPONGIにて『J-WAVE NIGHT IN ADVERTISING WEEK ASIA』が開催された。出演者はDATS、Licaxxx、LILI LIMIT、石野卓球、そしてPOLYSICSの5組。

最初に登場したDATSは、レーザーを駆使した照明の中、複雑なシンコペーションを組み合わせたダンストラックにリアルタイムで「声」をカットアップしていく。精緻なアンサンブルがサビでバーストする、そのコントラストに何度も息を飲んだ。続くDJ、Licaxxxは、その華麗な佇まいからは想像つかないほどハードでヘビーなトラックをスピン。オーディエンスを踊らせながら、その場で音の実験を楽しんでいるようにも見えた。

レーザーを駆使したDATSのステージ
レーザーを駆使したDATSのステージ

最後までひと言も発さず、客席に一礼してステージを去った姿も印象的だったLicaxxx
最後までひと言も発さず、客席に一礼してステージを去った姿も印象的だったLicaxxx

バンドアンサンブルにエレクトロを融合させた福岡出身の5人組LILI LIMITは、その骨太なサウンドと、エクスペリメンタルなギター、カリスマ性のある牧野純平のボーカルが圧巻。メンバー全員がコーラスを取れるところも強味だ。

牧野純平のカリスマ性が際立ったLILI LIMIT
牧野純平のカリスマ性が際立ったLILI LIMIT

石野卓球は、一発目のキック音からもう次元が違う。Depeche Modeの“No Disco”など大ネタを挟みつつ、オーディエンスの反応を見ながらまるで会話をするかのごとく、ツマミやフェーダーを操作していた。

終盤、オーディエンスから大喝采が起きた石野卓球のステージ
終盤、オーディエンスから大喝采が起きた石野卓球のステージ

そしてトリはPOLYSICS。黄色いつなぎを着た4人が一糸乱れぬアンサンブルを展開すると、会場の盛り上がりは最高潮に。テクノ、パンク、オルタナ、ニューウェーブといったスタイルを縦横無尽に飛び回りながら、強靭なグルーヴを繰り出す姿には風格すら漂っていた。

客席を熱狂の渦に包み、大トリを見事に務めたPOLYSICS
客席を熱狂の渦に包み、大トリを見事に務めたPOLYSICS

以上、5組の演奏が全て終了。アジアのいまを切り取る多彩なサウンドで、「広告とコミュニケーションの祭典」を彩った。

『Advertising Week Asia 2018』の様子

イベント情報
『Advertising Week Asia 2018』

2018年5月14日(月)~5月17日(木)
会場:東京都 六本木 東京ミッドタウン



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