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数々の窮地を知るモノブライトだからこそ語れる、人生の進化論

数々の窮地を知るモノブライトだからこそ語れる、人生の進化論

モノブライト『VerSus』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:moco. 編集:矢島由佳子、柏井万作

人生はいつだって、何度だってリセットして再スタートを切ることができる。それを体現しているのが、モノブライトというバンドだ。白ポロシャツにメガネ、黒スキニーというルックスで2007年にメジャーデビューを果たし、以降はバンド名の表記変更やメンバーの脱退 / 加入など、ことあるごとに大胆な「モデルチェンジ」を繰り返しながら進化してきた彼らは、まるで「完成」してしまうことを恐れているようにさえ見える。

そんなモノブライトが、自らのレパートリーをセルフカバーしたアルバム『VerSus』をリリースする。デビュー曲“未完成ライオット”をはじめ、ライブでお馴染みの楽曲がサポートメンバーを含む現在の編成によって新録されており、これを聴けば「現在進行形のモノブライト」の姿を確認することができるはずだ。

タイトルである「VerSus」(ヴァーサス)には「対決」「比較」という意味がある。桃野陽介(Vo)、松下省伍(Gt)、出口博之(Ba)の三人がVSしたいのは、過去の自分たち? 未来のバンド像? それとも……? これまでの10年を振り返ってもらった。

初めて四人で“デイドリームネイション”を合わせた時に、「うわ、これはすごいぞ!」と。それまでやってきたバンドとは全く違う感覚があった。(出口)

―今回、セルフカバーアルバムを作ろうと思った経緯は?

桃野(Vo):デビュー10周年ということで、今まで僕らがやってないことを考えている中で思いついたアイデアです。「今年4月にリリースしたアルバム『Bright Ground Music』で、三人になったモノブライトを見せたんですけど、今すごくバンドがいい状態だなと思うんですよ。

左から:出口博之、松下省伍、桃野陽介
左から:出口博之、松下省伍、桃野陽介

―はい。

桃野:ライブはサポートメンバーを迎えた6人編成で行なっているんですけど、その臨場感や充実感を、「音源」として見せていくにはどうしたらいいのか。それを考えた時に、新曲を並べるよりは昔の曲をレコーディングして、どのように進化したのか比べてもらうのが一番いいんじゃないかと思ったんです。

2016年6月に行われた恵比寿LIQUIDROOMのライブ風景。撮影:古溪一道
2016年6月に行われた恵比寿LIQUIDROOMのライブ風景(ライブレポートはこちら) 撮影:古溪一道

松下(Gt):セルフカバーって、やっている方としては楽しいんですよね。特に初期の曲は、ツアーでやっているうちに曲が育つっていう感覚があって。デビュー当時、それこそ初期衝動に任せて演奏したものは、それはそれでその時にしか出せない熱量が込められていたと思うんですけど、そういう楽曲たちと今、こうして大人になって冷静に向き合うっていうのは、嬉しい作業ではありましたね。

―当時の自分たちとも向き合うわけですね。

松下:まさに当時の自分たちと、今の自分たちの「ヴァーサス」という感じです。やりながら、「ああ、あの時こんなことを考えてたな」とか、「もうなくなったあのスタジオで録ったんだったな」とか。ちょっとしたことなんだけど、思い出したりしつつ楽しく演奏できました。

―ライブで披露していく中、お客さんの反応に合わせてアレンジが変わっていくことも、少なからずあるのでしょうね。

桃野:そうなんです。そこはある意味、僕らとお客さんとの「ヴァーサス」みたいなもので。こちらの意図した通りのリアクションをもらえて自信を深めることもあれば、意図せぬリアクションをいただき、それが楽しくてアレンジを寄せていったりすることもある。ある意味ステージも「音楽を作る場」なんですよね。そういう要素が、今回のアルバムにはたくさん落とし込めたのかなって思います。

桃野陽介

―収録曲の中では、やはりデビューシングルである1曲目の“未完成ライオット”(2007年7月リリース)が、もっともつき合いの長い曲になりますか?

桃野:いや、実はバンドで最初に合わせたのは“デイドリームネイション”なんですよ。元々僕ら、XTCの『Black Sea』(1980年)みたいな音楽を作りたいというコンセプトのもとに結成されたバンドなんですけど、この曲を聴いてもらえばわかる通り、そんなにXTCって感じでもなくて(笑)。

当時は結構メチャクチャだったんですよね。自分のやりたい曲と、イメージしているバンド像と、メンバーの音楽性がちぐはぐで。テンションだけは異様に高く、とにかく「かましてやろう」みたいな。自分たちと、自分たちの音楽に対する根拠のない自信や反骨心を軸としながら活動していたんです。

―何に対して「かましてやろう」っていう気持ちが、一番強かったですか?

桃野:どのバンドもそうだと思うんですけど、「俺たちの曲がダントツにいい!」って思っているわけですよね。当時僕はまだ一人で弾き語りというスタイルで音楽活動をしていたんですけど、ライブハウスでは敢えてバンドとブッキングしてもらったり、そこでミドルテンポの曲をガーッと激しく演奏したり。とにかく、誰もやらないようなことをやって、見ている人たちの予想や期待を裏切ってやろうということばかり考えていました。もう、ヒネくれまくっていたんですよ(笑)。

出口(Ba):その弾き語り、俺も観に行ったんですよ。大学生のアマチュアバンドに混じって一人で出てきた桃野が“デイドリームネイション”を歌ってて、「すげえいい曲だなあ」と思いましたね。

その後、紆余曲折あってベーシストとして加入することになったんですけど、初めて四人でこの曲を合わせた時に、「うわ、これはすごいぞ!」と。とにかくヒネくれた非常識な曲で、それまで自分がやってきたバンドとは全く違う感覚があったんですよ。それが何か? っていうとうまく説明ができないんですけど。

左から:松下省伍、桃野陽介、出口博之

松下:なんなんだろうね、あれ。演奏し終わった瞬間に「はい、このバンドで決定!」って思ったよね。

桃野:若干「思い出補正」が入っているのかもしれないけど(笑)、「この音は、なんて輝いているんだろう!」って思いましたね。それまでやっていたバンドで、そんなふうに感じたことは一度もなかった。

バンドっていうのは、自分の中にないものを他のメンバーが引き出してくれるところなんだっていう。自分の作った曲がどんどん変化していき、自分が想像していたイメージのさらに先へ行けるということを初めて実感したんですよ。本当に感動しましたね。そういう意味では、モノブライトのメンバーを引き寄せた大切な1曲です。

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リリース情報

モノブライト『VerSus』
モノブライト
『VerSus』(CD)

2016年10月12日(水)発売
価格:1,800円(税込)
kiraku records. / ASCU-2007

1. 未完成ライオット(VerSus Ver.)
2. DANCING BABE(VerSus Ver.)
3. あの透明感と少年(VerSus Ver.)
4. デイドリームネイション(VerSus Ver.)
5. 踊る脳(VerSus Ver.)
6. COME TOGETHER(VerSus Ver.)

イベント情報

『Bright VerSus Tour』

2016年10月20日(木)
会場:福岡県 the voodoo lounge
出演:
モノブライト
絶景クジラ

2016年10月22日(土)
会場:広島県 BACK BEA
出演:
モノブライト
絶景クジラ

2016年10月24日(月)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET
出演:
モノブライト

2016年10月29日(土)
会場:宮城県 仙台 PARK SQUARE
出演:
モノブライト
D.W.ニコルズ

2016年11月3日(木・祝)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
モノブライト
ドラマチックアラスカ

プロフィール

モノブライト
モノブライト

2006年に桃野陽介(Vo)を中心に、松下省伍(Gt)、出口博之(Ba)の北海道の専門学校時代の同級生で結成。UKロックシーンを背景にした、感情と刹那がたたずむ音像は桃野陽介というシンガーソングライターの手によって、ひねくれポップロックへと変遷していく。その象徴ともいえる作品、「未完成ライオット」で2007年にメジャーデビュー。これまでオリジナルフルアルバムとしては2013年にリリースされた「MONOBRIGHT three」などを筆頭にして6作品を発表。さらに、精力的なライブ活動と共に2014年にはZepp Tokyoでのワンマンライブも開催。2015年6月のツアーをもって、結成当初のメンバーでもあったドラムが脱退。夏にはそれぞれのソロ活動を経て、同年10月に新体制での再始動を発表。3人体制となったライブ編成に大きな注目が集まる中、サポートメンバーとして、ドラム、キーボード、そしてホーンセクション3名を加えた8人編成でステージに現れ、今年1月には東阪にてワンマンライブを開催。ライブの勢いそのままに、6月には東名阪でのワンマンツアーを成功させる。

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