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トレモノが語る、東京で沖縄料理店を営みながら音楽を続ける信念

トレモノが語る、東京で沖縄料理店を営みながら音楽を続ける信念

トレモノ『Traveler's High 2016 TOUR FINAL ONEMAN』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子
2016/11/09
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東京の世田谷という街に、「小さな沖縄」がある。その名は「沖縄居酒屋 ゆいゆい」。決して広いお店ではないが、入った瞬間にここが東京であることを忘れてしまいそうなほど、沖縄独特の柔らかく親密な風情がある。空気そのものが人懐っこく、きっと、たくさんの人々の笑い声を吸い込んできたであろう壁には具志堅用高のポスターが貼られ、カウンターには一升瓶が並び、見るだけで涎が出そうな手書きの分厚いメニュー表がある。ちなみに、今の季節の名物は沖縄おでん。

この店の店主・難波良がギタリストとして在籍する、メンバー全員が沖縄出身の3ピースバンドが、トレモノだ。1950~60年代のアメリカンポップスやカントリー、さらにスカやレゲエといったラテンミュージックなどを雑食的に消化した、まさに「チャンプルー(ごちゃ混ぜ)」な彼らのサウンドは、私たちが普段、忘れがちになってしまう「幸せ」の存在を気づかせてくれる。幸せとは、本当は居酒屋のカウンターで隣の席から笑いかけてくるようなさり気なさと共に、私たちの近くにあるものなのだと。

かつてはTOWER RECORDS主宰レーベルに所属していたトレモノだが、今年、自主レーベルを立ち上げての活動を開始し、ライブ会場での「手売り」を主体としたリリースも始めた。地元・沖縄を離れ、しかし地元・沖縄を背負いながら活動を続ける彼らは今、東京でなにを追い求めるのか。「ゆいゆい」で話を聞いた。

自分が音楽と店を一緒にやっていることには、なにか使命があるんじゃないかって感じているんです。(難波)

―今日は難波さんが経営されている「沖縄居酒屋 ゆいゆい」にお邪魔しているんですけど、このお店はいつ頃からやられているんですか?

難波(Gt):2006年からなので、今年でもう10年経ちますね。トレモノの結成が2009年なので、実はバンドより長いんです。でも、最初にお店を立ち上げたのは僕じゃなくて、母親なんですよ。

僕が23歳の頃に、地元の沖縄で旦那と喧嘩して、「もう嫌だ!」って東京に出てきたんですよね。で、ずっと六畳一間で母親と二人暮らしをしていたんですけど、23歳で六畳一間、母親と二人暮らしって、キツいじゃないですか(笑)。

難波良
難波良

―そうですね……。

難波:実際、俺は「もう限界だな」と思っていたところ、どうやら母親もそれを感じ取ったらしく、「じゃあ、店出すわ」って。その1か月後には、このお店がオープンしていました。

木田(Vo,Gt):すごいな(笑)。彼(難波)の母ちゃんは、今でもライブの一番最前列で踊っているし、しまいには彼の足を掴んでステージから降ろそうとするような人なんですよ(笑)。

仲間(Ba):ファンキーな人だよね。

左から:難波良、木田龍良、仲間全慶
中央:木田龍良、右:仲間全慶

難波:結局、オープンしてから3年ぐらいした後、母親は旦那と仲直りして沖縄に帰ったんです(笑)。その後に母親からこのお店の権利をもらって、今は僕のお店になっています。……でも、不思議なんですよね。俺が音楽をやっているからなのか、不思議とこの店にはミュージシャンが集まってくるんですよ。

木田:そうなんだよね。嬉しかったのは、「ゆいゆい」で繋がった人たちに、フィッシュマンズの茂木さんと(柏原)譲さん、スカパラの加藤さんがやっているSo many tearsがいて。その縁で、2014年に『トレモノからの挑戦状』というイベントを一緒にやらせていただいたんです。そのとき、最後に彼らの演奏をバックにフィッシュマンズの“いかれたBaby”を歌わせてもらったこともあって。

僕らはカバーしていたこともあるくらいフィッシュマンズが好きで、彼らはまさに雲の上のような存在なんです。そんな人たちと一緒に歌えるなんて、このお店がなかったらありえなかったことなので。「ゆいゆい」って、沖縄の言葉で「繋がる」という意味なんですけど、本当に、このお店を通して繋がっている人たちがいるんだなって思いますね。

店内の様子

店内の様子
店内の様子

難波:このお店の繋がりが、トレモノの活動にも活きてくるんだよね。だから、お店を辞めてバンド1本でやっていこうとは、なかなか思えないんですよ。お店があるからこそ、バンドもやれているし、バンドがあるからお店も上手く回っている。もちろん、両立は大変だし、周りからいろいろ言われることもありますけど、自分が音楽と店を一緒にやっていることには、なにか使命があるんじゃないかって感じたりもするんです。

石垣島とか西表島出身は四つ打ちをやったらダメ(笑)。(木田)

―トレモノは、結成したのは東京だけど、みなさん沖縄出身なんですよね?

木田:そうです。俺と仲間が石垣島出身で、難波にいにいが西表島出身ですね。僕は大学進学のときに上京しました。

―離島出身であることが、ご自分たちの音楽に与えている影響って、どんなものがあると思いますか?

木田:石垣島って、いろいろ郷土芸能が盛んで、「歌の島」って言われているんですよ。それが結構、力になるんですよね。

木田龍良

難波:そうそう、「歌心を持っている」という自負があるよね。だって、地元ではその辺のおっちゃんが、太鼓とか三線とか笛をやっているし、音楽をやっていない人でも、なにか歌心を感じるというか。

木田:お墓参りのときに、お墓の前で三線を弾いたりするんですよ。そのぐらい、楽しいときも悲しいときも、音楽が身近にあるのが沖縄なんです。

沖縄の音楽って、ジャマイカの音楽文化と似ていると言われていて。ジャマイカも、人が亡くなったときに「ナインナイト」っていう、悲しくても歌って踊って故人を見送る習慣があるらしくて。沖縄もそれに似ているところがあって、沖縄出身でレゲエや裏打ちの曲をやる人が多いのも、そういうニュアンスがあるのかもしれないですね。

―レゲエのゆったりとしたビート感が肌に合う感覚もあるんですかね?

木田:たしかに、生活感もあるかも。

難波:島全体が急いでないからね。東京に来て、第一に「急いでいるな」って感じたんですよ。みんな焦っているから、こっちも焦っちゃう、みたいな。とにかく、歩くのが早いなと思う。

仲間:みんな歩くのが早いのに、ぶつらないよね。それがすごいなって思った。僕、東京に来て1年目のとき、歩いていたらとにかく人とぶつかってしまって、それで地元に帰りたくなりましたもん。今はもう、平気で避けながら歩けていますけど、それもそれでちょっと嫌なんですよね。染まった感じがして。

仲間全慶

木田:……だから、BPMの速い四つ打ちとかは、俺らの肌には合わないのかもね。

難波:結成当初は俺たちも四つ打ちやったけどね(笑)。……でも、たしかに、離島から出てきて四つ打ちってなぁ。

木田:そうそう、石垣島とか西表島出身は四つ打ちをやったらダメ(笑)。四つ打ちは那覇ぐらいからじゃない? ちょっとシティに出ないとさ(笑)。

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イベント情報

『Traveler's High 2016 TOUR FINAL ONEMAN』

2016年11月22日(火)
会場:東京都 代官山 UNIT

リリース情報

トレモノ『Traveler's High』
トレモノ
『Traveler's High』(CD)

2016年3月1日(火)からライブ会場、オフィシャルオンラインショップ限定販売
価格:1,620円(税込)
TRMN-001

1. I'm Traveling Man
2. Hello my resort
3. Orange's Star
4. Full Moon
5. 愛のおまじない

トレモノ『Traveler's High2』
トレモノ
『Traveler's High2』(CD)

2016年9月15日(木)からライブ会場、オフィシャルオンラインショップ限定販売
価格:1,620円(税込)
TRMN-002

1. Born Now
2. Can't wait summer
3. 景色
4. 幸せなんて
5. Goodbye baby

プロフィール

トレモノ
トレモノ

2009年結成。石垣島出身都内在住の木田龍良(Vo,Gt)、難波良(Gt)、仲間全慶(Ba)の三人からなるアイランド・ポップバンド。2013年、タワーレコード主催オーディションにてグランプリを獲得し、同年7月に1st.ALBUM『TropiCarnival』をリリース。同作はタワレコメンにもなり注目を浴びる。2014年5月に2nd.ミニアルバム『Paradise A Go Go!!』をリリース。SUMMER SONIC、GREENROOM FESTIVAL、Tropical Lovers Beach Festa、New Acoustic Campなど各地のフェス/サーキットにも出演するなど、ライヴバンドとして各所から注目を浴びる。2016年には自主レーベルを立ち上げ、3月に1st.EP『Traveler's High』をリリース。そして9月に2nd.EP『Traveler's High 2』をリリースし、キャリア史上最大規模となる全国15か所以上を回るツアーを開催中。

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