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遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

KiWi『March』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:鈴木渉 編集:山元翔一

ティム・バートン的ファンタジーと、最先端のビートミュージックの融合――これは、かなりコロンブスの卵的なアイデアではないだろうか。AZUpubschoolとCOR!Sというふたりの新世代トラックメイカーからなるユニット、「KiWi」がビートミュージックを通して描き出すのは、子どもたちやおばけが縦横無尽に駆け回る、愉快で、でも、ちょっと奇妙なファンタジーだ。

たとえひとりぼっちであっても、自由な発想と行動力があれば、自分の頭のなかの世界を形にし、現実へ解き放つことができる――そんな今の時代の在り方をどこまでもポジティブに捉えるKiWiのファンタジックな楽曲たちは、「想像すること」の力を信じるからこそ、ただの絵空事では済ますことのできない強度を持っている。実際、2016年2月にリリースした楽曲“SUGAR PANIC”は、Major Lazerや、Skrillexとのユニット・Jack Üでも活躍するアメリカの大物プロデューサー・Diploのミックスに収録されるなど、既に海外でも注目され始めている。KiWiの産み出すファンタジーは、ふたりの頭のなかを飛び出して、既に現実世界をも浸食し始めているのだ。

国内外問わず発表してきた楽曲を集めた編集盤『March』のリリースにあたり、ふたりに話を聞いた。想像力と創造力に「自分」を託す若者たちの眼差しを感じてほしい。

子どもの頃からずっと、空想や夢物語を考えることが好きだったんです。そこから世界が広がっていく感じがして。(COR!S)

―そもそも、おふたりは個々のトラックメイカーとして活動されてきたんですよね?

AZUpubschool:そうですね。現在進行形でそれぞれの活動もありつつ、KiWiをやっているという形です。最初はSNSを通してお互いの音楽を聴いていたんですけど、話してみたら、ティム・バートン作品とか、『アダムス・ファミリー』(1991年、監督はバリー・ソネンフェルド)や『魔法陣グルグル』(1994年~1995年に放送された漫画原作のアニメ)……そういう、影響を受けた映画やアニメやゲームの趣味も近くて。それで一緒にやってみようっていうところから、KiWiは始まりました。

左から:COR!S、AZUpubschool
左から:COR!S、AZUpubschool

COR!S:AZUpubschoolと一緒にやることになって、私は何かコンセプチュアルなことがやりたいと考えていて。「KiWi」っていうユニット名は、私が果物のキウイを毎日食べているからっていうだけの理由でつけたんですけど(笑)、この名前が決まったとき、何かキャラクターを作ってみようと思ったんです。そこでできたキャラクターが、「おばけのキウィ」で。

KiWi『March』ジャケット / 右上にいるキャラクターが「おばけのキウィ」
KiWi『March』ジャケット / 右上にいるキャラクターが「おばけのキウィ」(Amazonで見る

―“おばけのキウィのうた”や“おばけのキウィの古時計”などの曲タイトルにも出てくるキャラクターですね。

COR!S:この「おばけのキウィ」を妹と見ながら、このキャラクターと、私とAZUpubschoolがリンクしたキャラクターを主人公にした物語を遊びで作っていったんですよね。それが、私たちが今、音楽を通して表現している「KiWi物語」なんです。これができたとき、「この物語は絶対に世に出すべきだ!」と思って、衝動的に物語や設定を書いたPDFをAZUpubschoolに送りつけて。

AZUpubschool:ある日突然、すごい量のキャラクターの設定資料が送られてきたんですよ(笑)。最初は「ん?」って思ったんですけど(笑)、とにかく、物語に合わせて曲を作り始めて、それで最初にできたのが“おばけのキウィのうた”です。

そのときから、この「物語」を表現することは、僕らにとって「ファンタジー」なんだと意識し始めました。この曲のミュージックビデオの人形劇は自分たちで作ったんですけど、このビデオは、音楽しか作ったことのなかった自分にとって、音楽以外の初めての表現だったんです。そのとき、「こんなに面白い表現手段があるのか!」と衝撃を受けて。何かを表現することにおいて、音がすべてではないっていうことに気づいた瞬間でした。

COR!S:このミュージックビデオは、本当に一から丸々自分たちで作ったんですよ。スーパーの裏に段ボールを取りに行くところから始まって、1か月使って、手作りで。

―音楽だけではない、イラストや設定も含めて物語を表現するKiWiの手法が最初に形になったのが、このビデオだったんですね。そもそも、COR!Sさんは頭のなかでキャラクターや物語を創作する傾向があるんですか?

COR!S:そうですね。結構、ピーターパン症候群的な感じがあるんですよね(笑)。自分の好きなものに囲まれながら生きていたくて、機材や家具も全部、好きな白色で統一しているし、子どもの頃からずっと、空想や夢物語を考えることが好きだったんです。何でもいいんですけど、たとえば植木鉢に植えてある木を見て、自分もその植木鉢のサイズに合わせて小さくなったと想像する。そしたらそこから世界が広がっていく感じがして。

COR!S

AZUpubschool:COR!Sはいつもそんな感じだよね。曲の題材を探すために、ふたりで外を歩いたりもするんですけど、COR!Sは、そこで起こった出来事をそのまま見ずに、別の捉え方で伝えてくるんです。それが、本当にメチャクチャで(笑)。たとえば、店先に置いてあったタヌキの置物を、「これはタヌキの指名手配犯だ。そうに違いない!」とか、言い張るんです(笑)。でも、そこに対して「あぁ、そうかもしれんなぁ」とか言って、僕がそこから物語を広げていく。それがKiWiの曲になっていくんです。

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リリース情報

KiWi『March』
KiWi
『March』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,376円(税込)
FRTR-1002

1. KiWi物語
2. Greed Greed
3. SUGAR PANIC
4. Pyrite
5. 月夜の魔法市
6. 星屑のパレード
7. March
8. An Ordinary Waltz
9. おばけのキウィの古時計
10. DROLL KITCHEN
11. ゆめのつづき
12. 魔法のキウイ(Album Version)
13. おばけのキウィの絵描きうた

プロフィール

KiWi
KiWi(きうぃ)

共にアーティスト兼プロデューサーとして活躍するAZUpubschoolとCOR!Sによるコンポーザーデュオ。エレガントでどこか奇妙な楽曲は、コンセプトストーリーである「KiWi物語」をテーマに創られる。そのストーリーは、音楽だけでなく様々なコンテンツを通して少しずつ明らかになっていく。米プロデューサー / DJであるDiplo主催のレーベル「Mad Decent」より2016年7月に『SUGAR PANIC EP』をリリース。その後同年のクリスマスには同レーベルより、Major Lazerらが参加するコンピレーション『A Very Decent Christmas 4』に参加。セルフリリースによるEP『The scene of ordinary』が『Japan Times』に掲載される他、同年10月に「ヴィレッジヴァンガードミュージック」より初のCD作品『KiWi物語』をリリースするなど国内外から高い注目を集めている。

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