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遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

KiWi『March』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:鈴木渉 編集:山元翔一

空想している時間が現実逃避であるとは思わない。空想はある種、別の視点を提示することなんだと思う。(AZUpubschool)

―COR!Sさんって、普段からそんな感じなんですか?(笑)

COR!S:そうですね(笑)。ひとつのものから、どんどんと妄想してお話が発展してしまうんです。「Good Enuff」っていう海外のレーベル(Diploが主宰するレーベル「Mad Decent」のサブレーベル)から出した『M・A・Z・E』は、大阪梅田にある、RPGのダンジョンみたいに複雑な構造のビル街をもとにしていて。そこをAZUpubschoolと一緒に歩きながらいろんな空想をして、作品にしたんです。

COR!S:もともと、映画やゲームでも、キャラクターの年齢とか趣味とか、細かい設定が書いてあるものが好きで。その世界にはその世界のルールがある……架空のなかにも、まるで現実のような世界が存在している感じが好きなんです。ワクワクする。

AZUpubschool:行きたくても行けない世界に魅力を感じるんだろうね。僕も、ゲームのなかの世界を見ながら「この街に住めたらいいのに」って子どもの頃はずっと思っていたけど、それは絶対にできないですよね。でも、絶対にできないからこそ、そこに魅力を感じ続けてきたのかもしれない。

左から:COR!S、AZUpubschool

―COR!Sさんはご自身を「ピーターパン症候群的」と言いましたけど、空想って、どこか子どもの特権であって、大人は許されない感じもあるじゃないですか。「現実逃避しているんじゃないか」って、ネガティブに見られる場合もありますよね。

AZUpubschool:そうですね。でも、個人的には、空想している時間が現実逃避であるとは思わないです。たとえば、COR!Sがタヌキの置物を見て「指名手配犯だ!」と言い張るときって、絶対にそんなことあり得ないのはわかりきってるじゃないですか。でも、「そうだよなぁ」って考えてみても面白いと思うんです。だから空想は、ある種、別の視点を提示することなんだと思う。

それを前提にものを作り始めたら、切り口が当たり前のものではなくなっていくんです。そこから生まれるものがオリジナリティーだし、そうやってものを作るからこそ、自分にしかない感性のものに仕上がるんだと思います。

COR!S:そうだよね。自分の個性って、結局、そういうものの見方からしか出てこないのかなって思います。私はいつも「変わっている」って言われるけど(笑)……でも、もっと、みんな空想する時間を作ればいいのになって思う。

小さい頃、おばあちゃん家のピアノの上に飾ってあった絵画を見ながら、それに合う音楽を勝手に作っていたのをよく覚えていて。(COR!S)

―そもそものおふたりのお話を伺いたいのですが、もともとAZUpubschoolさんは、tomadさん主宰の「Maltine Records」や、Seihoさん主宰の「Day Tripper Records」などのレーベルからリリースされていたんですよね?

AZUpubschool:そうなんです。高校生の頃はバンドをやっていたんですけど、卒業してからDTMを始めて。自分ひとりで曲を作れるようになってからは、関西でSeihoさんがやっている『INNIT』のようなイベントに行くようになったんです。そこで、DJやトラックメイカーの人たちに新しい音楽の情報をもらいながら、どんどんとエレクトロニックミュージックの深みにはまっていって。

―AZUpubschoolさんにとって、「Maltine Records」や「Day Tripper Records」はどんなレーベルでしたか?

AZUpubschool:昔と比べて自分ひとりでできることが増えたじゃないですか。「Day Tripper Records」や「Maltine Records」って、「ひとりですべてを見せる」ということをやってきた人たちだと思うんですよ。

もともと、僕はバンドをやっている頃から「自分ひとりで全部作りたいなぁ」っていうもどかしさがあって、そこからDTMに向かっているので、自分のやりたいことと彼らのようなレーベルの在り方はマッチしたんだと思います。

AZUpubschool

―一方、COR!Sさんは『サウンド&レコーディング・マガジン』の読者コンテストで最優秀賞を受賞するなどのキャリアをお持ちで。COR!Sさんがトラック作りを始めたときも、「ひとりで作ることができる」ということは重要でしたか?

COR!S:そうですね。でも、「ひとり」と言っても、私の場合はAZUpubschoolと違って、本当に引き籠って作るタイプなんです。クラブに仲間がいっぱいいるわけでもなく、周りにDTMをやっている人もいなかったし、本当になんでも自分でやりたいっていう意識が強くて。

―子どもの頃からそういうタイプですか?

COR!S:そうですね。子どもの頃から鍵盤を習っていたんですけど、楽譜を見ながら弾くことが苦手で、創作ばかりしていたんです。小さい頃、おばあちゃん家のピアノの上に飾ってあった絵画を見ながら、それに合う音楽を勝手に作っていたのをよく覚えていて。そこから、映画音楽やゲーム音楽が好きだったのもあって、自分で作ってみたいっていう気持ちがどんどん出てきたんです。

COR!S

―COR!Sさんにとって音楽は、絵画やゲーム、映画のような視覚的なものと結びついているという認識が強いですか?

COR!S:もともと映像の勉強もしていたんですけど、そのときにDTMの存在を知ったので、タイムライン上に映像を並べていく感じで音楽も作っています。あと、私とAZUpubschoolが最初に共通の話題として盛り上がったのが、『キングダム ハーツ』(2002年から展開する、ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーション作品シリーズ)っていうゲームの話で。私たちは、普通にゲームのストーリーを楽しむのではなくて、ゲームのなかで流れている音楽を聴くためにずっとダンジョンにいる、みたいなやり方をお互いにしていて(笑)。

AZUpubschool:『キングダム ハーツ』の音楽は、下村陽子さんという作曲家の方が作られているんですけど、その方の作る音楽が僕はすごく好きで。オーケストレーションが入ったファンタジー性の強いものが多いんですけど、それは、今のKiWiの音楽を作るにあたっても参考にしていますね。

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リリース情報

KiWi『March』
KiWi
『March』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,376円(税込)
FRTR-1002

1. KiWi物語
2. Greed Greed
3. SUGAR PANIC
4. Pyrite
5. 月夜の魔法市
6. 星屑のパレード
7. March
8. An Ordinary Waltz
9. おばけのキウィの古時計
10. DROLL KITCHEN
11. ゆめのつづき
12. 魔法のキウイ(Album Version)
13. おばけのキウィの絵描きうた

プロフィール

KiWi
KiWi(きうぃ)

共にアーティスト兼プロデューサーとして活躍するAZUpubschoolとCOR!Sによるコンポーザーデュオ。エレガントでどこか奇妙な楽曲は、コンセプトストーリーである「KiWi物語」をテーマに創られる。そのストーリーは、音楽だけでなく様々なコンテンツを通して少しずつ明らかになっていく。米プロデューサー / DJであるDiplo主催のレーベル「Mad Decent」より2016年7月に『SUGAR PANIC EP』をリリース。その後同年のクリスマスには同レーベルより、Major Lazerらが参加するコンピレーション『A Very Decent Christmas 4』に参加。セルフリリースによるEP『The scene of ordinary』が『Japan Times』に掲載される他、同年10月に「ヴィレッジヴァンガードミュージック」より初のCD作品『KiWi物語』をリリースするなど国内外から高い注目を集めている。

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