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遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

遊び心は足りてますか? KiWiは、空想で息苦しい現実を解放する

KiWi『March』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:鈴木渉 編集:山元翔一

もっと遊び心のある、ものの考え方を持てればいいのにって思う。(AZUpubschool)

―お話を伺って、KiWiの音楽においては、空想が大事な要素になっていると感じました。そこで思うのですが、人って、生きていれば自ずと考え方や生き方が周りの人々や固定観念に左右されていくものですよね。特に今は情報が氾濫している時代だから、より一層、いろんなものに振り回されてしまいがちで。だけど、空想することで自分自身の内側にあるものを大事にすることは、とても有意義なことかもしれないなと。

COR!S:私も、普段の社会生活では猫を被っていますよ(笑)。でも単純に、電車に乗っている間でも、仕事のことばかり考えるんじゃなくて空想すれば、すごくストレスがなくて楽しいんです。どんな状況でも、お話を見ていると思えば乗りきれるから。

AZUpubschool:みんなもっと、自分から出てくるものに興味を持ってもいいと思うんですよね。自分の時間を持つことは面白いことだから。人それぞれ、独自の「ものの見方」を持っているとは思うけど、もっと「遊び心のある、ものの考え方」を持てればいいのにって。街を歩いていても、見方を変えるだけで、世界はファンタジックに見えるものだから。

AZUpubschool

―「世界の見方を変える」というのは、ファンタジーを作り出すことのひとつの効能かもしれないですね。

COR!S:もちろん単純に、リアルをそのまま言うのが苦手っていう側面もあります。思っていることをありありと言葉にすることではなくて、私が表現したいのはもっと「作られたもの」。心のなかにあるものを創作物にしたいんです。

―人が「ものを作る」ということに、大きな価値を見出しているんですね。

COR!S:そうですね。私は19世紀のヨーロッパ的な雰囲気とか、その時代に作られたものが好きで、そういう時代が舞台になっている映画とか美術系のテレビ番組とかをよく見ていて。そこに出てくる家具や建物が好きなんです。私がそういうもの作りに憧れていったのは、作家さんの生き方や創作物に対する思いに接したからで。湧き出てくるものを形にする……それは写実的でも現実的でもない、空想主義みたいな感じなんですけど、自分のなかから湧き出るものに向き合う生き方に憧れます。

COR!S

AZUpubschool:そこにあるのって、衝動だよね。僕は小学生のとき、自分でRPGの世界を作ることができるゲームに熱中していた時期があって。あのときは、自分で作った世界でしか通用しない通貨や言葉をひたすら考えるのが楽しかったんです。それも衝動だなと。

そもそも、「ものを表現する」ってそういうことだと思うんです。音楽を作るのも絵を描くのも、自分のなかにある何かを形にしたいとか、伝えたいっていう衝動だと思う。たぶん、記事を作るのもそうですよね?

左から:COR!S、AZUpubschool

―うん、そうですね。メディアに関わる人間としては、「伝えたい」っていう衝動は強いです。

COR!S:私の場合は、頭のなかにいろんな世界が浮かんできて、それが爆発しそうになるんです。それを外に出さないと気が済まない。「これを誰かに伝えたい」っていうことでもなくて、自分で、自分のなかにあるものを視覚的に見てみたいんですよね。そのための手段が、今の私にとっては音楽なんだと思います。

もし、私が小説家だったら小説を書くし、画家だったら絵を描くと思う。なんにせよ、自分の頭のなかにあるものを、現実に手に取って見てみたいんです。

目指しているのは『ムーミン』みたいな、もはや文学作品とも呼べるようなファンタジー作品。(COR!S)

―それはまさに、芸術家としての衝動ですよね。自分でキャラクターや設定を考えてファンタジーを作ることって、ある意味では神様になることじゃないですか。もっとみんな、「自分にとっての神様は自分なんだ」っていうことに自覚的になってもいいのかもしれないですよね。

AZUpubschool:そうかもしれないですね。たとえば、去年、『ポケモンGO』が発表されたじゃないですか。昔、ポケモンが流行ったとき、「現実世界にポケモンがいたらなぁ」って思った人はたくさんいたと思うけど、それが現実になったわけですよね。ああいうことができるのって、ものを作る人にとっては、幸せなことなんだと思う。

左から:COR!S、AZUpubschool

―KiWiの紡ぐ物語は、今後どのように進展していく予定ですか?

COR!S:今、作っている「KiWi物語」は第三章まで続くんですけど、大筋はでき上がっているので、これから肉づけをしていきます。KiWiを始めてから、この世界観を音楽でしっかりみせるために、クラシック音楽を一から勉強し始めて。お互いに、初期のグレゴリオ聖歌から曲を聴いていって、今はもう、近代のロマン派の最後まできたんですよ。

そのなかで、ふたりが共通して惹かれたのがチャイコフスキーだったんです。バレエ音楽なので、バレエとクラシックについても興味が湧いて調べたり、つい最近はチャイコフスキーの『くるみ割り人形』が近所で上演されていたので、それを一緒に観に行ったりしました。

―そうしたインプットが、おふたりのなかで新しい空想に変わってアウトプットされたとき、「KiWi物語」に今以上の重みと説得力が生まれそうで楽しみですね。

AZUpubschool:今のところの目標は、絵本と音楽という形で、自分たちの物語を世に出せたらなって思っています。

COR!S:日本のカルチャーでよく言われるものとして、「kawaii」がありますけど、それとは違う、KiWiの空気感がひとつのカルチャーになればいいなって思うんです。目指しているのは『ムーミン』みたいな、もはや文学作品とも呼べるようなファンタジー作品。子どもから大人まで、誰でもが楽しめるものが作りたいと思います。

左から:COR!S、AZUpubschool

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リリース情報

KiWi『March』
KiWi
『March』(CD)

2017年1月25日(水)発売
価格:2,376円(税込)
FRTR-1002

1. KiWi物語
2. Greed Greed
3. SUGAR PANIC
4. Pyrite
5. 月夜の魔法市
6. 星屑のパレード
7. March
8. An Ordinary Waltz
9. おばけのキウィの古時計
10. DROLL KITCHEN
11. ゆめのつづき
12. 魔法のキウイ(Album Version)
13. おばけのキウィの絵描きうた

プロフィール

KiWi
KiWi(きうぃ)

共にアーティスト兼プロデューサーとして活躍するAZUpubschoolとCOR!Sによるコンポーザーデュオ。エレガントでどこか奇妙な楽曲は、コンセプトストーリーである「KiWi物語」をテーマに創られる。そのストーリーは、音楽だけでなく様々なコンテンツを通して少しずつ明らかになっていく。米プロデューサー / DJであるDiplo主催のレーベル「Mad Decent」より2016年7月に『SUGAR PANIC EP』をリリース。その後同年のクリスマスには同レーベルより、Major Lazerらが参加するコンピレーション『A Very Decent Christmas 4』に参加。セルフリリースによるEP『The scene of ordinary』が『Japan Times』に掲載される他、同年10月に「ヴィレッジヴァンガードミュージック」より初のCD作品『KiWi物語』をリリースするなど国内外から高い注目を集めている。

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