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理想の海外進出とは? MONOらの例からROTH BART BARONと考察

理想の海外進出とは? MONOらの例からROTH BART BARONと考察

CAMPFIRE
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子、山元翔一

自分たちと気が合うミュージシャンは、人生において大事にしているところが一緒なんです。(三船)

―MONOのGotoさんの話、それからFEEDERのTAKAさんの話を聞いてすごく納得がいきました。というのも、MONOが海外にファンベースを築くようになったのは「Temporary Residence」(MOGWAIやEXPLOSIONS IN THE SKYの所属するNYのレーベル)に所属したことがすごく大きくて。で、そこのレーベルオーナーや向こうのバンドと彼らは友人関係なんですよ。

来日ツアーのときに自分たちの家に泊めたりして、サポートもしている。つまり、ミュージシャン同士の友情から話が始まっているんです。ビジネス的な海外進出のモデルじゃないんですよね。そういう話は、ROTH BART BARONにピッタリな感じがする。

三船:なるほど、わかります。MONOもそうだし、去年に元DIRTY PROJECTORSのエンジェル・デラドゥーリアンと会ったり、タイのDESKTOP ERRORというバンドが来日公演したときに一緒にライブしたりして感じたんですが、自分たちと気が合うミュージシャンは、人生において大事にしているところが一緒なんですよ。こうなったら幸せだというところが共通しているというか。

左から:中原鉄也、三船雅也

三船:だから無理がないし、なんとなく惹かれ合う中心点が一致するんです。そういうポイントを探していけば、国とか言葉とかじゃなくて、わかりあえる。僕ら、それがうまくいくんですよ。

―その「なんとなく惹かれ合うポイント」というものを掘り下げてもらいたいんですけれど、何が大きいんでしょうかね。

三船:そうだなあ。友情とか愛情とかとも、ちょっと違いますよね。

―簡単に言うと、「価値観を共有している」ということだと思うんですが、中原さんはどうですか?

中原:今までいろんな人とツアーを回ってきていて、シアトルのシンガーソングライターのTOMO NAKAYAMAさんとか、MY HAWAIIという鹿野洋平さんがやっているバンドとか、ライブを観るたびに好きになっていくんですよ。一緒に回ることですごく刺激になるし、やっぱりそれは価値観が似ているということなんでしょうね。純粋に音楽が好きなのが伝わってくるんです。

中原鉄也

三船:さっきも言ったように、友情とも愛情ともまた違う。別に毎日会う必要もないし、馴れ合う必要もない。だけどなんか、心と心をつなぐ光ファイバーケーブルみたいな何かがある気がするんですよ(笑)。何か柔らかいものがあって、それでつながっている感覚に近いというか。

―それは音楽のジャンルではないですよね。アコースティックな楽器を使っているのか、エレクトリックなのかとか、そういう手法の問題でもない。

三船:そうですね。たとえば、こないだ共演したMOROHAとかも、ジャンルは全然違うけれど、何かつながるところがあるんですよ。だから説明するのが難しいんですよね。なんて言ったらいいんだろうなぁ……。SF的な話になりますけど、アカシックレコード(元始からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶の概念)のような、共通のクラウドサーバーがあるというか。

自分たちが「いい」と信じる生き方をしている人たちが世界にいるなら、僕らも旗を立てて生きていけばいいだけじゃないか。(三船)

―これは詩人の谷川俊太郎さんがおっしゃっていたことなんですけれど、谷川さんにとって詩を書くということは、「集合的無意識にアクセスすること」なんだそうです。その「集合的無意識」というのが、三船さんが言うクラウドサーバーなんだと思います。

三船:そう、きっとそれです。ぶっとんだ話になりますけど、自分がゴキブリを嫌がるようになったのはいつからなんだろうとか、崖から落ちると怖いって思うのはなんでだろうとか、そういうのって、遺伝子の記憶が引き継いでいると思うんですよね。僕らが惹かれ合うポイントは、そういうものに近いというか。

自分だけじゃなくて、人間がすごく長い時間をかけて刻んできた記憶が、内部記憶として引き継がれているんじゃないかと思っていて。だとしたら、過去によい行いをした人間たちが惹かれ合っているのかもしれないなと思うこともあるんです。なんか『南総里見八犬伝』みたいな話になってますけど(笑)。

左から:中原鉄也、三船雅也

―でもこれはね、不思議なところではあるんです。ROTH BART BARONのやっている音楽は、無理やりジャンルにあてはめるなら「フォークロック」になりますよね。ただ、スタイルとしてのフォークじゃなくて、「もともと民衆が歌い始めたときに何の衝動があったんだろう?」ということを遡る、本質的な意味合いでのフォークだと思うんです。で、そういう遡る作業をやっている人が各国にいる。たとえば、Bon Iverなんかはわかりやすくそれが世界的に評価されている例だと思うし。

三船:特にBon Iverの新しいアルバム(『22, A Million』)なんか、イチから彼が作った宗教のアルバムのような感じもありますからね。彼も柴さんがおっしゃったようなことを意図的にやっているし。

2016年にリリースされた『22, A Million』より

―いわゆるインディーかどうかというのも、マインドや価値観の問題ですよね。

三船:僕らはアメリカツアーを経験して、いわゆるインディペンデントな人たちに出会ってきたんですけど、「Jagjaguwar」(Bon Iverやエンジェル・オルセンなどが所属するインディアナ州ブルーミントンのインディーレーベル)の人たちと話をすると、彼らの掲げる「インディペンデント」に資金力は関係ないんです。その名の通り、独立して、自分たちで旗を揚げて、自分たちの哲学のなかでやっていこうとする姿勢みたいなものであって。それが「インディー」という価値観だと気づいたんです。

たとえばニューヨークでも、10ドルくらいで入れるような小さいライブハウスがあって、DIYで音漏れしまくっているような場所なんですけど、出ているバンドはみんな良質で。そうやって自分たちが「いい」と信じる生き方をしている人たちが世界にいることを知って、僕らは何を悩んでいるんだろうと思うようになったんです。だったら、僕らも旗を立てて生きていけばいいだけじゃないか、と。

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プロジェクト情報

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「UKデビューに向け、イギリスでEP盤&ミュージックビデオを制作」
2017年2月20日(月)までクラウドファンディング募集

プロフィール

ROTH BART BARON
ROTH BART BARON(ろっと ばると ばろん)

三船雅也(Vo,Gt)、中原鉄也(Dr)から成る2人組フォークロックバンド。2014年、米国フィラデルフィアで制作されたアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』でアルバムデビュー。続く2015年のセカンドアルバム『ATOM』は、カナダ、モントリオールのスタジオにて現地のミュージシャンとセッションを重ね作り上げられた。2015年はアジアツアーをはじめ、国内外のフェスへの出演なども精力的に行っている。

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