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水カン・コムアイが語る、世間からの「消費」に抗うイメージ戦略

水カン・コムアイが語る、世間からの「消費」に抗うイメージ戦略

水曜日のカンパネラ『SUPERMAN』
インタビュー・テキスト
宇野維正
撮影:西田香織 編集:山元翔一

2月8日、フルアルバムとしてはメジャーから初となる『SUPERMAN』をリリースする、水曜日のカンパネラ。3月には武道館公演も決定し、いよいよメインストリームのポップシーンの主役へと躍り出ようとしている。

水曜日のカンパネラといえば、「主演 / 歌唱」のコムアイの鮮烈な存在感をフィーチャーしたミュージックビデオが、そのイメージの拡散において大きな牽引力となってきた。なかでも、“ナポレオン”や“メデューサ”、“ツチノコ”に“松尾芭蕉”、そして今作『SUPERMAN』にも収録されている“アラジン”と、これまで5作品を手がけてきた映像作家・映画監督の山田智和は、毎回意外性のあるシチュエーションでコムアイの奔放なパフォーマンスをとらえ、奇抜で不思議でキッチュなだけではない水曜日のカンパネラのモダンアート的な側面を引き出してきた。山田智和は昨年末に地上波のテレビで放送されて話題を呼んだ、二階堂ふみとコムアイのW主演作『トーキョー・ミッドナイト・ラン』も監督。そこでも、コムアイとの抜群の相性の良さを発揮していた。

今回、CINRA.NETはコムアイと山田智和の対談を企画。YouTubeが普及して以降、ますますその重要性が高まっている「ミュージシャンと映像作家の関係」。そんななかでも、現在の日本の音楽シーンで最もホットなポジションに立つ二人に話をじっくり訊いた。

智和くんが撮った短編を見たときに、浄化されるというか、身体から膿が出てくるみたいな感覚になった。(コムアイ)

―山田監督が水曜日のカンパネラのミュージックビデオを最初に手がけたのは“ナポレオン”でしたが、きっかけはなんだったんですか?

山田:たまたま“モノポリー”(2013年発表の『羅生門』に収録)を聴いたときから、「映像をやりたい!」ってずっと思っていたんですよ。

コムアイ:Twitterでメンション飛ばしてくれていたらしいんですけど、私は見逃してて。それか、見てスルーしたか(笑)。

コムアイ
コムアイ

山田:ビデオを5本撮って、ようやくフォローしてもらえました(笑)。

コムアイ:ゴメン(笑)。そのあとも事務所を通してメールもくれていたらしいんですけど、話だけ聞いて「ふーん」って。山田って苗字が地味すぎて、そのときはあまり覚えてなかったんですよ(笑)。でもその後、(山田)智和くんが撮った2分くらいの短編を見たときに、なんか、浄化されるというか、身体から膿が出てくるみたいな感覚になって、すごく涙が出てきて。

コムアイ:そのとき、「あ、きっと、私のこと見つけてくれたんだな」って、声をかけてくれた理由がわかったんです。それ以来、いつかお願いしたいなって思っていて。最初の“ナポレオン”は、それまでみたいにケンモチ(ヒデフミ)さんだけではなくて、他のプロデューサーの方にも参加していただいた『トライアスロン』(2015年)に入っていた曲で。

―「Tokyo Recordings」の小袋成彬さんが作詞と編曲で参加した曲でしたね。

コムアイ:そうです。で、ミュージックビデオで新しいチャレンジをするのにもちょうどいいタイミングかなって思って、智和くんにお願いしたんです。

―山田さんは自分からがんがんアプローチしていったわけですけど、いつもそういう感じなんですか?

山田:いや、そんなこともないです。「自称・映像監督」っていうスタイルでそれまでもやっていて。別に、仕事がなくても、自分が作りたいものを作って、撮りたい人を撮れればいいやっていう感じ。今も、基本的にそういうスタンスなんですけど、「この人を撮りたい!」って思ったら、そのときは自分からいくんです。

―立ち入った話になりますけど、そのスタイルで仕事をしていて、生活していけたんですか?

山田:うーん、そこはそんなに気にしてなかったですね。当時は実家にいたし、月に10万もあれば生活できていたんで。ただ、作りたいものを作るには制作費を稼がないといけなかったから、映像の制作会社とかでバイトはしていましたね。就職しちゃうと自分の作品を作る時間がなくなっちゃうので、バイトにして、好きなときに作品を作るっていう感じでやってきました。

―山田監督もまだ20代で、コムアイさんも現在24歳ですよね。最近、音楽や映像の現場で、20代のクリエイターの活躍に接する機会が多いんですけど、コムアイさんにはそういう同世代感みたいなものってありますか?

コムアイ:カンパネラは、私以外は30代だから仕事面では30代の方と一緒にものを作ってる感覚が強いですね。だから、フェスとかイベントとかで20代前半のバンドの子たちと話したりすると、「あ、平成っぽいな」って(笑)。

コムアイ

―コムアイさんだって思いっきり平成生まれじゃないですか(笑)。

コムアイ:そうなんですけど(笑)、カンパネラは上の世代に引っ張られている感じがあるんですよね。制作においても、ライトにトライするというより、ちゃんと枠を作って、そのなかでしっかりしたものを作っていこうっていう意識が強いような気がします。

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リリース情報

水曜日のカンパネラ『SUPERMAN』
水曜日のカンパネラ
『SUPERMAN』(CD)

2017年2月8日(水)発売
価格:3,240円(税込)
WPCL-12464

1. アラジン
2. 坂本龍馬
3. 一休さん
4. オニャンコポン
5. チンギス・ハン
6. チャップリン
7. オードリー
8. カメハメハ大王
9. 世阿弥
10. アマノウズメ

水曜日のカンパネラ
『SUPERMAN』(USB)

2017年2月8日(水)発売
価格:3,240円(税込)
WPEL-10009

1. アラジン
2. 坂本龍馬
3. 一休さん
4. オニャンコポン
5. チンギス・ハン
6. チャップリン
7. オードリー
8. カメハメハ大王
9. 世阿弥
10. アマノウズメ

イベント情報

『水曜日のカンパネラ 日本武道館公演~八角宇宙~』

2017年3月8日(水)
会場:東京都 九段下 日本武道館
料金:4,888円

プロフィール

水曜日のカンパネラ
水曜日のカンパネラ(すいようびのかんぱねら)

2012年の夏、初のデモ音源“オズ”“空海”をYouTubeに配信し始動。「水曜日のカンパネラ」の語源は、水曜日に打合せが多かったから……と言う理由と、それ以外にも、様々な説がある。当初グループを予定して名付けられていたが、現在ステージとしてはコムアイのみが担当。「サウンドプロデュース」にKenmochi Hidefumi、その他、「何でも屋」のDir.Fなどが、活動を支えるメンバーとして所属。以降、ボーカルのコムアイを中心とした、暢気でマイペースな音楽や様々な活動がスタートしている。2017年2月8日、ワーナーミュージック・ジャパンから、フルアルバムとしてはメジャーから初となる『SUPERMAN』をリリースする。

山田智和(やまだ ともかず)

映画監督、映像作家。東京都出身。クリエイティブチームTokyo Filmを主宰、2015年よりCAVIARに所属。2013年、WIRED Creative Huck Awardにてグランプリ受賞、2014年、ニューヨークフェスティバルにて銀賞受賞。水曜日のカンパネラやサカナクションらの人気アーティストの映像作品を監督し、映画やTVCM、ドラマと多岐にわたって演出を手がける。シネマティックな演出と現代都市論をモチーフとした映像表現が特色。

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ただシャムキャッツの四人がフラットに存在して、音楽を鳴らしている。過剰な演出を排し、平熱の映像で、淡々とバンドの姿を切り取ったPVにとにかく痺れる。撮影は写真家の伊丹豪。友情や愛情のような「時が経っても色褪せない想い」を歌ったこの曲に、この映像というのはなんともニクい。(山元)