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尾崎裕哉が明かす、父・尾崎豊への歌手としての憧れと自身の葛藤

尾崎裕哉が明かす、父・尾崎豊への歌手としての憧れと自身の葛藤

尾崎裕哉『LET FREEDOM RING』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:山元翔一
2017/03/24
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シンガーソングライターの尾崎裕哉が、2016年に配信されたデビュー曲“始まりの街”に続き、CDデビュー作となるEP『LET FREEDOM RING』を発表した。尾崎豊という偉大なミュージシャンを父親に持ち、昨年テレビ番組で“I LOVE YOU”をカバーした際には、「歌声がそっくり」と話題になったが、その父親の亡くなった年齢である26歳を超え、27歳でデビューを果たしたというのは、運命めいたものを感じずにはいられない。今作に収録された“始まりの街”や“27”には、彼の27年間の葛藤と、これからに向けた覚悟が刻まれている。

また、彼は「音楽は人の心を動かすだけではなく、社会を変える力を持つ」と語り、音楽による社会貢献を掲げてもいる。尾崎豊と尾崎裕哉という二人のアーティストを比較するということは、1980年代と現代における「自由」という価値観の変化、そして、アーティストの役割の変化を読み取ることになるはずだ。もちろん、裕哉は父親の幻影を追いかけているわけではない。リスペクトを胸に、新たな時代を切り拓こうとしている。

「父親の曲をもっと知りたい」っていう気持ちから、小さい頃は父の歌声を真似していた。

―一般的に言うと、27歳のデビューは「遅咲き」ということになるかと思うんですけど、尾崎さんご自身はどう捉えていますか?

尾崎:確かに遅いですよね。一般的には、10代後半から20代前半でデビューする人が多いし、父は18歳でデビューしていますしね。ただ、アーティストとしてデビューするというのは中途半端な気持ちではできないことですし、ちゃんと準備をして挑みたかったので、年齢のことは気にしてないです。スガシカオさんも遅めのデビューでしたし(スガは30歳でメジャーデビューしている)、10代の人が歌うような歌は歌えなくても、大人の視点で歌えるのは、自分の強みだと思っています。

尾崎裕哉
尾崎裕哉

―小さい頃からミュージシャンになりたいと思っていたそうですね。

尾崎:ミュージシャンになりたいと思ったのは5歳くらいのときで、それはやっぱり父親がミュージシャンだったことが大きいです。父のはっきりとした記憶があるわけではないんですけど(父を亡くしたのは2歳のとき)、その背中を感じながら生きてきたので、この職業に対するリスペクトが昔からありました。

小さい頃は父の声真似をしていたんですけど、それも「ミュージシャンになりたいから」というわけではなくて、「父親の曲をもっと知りたい」っていう気持ちからだったと思います。

―昨年『音楽の日』(7月にTBS系列にて放送)で“I LOVE YOU”をカバーして、「歌声がお父さんそっくり」と話題になりましたが、あれは生まれ持った声質に加えて、小さい頃から「父親に近づこう」と思っていたからこそだと。

尾崎:そうですね。歌ううえで一番大事なのは息遣いだと思うんですけど、喉や骨格の使い方っていうのも、真似をするなかで自然と身につけたものだと思います。当時はYouTubeもなく、ひたすらCDを聴き込んで、ピッチを合わせて、という具合に歌い込んでいたんです。そこはやはり遺伝子もあるのか、歌っていて一番気持ちいいところが似ていたんですよね。

尾崎裕哉のアーティストとしての在り方を考えたときに、僕は父が歌えなかったことを歌いたかった。

―これまでの人生において、尾崎豊さんという偉大な父親と比較されることの葛藤もあったのではないかと思いますが、いかがですか?

尾崎:もちろん、ありました。けど、他人から比べられることを、意識していません。父親は常にアーティストとしてのベンチマークであり、理想形だから、どうやったらあそこに至れるのかという面での、強い葛藤はあるんですけど、他人が僕と父をどう比べようが、天秤にかけようが関係ないですよね。他人の意見って、自分でどうこうできることでもないですし。

尾崎裕哉

―自分のなかでは、父親に対してどのような葛藤がありましたか?

尾崎:尾崎裕哉のアーティストとしての在り方を考えたときに、尾崎豊とベクトルは同じだと思っているんですけど、僕は父が歌えなかったことを歌いたくて。尾崎豊が「自由」を歌うなら、俺は「自在」を歌いたいと思ったんです。

―「『自在』を歌いたい」というのは、どういうことなのでしょう?

尾崎:僕は貧しい暮らしをしていたわけではなくて、金銭的には不自由ない暮らしを送ってきたし、母は僕を自由に育ててくれたから誰かに縛られていたわけでもないんですよね。でも、逆にそれがコンプレックスだった。

尾崎豊の初期の曲は、敵対する対象がいたけど、僕には不満や怒りがないからそういう相手がいないんです。じゃあ、自分は何を歌えばいいのかって考えたときに、本当の自由は心の在り方次第だと思うから、その心の葛藤を歌っていこうと思ったんですよね。

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リリース情報

{作品名など}
尾崎裕哉
『LET FREEDOM RING』(CD)

2017年3月22日(水)発売
価格:1,500円(税込)
TFCC-89613

1. サムデイ・スマイル
2. 27
3. 始まりの街(Soul Feeling Mix)
4. Stay by my Side

イベント情報

『尾崎裕哉ツアー』

2017年10月6日(金)
会場:大阪府 NHK大阪ホール

2017年11月3日(金・祝)
会場:東京都 有楽町 東京国際フォーラム ホールC

料金:各公演 前売6,480円

プロフィール

尾崎裕哉
尾崎裕哉(おざき ひろや)

デジタルネイティブ世代のバイリンガル、コンテンポラリー・シンガーソングライター。1989年、東京生まれ。2歳の時、父・尾崎豊が死去。母と共にアメリカに渡り、15歳までの10年間を米国ボストンで過ごす。米国ではLed ZeppelinやGreen Dayなど、1960年代~90年代のロック&ブルーズから幅広く影響を受ける。もっとも敬愛するアーティストはジョン・メイヤー。同時に、父親が遺した音源を幼少期から繰り返し聴き続けて歌唱力を磨き、ギターとソングライティングを習得。2016年に、自伝『二世』(新潮社)を出版し、アーティスト「尾崎裕哉」としては初の音源となるデジタル1stシングル『始まりの街』をリリース。2017年春、初のフィジカルCD作品『LET FREEDOM RING』のリリースが決定(日本語訳は『自由の鐘を鳴らせ』)。「父が成し遂げられなかったことを果たしたい」という思いを胸に、遂に本格デビューを果たす。

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