ポップス以外の音楽家たちからも信頼される、片平里菜の正体とは

派手なアピールをしなくても、周りから信頼を受ける「芯の強い女性」

「芯の強くて格好いい女性に憧れる」。初めて出会ったインタビューの場で、片平里菜はそんな風に語った。アヴリル・ラヴィーンやアラニス・モリセットなど海外の女性シンガーソングライターの楽曲を聴いて、自分自身もそういう力強い女性になりたいと思っていたと、10代の自分について振り返っていた。

彼女がリリースしたニューアルバム『最高の仕打ち』を聴いていると、その時の印象が強く思い出される。決してラウドな曲、エネルギッシュな曲ばかりが収録されている作品ではない。アルバムは“この空を上手に飛ぶには”の透明感ある歌声で幕を開ける。“Party”のようにパンキッシュな曲もあるけれど、カラフルでキュートなポップソングもあるし、弾き語りの静かなサウンドもある。でも、やっぱり聴き終えて心に残るのは、彼女の「芯の強さ」なのだ。

とは言っても、「芯の強い女性」って、どういう人なんだろう?

身近にいる人なら、普段の振る舞いから伝わってくるものがある。自分の信念をしっかり持っていて、周りに流されない。ブレない目標があって、そこに向かって一歩一歩進んでいる。相手によって態度を変えたり、媚びを売ったりしない。そういうところが、その人のちょっとした言葉遣いとか、醸し出すムードにあらわれる。だから派手な自己主張やアピールをしなくても、周囲から一目置かれたり、信頼されたりする。たぶん、片平里菜自身も、そういう人なのだと思う。音楽を通して、そういった彼女の人となりが伝わってくる。

デビュー前から、細美武士やTOSHI-LOWらと心を通わせてきた

片平里菜が数々の先輩ミュージシャンからも愛される理由も、そんなところにあるのではないだろうか。2011年、10代限定の音楽フェス『閃光ライオット』に出演し、1万組の中から審査員特別賞を受賞したことをきっかけにデビューへの道が開けた片平里菜。そこから数年、彼女は数々のバンド、特に細美武士(the HIATUS、MONOEYES)やTOSHI-LOW(BRAHMAN)などパンク / ハードコアのシーンの百戦錬磨の実力者たちとステージを共にしてきた。片平里菜自身も、パンキッシュなマインドの持ち主だ。以前にインタビューした際も、「小さい頃から反骨精神を持っていた」と彼女は語っていた。現状に満足できない、現実を打破したいという思いを常に抱えていて、だから中高生の頃は周囲に合わせることに難しさを感じるときもあったとか。

彼女が福島出身であるということも、先輩ミュージシャンから愛されるきっかけのひとつであったはずだ。東日本大震災が起こった2011年、たくさんのミュージシャンたちが東北に足を運び、復興を支援し、ライブを行ってきた。Hi-STANDARDやBRAHMANを手掛けるPAチーム「SPC」が中心になり、津波に流された街にライブハウスを作る「ライブハウス大作戦」というプロジェクトも続いてきた。その波の中に、地元を背負って共にいたのが彼女だった。熱い気持ちを持って動いてきたバンドマンたちと、デビュー前ながらも、心を通じ合わせてきた。デビューアルバム『amazing sky』(2014年)は、そういう日々が結実した一枚でもあった。

ポップシンガーとしての「第二章」の幕開け

そしてデビュー後、活動拠点を東京に移した片平里菜は、シンガーソングライターとしてさらなる成長を遂げる。もともと“女の子は泣かない”など同世代の女の子たちの共感を集める楽曲も大きな魅力だった彼女。そこに磨きをかけ、自分自身の思いだけでなく、誰かの願いや恋心を引き受けるようなタイプの楽曲を作るようになっていった。

たとえば、TOKYO FMとロッテによる受験生応援プロジェクト「Toppa(突破)」の公式応援ソングとして作られた“誰もが”や、テレビ番組『J SPORTS STADIUM』のテーマソングとして書き下ろした“スターター”のように、いわゆるタイアップ曲を書き下ろす機会も増えた。余裕ある大人の女性に憧れながらバイト生活を送る女の子が主人公の“誰にだってシンデレラストーリー”や、失恋ソングの“この涙を知らない”のように、共感のターゲットを定めて描いた曲をシングルとしてリリースするようにもなってきた。そうやって、芯の強さはそのままに、ポップスの王道に足を踏み出していった片平里菜の「第二章」が新作には結実している。

ミト、cinema staff、SCANDALなど多数ミュージシャンとの共作が実現

参加ミュージシャンの幅もさらに広がった。“Party”ではSCANDALが、“大人になれなくて“ではレーベルメイトのcinema staffが制作に参加。アグレッシブなバンドサウンドで歌声を彩っている。一方、“Love Takes Time”はクラムボンのミトがゆったりとした叙情性を持つサウンドを手掛け、“そんなふうに愛することができる?”ではBabiが静謐な空気感を作り出している。さらに、亀田誠治が手掛けたロカビリーテイストの“BAD GIRL”では、こぶしを効かせた歌声を披露。全14曲、それぞれが違う表情を持つ楽曲になっている。

そして、アルバムの核となっているのが表題曲の“最高の仕打ち”だ。6分を超えるアコースティックギターの弾き語りで、歌に宿る気迫のようなものがそのままパッケージされている。嘘のなさとか、誠実さとか、真っ直ぐさとか。それが声やメロディーや言葉に表れる。そういう類いのシンガーソングライターが片平里菜なのだと思う。

リリース情報
片平里菜
『最高の仕打ち』数量限定生産盤(2CD+DVD)

2016年2月3日(水)発売
価格:4,104円(税込)
PCCA-04339

[CD1]
1. この空を上手に飛ぶには
2. 誰もが
3. Party
4. 誰にだってシンデレラストーリー
5. Love Takes Time
6. あの頃、わたしたちは
7. 舟漕ぐ人
8. スターター
9. 大人になれなくて
10. この涙を知らない
11. BAD GIRL
12. 煙たい
13. 最高の仕打ち
14. そんなふうに愛することができる?
[CD2]
・片平里菜オリジナルラジオCD
[DVD]
・弾き語りワンマンツアー『最高の仕打ち』@2015.07.12福岡 住吉神社能楽殿 ライブ映像

片平里菜
『最高の仕打ち』通常盤(CD)

2016年2月3日(水)発売
価格:3,240円(税込)
PCCA-04340

1. この空を上手に飛ぶには
2. 誰もが
3. Party
4. 誰にだってシンデレラストーリー
5. Love Takes Time
6. あの頃、わたしたちは
7. 舟漕ぐ人
8. スターター
9. 大人になれなくて
10. この涙を知らない
11. BAD GIRL
12. 煙たい
13. 最高の仕打ち
14. そんなふうに愛することができる?

イベント情報
片平里菜 3rdワンマンツアー2016
『そんなふうに愛することができる?』

2016年2月6日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:福島県 郡山 HIP SHOT JAPAN

2016年2月7日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3

2016年2月13日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE

2016年2月14日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:宮城県 仙台 Rensa

2016年2月28日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:福岡県 Drum Logos

2016年3月5日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:北海道 札幌 PENNY LANE 24

2016年3月12日(土)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2016年3月13日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:愛知県 名古屋 DIAMOND HALL

2016年3月18日(金)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:大阪府 なんばHatch

2016年3月21日(月・祝)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京都 お台場 Zepp DiverCity

料金:各公演4,000円(ドリンク別)

プロフィール
片平里菜
片平里菜 (かたひら りな)

福島県福島市出身。23歳シンガーソングライター。『閃光ライオット2011』にて1万組の中から審査員特別賞を受賞。2013年8月7日シングル『夏の夜』でメジャーデビュー。これまで6枚のシングルを発売。2015年には、史上最年少での東京スカパラダイスオーケストラのゲストボーカルに抜擢(参加楽曲”嘘をつく唇”)。2月3日には2ndアルバム『最高の仕打ち』のリリースも決定している。アルバムを引き下げての3rdワンマンツアー『そんなふうに愛することができる?』は2月6日より全国10箇所で開催。日本人女性初のギターブランド エピフォンの公認アーティストとして認定され、福島・東北から全国へさらなる活躍が期待される若手女性アーティストである。



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