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空気公団って何者?SCLL藤枝が語る2010年代を先取りした音楽集団

空気公団って何者?SCLL藤枝が語る2010年代を先取りした音楽集団

空気公団 『Anthology vol.0』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也 編集:山元翔一

空気公団っていう街のなかに、山があって、川が流れていて、人が住んでいるっていうのを想像しているんです。(山崎)

―「1970年代的な音楽」と評されることに違和感があったわけですか?

山崎:当時私は、70年代の音楽を全然知らなくて、新しいことをやってるつもりだったから、「なんで? これ新しくないの?」って。でも、「へえ、そういう流れがあったんだ」っていう感じで、「まあ、いいか」とは思いました。

私たち結構勘違いされることが多かったんですよ。当時のメンバー四人とも女性だと思われたり、「空気公団」っていう漢字4文字も珍しかったから、パンクバンドだと思われて、『呼び声』じゃなくて『叫び声』って言われたりもしました。

左から:山崎ゆかり、藤枝憲

藤枝:そういうことが起こるのは、やっぱり、人よりも音楽ありきだったということですよね。それってすごくいいことで、そのほうが音楽自体は長く愛されると思うんです。当時でいうと、キリンジも近い感じで、あの二人はルックスよりも、曲で売れてた感じがありますよね。それってすごく真っ当だと思うし、サニーデイ・サービス、キリンジ、空気公団、その後に「喫茶ロックブーム」みたいなのが来たり、すごくいい時代だったなって思います。

今回のリリースにあたって、久々に昔の音源を聴いても、全然古くなかったし、むしろこれからも聴いていけるものだなって思ったんですよ。やっぱり空気公団の音楽って、すごく普遍的だなって思うから、ジャケットも、絶対文字だけがいいって言ったんです。

空気公団『Anthology vol.0』ジャケット
空気公団『Anthology vol.0』ジャケット(Amazonで見る

―音楽的な流れとしての「シティポップ」はそこまで意識していなかったということですが、『ここだよ』のジャケットが街の写真で、そこにいる男女を情景描写的に描くというアイデアだったのは、はじめから「シティポップ」的だったという言い方もできるのかなと。

山崎:私はずっと街を作りたいと思っていて、空気公団っていう街のなかに、山があって、川が流れていて、人が住んでいるっていうのを想像しているんです。なので、曲を作って、デモをある程度完成させたときに、必ず外で聴くんですよ。街と合っているかどうかを確認する。それはずっと続けてることなんですよね。

藤枝:4月26日に出るから、ゴールデンウィークに遠出するときに持って行ってほしいと思いますね。このアルバムのなかに、どこかの風景にマッチする曲が必ずあると思うんです。もっというと、その風景ってみんな同じではなくて、「私にはこう見える」とか「僕にはこう見える」みたいな、「視点の歌」だなって思ったんですよね。

匿名性が強かったとはいえ、当時はずっと近くにいたから曲を聴くとメンバーの顔が浮かんだんですよ。でも、あれからだいぶ時間が経って、ニュートラルな状態で聴くと、山崎さんの切り取った風景を、自分の視点で見てるような感じがして。

空気公団『こども』(2003年)収録曲

―なるほど。

藤枝:いまはその人のタレント性とかキャラ立ちで曲を聴かせるアーティストも多いけど、空気公団はその真逆のスタンスでいいなって思う。それこそ、いまのシティポップ界隈の人たちも、人より曲ありきというか、バンドの持っている空気感を大事にする人たちが多い気がするんですよね。

人気者ならなんでも売れるんだったら、別にくまモンでもふなっしーでもいいわけじゃないですか?(笑) そうじゃなくて、音楽ありきになっているのがすごくいいことだと思うし、だからこそ、いまの若い子に空気公団を聴いてもらいたいと思ったんです。

左から:山崎ゆかり、藤枝憲

山崎:当時を振り返ると、「雰囲気を録る」ということにすごくこだわっていたなって思います。とにかく「この時間を録る」ってことに集中していた。別に、聴いている人が「これは何時だろう?」とか思わなくてもいいんですけど、演奏する人たちがすごくいい雰囲気で、それを記録できることに喜びを感じていましたね。

藤枝:いまのほうがちゃんと音楽だよね。このころはドキュメンタリーっていうか、音楽以外の縛りは一切ない。山崎さんを見ていて常に思うのは、空気公団っていうものを続けていくためのシステム作りをずっとしてるっていうことで。フォームはどんどん変わっていくんだけど、空気公団ってもの自体は変わらない。第一期の終わりのときも「空気公団はなくならない」って言ってたと思うんだけど、そこは信用できるなって思うところですね。

空気公団『ダブル』(2016年)収録曲

―6月には『空気公団 Anthology live vol.1』として、曽我部恵一さんとの共演が予定されています。現在はライブに対してどのような意識をお持ちですか?

山崎:あるときを越えたあたりから、自分たちが前に出ても、目を閉じて聴いてる人が多くなって。それって自分のなかの空気公団を持ってくれてる人が増えたってことだと思うんですよ。

ステージもボーカルが真ん中にいるっていうものじゃないから、見た目の印象と家で聴いてきた感じも、きっとそんなに変わらないですし。そういうふうに、自分が「私」として歌っても、人が前に出た音楽にはならないと思えるようになってからは、ライブに対して消極的ではなくなったんですよね。

左から:山崎ゆかり、藤枝憲

藤枝:曽我部さんとの共演は僕が提案したんですけど、曽我部さんくらいキャラクターが強い人が入ってきても、いまならちゃんと空気公団になり得ると思ったんですよ。

―曽我部さんパワーで下北沢になるのか、それとも……。

山崎:どんな街に仕上がるのか、すごく楽しみですね。

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リリース情報

空気公団 『Anthology vol.0』
空気公団
『Anthology vol.0』(3CD)

2017年4月26日(水)発売
価格:4,320円(税込)
COAR-0056~8

[DISC1]
1. 田中さん、愛善通りを行く
2. 退屈
3. ここだよ
4. かくれてばっかり
5. 気持ち
6. 優しさ
7. 紛れて誰を言え
8. あおきいろあか
9. だぁれも
10. 呼び声
[DISC2]
1. 白のフワフワ
2. 音階小夜曲
3. 季節の風達
4. あかり
5. 電信
6. 今日のままでいることなんて
7. 壁に映った昨日
8. 例え
9. 旅をしませんか
10. こども
11. おかえりただいま
[DISC3]
1. ねむり
2. とおりは夜だらけ
3. 日々
4. 歩く
5. どこにもないよ
6. 窓越しに見えるは
7. ふたり
8. 見えなくてもわかること
9. 知ってるよ
10. 小さい本

イベント情報

『空気公団 Anthology Live vol.1【1997~2004】with曽我部恵一』

2017年6月2日(金)全2公演
会場:東京都 六本木 Billboard Live Tokyo
料金:サービスエリア6,500円 カジュアルエリア5,000円

2017年6月10日(土)全2公演
会場:大阪府 Billboard Live Osaka
料金:サービスエリア6,500円 カジュアルエリア5,000円

プロフィール

空気公団(くうきこうだん)

1997年結成。現在は山崎、戸川、窪田の3人で活動中。ささやかな日常語、アレンジを細やかにおりこんだ演奏、それらを重ねあわせた音源製作を中心に据えながらも、映像を大胆に取り入れたライヴや、様々な芸術家とのコラボレーションを軸にした展覧会等、枠にとらわれない活動を独自の方法論で続けている。

藤枝憲(ふじえだ けん)

1998年、大坪加奈、笹原清明とともにSpangle call Lilli lineを結成。今までに10枚のオリジナルアルバムなど数々の作品を発表し、2015年11月には5年半ぶりとなるフルアルバム『ghost is dead』をリリースした。CDジャケット、本の装丁、舞台の宣伝美術など様々な分野でのデザイン、アートディレクションを手掛けるデザイン事務所「Coa Graphics」の代表も務める。

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