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Alfred Beach Sandal + STUTS、なぜ二人はタッグを組んだのか?

Alfred Beach Sandal + STUTS、なぜ二人はタッグを組んだのか?

Alfred Beach Sandal + STUTS『ABS+STUTS』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子

自分の感情を歌詞にするのが嫌ではなくなってきたタイミングで、STUTSとポップスを作れたのはよかったなって。(Alfred Beach Sandal)

―ABSの音楽性にある異国情緒のルーツにあるのはなんですか?

ABS:「ぶっ飛びたい」みたいな感じかな(笑)。自分で予想のつかない音楽を作りたいという感覚があります。定型的な音楽のよさももちろんわかるんですけど、それを自分がやったところでしっくりこないんですよね。

高校生くらいのときにキャプテン・ビーフハート(アメリカ出身。1960年代からミュージシャン、Captain Beefheart & His Magic Bandのバンドリーダー、画家として活動)とか、Sun Ra(アメリカ出身。1930年代からピアニスト、作・編曲家、The Sun Ra Arkestraのバンドリーダーとして活動)とか、ミュータントっぽい音楽にハマって。「世界にはこんな音楽があるんだ!」と思ったんです。

別にみんなでぶち上がるみたいな音楽じゃなくてもいいんだと思えたというか。もちろんそれだけだと飽きるので(笑)、イージーリスニングできる音楽も好きなんだけど、根っこにあるのはミュータントな音楽かもしれない。

Alfred Beach Sandal
Alfred Beach Sandal

―それと同時に歌としても魅力的であることが、ABSの音楽性にとって大きいと思います。

ABS:歌を歌うことも自分で積極的にやりたいと思って始めたわけじゃないから、余計に無国籍な感じになっていったんですよね。自分のことを歌詞にしたくなかったんです。自分とは全然関係のない歌詞を書くほうが面白いし、楽しみがあると思って。でも、それが最近ちょっと変わってきていて。自分のことを歌うのも楽しいのかなって思うようになってきてるんですよ。

―その変化のニュアンスは『ABS+STUTS』にも表出してると思います。

ABS:そうですね。フォークシンガーみたいな歌詞ではないけど、自分の感情みたいなものを歌詞にするのがそんなに嫌ではなくなってきてる。ちょうどそういうタイミングで、STUTSとポップスと言える曲を作れたのはよかったなって。

―そもそもなぜ能動的に歌いたいと思っていなかったのに、歌い続けたんですか?

ABS:自分で音楽を作ろうとなったときに、ギター1本だけだと成立しないと思って。多重録音とかしていたんですけど、それも行き詰まって、どうしようと思ったときに、ギターと歌かなと漠然と思ったんです。始まりはそんな感じでした。

―でも、ボーカリストを招いて歌ってもらうという選択肢もあるわけじゃないですか。そうはならなかった?

ABS:ならなかったんですよね。歌詞を書くこと自体は面白いと思ったんですけど、それを人に歌ってもらうという感覚はなくて。一緒に音楽をやってくれる友だちも全然いなかったので、歌うなら自分しかいないかなって(笑)。

個人名で活動してないのもそういうことだと思うんです。歌を聴いてもらうというよりは、自分のアイデアを具現化することをやりたいという思いがもともとは強くて。今はバンド編成で制作やライブをやっていますけど、根底にある考えはそういうことですね。

ただ正確にMPCを叩くだけではなく、感情を表現しながらグルーヴを生み出したい。(STUTS)

―STUTSは、自分でラップしようと思ったことはないんですか?

STUTS:いや、むしろ最初は中3とか高1くらいのときにラップしたいと思って、そのためのビートがほしくて、ビートを作り始めたんです。でも、自分のラップにはあまり手応えを感じられなくて。

ただ、ビートはけっこういい感じだなと自分でも思えたから、もっとビートを作っていこうと思って。最初は数千円くらいのドラムマシンを買って、そのあとSP-303、MPC1000を買いました。

―どんどんサンプリングの面白さにも魅了されていって。

STUTS:そうですね。

STUTS

―STUTSが2013年2月に渡米し、ニューヨークのハーレム地区でMPCのストリートライブをやった動画は当時話題になりました。そもそも、なぜハーレムでストリートライブをしようと思ったんですか?

STUTS:もともとは大学の卒業旅行として、アメリカへ1週間くらい一人旅をしようと思ったんです。ニューヨークはずっと行ってみたいと思ってたし、いつかニューヨークでライブができたらいいなと思ってたんですね。それで現地に住んでいる先輩に相談したら、「ハーレムのストリートでやればいいんじゃない?」って言われて。それでやってみようと。

―実際に現地の人がSTUTSのビートとパフォーマンスに積極的な反応を示したことで、確信を得たのでは?

STUTS:自信は持てましたね。日本人じゃない人種にも自分のビートが伝わるんだって。単純に珍しいことをしている日本人がいるという視点で見ていた人も多かったと思うんですけど、それでも体験としてはすごく刺激的でした。

―ライブにおいても、あの経験が大きくフィードバックされてますか?

STUTS:大きいですね。ライブの話で言うと、もうひとつ大きかったのはカリーム・リギンスというビートメイカー兼ドラマーの来日ライブ(2013年8月)を観たことで。そのときにカリーム・リギンスが、自分で作った打ち込みのビートに合わせてドラムを叩いていたんですけど、そのグルーヴ感が本当に気持ちよくて。そのときに自分ももうちょっとドラムを叩くような感じでMPCのパフォーマンスをやってみようと思って。それで今のスタイルになっていったんです。

―あのエモーショナルなMPCライブのスタイルが確立するまでは、そういった変遷があったんですね。

STUTS:そうなんです。ただ正確にMPCを叩くだけではなく、感情を表現しながらグルーヴを生み出したいと思ってます。

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リリース情報

Alfred Beach Sandal + STUTS『ABS+STUTS』
Alfred Beach Sandal + STUTS
『ABS+STUTS』(CD)

2017年6月21日(水)発売
価格:1,728円(税込)
PECF-5002

1. The Chase
2. Horizon
3. Daylight Avenue
4. Siesta
5. Quiet Blue
6. A Song of Last Things

イベント情報

『“ABS+STUTS” Release One Man Show』

2017年7月16日(日)
会場:東京都 表参道 WALL & WALL
出演:Alfred Beach Sandal + STUTS
料金:前売3,000円 当日4,000円(共にドリンク別)

『“ABS+STUTS” Release Tour』

2017年8月5日(土)
会場:愛知県 新栄 Live & Lounge Vio
出演:
Alfred Beach Sandal + STUTS
Ramza
6EYES

2017年8月6日(日)
会場:大阪府 CIRCUS
出演:
Alfred Beach Sandal + STUTS
and more

2017年9月1日(金)
会場:福岡県 KIETH FLACK
出演:
Alfred Beach Sandal + STUTS
DJ:
SHOTA-LOW
and more

2017年9月3日(日)
会場:熊本県 NAVARO
出演
Alfred Beach Sandal + STUTS
DJ:
Kappy
Go Honda
Takesue
and more

プロフィール

Alfred Beach Sandal + STUTS
Alfred Beach Sandal(あるふれっど びーち さんだる)

2009年に北里彰久(Vo,Gt)のフリーフォームなソロユニットとして活動開始。ロックやラテン、ブラックミュージックなど、雑多なジャンルをデタラメにコラージュした上に、無理矢理ABS印のシールを貼りつけたような唯一無二の音楽性で、真面目に暮らしている。

STUTS(すたっつ)

1989年生まれのトラックメーカー / MPC Player。2013年2月、ニューヨーク・ハーレム地区の路上でMPCライブを敢行。オーディエンスが踊り出す動画をYouTubeで公開して話題になる。MPC Playerとして都内を中心にライブ活動を行う傍ら、ジャンルを問わず様々なアーティストよりトラック制作、リミックスの依頼を受けるようになる。2016年4月、縁のあるアーティストをゲストに迎えて制作した1stアルバム『Pushin'』を発表し、大きな反響を呼んだ。現在、国内外でのライブ活動を中心に、楽曲プロデュース、CM音楽制作を行いながら、新しい作品制作に没頭している。

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