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sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duck『THINK』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西槇太一 編集:矢島由佳子
2017/07/05

「音楽舐めんなよ」って言ってあげたいです。

―赤い猫はギター、ベース、ドラムのオーソドックスなスタイルでしたよね。

渋谷:そうです。でも当時からディレイとかめっちゃ使ってたから、今sui sui duckでやってるようなエレクトロっぽい感じがもともとやりたかったんだなって、今振り返ると思いますね。昔はそれを三人でやろうとして、でもできなかったから、結果的に「シンプルな音で勝負」みたいになってたけど、意識はすでにそこになかったというか。

―リスナーとしては、当時からエレクトロな要素のあるものを聴いてたわけですか?

渋谷:そうですね。昔からDaft Punkとかばっかり聴いてました。ずっと洋楽が好きで、いつからか時代がエレクトロな感じに移行していくなかで、高校のときにEDMがめっちゃ流行って、そのあとFoster The People(2011年デビュー、ロサンゼルス出身のエレクトロポップバンド)とかが出てきて、そのあたりにすごくハマって。だから、いわゆるバンドサウンドのものは全然聴かなくなってましたね。

―組んだ当時の流れでバンドサウンドをやりつつも、好みはもう次に移行していたと。

渋谷:そうなんですよね。なので、まだ発展途上ではあるけど、sui sui duckを始めて、ようやくやりたい方向性が固まってきたなって思います。まあ、The Eaglesを聴くと、未だに「やっぱいいな」とは思うんですけどね。

左から:安達智博(Dr)、加藤亜実(Key,Cho)、高橋一生(Art Director)、渋谷勇太(Vo,Gt)、清水新士(Ba)、堀内拓海(Gt)
左から:安達智博(Dr)、加藤亜実(Key,Cho)、高橋一生(Art Director)、渋谷勇太(Vo,Gt)、清水新士(Ba)、堀内拓海(Gt)

―sui sui duckというバンド名はどのように決めたんですか?

渋谷:僕、昔からエフェクターを見るときに、お父さんからもらったアヒルのライトを使ってて、そのアヒルの土台に「sui」って書いてあって、「sui sui duck」ってかわいいなって。ミニマルで丸い感じを意識してたので、ドンピシャだなと思ったんです。

―じゃあ、特別な意味はないんだ?

渋谷:Suchmosみたいな、「自分たちもルイ・アームストロングのようなパイオニアに」とかはないです(笑)。

渋谷勇太

―白鳥って、パッと見では優雅にスイスイと泳いでるように見えるけど、水面下ではめっちゃ足をバタバタさせてるっていうじゃないですか? 今のsui sui duckの音だけ聴くと、オシャレだし洗練されてるけど、渋谷くんのこれまでの経歴を聞くと、実はその裏側は結構エモいっていう、バンド名がそれを表しているようにも思いました。

渋谷:納得のsui sui duckですね(笑)。ホントに、泥水をストローで吸って、砂を食ってここまで来ましたから。

―でも、十代からそれを経験できたのは大きかったでしょうね。

渋谷:そうですね。今では貴重な経験をさせてもらったなって思います。当時は自分ではなにもやってなかったんです。大人の人たちがいい感じにまとめてくれて、自分のクリエイティブは曲だけだったけど、その曲にも納得してたわけではなかった。作品に対しての愛がなかったし、続ける動機も漠然としてて……当時の自分には、「音楽舐めんなよ」って言ってあげたいです。

渋谷勇太

―だから、今回sui sui duckとしては初の全国流通音源が出るわけですけど、浮かれてる感じはないですよね。

渋谷:ですね。浮かれられないし、むしろここからもっと活動のペースを上げていかなきゃなっていうのは、肌で感じてます。

音楽を聴いてるときって、その曲を纏ってるような気分になる。音楽も服も、人を飾れるものだと思うんです。

―「昔は曲以外のクリエイティブは大人に任せてた」とのことですが、sui sui duckはライブのVJなども担当するアートディレクターの高橋一生くんもメンバーとしてクレジットされていることが、特徴のひとつですよね。

渋谷:最初はメンバーじゃなくて、写真だけだったんですけど、いろいろ話をするなかで、ミュージックビデオを作り、ジャケットを作り、ライブの映像もやってもらうようになって。正直、僕は最初ここまでいろいろ考えていたわけではなくて、高橋くん発信でいろんなことを具現化してくれたんです。ある意味、一番sui sui duckを作ってくれてるというか。

sui sui duck アーティスト写真
sui sui duck アーティスト写真

ライブの様子。映像を投影しながらライブを行う(撮影:Nanami(@nanami_82))
ライブの様子。映像を投影しながらライブを行う(撮影:Nanami(@nanami_82))

―“salvage”のミュージックビデオは「観る小説」というコンセプトで作られていて、非常にユニークだと思いました。

渋谷:“salvage”は不穏な感じというか、不思議なコード感なので、ミュージックビデオもスタンダードじゃない感じがいいなって。歌詞が物語調になっているので、そこを生かして、アニメーションを付けてもらいました。

―EP『THINK』で“salvage”の次に入っている“A”も、物語調の楽曲ですよね。

渋谷:“salvage”が面白い感じになったので、“A”につなげて、今後またその続編を作って、最終的には本にできたらなって思ってます。実は“salvage”のミュージックビデオの最後に一瞬だけ「A」って出てくるんですけど、あれを打ってるのがAさんだっていうことなんです。誰かが気づいてくれたらいいなって思うし、そういう仕掛けはこれからも入れていきたいと思ってます。

―さらにsui sui duckの全方位的なクリエイティブについて挙げると、ファッションブランドの「STUDIOUS」とコラボレーションをしていますね。

渋谷:最初に“Oh, My Bad”っていう曲のミュージックビデオを撮ったときに、衣装をSTUDIOUSで買ったんですけど、そのとき店員さんが一緒に選んでくれて、曲を聴かせたら、「めちゃくちゃいいね」って店内でも流してくれたりして。

渋谷:それから1年くらいして、流通が決まったくらいのタイミングで、その人がインタビュー記事を読んでくれたみたいで、「なにか一緒にやらない?」って声をかけてくれて。

―無理やりくっつけたわけじゃなくて、お互いを気に入ってスタートしてるっていうのはすごくいいですね。しかも、アーティスト写真やミュージックビデオだけではなく、ジャケット写真もSTUDIOUSの商品が使われていると。

sui sui duck『THINK』ジャケット
sui sui duck『THINK』ジャケット(Amazonで見る

渋谷:音楽がもっと身近なものであってほしいと思うので、ジャケットの写真は、身に着けるものにしたいと思ったんです。音楽を聴いてるときって、その曲を纏ってるような気分になるというか、イヤホンをつけると全身が包まれてるような感じになる。音楽も服も、そうやって人を飾れるものだと思うんですよね。

前作は『RUN』だったので、ジャケットはスニーカーだったんですけど、今回の『THINK』で言えば、「考えるのは頭だから、帽子にしよう」っていう、そういう発想です。

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リリース情報

sui sui duck『THINK』
sui sui duck
『THINK』(CD)

2017年7月5日(水)発売
価格:1,728円(税込)
LUCK-1005

1. inter light
2. nitro
3. out
4. salvage
5. A
6. think
7. loser

イベント情報

CINRA×Eggs presents『exPoP!!!!! volume99』

2017年7月20日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
sui sui duck
トリプルファイヤー
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

sui sui duck
sui sui duck(すい すい だっく)

メンバーは、渋谷勇太(Vo,Gt)、堀内拓海(Gt)、清水新士(Ba)、加藤亜実(Key,Cho)、安達智博(Dr)、Art Director高橋一生。『RO69JACK for COUNTDOWNJAPAN'16』入賞。2016年4月から都内にてライブ活動を開始。同年冬に、自主制作によるミニアルバム『WALK』『RUN』をライブ会場限定で発売。2017年7月5日、タワーレコードレーベル「LUCK」より全国流通盤『THINK』のリリースが決定。

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