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sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duckが語る、アートディレクターを擁するバンドの在り方

sui sui duck『THINK』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西槇太一 編集:矢島由佳子
2017/07/05

「今の自分もまだまだ全然ダメだぞ」っていう、戒めみたいな曲でもあります。

―オフィシャルのバイオグラフィーに書いてある「simple. not simple. minimal. not minimal.」というフレーズがsui sui duckの音楽性をよく表しているなと思ったのですが、あのフレーズについて、もう少し噛み砕いて話してもらえますか?

渋谷:今回の『THINK』はわりと暗い曲が多いと思うんですけど、たとえば“nitro”は過労死のニュースを見て、それをモチーフに歌詞を書いてたりするので、サウンドだけではなくて、歌詞にもこだわってるという意味で、「シンプルだけではない」です。

「ミニマルだけではない」というのは、僕らの曲って結構ゴチャゴチャしていて、カオスな音作りになってるんですよね。今はまだ型にはまったエレクトロサウンドの部分が強いと思うんですけど、意外とギターはすごい歪んでて、ハウリングもめっちゃ入ってたりする。今後はそういう部分もより出していきたいと思っていて。

sui sui duck

―途中で「自分の声があんまり好きじゃない」という話もありましたが、オートチューン使いも特徴のひとつですよね。

渋谷:前にボーカルの先生についてたときに、「ファルセットがきれいだね」って言ってもらえたんです。実際、歌の上手さだと他の人には勝てないから、ファルセットくらいしか戦えないなって思ってるんですけど、ファルセットオンリーだととんでもなくぶれちゃって。そういうなかで、もともとPerfumeが好きだったから、オートチューン使ってみたらハマるかなと思ってやってみたら、自分なりにいいなと思えて。

―今のR&Bやヒップホップのシーンではオートチューンを使ってる人も多いので、そういうところからの影響もありますか?

渋谷:THE WEEKNDにはかなりハマったので、“think”にはその影響がモロに出てますね。これ作ってるときはTHE WEEKNDしか聴いてないくらいの感じだったので(笑)。

渋谷勇太

―THE WEEKNDだったり、The 1975だったり、今のトレンド感を押さえつつ、ここから先でどうなっていくかが勝負ですよね。さきほど話していたようなギターの要素とかが鍵になってくる?

渋谷:もう僕のなかでは来年のビジョンが見えてるんですけど、それは完全にエレクトロロックサウンドですね。Daft Punkで言えば“Robot Rock”みたいな、もっとハードなギターのリフが入ってて、そのなかにsui sui duckがもともと持っているミニマルなサウンドもあって……だから、かっこかわいい感じですかね。

―『THINK』のなかでもう一曲、最後に収録されている“loser”についても訊かせてください。サビの<僕はバッドルーザー>という言葉とか、<腐ったのは 間違えたのは 下ったのは 僕だった>とか、これは渋谷くんのこれまでがストレートに綴られてるのかなって。

渋谷:完全に、俺が大学の頃に思ってたことですね。「腐った負け方をしてたな」って思います。今回『THINK』というタイトルで、これが当時自分が一番考えてたことだったから、この曲はどうしても入れたくて。

作ったのは最近なので、「今の自分もまだまだ全然ダメだぞ」っていう、戒めみたいな曲でもあります。あの頃のことはこれからもずっと忘れないと思うので、曲にしておきたかったんです。

言ってみれば、デヴィッド・ボウイみたいになりたいんですよね。

―最後に、バンドの今後の展望について話してもらえますか?

渋谷:まずは途中でも言ったような、かっこかわいいエレクトロロックサウンドを目指したいなって思います。最近はみんな海外インディーのドープな感じに流れていて、ああいうのもオシャレでかっこいいと思うけど、俺らはそこにいても勝てないなって。だったら、今ってBOOM BOOM SATELLITESみたいなバンドはいないし、俺らは流れに逆らってロックにいこうと思っていて。

sui sui duck

―そのカウンター精神っていうのは、渋谷くんのなかにある「ルーザー」の感覚から来るもので、だからこそ、他とは違うやり方でなんとかしたいという想いがあるのかなって。

渋谷:そこは強いですね。「みんなと同じことをやっていてもたぶん勝てない」っていう感覚は自分のなかにあります。まずはとにかくカウンターを打って、そのなかでちゃんとトレンド感も出していくのが、自分たちが楽しくできるやり方なんじゃないかなって。だから、次のジャケットはレザーになってるんじゃないですかね(笑)。

―ロックモードになっていると(笑)。

渋谷:大本の出地はクラシックだったりするので、そこはあんまり出したくなくて、着飾って違う自分になりたいみたいな感覚もあるんですよね。金髪にしたのも、あんまり人間っぽさを出したくないというか。最終的には宇宙服で出てくるくらいのパンチを出したくて(笑)、言ってみれば、デヴィッド・ボウイみたいになりたいんですよね。

―ジギー・スターダスト的なイメージだ(笑)。でも、ボウイも音楽的にはどんどん変遷しつつ、いろんなアートやカルチャーを体現してきたわけで、指針としてはもってこいですね。

渋谷:そうなんですよ。ホントに、目指すところはデヴィッド・ボウイです。顔の形的にも、ギリギリいけるんじゃないかと思うんですよね(笑)。

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リリース情報

sui sui duck『THINK』
sui sui duck
『THINK』(CD)

2017年7月5日(水)発売
価格:1,728円(税込)
LUCK-1005

1. inter light
2. nitro
3. out
4. salvage
5. A
6. think
7. loser

イベント情報

CINRA×Eggs presents『exPoP!!!!! volume99』

2017年7月20日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
sui sui duck
トリプルファイヤー
and more
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

sui sui duck
sui sui duck(すい すい だっく)

メンバーは、渋谷勇太(Vo,Gt)、堀内拓海(Gt)、清水新士(Ba)、加藤亜実(Key,Cho)、安達智博(Dr)、Art Director高橋一生。『RO69JACK for COUNTDOWNJAPAN'16』入賞。2016年4月から都内にてライブ活動を開始。同年冬に、自主制作によるミニアルバム『WALK』『RUN』をライブ会場限定で発売。2017年7月5日、タワーレコードレーベル「LUCK」より全国流通盤『THINK』のリリースが決定。

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