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真心ブラザーズ×又吉直樹対談 表現に生きる二者の対照的な考え

真心ブラザーズ×又吉直樹対談 表現に生きる二者の対照的な考え

真心ブラザーズ『FLOW ON THE CLOUD』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:西田香織 編集:川浦慧、山元翔一 撮影協力:Red Bull Studios Tokyo

もう我々もぼちぼちキャリアもあるので、そういう瞬間をレコーディングするのがよいレコードなんじゃないかと思った。(桜井)

—又吉さんは真心ブラザーズの新作『FLOW ON THE CLOUD』を聴かれて、どんな感想を抱きましたか?

又吉:あの、むちゃくちゃよかったです。聴きながら散歩したくなる感じがあって。あと、刺激的なんですけど、同時に懐かしさもすごく感じました。心当たりがあるような感覚も多かったし。ずっと真心さんを聴いてきているので「あ、この表現、いつかの……」と思うところもあったりしました。

又吉直樹

—懐かしさもあるということですが、真心のお二人はサウンド面でのヴィンテージ感のようなものを意識されたりしましたか?

YO-KING:しましたね。僕、いつもレコードを聴いているので、そういう音に耳が慣れていて。だから大きく聴いても耳に優しい音にしたかったんです。

—レコーディングはどんな感じで進めていったんでしょうか。

桜井:今回はなるべく準備をせずに臨んだんですよ。普段は家でデモを作ってみんなに聴いてもらって、リハーサルスタジオに行って楽器をあわせながらアレンジを詰めていくんですね。それを端折って、いきなりレコーディングスタジオに入ろうと思ったんですね。

—そういうやり方をしたのは何故でしょうか?

桜井:リハーサルの段階で、すごくいいプレイが出たりするんですよ。でも、後日録り直しても、得てしてその時の感じにならないという残念なことが結構あって。もう我々もぼちぼちキャリアもあるので、そういう瞬間をレコーディングするのがよいレコードなんじゃないかと思ったんですね。

ここの1F(取材・撮影を行ったRed Bull Studios Tokyo)にいきなり入って。歌詞とコード進行を書いて、みんなに渡す。それで「せーの」で演奏してみる。そうしたら、初日に4曲くらい録れました。

桜井秀俊

—通常のレコーディング作業とは全く違う行程だった。

桜井:ドラムのダイちゃん(伊藤大地)とベースのハルくん(岡部晴彦)の二人だけを呼んで、四人でお題に対する大喜利のように演奏していくんです。

それを2~3日でやって、結局、CDの倍以上の曲数を録ったんですよ。泣く泣く1枚におさめたという。そういう遊びをやれてる興奮が、ファーストアルバムの時、それから1995年の『KING OF ROCK』というアルバムの時と感触が近かった。そのあたりで、又吉くんのように昔から聴いてくれている人も、懐かしい感触を捉えてくれていたら嬉しいなと思います。

—セッション的に曲を作っていったということですが、歌詞についてはどんな書き方だったんでしょう?

桜井:歌詞に関しては、YO-KINGさんにいろんなことを書いたネタノートを持ってきてもらって。僕らが演奏したら、それを聴きながら言葉を引っ張り出して書いていくんです。それで演奏の熱が逃げないうちに歌も録ってしまうという。

—どんな風に書いているんですか?

YO-KING:面白いことだけを書くというわけではないんです。1000のアイディアを出して1000の恥を書くくらいの気持ちで、なんでも書く。

左から:YO-KING、桜井秀俊

「まあ、いっか!」って思っちゃった。そこがいいところかもしれない。追求しすぎないという。(YO-KING)

又吉:今回のアルバムって、言葉が自由律俳句みたいなんですよね。“レコードのブツブツ”という曲の中に<スマホを見ないで食事しなさいよ>という歌詞があったり。<雨の日は傘を持ちなさい>とか。めちゃくちゃ面白いですよ。

YO-KING:はははは、面白いでしょ。

又吉:よく考えたら普通のことを仰ってるんですけど、そこで音楽のテンションが高まってきてるので、違った風に聴こえるというか。

桜井:その後にギターソロがくるからね(笑)。

又吉:ああいう言葉を切り取って自分の作品として提出するのは勇気がいると思うんですよ。いろいろやりたくなるから。そういうところも好きですね。

YO-KING:さすが、鋭いなあ。そこはまさにスタジオで「とりあえずサビはこの歌詞をあてちゃえ」と思って書いた部分なんですよ。後で変えればいいやと思っていたけれど、テイクがよかったんで、そのまま曲にしちゃった(笑)。これを面白いと思う人がどれだけいるかなんだけど。自分が面白いと思ったから、いいんだよね。

左から:YO-KING、桜井秀俊

—なんらかのメッセージを伝えよう、こういう思いを込めようという考えとは全く違うところから出てくるフレーズですね。

YO-KING:今回は文字量が多い曲を作りたかったんです。だから歌詞から作ることも多かったですね。「うえー、もういいよ」って思うような分量の歌詞にしたかったという。でも「まあ、いっか!」って思っちゃった。そこがいいところかもしれない。追求しすぎないという。

—YO-KINGさんは「1000のアイディアを出して1000の恥をかく」と仰いましたが、又吉さんも小説やコントや漫才のネタを書く時にそういう感覚はありますか?

又吉:そうですね。僕もメモしたり、気付いたことは日々書いてますね。1000とはいかなくても、100個は出します。却下されたらまた次のやつを書く。

YO-KING:でもさ、だんだん却下されるのもイヤになってこない? もう人の指図を受けたくない、もうやりたいようにやるわという。今回のアルバムはそういうところの始まりの作品だと思うな。

—真心ブラザーズには、デビュー当時から枠にはハマらず、やりたいことを優先してやってきたようなイメージもありますけれども。

YO-KING:相対的にはすごく自由にやらせてもらってるんだけど、それでもやっぱり、ビジネスとしてやってる部分はあるから。そこでいろいろ言われて従うこともあるし。だけど仕事というより遊びと思ってやっているからね。残りの人生の時間もわかってきてるし、もうやりたいようにやらせてよ、という。もともと褒められたら嬉しいけれど、人の評価を気にしないタイプなんですよね。何故なら、自分自身にとてつもなく自信があるから。

YO-KING

桜井:ふふふ。

YO-KING:だから俺がやりたいようにやるのが一番いい。そして、そういう風にやらせてもらえているのは幸せだなと思います。

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リリース情報

真心ブラザーズ『FLOW ON THE CLOUD』初回限定版
真心ブラザーズ
『FLOW ON THE CLOUD』初回限定版(CD+DVD)

2017年9月13日(水)発売
価格:3,700円(税込)
TKCA-74531

[CD]
1. レコードのブツブツ
2. 雲の形が変化をした
3. 光るひと
4. けんかをやめたい
5. 凍りついた空
6. その分だけ死に近づいた
7. あるようにあれ なるようになる
8. 鼓動
9. 戦の友
10. アイアンホース
11. フェアウェル
12. 黒い夜
[DVD]
1. レコードのブツブツ MUSIC VIDEO
2. すぐやれ今やれ LIVE『マゴーソニック2017』よりライブ映像
3. アーカイビズム LIVE『マゴーソニック2017』よりライブ映像
4. 愛 LIVE『マゴーソニック2017』よりライブ映像

真心ブラザーズ
『FLOW ON THE CLOUD』通常盤(CD)

2017年9月13日(水)発売
価格:3,200円(税込)
TKCA-74532

[CD]
1. レコードのブツブツ
2. 雲の形が変化をした
3. 光るひと
4. けんかをやめたい
5. 凍りついた空
6. その分だけ死に近づいた
7. あるようにあれ なるようになる
8. 鼓動
9. 戦の友
10. アイアンホース
11. フェアウェル
12. 黒い夜

書籍情報

『劇場』
『劇場』

著者:又吉直樹
価格:1,404円(税込)

『火花』
『火花』

著者:又吉直樹
価格:1,296円(税込)

プロフィール

{アーティスト名など}
真心ブラザーズ(まごころぶらざーず)

89年大学在学中、音楽サークルの先輩YO-KINGと後輩桜井秀俊で結成。バラエティ番組内“フォークソング合戦”にて見事10週連続を勝ち抜き、同年9月にメジャー・デビュー。「どか~ん」「サマー・ヌード」、「拝啓、ジョン・レノン」など数々の名曲を世に送り出す。2014年にデビュー25周年を迎え、自身のレーベルDo Thing Recordingsを設立、11月にはレーベル第1弾作品となるオリジナル・アルバム「Do Sing」をリリースした。2015年、昭和女性アイドルの楽曲をテーマにした、初のカバー・アルバム『PACK TO THE FUTURE』をリリース。今年5月には、自主企画対バンイベント『マゴーソニック2017』を、6月にはジャズ・クラブ・ツアー『cozy moment』を開催。9月13日に2年10ヶ月振りとなるオリジナルアルバム「FLOW ON THE CLOUD」をリリースし、10月8日からは、ライブ・ツアー『FLOW ON THE CLOUD』を全国18箇所で開催する。

又吉直樹(またよしなおき)

1980年6月2日生まれ。大阪府出身。高校卒業後、芸人を目指して上京しNSC(吉本総合芸能学院)に入学。2003年、同期の綾部祐二と共にお笑いコンビ・ピースを結成。2010年、キングオブコントで準優勝、M-1グランプリで4位に輝く。芸人活動と平行し、エッセイや俳句など文筆活動も行う。2015年1月、文芸誌『文學界』において『火花』を発表し純文学デビュー、第153回芥川賞を受賞する。2017年3月、小説第二作となる『劇場』 を発表した。

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