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劇団ままごと・柴幸男が語る、東京を離れたワケ、戻ってきたワケ

劇団ままごと・柴幸男が語る、東京を離れたワケ、戻ってきたワケ

『フェスティバル/トーキョー17』
インタビュー・テキスト
萩原雄太
撮影:鈴木渉 編集:宮原朋之、山元翔一

2010年、俳優が□□□の“00:00:00”をバックにラップをしながら、少女の一生と惑星の一生が重ね合わされる作品『わが星』で、「演劇界の芥川賞」と言われる『岸田國士戯曲賞』を受賞し、2010年代演劇シーンの方向性を決定づけた柴幸男。しかし、この成功の後、彼は東京の演劇シーンとは距離をおき、香川県・小豆島をはじめとする地方での活動、高校生や一般市民との演劇創作、あるいは劇場を離れて、野外での作品創作などに比重を移していった。

そんな彼が、『フェスティバル/トーキョー17』(以下、『F/T』)で新作『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』を上演する。東京芸術劇場シアターイーストとウェストという隣り合った劇場で同時に行われるこの作品。柴らしく、ユニークな形式によるこの作品だが、東京芸術劇場や『F/T』といった「演劇の中心地」は、これまで柴が背を向けてきた場所ではなかったか? 彼が演劇の中心を離れた理由は何だったのか? そしてこのタイミングで戻ってきたのはなぜなのだろうか?

僕は上昇志向を持って演劇を始めたんですけど、気づいたら、小豆島のお年寄りを前に、落語を演劇にしてて(笑)。

―2010年以降、柴さんが率いる劇団「ままごと」はあまり東京では活動せず、小豆島をはじめとする地方での活動に力を入れてきました。柴さん自身、意図的に東京から距離をとろうとしていたのでしょうか?

:まず、『わが星』が高評価をいただき、目標としていた『岸田國士戯曲賞』を受賞してしまったんですね。そのすぐ後にはもうアゴラ劇場での次回作(『スイングバイ』)の上演が決まっていて、それが自分のなかでつらかったんです。

柴幸男
柴幸男

―というのは?

:東京で演劇をやるとなると、自分の過去作を観た人を前提に、次の作品で何かを観せなければならないプレッシャーを感じてしまって。『わが星』という作品を観た人、評判を聞いた人たちに対して、その次のステップをすぐに提示しなければいけないと思ってしまった。

僕はそういう演劇の作り方をするよりも、初めて自分の作品を観る人たちに自分の作品がどういう影響を与えられるのか? あるいは他にどういう演劇の作り方があるのか? といったことを模索したかったんだと思うんです。けれども、東京の演劇のサイクルのなかにいると、そんなことはできず、常に自分の前後作との比較、あるいは同時代に上演している作品との比較にさらされている気がしてしまう。なによりも自分が一番、比較をしながら作品を創作してしまったんです。

―自分の演劇を模索したり、演劇そのものの可能性を探りたかったのに、サイクルのなかで比較されたり、消耗したりしてしまうことがつらかったと。

:そうです。『あいちトリエンナーレ2010』に参加したことが地方に対して積極的に目を向けるきっかけになって、徐々に東京じゃない場所で作るという方向になっていきました。

柴幸男

―当時、『わが星』で「岸田國士戯曲賞」を受賞した柴さんは、まさに「ブライテストホープ」と呼ばれるような存在でした。そんな環境に背を向けることは、よほどの信念があったということでしょうか?

:実は、もともと僕はわかりやすい上昇志向を持って演劇を始めた人間なんです。どんどんと劇場を大きくして、芸能人の出演する演劇も演出して、お金をいっぱい稼ぎたいと思っていた……。けれども、気づいたら、小豆島のお年寄りを前に、落語を演劇にしていました(笑)。

ままごと『港の劇場』(2016年)photo:Hideaki Hamada / 『瀬戸内国際芸術祭2016』に関連し、小豆島・坂手地区にて上演された
ままごと『港の劇場』(2016年)photo:Hideaki Hamada / 『瀬戸内国際芸術祭2016』に関連し、小豆島・坂手地区にて上演された

―思い描いていた未来とは真逆ですね(笑)。

:けど当時は、人間関係も体調面も悪くなり、これ以上「引き受ける」ことができなくなってしまっていて。どうしても環境を変えなければならなかったんです。

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イベント情報

『フェスティバル/トーキョー17』

2017年9月30日(土)~11月12日(日)
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場、あうるすぽっと、千葉県 松戸 PARADISE AIRほか

『わたしが悲しくないのはあなたが遠いから』

2017年10月7日(土)~10月15日(日)全20公演
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターイースト、シアターウエスト
作・演出:柴幸男
料金:一般前売4,000円 一般当日4,500円 学生2,600円

『Toky Toki Saru』

2017年9月30日(土)、10月1日(日)全2公演
会場:東京都 南池袋公園ほか
コンセプト・演出:ピチェ・クランチェン
料金:無料

マレビトの会
『福島を上演する』

2017年10月7日(土)~10月15日(日)全12公演
会場:東京都 池袋 シアターグリーン BASE THEATER
作・演出:マレビトの会
料金:一般前売3,000円 一般当日3,500円 学生2,000円

『パレスチナ、イヤーゼロ』

2017年10月27日(金)~10月29日(日)全3公演
会場:東京都 池袋 あうるすぽっと
作・演出:イナト・ヴァイツマン
料金:一般前売4,000円 一般当日4,500円 学生2,600円

アジアシリーズ vol.4 中国特集「チャイナ・ニューパワー ―中国ミレニアル世代―」
『忉利天(とうりてん)』

2017年11月10日(金)、11月11日(土)全2公演
会場:東京都 池袋 あうるすぽっと
構成・演出・美術:チェン・ティエンジュオ
料金:一般前売3,500円 一般当日4,000円 学生2,300円

アジアシリーズ vol.4 中国特集「チャイナ・ニューパワー ―中国ミレニアル世代―」
『恋の骨折り損 ―空愛①場―』

2017年10月28日(土)、10月29日(日)全2公演
会場:東京都 六本木 SuperDeluxe
作・演出:スン・シャオシン
料金:一般前売2,500円 一般当日3,000円 学生1,600円(全てドリンク別)

アジアシリーズ vol.4 中国特集「チャイナ・ニューパワー ―中国ミレニアル世代―」
『秋音之夜』

会場:東京都 六本木 SuperDeluxe
出演:
リー・ダイグオ
シャオ・イエンペン
ワン・モン
Nova Heart
料金:一般前売2,500円 一般当日3,000円 学生1,600円(全てドリンク別)

まちなかパフォーマンスシリーズ
中野成樹+フランケンズ
『半七半八』

2017年10月6日(金)~10月9日(月・祝)全7公演
会場:千葉県 松戸 PARADISE AIR、FANCLUBほか
作・演出:中野成樹
ドラマトゥルク:長島確
原案:岡本綺堂『半七捕物長』より
料金:一般前売3,500円 一般当日4,000円 学生2,300円

まちなかパフォーマンスシリーズ
『アドベンチャーBINGO!!』

2017年10月14日(土)、10月15日(日)、10月27日(金)~10月29日(日)、11月9日(木)~11月11日(土)全24公演
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 アトリエウエスト、あうるすぽっと ホワイエ
作・演出・出演:福田毅
料金:一般前売1,500円 一般当日2,000円 学生1,000円
※おみやげ付

まちなかパフォーマンスシリーズ
『アイ・アム・ノット・フェミニスト!』

2017年10月26日(木)~10月29日(日)全8公演
会場:東京都 赤坂 ゲーテ・インスティトゥート 東京文化センター
作・演出・出演:遠藤麻衣
料金:一般前売2,000円 一般当日2,500円 学生1,300円
※パフォーマンスの他、展示あり

まちなかパフォーマンスシリーズ
『Family Regained: The Picnic(ファミリー・リゲインド・ザ・ピクニック)』

2017年11月3日(金・祝)~11月12日
会場:東京都 池袋西口公園、あうるすぽっと 会議室B
構成・演出・出演:森栄喜

トーク
11月3日(金・祝)
東京都 あうるすぽっと 会議室B
料金:500円

映像上映
11月4日(土)~11月12日
東京都 池袋西口公園
料金:無料

まちなかパフォーマンスシリーズ
快快

『GORILLA ~人間とはなにか~』
2017年11月12日(日)全1公演
会場:東京都 池袋西口公園
作・演出:北川陽子
料金:無料

『十字軍芝居 ―三部作―』

2017年10月14日(土)~10月16日(月)全3公演
会場:東京都 池袋 HUMAXシネマズ
監督:ワエル・シャウキー
料金:一般1,800円 学生1,500円

プロフィール

柴幸男(しば ゆきお)

劇作家、演出家、「ままごと」主宰。「青年団」演出部所属。「急な坂スタジオ」レジデントアーティスト。2010年に『わが星』で『第54回岸田國士戯曲賞』を受賞。東京の劇場から北九州の船上まで、新劇から北海道の小学生との学芸会まで、場所や形態にとらわれない演劇活動を行う。2013年『瀬戸内国際芸術祭』より小豆島(香川県)での継続的な滞在制作を開始。島民や観光客を巻き込み、「その時、その場所で、その人たちとしかできない演劇」を創作上演している。2014年より『戯曲公開プロジェクト』を開始、劇団HPにて過去の戯曲を無料公開中。

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