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TVアニメ『魔法使いの嫁』のEDテーマを歌う、糸奇はなの謎に迫る

TVアニメ『魔法使いの嫁』のEDテーマを歌う、糸奇はなの謎に迫る

糸奇はな『環-cycle-』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:豊島望 編集:山元翔一
2017/10/31

テレビアニメ『魔法使いの嫁』のエンディングテーマ“環-cycle-”にてメジャーデビューを果たす、糸奇はな。動画サイトへの投稿をきっかけに創作活動をスタートさせ、イラスト、漫画、刺繍、版画など、多岐にわたる表現方法で自らの世界を構築してきた彼女にとって、メジャーという大舞台への挑戦、さらに「アニメ作品」という大きなプロジェクトへの参加は、きっとひとつの転機になることだろう。

CINRA.NETでは今年の3月以来、2度目の単独インタビューを行った。前回に引き続き、筆者がインタビュアーを担当させてもらったのだが、筆者のなかでは、「糸奇はなに話を訊く」ということはかなり特別な体験である――という実感が、日に日に強まっている。なぜなら、彼女ほど、「人に何かを伝える」ということに対して、剥き出しに、そして真摯に向き合っている人は、そういないからだ。それは表現活動においても、インタビューにおいても然り。ときに世界に垂直に突き刺すように、ときには世界に対立しながら、彼女は借り物の言葉ではなく、自分自身のなかから生まれる言葉だけを、丁寧に紡ぐ。どうか、その言葉に、その音楽に、あなたも触れてほしいと願う。

何か欠けているものがあって、それをどうしていくか? というところに「物語」はあると思うんです。

―今回、エンディングテーマを担当されたアニメ『魔法使いの嫁』の物語に対して、糸奇さん自身、シンパシーを感じる部分はありましたか?

糸奇:ありました。『魔法使いの嫁』は、普通の人と違うことに苦しむ主人公のチセと、そんなチセを受け入れる異形の魔法使いのエリアスの物語なんです。そのエリアスも、最初は大きな包容力を見せるんですけど、実は彼自身、他の魔法使いには「人間にも化け物にもなれない半端もの」として扱われていたりしていて……どこか欠落している二人の話なんですよね。すごく繊細な物語だなと思って、そこにシンパシーを感じました。

糸奇はな
糸奇はな

アニメ『魔法使いの嫁』メインビジュアル / ©2017ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会
アニメ『魔法使いの嫁』メインビジュアル / ©2017ヤマザキコレ/マッグガーデン・魔法使いの嫁製作委員会

―糸奇さんは、欠落があるものに惹かれますか?

糸奇:そうですね。人間でも何でも、この世に完璧なものは存在しないですよね。何か欠けているものがあって、それをどうしていくか? というところに「物語」はあると思うんです。

何かが「できない」という出発点があって、その「できない」ができるようになればいいのか? とか、それが「できない」ままでは許されない環境から逃げればいいのか? とか、あるいは「じゃあ、それは俺がやるよ」って言ってくれる仲間ができる場合もあるだろうし……いろんな選択肢が生まれるので。

―確かに、「欠落」には「物語」がありますね。

糸奇:私も、自分自身の欠落や欠陥は嘆かわしいものだと思いますけど……それが第三者の目に触れたりすることではじまる物語を考えると、その「欠落」は何かのきっかけになるものなんだと思います。

―実際の放送で、ご自身の歌がテレビから流れる様子はご覧になりましたか?

糸奇:はい。「あぁ、自分の声なんだなぁ」って感慨深い気持ちになりましたし、エンドロールのクレジットで自分の名前が出てきたとき、自分がアニメを構成する一部になれたようで、嬉しかったです。アニメが一枚の絵だとしたら、そのなかの絵の具のひとつになれたような……そんな感覚になりました。

―これまで、糸奇さんはご自身の世界を様々な方法で表現してきましたが、あくまでも「ひとりの力で全ての世界を創造する」という側面が強かったと思うんです。今回のように作詞も作曲も他者が行っている楽曲で、しかも、アニメという巨大な作品の一部になることには、全く抵抗はなかったですか?

糸奇:むしろ嬉しいことでした。今までは、「詞も曲も、全部自分で作らないと価値がない」と思っていたところがあったので、「歌だけでもいい」と、自分の歌を必要としていただけたことは、すごく嬉しかったです。

―前回のインタビューのとき、糸奇さんは「必要とされたい」とおっしゃっていましたよね。先ほどの糸奇さんの言葉を借りると、他の何かが「欠落」した状態でも、歌が必要とされることで、その世界に存在できることが嬉しかった?

糸奇:そうですね。もともと、歌にも自信がなかったんですよ。大学では声楽を専攻していましたけど、どれだけ練習を頑張っても、トップの子とは素質も体格も演技力も違って、敵わない。「じゃあ、どうしようか?」と考えたのが、詩のことや音楽理論を人よりも頑張ろうと考えたきっかけなんです。

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リリース情報

糸奇はな『環-cycle-』}
糸奇はな
『環-cycle-』(CD)

2017年11月1日(水)発売
価格:1,296円(税込)
VTCL-35264

1. 環-cycle-
2. EYE
3. 環-cycle-(Instrumental)
4. EYE(Instrumental)

プロフィール

糸奇はな
糸奇はな(いとき はな)

英仏の歌曲を吸収したボーカルパフォーマンスと、儚い内面性を表現する歌詞世界、クラシカルな要素が強くありながらも打ち込みを駆使した現代的かつエッジーなサウンドメイクで独自の幻想的な音楽を提示する新世代ハイブリッドアーティスト / シンガーソングライター。小学生の頃に観た『オペラ座の怪人』に衝撃を受け、憧れ、声楽を学び始めた後、オリジナル曲の制作を開始。2016年8月10日には初のフィジカル作品となる『体内時計』手づくり版を110枚限定リリースし即完売。この作品は1枚1枚手刷りした版画でCDを包みナンバリングを入れるという凝りに凝った作品。これが音楽関係者の間で話題となり、11月にはタワーレコード限定の全国流通版として『体内時計』レプリカ版がリリースされ話題となった。歌唱、作詞、作曲、アレンジ、打ち込み、楽器演奏、といった音楽にまつわる全てのことをひとりでこなし、それだけでなくイラスト、動画、漫画、版画、刺繍、ゲーム作りからモールス信号まで、様々なやり方で独自の世界を表現するマルチアーティスト。

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