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2017年の注目バンドsui sui duckとevening cinemaが決意表明

2017年の注目バンドsui sui duckとevening cinemaが決意表明

『evening cinema × sui sui duck 共同企画 supported by TOWER RECORDS』
インタビュー・テキスト
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:高橋一生(sui sui duck) 編集:柏井万作

オザケンさんは本当に今年の「先生」でしたね。(原田)

―2017年に日本でリリースされた楽曲のなかで、印象的だったものってなにかありますか?

原田:僕は、小沢健二さんですね、圧倒的に。フラゲ日にTOWER RECORDSへ行って『流動体について』を買って、わくわくしながら歌詞カードをじっくり読んで、喫茶店でコーヒー飲んでっていうのが、すごく楽しかった。その日のことは超覚えてます。それはサブスクでは味わえない喜びだなと思ったし、自分の作品もそういうふうに消費されたいなと思いました。それぞれの生活とかストーリー性のなかに、僕らがどう組み込まれていくのか、というところまで興味がある。

原田夏樹

―その「体験」以外にも、楽曲において感動した部分があったということですよね?

原田:“流動体について”を聴いて、誠に勝手ながらシンパシーを感じたんですよね。僕が思ってた音とかアレンジの理想とか、全部が詰まっていて、舞い上がっちゃって。「僕もああいう音を作りたい」って、そればっかり考えていた1年間でした。

―具体的にいうと、どういうところでしょう?

原田:テンポ感もそうだし、短編小説のような詞ですよね。あと、あの曲のテーマは「過去を振り返る型」じゃないですか。僕も歌詞は「過去振り返り型」が多いので。僕が今作っている曲のテーマとしては、「あのとき君にこういう気持ちで言った言葉は、実は僕の自己満だったのかも」みたいな……オザケンさんのとは、ちょっと違う感じではあるんですけど。

―“フクロウの声が聞こえる”(小沢健二とSEKAI NO OWARI)も、テーマとしては、ざっくり言ってしまうと、相反するものが同居することの美しさを歌っていて、それは原田さんが前のインタビュー(evening cinemaインタビュー 日本のポップス史を継ぐ新たな才能)で話してくれた「他人とは分かり合えない。でも分け合うことはできる」という考えにも通ずるなと思いました。

原田:そういう意味でも、オザケンさんは本当に今年の「先生」でしたね。

いいものを作るのは大前提として、そこからどう見せていくかを考えないと売れない。(渋谷)

―さきほど渋谷さんより「『売れない』と言って足踏みしてるのはかっこ悪い」という発言がありました。ということは、自分たちも「売れること」を強く意識してる?

渋谷:引くほど売れたいです。

原田:強欲だな(笑)。僕はインディーズシーンが大好きですけど、今作っているアルバムは、「インディーズのバンド」として括られたくはない作品になります。ポップミュージックはたかだかポップカルチャーだけど、だからこそ大衆性を得なくちゃいけないと思うんですよね。

渋谷:そうだね、そういう意味ではメジャーにいくに越したことはないと思う。

渋谷勇太

―音楽活動の仕方も多様になってきていて、「メジャーデビュー」だけが売れることへの道筋ではないと言える時代だけど、二人は「メジャーデビュー」という目標がある?

渋谷:音楽好きしか音楽を聴かなくなっているこのご時世に、隅々まで自分たちの歌を行き渡らせていく手段を、メジャーとして取りたいと思うんですよね。

原田:sui sui duckは、作品を出すごとに新しい方向へ進むような傾向があるバンドだと思うんですけど、僕は対照的に、「過去にこんな音楽があったよ」「これよくない?」って掘り起こすタイプのアプローチをやっていて。今はみんな聴いてないけど、かつてはみんながいいと思ってた曲とかを掘り起こしたいんですね。

だから、ある意味売れなきゃいけないんですよ。売れるはずなんです。そういうアプローチをした上で、いい曲を作れたなら、もしそれが売れなかったときは僕の別のところに原因があるんだと思うから、届け方とかにも目を向けて階段を上がっていきたいんです。

原田夏樹

―こないだ星野源さんのツアーを観てきたのですが、源さんが影響を受けたYMOをカバーして、さらにYMOが影響を受けたマーティン・デニーもやったりしていて、文化を継承していこうとする姿勢が印象的でした。原田さんがやろうとしてるのも、それに近いというか。

原田:今の僕には、まだそれができないかもしれないけど、少しでも近づけるように頑張りたいと思います。こういうアプローチをやっている以上、いい曲を作るのは当たり前で、売れなきゃいけないっていう責務が生まれてきているんですよ。

―でも二人とも、「メジャーデビューすれば売れる」とも思ってないわけでしょう? それこそ1990年代とかだと、メジャーデビューして、ドラマ主題歌や音楽番組に出る、なんていう「ヒットの方程式」があったかもしれないけれど、そういうものが薄れてきているのを当たり前に理解しているわけで。

原田:たしかに、昔はそういうのがあったかもしれないですね。

渋谷:それこそ、ここからは、「見られ方を気にする問題」にかかわってきますよね。いいものを作るのは大前提として、そこからどう見せていくかを考えないと売れない。

渋谷勇太

原田:数多のいい曲のなかから僕らの曲が選び取られるためには、やっぱりプラスアルファの持ち味が必要ですもんね。それがなにか突き詰めるのが、今後の課題です。

渋谷:sui sui duckは今年2枚EPを出して、「おしゃれなバンド」「ちょっと賢い系なのかな」みたいな印象をつけられたと思うので、これでどれだけ激しいことをやっても、おしゃれのレッテルは剥がれないだろうなって。だから、ここからはロックバンドに移行するだけです。

原田:すげえなあ、そこまで考えてるのか。

―また世代の話をしてしまうけど、二人の話を聞いていて、20代前半の人たちってセルフプロデュースに長けてるなと思うんです。自分のことを客観的に見れているというか。それは10代の頃から日常的にSNSを使いこなしているからだと言えるとも思うのですが。

渋谷:セルフプロデュースは、このご時世ある程度できないとやっていけないですよね。今って、育ったバンドを即戦力として出すほうが早いしコストも抑えられるから、レコード会社に声をかけてもらいやすいし、お客さんにも、ある程度完成された状態じゃないと手に取られないと思う。だからこそ、セルフプロデュースは勝手に進化しているんだと思います。

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イベント情報

『evening cinema × sui sui duck 共同企画 supported by TOWER RECORDS』

2017年12月4日(月)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:
sui sui duck
evening cinema
CICADA
料金:前売2,500円 当日2,800円(共にドリンク別)

※ 来場特典:原田夏樹(evening cinema)と渋谷勇太(sui sui duck)合作のコラボ楽曲にアクセスできるSpotifyコード付きステッカー

プロフィール

evening cinema
evening cinema(いぶにんぐ しねま)

フェイヴァリット・アーティストに大瀧詠一、岡村靖幸、小沢健二を挙げるボーカル兼コンポーザー原田夏樹を中心に2015年結成。80年代ニューミュージックに影響を受けたメロディーセンスと現代の20代男子の瑞々しい感性で90年代初頭のPOPSを現代に再構築するAOR系POPSバンド。無名の新人ながらその作家能力に注目が集まり、2016年7月、1st mini AL『Almost Blue』でCDデビュー。以後他アーティストへの楽曲提供やコラムの執筆等、活動の幅を広げている。

sui sui duck
sui sui duck(すい すい だっく)

2015年結成。見覚えあるあの黄色いアヒル。2016年4月からライブ活動をスタート。同年12月に自主制作EP『RUN』『WALK』をリリース。EAGLESとDaft Punkを敬愛するボーカル・コンポーザー渋谷が放つ楽曲からインスパイアされたアート・ファッション・ビデオなどをクリエイティブチームがコンセプチュアルに体現。音楽を中心にライフスタイルを提唱するプロジェクト集団でもある。メンバーは、渋谷勇太(Vo,Gt)、清水新士(Ba)、堀内拓海(Gt)、安達智博(Dr)、加藤亜実(Key,Cho)、高橋一生(Artwork Director)。

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