特集 PR

LINE RECORDS田中大輔と柴那典対談 音楽新時代にどう切り込む?

LINE RECORDS田中大輔と柴那典対談 音楽新時代にどう切り込む?

LINE RECORDS
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧

アジア最大のユーザー数を誇るコミュニケーションアプリ「LINE」が、この春に音楽レーベル「LINE RECORDS」を立ち上げた。これまでに、気鋭の音楽プロデューサーKan SanoによるLINE呼び出し音のリミックス音源やアナログ盤のリリース、さらには「歌うま女子高生」鈴木瑛美子の配信リリースなどを手掛けてきた同レーベルは、この夏より「ストリーミング時代の新しいスター」を発掘すべく、『LINEオーディション2017』を大々的に行ってきた。

CINRA.NETでは、定額制オンデマンド型音楽配信サービス「LINE MUSIC」をはじめ、「LINE」が提供する各種サービスを駆使しながら、これまでにない形で音楽制作を行おうとする「LINE RECORDS」の全貌を探るべく、連続企画を実施。その第一弾として、LINE RECORDSのプロデューサーであり『LINEオーディション2017』の中心人物でもある田中大輔と、『ヒットの崩壊』などを著書に持つ音楽ジャーナリスト・柴那典の対談を行った。国内外の音楽シーンの動向にも詳しい二人は、現在の音楽シーンや、ストリーミング時代の音楽の在り方について、どんな考えを持っているのだろうか。そして、「LINE RECORDS」が目指すものとは?

ピコ太郎というのは、ストリーミング時代の音楽スターであると、僕は位置づけているんです。(柴)

—まずは、現在の音楽シーンについてお二方がどのように考えているのか聞かせてください。

:今からちょうど1年ぐらい前に、『ヒットの崩壊』という本を出したのですが、僕はその前後でちょっと世の中のムードが変わってきたと思っていて。単純に言うと、「音楽不況」と言う人が減ってきたような気がするんです。

田中:確かに、そうですね。

:2010年代に入ってからも、「もうCDは売れない、音楽は儲からない、音楽業界は先行き不透明だ」という閉塞感を語る人が、結構たくさんいたんです。そういう人たちに、「いやいや、今は音楽不況の時代ではないんだよ」と言いたいというのが、僕が『ヒットの崩壊』という本を書いた理由でもあって。ストリーミングという新しいメディアが入ってきたことで、「先行きは明るいぞ」という認識を持つ方が、すごく増えているように思うんです。

柴那典
柴那典

田中:実際ここ1、2年というのは、海外の動向も含めて、ストリーミングによるヒットなど、先行きの明るい事例が増えてきましたよね。IFPI(世界レコード連盟)の発表によると、2015年には、世界の音楽産業で史上初めてデジタルの売り上げがフィジカルを上回って、しかもそのとき、約20年ぶりに音楽産業がプラス成長をしたんです。その内訳をみると、デジタルが全体の収益の45%で、フィジカルが39%。そのデジタルの数字を後押ししたのがストリーミングなんですよね。

田中大輔(LINE RECORDS)
田中大輔(LINE RECORDS)

:さらにRIAA(アメリカレコード協会)は、今年の上半期の売り上げが前年比17%増だったことを発表しました。下半期のデータはまだ発表されていませんが、下半期にリリースされた大物アーティストたちの動きを踏まえると、恐らく2017年は全体としても、飛躍的な伸びになるだろうと。

しかもそれが一過性のものではなく、2年連続成長となっている。つまり、2015年が音楽産業全体の売り上げの底であり、今はV字回復期に入っている。それが今、音楽業界で働いている人やストリーミングを手掛けている人たちの共通認識としてあるんです。

田中:海外の事例を見ると、もはやリリースの仕方すら変わってきていて、サプライズリリースが当たり前になっていますよね。しかも、自身のSNSが発端となって、それが広がっていくようなプロモーションになっている。それはこれから日本にもくる手法だと思っていて、僕はそこに非常に興味があるし、それをいち早く仕掛けたいというのが、個人的な思いとしてはあるんですよね。

左から:田中大輔(LINE RECORDS)、柴那典

—なぜここへきてV字回復期に入ったのでしょう?

:すごくザックリと言ってしまうと、ゼロ年代というのは、違法ダウンロードや違法コピーに、音楽業界が苦しめられてきた10年だったと思うんです。コピーを制限する「CCCD」のような悪名高いものもありましたし(笑)、ユーザーに不便を強いることで違法コピーに対応しようとした。それがすべて失敗に終わった一方、違法ダウンロードよりも手軽なものを作ってしまうという発想で、2008年からSpotifyが運用を開始します。

—スマートフォンの普及も大きいですよね。

:そうですね。なので、総じて言えば、音楽というものを一つひとつ選んで入手するよりも、月に1,000円とかを払って、好きなだけ聴くほうが便利だし、快適だし、面白いっていうことに、今、たくさんの人たちが気づきつつある。さらに、それはアーティストにとっても決して悪いことではないということが、多くの人に理解されるようになってきて……。

柴那典

Page 1
次へ

サービス情報

LINE RECORDS
LINE RECORDS

アーティストとユーザーの距離を縮めるデジタル・ネイティブ・レーベル。音楽を通じたコミュニケーションの更なる活性化及びユーザーとの接点の拡大を目的に、楽曲に関するレコード制作、楽曲管理等を行う音楽レーベル。

プロフィール

田中大輔(たなか だいすけ)

LINE RECORDS事業プロデューサー。1976年神奈川県生まれ。大学卒業後、CD・レコードショップのバイヤーを経て、2002年ユニバーサル ミュージック合同会社に入社。数々のアーティストのマーケティング・メディアプランナーを担当し、2015年LINE株式会社に入社。定額制オンデマンド型音楽配信サービス「LINE MUSIC」に従事、2017年3月に「LINE RECORDS」を発足。

柴那典(しば とものり)

1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。雑誌、WEB、モバイルなど各方面にて編集とライティングを担当し、音楽やサブカルチャー分野を中心に幅広くインタビュー、記事執筆を手がける。主な執筆媒体は「AERA」「ナタリー」「CINRA」「MUSICA」「リアルサウンド」「NEXUS」「ミュージック・マガジン」「婦人公論」など。「cakes」にてダイノジ・大谷ノブ彦との対談連載「心のベストテン」、「リアルサウンド」にて「フェス文化論」、「ORIGINAL CONFIDENCE」にて「ポップミュージック未来論」連載中。著書に『ヒットの崩壊』(講談社)『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(太田出版)がある。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

キセル“富士と夕闇”

キセルを聴くと、特別なものは本当に言葉にするのが難しいなと思う。3年ぶりのアルバムより、“富士と夕闇”のMV。日常を切り取っているはずなのにサイケデリックで、二人と一匹を映しているようで景色ばかりが目に入る映像の不思議が、妙にキセルにはまっている。監督はVIDEOTAPEMUSIC。浮遊感ある音も相まって、忙しない現実も融解するよう。(山元)

  1. 宇多田ヒカルの新曲“あなた”PV公開 来年に新アルバム&ライブツアー予定 1

    宇多田ヒカルの新曲“あなた”PV公開 来年に新アルバム&ライブツアー予定

  2. Charisma.comが無期限活動休止へ DJゴンチは脱退&アーティスト活動引退 2

    Charisma.comが無期限活動休止へ DJゴンチは脱退&アーティスト活動引退

  3. 小沢健二&満島ひかりが屋形船で“ラブリー” Apple Musicの新コンテンツ 3

    小沢健二&満島ひかりが屋形船で“ラブリー” Apple Musicの新コンテンツ

  4. 『デザインあ展』が5年ぶり開催 中村勇吾、小山田圭吾も参加 4

    『デザインあ展』が5年ぶり開催 中村勇吾、小山田圭吾も参加

  5. 香取慎吾&草彅剛&稲垣吾郎の映画『クソ野郎と美しき世界』ビジュアル公開 5

    香取慎吾&草彅剛&稲垣吾郎の映画『クソ野郎と美しき世界』ビジュアル公開

  6. Perfume支えるテクノロジーに迫るNHK特番 案内人に真鍋大度&ムロツヨシ 6

    Perfume支えるテクノロジーに迫るNHK特番 案内人に真鍋大度&ムロツヨシ

  7. 磯部涼『ルポ 川崎』 ラップからヤクザ、差別問題まで取材、BAD HOPも証言 7

    磯部涼『ルポ 川崎』 ラップからヤクザ、差別問題まで取材、BAD HOPも証言

  8. 『全員死刑』小林勇貴監督がケータイで撮影 映画『ヘドローバ』公開 8

    『全員死刑』小林勇貴監督がケータイで撮影 映画『ヘドローバ』公開

  9. アニソン、舐めたらアカン。ミト×OxTによる「アニソン座談会」 9

    アニソン、舐めたらアカン。ミト×OxTによる「アニソン座談会」

  10. 『SWITCH』の「良い音」特集に世界のオーディオ機器集結 高橋幸宏らも登場 10

    『SWITCH』の「良い音」特集に世界のオーディオ機器集結 高橋幸宏らも登場