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自流の貫き方 ハービー・山口×渡辺俊美×Keishi Tanaka鼎談

自流の貫き方 ハービー・山口×渡辺俊美×Keishi Tanaka鼎談

avex
インタビュー・テキスト・撮影
池谷修一
編集:久野剛士 撮影協力:COBBLER NEXT DOOR

表現者は、楽しさも苦しさも全部作品になる。(渡辺)

—自由を得るには、自分自身を貫く必要があるんですね。なかなか難しいことだと思いますが。

Keishi:一方で「いま思えば」ということが最近は結構あります。バンド時代には、出たくないイベントがあったり、メジャーレーベルを断っていた時期がありました。けれど、それって自分たちが変わってしまうかもしれないから、ビビッていたから、ということもあるんじゃないかとふと思ったりします。けど後悔してるかと言われたらそれはなくて、このやり方でしか得られなかった感動の方が多かったと思ってるし、自分にはあっていた。だから、自分を貫くのは環境ではなく、自分次第ですよね。

—ほかの選択もあったと思えるのは、積み重ねがあってこそだと思います。

Keishi:近頃は音楽という選択肢のほかに文章を書く仕事も増えて、雑誌で連載を持っています。それが自分の中で音楽に活かせている気がするんです。内容というより、気持ちが外向きになることが重要だなと。なんでもやってみる気持ちが大きいですね、いまは。

Keishi Tanaka
Keishi Tanaka(Keishi Tanakaオフィシャルショップはこちら

Keishi Tanakaの詩集「真夜中の魚」
Keishi Tanakaの詩集「真夜中の魚」(詳細はこちら

ハービー:僕はさっき言った舞台の経験が、自分の心に活かされています。それが写真にも反映されました。いろいろな分野の活動をするのは、絶対に心を豊かにしますよ。

渡辺:僕もかつてはレコーディングが終わったら洋服屋に戻るという、いいリズムで活動していて、40歳をすぎてからは音楽一本でやってきました。でもお弁当の本を出したりもしている。そういうリズムを自分で自然と作っている気がするんですよね。

—『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』はベストセラーになり、ドラマ化やコミックにもなりました。息子さんへのお弁当作りは音楽制作に影響があるんですね。

渡辺:あの本を出してから「お弁当のレシピ本は儲かるから、そちらに力を入れたら?」といつも言われるんだけど、それは違うなぁって(笑)。僕は弁当作りも何かの表現だと思ってやっていたから、無駄だとは思っていないんですけどね。

渡辺俊美著の『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』
渡辺俊美著の『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(詳細はこちら

ハービー:確かにそうですよね。表現者にとっては、何でも糧になります。

渡辺:楽しさも苦しさも全部作品になっちゃう。Keishiがさっき言っていた、「若かった」とか「弱かった」ことも。ただし、それにはやりきる勇気がいりますね。ジョー・ストラマーがいってたんですが、「犬一匹でもファンがいたら俺はやる!」と。僕もそういう「やりきる人間」になりたい。

僕はいま67歳だけど、いまが一番楽しい気がします(ハービー)

—ご自身の成長ももちろんですが、俊美さんの世代になると、次の世代に対して「何かを残す」「つなげる」ということも意識されるのではないですか?

渡辺:自分の役割はつねに意識してますね。僕らの上の世代や、過去の映画や音楽に興味を持ち続けて、それを下の世代につなげようとはいまも努力し続けています。

渡辺俊美
渡辺俊美(渡辺俊美オフィシャルショップはこちら

Keishi:俊美さんの次の世代が僕たちだと思うんです。俊美さんと同じくカジヒデキさんやCHABE(松田岳二、NEIL & IRAIZAのパーカッション担当)さんのように、いろんな音楽を聴き込んで生み出し続けている人たちが近くにいて、僕はとても恵まれていると思います。

—ハービーさんにとっての写真も同様ですよね。福山雅治さんが写真を撮るきっかけになったり、布袋寅泰さんとつながりがあって。

ハービー:福山さんは、もともとは1994年にジャケットを撮られた植田正治さん(鳥取県出身の写真家、1913年—2000年)に感銘を受けたようなんです。植田さんは当時80歳のおじいちゃんだけど、鳥取砂丘で楽しそうに自分を撮ってくれている姿を見て、「写真ってそんなに楽しいのか」と感心されたようで。それで、ツアーの撮影で同行していた僕に、色々と聞きに来てくれたので、一緒に中古屋さんでカメラを選んだり、暗室を貸したりしましたね。

布袋さんはBOØWY時代にベルリンやロンドンでの撮影が印象深いです。彼はいまロンドンに住んでいるけど、テムズ川にかかる鉄橋のそばに来たときに釘づけになったと、ブログで回想しています。それは僕が若い布袋さんたちをつれて撮影した思い出の場所。あの場所で未来を見つめていたんですね。

ハービー・山口

—他の活動や人の出会いがいまの活動につながっているんですね。そうした積み重ねを踏まえて、これからはどういった目標を持って活動していかれるのでしょう?

Keishi:お二人の話を伺って、「信じることを貫くこと」が重要だとすごく感じました。やり続ければ、まず自分が楽しんで生きていけるし、次に誰かに影響を与えることもできるかもしれない。

渡辺:「新しい自分を見たいのだ──仕事をする」。これは、人間国宝の陶芸家、河井寬次郎さんが残している言葉で。好きなことをやるのも仕事なんだろうけど、人に求められることをすることで新しい自分が見えたんですよね。これから、自分はその変化をどんどん見てもらいたいなと思います。

ハービー:僕は67歳だけど、いまが一番楽しい気がします。人間には、いくつかのロケットがあって。第1に、「青春」というロケットがある。第2のロケットは社会の中での自分が確立する40歳くらいの時期。それが60歳になって定年で終わりではなく、やってきたことすべてが燃料になり、第3、第4のロケットが飛ぶんです。

今年、ロンドン時代に撮ったパンクロックに関する写真を集めて、パリで個展を開く機会がありました。すると、それを見た人から「来年はロンドンで展示してほしい」と声をかけてもらって。生きている限り燃料は溜まります。だからこれからも、純粋に自分の心から出てきたものを創作し続けていきたいですね。

左から:ハービー・山口、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、Keishi Tanaka

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リリース情報

ハービー山口
『良い写真とは?撮る人が心に刻む108のことば』
『良い写真とは?撮る人が心に刻む108のことば』

2017年3月31日(金)発売
著者:ハービー・山口
価格:1,728円(税込)
発行:スペースシャワーネットワーク

ハービー山口
『Timeless in Luxembourg 1999-2017』
『Timeless in Luxembourg 1999-2017』

2017年12月6日(水)発売
著者:ハービー・山口
価格:3,780円(税込)
発行:SUPER LABO

渡辺俊美
『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』
『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』

2016年2月12日(火)発売
著者:渡辺俊美
価格:1,620円(税込)
発行:マガジンハウス

Keishi Tanaka
『真夜中の魚』
『真夜中の魚』

2017年4月14日(木)発売
著者:Keishi Tanaka
価格:2,000円(税込)
発売:シンコーミュージックエンタテイメント

イベント情報

TOKYO No.1 SOUL SET『IN THE ROOM』

2017年12月29日(金)
会場:東京都 恵比寿LIQUIDROOM

『YY NEW YEAR PARTY -ワイワイニューイヤーパーティー-』

2018年1月13日(土)
会場:東京都 新宿LOFT
出演:
bonobos
Keishi Tanaka
Nabowa

  • 詳細はこちら
  • Keishi Tanaka presents ROOMS

    2018年1月21日(日)
    会場:東京都 原宿 VACANT -ONE MAN-

    FRONTIER BACKYARD × KEISHI TANAKA

    2018年2月18日(日)
    会場:東京都 新代田 FEVER
    ライブ:
    FRONTIER BACKYARD
    Keishi Tanaka
    DJ:
    TGMX
    TDC
    Keishi Tanaka

    プロフィール

    ハービー・山口(はーびー・やまぐち)

    1950年東京生まれ。東京経済大学経済学部卒。長きにわたるロンドン生活を経て、アーティストとのコラボレーションから市井の人々のポートレートまで一貫した作風を見せる。エッセイ執筆、ラジオやテレビのパーソナリティーをつとめる。写真集、著作多数。近刊に『良い写真とは?撮る人が心に刻む108のことば』『TIMELESS IN LUXEMBOURG 1999-2017』など。

    渡辺俊美(わたなべ としみ)

    福島県川内村出身。TOKYO No.1 SOUL SETのVo&Gtであり、福島県人バンド「猪苗代湖ズ」でもBass担当として活動。2011年にはNHK紅白歌合戦に出場。2014年にエッセイ本「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」を発表し、ベストセラーに。翌年にはNHK BSプレミアムでドラマ化。さらにビッグコミックスよりコミック化。2016年、大根仁監督、福山雅治主演映画「SCOOP!」の主題歌を担当。さらに、東日本震災から5年。震災復興の活動で大空に飛ぶ花と復興への想いを表現したANA「東北FLOWER JET オリジナルソング」の作詞・作曲を手掛ける。2017年はフェスやイベントに出演し、11月にはKOYABU SONIC 2017に出演。年末恒例となったライブTOKYO No.1 SOUL SET presents「IN THE ROOM」が12月29日(金)恵比寿LIQUIDROOMにて開催される。

    Keishi Tanaka(けいし たなか)

    北海道大樹町出身のミュージシャン、田中啓史(たなかけいし)。 大学入学と当時に東京へ上京し、学生時代の仲間と共に5人組のインディーズバンド、Riddim Saunterを結成。ヴォーカルとして2002年頃より活動し、メンバーの脱退、新メンバーの加入などを経て、FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONICをはじめ、数々のフェスに出演。同時に、カジヒデキとリディムサウンター、THE DEKITSなど様々な名義でも活躍していた。そして2011年9月3日、中野サンプラザ公演をもってRiddim Saunterを解散。バンドの解散後、ソロのシンガーソングライターとしてKeishi Tanaka名義で活動をスタートし、細部にこだわりをみせる高い音楽性を持ちながら、様々なラジオ局でパワープレイに選ばれるなど、幅広い層に受け入れられる音楽であることを証明してみせた。最大10人編成で行われるバンドセットから弾き語りまで、場所や聴く人を限定しないスタイルで活動中。

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