特集 PR

94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉

94年生・The Songbardsが面白い。消費社会を生きる世代の言葉

The Songbards『Cages in the Room』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:渡邉一生 編集:矢島由佳子
2018/01/30

The Songbards

生まれたすぐあとに阪神・淡路大震災があったので、他の地域の人が持ってない感覚はあるかもしれないです。(柴田)

—新作『Cages in the Room』の1曲目“太陽の憂鬱”は<リシケーシュに救いを求めに行く くだらないのはいつも僕だ>という歌い出しから始まっています。リシケーシュはThe Beatlesが訪れたことでも知られるインドの聖地ですが、そのあとの<何もかも手放してしまうんだ 憧れては絶望を繰り返すこの心>というラインも含め、ここまで話してきたことがよく表れている1曲だと言えそうですね。

上野:なにか精神的に落ち込む出来事があって、そこから脱却できそうになったときに曲ができることが多いんですけど、その脱却できるキーになった文章とか考え方を曲の歌詞に盛り込むことで、自分のなかで何回も反芻できるようにしたいという思いがあるんです。

“太陽の憂鬱”を作ったときは、自分が落ち込んでるときに物事がよくないふうに見えるのって、結局は精神状態次第で、そこで物事が凝り固まって見えちゃうのはしょうもないなと思って。そういうときに藤原新也さんの『印度放浪』(朝日新聞、1993年発行)を読んで、「結局、進まないと、考えてるだけではなにもできないな」と思ったことを盛り込んだ曲です。

—松原くんが作詞をしている“街”についても聞かせてください。この曲はAnt Lily時代からやってる曲だと思うんですけど、アップテンポの曲が多いなかで、こういうバラードの名曲をちゃんと書けるのは非常に大きいなと思ったんですよね。

松原:この曲は結構前に書いた曲なんですけど、バンドやり始めたてで楽しいのもあって、時代のアンセムに成り得る曲、後世に残る名曲を自分も作りたいなと思って。“Let It Be”(The Beatles)とか“Don't Look Back In Anger”(Oasis)みたいな、老若男女が無理なく歌えるバラードを作りたいというイメージがありました。

—歌詞に関しては?

松原:「孤独」がテーマではあるんですけど、「孤独」って、今はそれを歌う時点でもうリスナーは共感できちゃうからずるいなと思ったりもして。僕はこの23年間普通に幸せに生きてきたと思っていて、親の愛情も感じてきたし、本当の意味で孤独になったことがないというか、少なくとも、物理的に孤独になったことは一度もないんですよね。でも、バンドを組んで皓平といろいろ話をするなかで、最終的に死ぬときは一人だなとか、これから大学を出て就職して普通に暮らしていくのかなって、漠然と思いながら歌詞を書きました。

The Songbards『Cages in the Room』ジャケット
The Songbards『Cages in the Room』ジャケット(Amazonで見る

—途中でOasisとNirvanaの話もあったけど、死生観が反映された歌詞も多いですよね。自主盤の『The Songbards First E.P.』に収録されていた“青の旅”には<青春の二文字を抱きしめてこのままずっとこうしていたいな いつか死ぬことを忘れなければ 別にどうってことはないんじゃない>という歌詞もありました。

上野:“青の旅”も、落ち込んでるときから上がっていくときに作った曲で、そういうときは死生観について考えることが多くなりますね。全部がそういう曲ばっかりではなくて、“春の香りに包まれて”は一番最近できた曲なんですけど、特に落ち込んで書いたわけではないです(笑)。

The Songbards

—神戸という街から影響を受けている部分って、なにかあると思いますか?

柴田:音楽的な土壌はある街ですね。それと、僕らが生まれたすぐあとに阪神・淡路大震災があったので、もちろん当時の記憶は全然ないんですけど、無意識のうちに親とか周りの人から伝わっているものとか、他の地域の人が持ってない感覚はあるかもしれないです。学年全体の生徒の数も他の世代より少ないし、学校ではずっと「震災のことを忘れるな」って言われてきましたからね。東日本大震災が起こったときも、よく学校の授業とかで見ていた状況と近いなと思って、他人事とは思えなくて。

松原:アーティストは地震とかテロに対して敏感な人が多くて、自分の好きなアーティストが社会的なことに対して支援してる姿を見ると、やっぱり憧れます。なかには「そんなのロックじゃねえ」って言う人もいるかもしれないですけど、僕はそういう人たちがいてくれてよかったなって思う。

—音楽活動をすることによって、社会貢献をしたいという気持ちがある?

松原:ありますね。「学校を出て就職したら、あとは社会に還元」みたいに思っている世代なので、世の中にわずかでも貢献しなくちゃいけないという気持ちはある。音楽をやることで、その想いはより強まっていますね。

The Songbards

ひとつの生き方を提示したい。人間を肯定するメッセージを伝えられればなと思います。(上野)

—『Cages in the Room』というタイトルの由来は?

松原:今回は収録されている5曲ともそれぞれタイプが違うので、バラバラなものがひとつのところにあるというイメージで、最初、栄秀が「『Rooms』ってどう?」って言って。それをよりThe Songbardsらしく言うなら、「鳥かご」がいいんじゃないかなと思って、こう名付けました。ここから飛び出す余地があるけど、僕らは地元で活動しているし、かごから出てもまだ部屋のなかっていう。いろんな意味で今の自分たちの等身大が表現できたんじゃないかと思います。

The Songbards

—まさに、The Songbardsはこの作品をきっかけにして、今後より自由に羽ばたいていくことになると思うのですが、最後にこれからの展望について話してもらえますか?

柴田:冒頭でも話しましたが、The Beatlesのようにメンバーの個性をぶつけ合いながらも、普遍性を持ったバンドになりたいです。いろんな流行りとかもありますけど、引き継がれていく普遍的な部分ってあって、芸術はそこに触れることができるものだと思うので、自分たちらしさを模索しながらも、普遍的な部分は忘れないようにしたいなって思いますね。

松原:そうやね。やっぱりThe Beatlesはバンドの形として理想なんですけど、決して同じことをやるわけではなくて、「普遍性を求める」ということ自体がThe Beatlesに近づく方法なのかなって。あと曲作りに関しては、さっきも言ったようにアンセムが作りたくて、しかも単純に自分にとっての記録ではなく、いつか誰かのためになるようなことをやっていきたいです。

—ロンドンのテロ事件のあとに、街に集まった人たちが“Don't Look Back In Anger”を合唱している光景を見ると、やっぱり感動しますもんね。

松原:あれに対してリアムがインタビュー受けているのを見て、あの兄弟は仲悪いですけど、Oasisでやってきたことに対してはどちらもちゃんと責任を持っているところをすごく尊敬して。僕もThe Songbardsの曲に対してちゃんと責任を持ちたいし、その曲を世に出す以上、自分もちゃんとした人間になりたいなって。

The Songbards

—岩田くんはどうですか?

岩田:最初に言った理想のバンドのイメージ、それぞれが曲を作るっていうところに早く足を踏み入れたいと思ってるんですけど、僕は外から取り入れたものを自分のなかで吸収して出すまでが遅いタイプなんですよね。すでに作ってる曲もあるんですけど、今回のレコーディングを経験したり、今日のインタビューでメンバーのいろんな話も聞けたので、自分がこのバンドのなかで作る曲というのを改めて考えたいなと思います。

—楽しみにしています。最後に、上野くんどうですか?

上野:バンドの今後に関してはみんなが言ってくれた通りなんですけど、個人として思っているのは、ひとつの生き方を提示したいということ。苦しいときに救いになることを取り入れて、人間を肯定するメッセージを伝えられればなと思います。そのためには自分が本当に望んでいることはなにか、冷静に判断できる精神状態でいたいです。

僕のなかでブッダはそういう人だと思っていて、最初は自分のためだったけど、それを世間に伝えることで、多くの人が救われた。そのプロセスに対して憧れがあるし、自分もその恩恵を受けた一人なので、やり方は違いますけど、最終的には僕らの音楽を聴いて少しでも希望を感じてもらえたら嬉しいですね。

The Songbards

Page 3
前へ

リリース情報

The Songbards『Cages in the Room』
The Songbards
『Cages in the Room』(CD)

2018年1月31日(水)発売
価格:1,500円(税込)
NWWCD-002

1.太陽の憂鬱
2.ハングオーバー
3.Philadelphia
4.街
5.春の香りに包まれて

イベント情報

『「Cages in the Room」リリース記念 弾語りライブ』

2018年2月9日(金)
会場:東京都 タワーレコード渋谷店

2018年2月14日(水)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店

※上野皓平のみの出演

『The Songbards&ムノーノ=モーゼスWレコ発「月と太陽のロマンス」』

2018年2月20日(火)
会場:大阪府 心斎橋 Pangea
出演:
The Songbards
ムノーノ=モーゼス
Easycome
POP ART TOWN
and more

2018年3月4日(日)
会場:東京都 下北沢 BASEMENT BAR
出演:
The Songbards
ムノーノ=モーゼス
and more

『The SongBARds』

2018年2月26日(月)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.

『「Cages in the Room」リリースツアー Final』

2018年3月27日(火)
会場:兵庫県 神戸 VARIT.
出演:
The Songbards
YAJICO GIRL
and more

プロフィール

The Songbards
The Songbards(ざ そんぐばーず)

2017年3月より地元・神戸を中心に活動を開始。バンド名「The Songbards」は、「Songbird=さえずる鳥」と「bard(吟遊詩人)」の意味。メンバーは松原有志(Gt.&Vo.)、上野皓平(Vo.&Gt.)、柴田淳史(Ba.&Cho.)、岩田栄秀(Dr.&Cho.)の4名で構成。UKロックなどに影響を受けた作詞作曲を手掛けるツインギターボーカルと、疾走感あるライブパフォーマンス、息の合った4人のコーラスワークが魅力。自主レーベル「Nowhere Works」を立ち上げ、2018年1月31日に、初の全国リリース決定!

関連チケット情報

2018年9月8日(土)
MUSIC GOLD RUSH First
会場:下北沢MOSAiC(東京都)
2018年10月2日(火)
HOT STUFF presents Ruby Tuesday 33
会場:LIVE HOUSE FEVER(東京都)
2018年10月6日(土)
MEGA★ROCKS 2018
会場:仙台市内の11会場(宮城県)
2018年10月13日(土)
No Maps ROCK DIVERSITY
会場:札幌市内6会場(北海道)
2018年11月18日(日)〜12月21日(金)
The Songbards
会場:LIVE HOUSE Pangea(大阪府)

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編

映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』予告編。高畑勲の実験精神に敬意を表する監督が「暗号描画」なる手法を使い、全ての作画をたったひとりで手がけたという。透けてしまいそうなキスシーンや、迫り来る波の一瞬一瞬に確かに手をひかれているようで、全貌が気になって仕方ない。オフィシャルサイトには片渕須直、今日マチ子らのコメントも。(井戸沼)

  1. 岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真 1

    岩田剛典と元カノ・大政絢が再会 『パーフェクトワールド』新場面写真

  2. 『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら 2

    『ギャングース』公開日決定&新場面写真にMIYAVI、篠田麻里子、山本舞香ら

  3. 木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開 3

    木村拓哉&長澤まさみのホテルマン姿 『マスカレード・ホテル』特報公開

  4. ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら 4

    ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダムNT』特報、声優陣に榎木淳弥ら

  5. のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読 5

    のんが武満徹『系図』の語り手を担当 谷川俊太郎の詩を朗読

  6. 森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら 6

    森川葵×城田優のドラマ『文学処女』に中尾暢樹、泉里香、上遠野太洸ら

  7. 次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ 7

    次号『CUT』は『銀魂』特集 実写からアニメ、原作漫画まで網羅の36ページ

  8. 満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」 8

    満島真之介が『映画 おかあさんといっしょ』に出演 「人生の一番の夢」

  9. アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉 9

    アナログフィッシュ×呂布カルマ 小さな声でも人に刺さる言葉

  10. 金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化 10

    金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化