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BOOM BOOM SATELLITESが最後に伝える、音楽と人生の魅力

BOOM BOOM SATELLITESが最後に伝える、音楽と人生の魅力

BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER-THE FINAL SESSION-LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』
インタビュー・テキスト
矢島由佳子

結成から27年、ヨーロッパでのデビューから20年——2017年6月18日、BOOM BOOM SATELLITESは「最後のライブ」を迎えた。ボーカル・川島道行の脳腫瘍による逝去から約8か月後に行われたそのライブは、中野雅之とサポートメンバー二人による演奏と、映像・照明を駆使した演出、そして川島の歌声が流れる形で実現された(詳しくはレポート記事にて:BOOM BOOM SATELLITES、川島不在のなかラストライブを実現)。

そのラストライブ『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』の映像作品が、3月14日にリリースされる。本作は「BOOM BOOM SATELLITESの活動を締めくくる作品」であるだけでなく、「日本の音楽史に深く刻まれ、後世にも影響を与え続ける作品」だと言っても、決して過言ではないと思う。なぜなら、BOOM BOOM SATELLITESの最後の佇まいからは、「音楽とは、芸術とは、なんのためにあるのか」、そして「幸せとは、いい人生とは、なにか」という問いに対する答えが見えてくるから。

もちろん、それらの問いに対する正解はひとつだけではないと思う。でも、彼らが27年の歩みのなかで、川島の5度もの脳腫瘍の発症と闘いながら、あらゆる邪念や欲望を取っ払って、それらの問いに対して誠実に向き合い続けた末に掴んだものは、今と未来を生きる我々にとって頼もしいガイドとなる。「僕は自分の人生をすごくいい人生だと思えている」と話す中野から、「人生」と「音楽」を味わうための大切な言葉をたくさん預かった。

自分の人生を肯定できるかどうかは、自分にかかっていると思うんです。

—前回、ベスト盤『19972016』のリリースタイミングでインタビューをさせてもらってから、ちょうど1年になります(BOOM BOOM SATELLITES中野が語る、故・川島への想いと未来)。この1年は、BOOM BOOM SATELLITES(以下、BBS)にほとんどの時間を費やしていたそれまでの20年以上と比べて、生活がガラっと変わったのではないかと思うのですが、いかがでしょう?

中野:そうですね。前の制作場所(かつての中野のプライベートスタジオ)を引き払って、引っ越しもしたので、変化はありました。ベスト盤を作り終えてからは、ライブの準備があったのですが、川島くんがいないなかでリハーサルをやるのは、つまらないというか……「つまらない」という言い方はよくないな。寂しい、というか。歌う人がいないということと、友達がいないということを、すごく実感させられるような時間だったかもしれないですね。

『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』の模様。左から:中野雅之、川島道行
『FRONT CHAPTER - THE FINAL SESSION - LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』の模様。左から:中野雅之、川島道行

—中野さんと川島さんは、家族以上に長い時間を過ごしてきた仲で、前回のインタビューでは「親友で、戦友でもあった」と表されていました。そういう、人が人生でひとり出会うか出会わないかくらいの深い関係性だったからこそ、欠けてしまったときに残る孤独感も、強いというか。

中野:うん、そうですね……やっぱり、代わりになるものがないので。すごく難しい問題に直面しても、お互いがお互いに対して諦めることなく、根気強く、なんとか残り越えてきて。楽しい時間や、本当にくだらない他愛のない時間もあって。バランスが取れていたなと思います。

僕のなかでは、架空の川島くんと会話をすることがたまにあるんです。「川島くんだったら、どういうふうに思うかなあ?」って。僕は、川島くんと音楽のこととか、お喋りをするのがすごく楽しかったから。川島くんにはユーモアがあったから、会話のなかにも、たくさんの毒や愛情と、音楽への憧れ……そういうものが、すべて入っていました。

—中野さんはよく、「川島くんは幸せな人だった、いい人生だった」ということをおっしゃいますよね。いい人生とはなにか、幸せとはなにか、それらを探しながら生きている人のほうが多いと思うんですけど……川島さんを見てきた中野さんが思う、いい人生とは、どういうものですか?

中野:僕は、僕の人生をすごくいい人生だと現時点では思えていて。なぜかというと、自分がやってきたことに対して肯定的でいられているから。上手くいったことも、上手くいかなかったこともある。でも、上手くいかなかったことがないと、上手くいったことも起きなかったかもしれない。今の自分を形作るには、全部が必要なことだったと思うから、自分の人生を、全部肯定できるんですよね。

もちろん、酷いこともありました。でも、だからとって「酷い人生だ」とは1ミリも思わないです。で、今の自分は、今日以降、また新しい自分の人生を作るにあたって、よりよくしようと思っているわけで。その方向性自体が、すごくいいなと思っているんです。

中野雅之
中野雅之

—すごく、ポジティブですね。

中野:今の世の中では、「勝ち組」や「格差」だとか、年収や、彼女がいるか結婚してるかどうかとか、そういう物差しで人生を測って、人と比べるようなことが普通にあって。それを比べるために、SNSというものが利用されたりするし、自分の価値を見誤るものに溢れていると思うんですけど。でも、自分の人生を肯定できるかどうかは、自分にかかっていると思うんです。それを人の物差しで測るのは、とにかくやめる必要があるなと思います。

—自分で肯定できる人生こそが、いい人生だと。

中野:このバンドを、見る人が見れば「可哀想」と思うのかもしれないけど、こんなにいい終わり方でやり切って、添い遂げられたケースはほかにないと思うから、俺はもう、最高だと思っているし。人生って、そうやって自分のことを褒めてあげればいいんだと思う。

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リリース情報

BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER-THE FINAL SESSION-LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』完全生産限定盤(Blu-ray)
BOOM BOOM SATELLITES
『FRONT CHAPTER-THE FINAL SESSION-LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』完全生産限定盤(Blu-ray)

2018年3月14日(水)発売
価格:9,199円(税込)
SRXL-151

1. LAY YOUR HANDS ON ME
2. NINE
3. DRESS LIKE AN ANGEL
4. BACK ON MY FEET
5. MORNING AFTER
6. KICK IT OUT
7. A HUNDRED SUNS
8. FOGBOUND
9. BLIND BIRD
10. STARS AND CLOUDS
11. STAY
12. FLARE
13. NARCOSIS

※平間至写真集、BBS History、全Discography、中野雅之インタビュー掲載

BOOM BOOM SATELLITES『FRONT CHAPTER-THE FINAL SESSION-LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』通常盤(DVD)
BOOM BOOM SATELLITES
『FRONT CHAPTER-THE FINAL SESSION-LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』通常盤(DVD)

2018年3月14日(水)発売
価格:4,860円(税込)
SRBL-1780

1. LAY YOUR HANDS ON ME
2. NINE
3. DRESS LIKE AN ANGEL
4. BACK ON MY FEET
5. MORNING AFTER
6. KICK IT OUT
7. A HUNDRED SUNS
8. FOGBOUND
9. BLIND BIRD
10. STARS AND CLOUDS
11. STAY
12. FLARE
13. NARCOSIS

プロフィール

The fin.
BOOM BOOM SATELLITES(ぶん ぶん さてらいつ)

1997年ヨーロッパでデビューした中野雅之、川島道行からなるロックユニット。エレクトロニックとロックの要素を取り入れながら、新しい未知の音楽を創造し続ける日本屈指のクリエイターユニット。ヨーロッパでリリースされた12インチシングルをきっかけに、UK音楽誌『Melody Maker』は、「The Chemical Brothers、The Prodigy以来の衝撃!」と報じたことをはじめ、多くのメディアに大絶賛される。2004年には映画『APPLESEED』の音楽を担当、その後もリュック・ベッソン監督の映画『YAMAKASI』やクリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』で楽曲が起用されるなど、デビューから現在に至るまで映像クリエイターやアーティストに絶大な人気を誇り、楽曲提供やリミックスのオファーが絶えない。世代を超えた不動の魅力を持ち合わせたアーティストである。

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