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ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ『淼のすみか』『HARVEST』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人 編集:山元翔一

左から:窪田薫、仲松拓弥、久富奈良、田渕ひさ子、粟國智彦

言葉にできないものを大事にしたいって思うし、それを音楽にしたいって思うからこそ、苦闘できる。(粟國)

—先ほど、粟國さんがおっしゃったような、日本のオルタナティブロックに出会うことで知った「いろんな感情」とはどのようなものなのか、言葉にすることってできますか?

粟國:うーん……。

窪田:どちらかといえば、言語化できない感情の存在を知ったっていう感じじゃない?

粟國:そうだね。むしろ、その感情がどんなものなのかを知りたくて、切なくなるような感じ、というか。そういう言葉にできないものを大事にしたいって思うし、それを音楽にしたいって思うからこそ、苦闘できるなって思います。

—言葉にできない、その感情を追い求めることが、音楽を鳴らす原動力にもなっている?

粟國:そうですね。高校1年生の冬に“渚にて”という曲ができたんですけど、そのときに自分のなかで、ひとつのきっかけが生まれた気がしていて。自分で「こうしたい」って思って歌詞を書いたわけではないんだけど、「渚」という場所に、過去も現在も未来も一緒になって、いろんな人がいて、何度も同じ行為をなぞったり、反復したりしている……そういう、すごいエネルギーの塊みたいなものを「見つけた!」っていう感覚があって。

粟國智彦
粟國智彦

粟國:全部がひとつになるようなエネルギーの渦巻くもの……それが、自分たちの音楽性なんじゃないか? っていう……すみません、抽象的で。

—いえいえ。「渚」という景色を見つけたとき、粟國さんのなかに「自分が表現で辿り着きたかったのはここなんだ」というような感覚が生まれた、ということでしょうか?

粟國:うん、そういう感じでした。「渚」という、その場所に連れて行ってもらって、「俺、この場所を見ていたんだなぁ」っていう感覚というか……「この状態を実現したいんだ」「これを感じる瞬間を表現したいんだ」っていう感覚がありました。

田渕:わかりますよ。原風景というほどではないけど、「あのとき見たものを、ここに」っていう感じで音に刻みつけたり、演奏しながら、ずっと「そのとき」を思い浮かべて演奏する、みたいな感覚は私にもありますね。

田渕ひさ子
田渕ひさ子

ナツノムジナは、なにかが研ぎ澄まされているというよりは、「純度」のバンドだと思う。(田渕)

—ちなみに、“渚にて”は去年リリースされた1stアルバム『淼のすみか』の最後を締めくくる曲でもありますね。

粟國:“渚にて”という曲で与えられたイメージには、きっと物語があるような気がして……。それで『淼のすみか』は、“渚にて”ができたことで表れたイメージが、なぜ自分にやってきたのか? ということを考えるアルバムにしようと思ったんです。なので、2曲目の“暈(かさ)”から10曲目の“渚にて”に至るまでの物語として、時間軸を意識しながら歌詞を書きました。で、1曲目の“灯台”は、最後の“渚にて”とノイズでつなげていて、アルバムが一回転するようにしていて。

ナツノムジナ『淼のすみか』を聴く(Spotifyを開く

—では、かなり明確なコンセプトアルバムなんですね。でもなぜ、1曲目の“灯台”だけは“渚にて”へと至る物語から外れているんですか?

粟國:“灯台”だけは、“渚にて”に至る物語とは別に、作り手である自分の意識の誕生を表せたらいいなと思ったんです。音楽のなかだけの物語ではなく、ひとつ離れた次元に自分を置くための曲なんです。

—いま話していただいたアルバムコンセプトの重厚さや熱量の高さって、たとえばブッチャーズの『kocorono』(1996年)などに通じるものがあるなと思うんです。即効性の高い快楽ではなく、ギターミュージックを通してこれだけ作品性の高いものを作り上げる新世代が登場したということは、やはり意志は受け継がれているんだなと感じます。

田渕:そうですね。でも、私としては、「ここにもいたか!」っていう感じですけどね(笑)。

左から:ナツノムジナ(仲松拓弥、粟國智彦、久富奈良、窪田薫)、田渕ひさ子
左から:ナツノムジナ(仲松拓弥、粟國智彦、久富奈良、窪田薫)、田渕ひさ子

田渕:「このタイプ、ここにもいたのか!」っていう(笑)。……きっといま、みんなは持っている全てのエネルギーを賭けるぐらい真剣に、作品作りに向き合っていますよね。そうやって全部を賭けるには、やっぱりある程度の若さが必要なんですよ。ナツノムジナには、この先、歳を重ねても、その純度は失わないでほしいなって思います。ナツノムジナは、なにかが研ぎ澄まされているというよりは、「純度」のバンドだと思うから。その純度は、私が見る限り、高校生の頃からいままで失われていないし、この先も失わないでほしいなって思います。

四人:はい、がんばります!

2018年3月24日(土)開催の自主企画『HARVEST』のメインビジュアル
2018年3月24日(土)開催の自主企画『HARVEST』のメインビジュアル(ライブ情報を見る

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イベント情報

『HARVEST』
『HARVEST』

2018年3月24日(土)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
ナツノムジナ
CHIIO
GRASAM ANIMAL
ベランダ
料金:前売2,000円 当日2,500円 『淼のすみか』LP&ポスター付限定チケット4000円(全てドリンク別)

リリース情報

ナツノムジナ
『淼のすみか』(LP)

2018年3月28日(水)発売
価格:¥3,000(税込)
トーキョー=コミューン / FSJM2

[SIDE-A]
1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀

[SIDE-B]
1. 深海
2. 辷る
3. 天体
4. 伴侶
5. 渚にて

ナツノムジナ『淼のすみか』
ナツノムジナ
『淼のすみか』(CD)

2017年9月6日(水)発売
価格:2800円(税込)
FSCT-1008

1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀
6. 深海
7. 辷る
8. 天体
9. 伴侶
10. 渚にて

toddle
『Vacantly』(CD)

2016年7月27日(水)発売
価格:2,808円(税込)
KICS-3397

1. Disillusion
2. Beat Rotates
3. Branch in the Road
4. Parallel Lanes
5. Bitter Hours
6. Cloud Eater
7. Stirrer
8. Right-Hand Drive
9. Where the Alley Ends
10. Round Arrow
11. Vacantly
12. Illuminate

プロフィール

ナツノムジナ
ナツノムジナ

2010年、沖縄にて、高校の入学を目前に粟國智彦の呼びかけにより小学校の頃の同級生でナツノムジナを結成。同年の10月ごろにベーシストが抜け、現メンバーの窪田薫が加入。2011年7月、bloodthirsty butchersのライブのオープニングアクトを務めたことをきっかけに音源作成を決意。同年10月、に山本精一のオープニングアクトを務めたライブで2曲入りの音源『黒点/渚にて』を販売開始。2012年、窪田が一足先に東京に上京することになり活動休止。2013年、メンバー全員が上京をし、東京で活動を再開。2015年、自主製作音源の『natsunomujna-ep』を4月にリリース。同年にLAMAやbonobosと共演。2016年、自主企画『Pale』を定期的に開催。同年9月に2曲入りカセット『Driftage vol.1【艀・凪】』を会場限定でリリース。2017年、3月に2曲入りの7inchレコード『Driftage vol.2【天体・月の裏側】』を会場限定でリリース。9月に初の全国流通版1stフルアルバム『淼のすみか』をリリース。

田渕ひさ子(たぶち ひさこ)

福岡県出身。1975年12月9日生まれのO型。13歳でギターを始めて以来、途切れることなくギャルバンでギターを弾き続ける。19歳でNUMBER GIRLに加入し、98年に上京。2002年に解散し、toddleを始める。03年bloodthirsty butchersにメンバーとして加入。寝た子も起こす強烈なギターが印象的だが、toddleでは初めてのボーカルも担当し、これまでとは違った一面を見せる。忙しい毎日を送りつつ、色んなことを日々イメトレ中。

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