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カネコアヤノが語る、怒涛の2年の全て 本当のはじまりはここから

カネコアヤノが語る、怒涛の2年の全て 本当のはじまりはここから

カネコアヤノ『祝祭』
インタビュー・テキスト
北沢夏音
撮影:木村和平(ライブ写真のみ:木村泰之) 編集:山元翔一

カネコアヤノ

「男に負けたくないけど、私は女ですから」(カネコ)

バンドのなかでエレキギターを持ってフロントに立つ姿も様になっているが、今のカネコにとって、新たなアコースティックギターとの邂逅も大きな出来事だったようだ。今年初め、“祝日”のレコーディングの前日に運命的な出会いを果たし、この曲だけがそのギターで録音されている。

—アルバムのクロージングナンバーだし、全13曲のドラマのラストにこの曲が来たという感動もあるけど、純粋に“祝日”はグッとくる。<できないことも頑張って/やってみようと思ってる>っていうフレーズを聴くたびに、胸がいっぱいになります。

カネコ:いやぁ、できないことが多すぎるから、頑張ろうって。本当に頑張ろうっていう気持ちで私は歌ってて、毎回やっぱりぎゅっとなりますね。

—こういう気持ちを忘れたくないのに忘れちゃうんだよなぁ、って悲しくなります。

カネコ:そうですよね。そういう忘れたくないこととか、小さいときから見ているのに徐々に見えなくなってきていることを記録する唯一の方法が曲を作ることなんです。

『祝祭』収録曲

カネコの歌詞は日記のように綴られており、ひとりごとの連続のように見える。しかし、それにメロディーやリズムがついて歌われることで、聴く者はカネコに秘密を打ち明けられたような気持ちになる。一言一句が他人事でなくリアルに響くのだから、歌とは不思議で、面白い。その魔法は、『祝祭』にも収録された“グレープフルーツ”などに顕著だ。

カネコ:“グレープフルーツ”は“祝日”と同じくらい大切な曲です。この2曲は完全に私のコンプレックスの極みから生まれた曲で、“グレープフルーツ”は前の事務所を辞めるときに作った曲です。

—<いまのわたし/甘い砂糖と苦いグレープフルーツみたい>という、この素敵なサビの1行だけでも十分チャーミングなのに、歌詞のはじまりは<ねむいなぁ>。

カネコ:(手を叩いて笑う)

—<昼過ぎの各駅停車がちょうどいい/よだれを垂らすころには/花畑に魚が泳いでいる>と続くのが最高ですね。こういうとぼけたユーモアもカネコさんのよさだなと思います。

カネコ:うれしい。パワーワードを入れたいですね、1曲のなかに一言はハッとするような言葉を。

—そういうフレーズって、突然降りてきたりするんですか?

カネコ:降りてくることもあります。<あーまーい砂糖と>とか<朝はエメラルド>とかは降ってきた。<朝はエメラルド>は歌詞が気に入ってますね。

カネコアヤノ

<朝はエメラルド>という歌い出しからはじまる“エメラルド”。そのすぐあとに<凄い速さで駆けてゆく>と来て、<考えてみても仕方がないことばかりだね>と続く。そうやって1行進むたびに思考がポンポンと飛ぶのが、刹那を燃焼し尽くしながら生きる「カネコらしさ」の表れにも見える。<クローゼットの中で一番気に入ってるワンピース着ていくね>というフレーズも印象的で、1曲のなかにひりひりしたロックな感覚とスウィートな感覚が入り混じっており、まさにグレープフルーツみたいに苦さと甘さが混在している。そこが今のカネコの魅力だと思う。

カネコ:かっこよくありたいけど、やっぱり単純にかわいい服とか着たいし、髪も伸ばしたいし、そういうところはあるかもしれない。男に負けたくないけど、私は女ですから、「ワンピース」みたいなワードが歌詞に出ているのかなぁ。

—先日の『exPoP!!!!! Vol.107』ではパジャマのまま出ました、みたいな衣装だった(笑)。タフな野郎どもに囲まれて、体は小さいけど、ガーンってエレキギター弾いてる。

カネコ:いや、そこはマジで負けないって思ってますから。かわいいとか言われるのはうれしいけど、音楽は……表現とか制作に関することは、男とか女とか関係ないですからね。

カネコアヤノ

201年4月26日リリースの2nd EP『ひかれあい』収録曲

『祝祭』は、怒涛の2年の集大成にして、本当の意味でのはじまり

『祝祭』からは、「カネコアヤノはここからはじまる」という歓びに溢れたマジカルな昂揚を感じる。紙資料によれば、今作は「カネコアヤノの第2章を総括する作品」だという。

カネコ:自分で試行錯誤しながら作ったアルバムは、これが初めてだから。私にとっては、これが本当の1stアルバムという気持ちです。できあがったときのうれしさとか達成感は、これまでのアルバムの比じゃない。

—あるテーマが最初に合って、それに近づけていったわけではない?

カネコ:それはまったくなかったですね。私のなかから出てくるもので作ったらこうなりました、というアルバム。でもそれがすごくよかったと思う。

—ここ1年くらいの変化の記録。ドキュメンタリーみたいなアルバムになったのかな。

カネコ:ドキュメンタリーだし、エッセイで、私小説だと思ってる。生活の一部を切り取った歌になればいいし、日々の暮らしのなかでしか、今は作れませんね。

カネコアヤノ

<恋しい日々を抱きしめて/花瓶に花を刺さなくちゃ>(“恋しい日々”)と自らに言い聞かせるように歌うカネコの生活に対するまなざしや、ありふれた日常の所作さえも大切に思う気持ちから書かれた『祝祭』の言葉は、ぼくらの心のうちにありながら見失っている真実を言い当てているような気がする。

“祝日”という曲名にも象徴されるように、カネコの歌詞には日常のなかに垣間見える特別な瞬間を抱きしめたいという、日々を慈しむ感覚がある。それは、2年前までのカネコとは別人のようなパワーを炸裂させ、ブレイクスルーのきっかけとなった楽曲“とがる”以降の成長を窺わせる大きな変貌だろう。

カネコ:“とがる”までのイメージが一旦終わったな、っていう感じはあります。“とがる”で私のことを知ってくれた方が多いと思うんですけど、そういう方たちはこのアルバムを聴いてどう思うのかな……。誰が共感してくれてもうれしいけど、そのなかでも特に、同性とか同世代の人たちの心に何かが残ったらうれしいな、ってすごく思いますね。

カネコアヤノ『祝祭』ジャケット
カネコアヤノ『祝祭』ジャケット(Amazonで見る

—第3章の門出に立ち会えてよかった。これからの展開が楽しみです。

カネコ:がんばりますっ! ポップにいきたいです。

—『群れたち』には“ポップなおんな”という曲もありましたけど、だんだん「ポップなおんな」になってきていますね。

カネコ:いやぁどうでしょう。まぁ徐々に(笑)。自分のなかではまぁ、あと……少しかな。

カネコアヤノ

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リリース情報

カネコアヤノ『祝祭』
カネコアヤノ
『祝祭』(CD)

2018年4月25日(水)発売
価格:2,600円(税込)
WRCA-18

1. Home Alone
2. 恋しい日々
3. エメラルド
4. ごあいさつ
5. ジェットコースター
6. 序章
7. ロマンス宣言
8. ゆくえ
9. サマーバケーション
10. カーステレオから
11. グレープフルーツ
12. アーケード
13. 祝日

イベント情報

『カネコアヤノ TOUR 2018“祝祭”』

2018年5月4日(金・祝)
会場:神奈川県 横浜 日ノ出町試聴室 その3(SOLD OUT)
出演:
カネコアヤノ
柴田聡子

2018年5月6日(日)
会場:群馬県 高崎 WOAL(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ

2018年5月11日(金)
会場:広島県 4.14
出演:
カネコアヤノ(バンドセット)
シャムキャッツ
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2018年5月13日(日)
会場:京都府 Livehouse nano(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ(バンドセット)

2018年5月27日(日)
会場:石川県 ハルモニー金沢
出演:
カネコアヤノ
折坂悠太
noid
料金:前売2,800円 当日3,300円 学生1,800円(共にドリンク別)

2018年6月2日(土)
会場:岡山県 禁酒会館(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ

2018年6月3日(日)
会場:福岡県 LIV LABO
出演:カネコアヤノ

2018年6月8日(金)
会場:北海道 札幌 Sound Lab mole
出演:
カネコアヤノ(バンドセット)
シャムキャッツ
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2018年6月9日(土)
会場:北海道 札幌 キノカフェ
出演:
カネコアヤノ
その他の短編ズ
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2018年6月15日(金)
会場:宮城県 SENDAI KOFFEE CO.
料金:前売3,000円(ドリンク別)

2018年6月16日(土)
会場:秋田県 大仙 matou(SOLD OUT)
出演:
カネコアヤノ
王舟
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

2018年6月23日(土)
会場:東京都 渋谷 WWW(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ(バンドセット)

2018年6月29日(金)
会場:大阪府 心斎橋 Pangea(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ(バンドセット)

2018年6月30日(土)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO(SOLD OUT)
出演:カネコアヤノ(バンドセット)

インストアライブ情報

『「祝祭」リリース記念 インストアライブ』

『東京編~バンドセット~』(ミニライブ&サイン会)
2018年4月30日(月・祝)
場所:タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
※観覧自由

『東京編~弾き語り~』(ミニライブ&サイン会)
2018年5月1日(火)
場所:ココナッツディスク吉祥寺店
※ご来場者多数の場合、入場を制限させて頂く場合もございます

『大阪編~弾き語り~』(ミニライブ&サイン会)
 2018年5月14日(月)
場所:タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース
※観覧自由

『名古屋編~弾き語り~』(ミニライブ&サイン会))
2018年5月20日(日)
場所:名古屋PARCO 西館1Fエントランス・スペース
※観覧自由

プロフィール

カネコアヤノ
カネコアヤノ

シンガーソングライター。これまでミニアルバム1枚、フルルバム2枚をリリース。弾き語りとバンド形態でライブ活動も展開中。2016年4月には初の弾き語りアルバム『hug』、さらに11月にEP『さよーならあなた』を発表。2017年4月に2ndEP『ひかれあい』、2017年9月には初のアナログレコード『群れたち』をリリース。2018年4月25日、3枚目となるフルアルバム『祝祭』を全国一斉発売する。

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